アッシュ&レフィーネ

シロー/アッシュ > (王都、噴水広場。高台から王都の街並みを一望出来るこの場所は、自分にとって思い出と馴染みが深い場所であった。添え付けられたベンチに並んで座っていると、自分とレフィーネの膝の上を行き来する息子、アルをそっと抱き上げる。深く被ったフードの下でレフィーネの方を覗き込むと、アルの背中をとんとん、と叩きながら口を開いた。)「やっぱりここに来ると色々思い出せるな⋯⋯、来て大正解だったね。⋯⋯アル、綺麗だねえ」(水を散らす噴水に視線が釘付けのアルの髪を撫でて、幸せそうに笑った。⋯⋯せめてもの罪滅ぼしといえば聞こえは悪いかもしれないが、けじめを付ける為、かつての仲間達に挨拶して回って予定だった事から、アッシュとレフィーネは、花祭りにちなんで一人一人に花を贈ろうという結論に至っていた。店で買うよりも、レフィーネの魔術で生み出した花を贈った方が良い、とどんな花を贈るか相談する為に高台へと出向いていたのだった。)   (4/4 21:47:12)
シロー/アッシュ > 「まずは浦舳⋯かな、俺、あの人にちょっと迷惑掛けて⋯レフィーネとミトラで出会う前、泣きつくみたいにしちゃってさ⋯」(思えばそう、今でも昨日の様に思い出せる。レフィーネと浦舳で露店まで会いに来たのを。ケーキを作ったのも浦舳の為だったし、レフィーネにとっても思いの深い相手だろう。本当に久々に彼女の字を口にしたからか、呼び捨てで呼んでいた筈なのに妙な言いにくさを感じた。⋯⋯という事は、この話は前にレフィーネにした事無かったのかな。⋯⋯いや、いつだったか話した気がする。──余計な事を考えてしまって、うーんと小さく唸ってから、口を開き直した。)「浦舳の髪って少し綺麗な紫がかってたよね、確か。⋯⋯カトレアとか、どうだろう。謝るよりも綺麗なカトレアを沢山贈ってあげたいなって⋯」(勿論花に特別詳しい訳ではないものの、それでも彼女に似合う花だとは凄く思う。『どう思う?レフィーネ』と浦舳との関係も深くお花に詳しいレフィーネに対して視線を向けた。   (4/4 21:47:15)


マリア/レフィーネ > (二人の咎人は約三年の時を経て王都の土を踏んだ。あんなにも花まつりが大好きだったレフィーネが、もう二度と来られないかもしれなくなった事情はミトラ攻城の前日に駆け落ちをしたあの日に遡る。果たして夫となった人物の顔を見上げながら、腕からずり落ちそうになっている息子をよいしょと肩に預けて抱き直した。)「……懐かしいなあ。うん、綺麗、ですね。」(自分達がしたこと、それからこの国の未来を考えれば、呑気に華やかさを享受する事もできずに曖昧に微笑む。ほんの少女だったレフィーネも、成熟したとまでは言わないなりに年齢なりの弁えるべきものを思い知る機会は多かったという事だろう。来て正解だったかと改めて問われれば彼とは違い二つ返事では頷けないものの、棲家にしていたルガムに居られなくなった事実を鑑みればとりあえずはそうポジティブに捉えておくのが最適なのかもしれない。少なくとも、愛息にこの光景を見せる事は出来たのだ。今は三人でいられる事があまりにも幸せで、幸せ過ぎて、胸の奥が痛む。)   (4/4 22:56:43)
マリア/レフィーネ > 「う…浦舳さんっ!……ふふっ、わたし達が巡り会ったのは、彼女のお、おかげ、ですよね?」(それでも、懐かしい名前を聞けば曖昧な微笑みも吹き飛んで頬を緩ませた。浦舳と二人であなたを追いかけた大捕物のエピソードは外せない。彼女はレフィーネやアッシュ個人だけではなく、二人にとっても大切な人だ。)「わ、わたし、彼女と初めて会ったのは、花祭りでした。……あ、あの日、わたしは彼女に、ネリネの花を、贈りました。……それから、シンと二人で作ったケーキ。桜の、ケーキでしたっけ?……お花ばかり、おっ、贈っていたんだなあ。……カトレア、良いですね。じゃあ今年は、カトレアっ!そうしましょうっ、きっと、似合いますっ。」(”謝るよりも”という言葉は引っかからなくもないけれど、自分達が出来る事など限られている。これからの決意を込めて関わった人達に花を贈る事が出来るなら、何かの区切りとなるはずだ。)「……う、浦舳さんとは、花まつりの日、いっしょに哨戒してー、それからー……メレンゲクッキーを、たっ食べたんですっ。ああまた食べたくなってきちゃった。サクパフカリって感じで、とっても、お、美味しいんですよーっ!」   (4/4 22:56:52)
マリア/レフィーネ > (まだ稚気の漂う面差しで、レフィーネはにこにこと笑った。息子が『クッキー?』と言うのでくすりと笑って、『はいはい、後でね。アル、遊んで、らっしゃい。おなか、空かせるためにね』とあしらって、その小さな両足を地面に降ろす。)「ああ、あっ、甘いものの話したら、ゼダスの事を思い出しちゃいました。彼は今、どうしているんでしょうねえ……わ、わたしが子供を産んだって、きいたら、びっくりするかなあ?……ゼダスには、サルビアなんて、どうでしょう?あれは、蜜がとっても甘くって!それにね、知恵や賢さを、意味する花でもあるんです。彼の真っ赤な目にも、似合うと想いませんか?」   (4/4 22:56:57


シロー/アッシュ > 「ああっ⋯、浦舳のお陰だよ。ふふっ⋯そうだなっ、きっと似合う⋯!」(昔話に花を咲かせるのは、素敵な思い出が蘇ってきて自然と頬が緩む。それに何よりもレフィーネが満面の笑みを浮かべて声を弾ませるものだから、釣られてじぶんも声を楽しげに張ってしまう。『ケーキだよ』と短く頷いてみたりすれば、昨日の事のように思い出がまた一つ蘇る。真っ黒のケーキを持ってきた時のレフィーネの表情ときたら。今度はメレンゲクッキーが、ところころ表情を変えながら話すレフィーネの細かい仕草は、大人になっても面影があるなあ。と、この場所が思い出の場所だからか、当時のレフィーネの笑顔が重なって懐かしかった。)「そんなに美味しかったのかっ!⋯⋯あ、アルも食べたくなっちゃったね。後で買いに行こうか、同じクッキーが売ってるか探しにいこう。」(アルがクッキー、と反応を示した事に気付くと、くすくすと喉を鳴らして笑い、降ろされたアルを視線で追い掛ける。浦舳はカトレア、次は⋯。そこまで考えた所で、レフィーネの口から出た懐かしい名前に、ああっ!と膝に手を当てながら頷きを返した。)   (4/4 23:54:33)
シロー/アッシュ > 「ゼダスかっ、ああ、そうそう、いつか鳩時計を治しに行った後、レフィーネ凄く苦しそうだったなぁ、ふふ、懐かしい。⋯⋯サルビア、いいなあ、凄くぴったりだと思う。ゼダスなら喜んで蜜を吸うんじゃないかな、一緒にアルの事見せて、驚かしてあげようか。」(「きっと驚くさ」と口角を上げて、てちてちと歩き始めたアルの背中を見詰めて笑う。噴水を指さして、「あ!きれい!」と楽しげな声を上げるのを聴いていると、思い出したかのようにあっ。と声を上げた。)「副団長、元気でやってるかな。ソウさんには⋯⋯タンポポ、ぴったりだと思うんだ。⋯⋯アナスタシアさんが居なくなっても、ずっと好きだったみたいだから⋯。誠実って意味もあるし、ソウさんの瞳と同じ色だし、何より⋯⋯っふふ、プリンが大好きとか、意外と可愛い人だから、可愛いタンポポどうかなって。」   (4/4 23:54:35)


マリア/レフィーネ > (『一緒にアルの事見せてあげようか』だなんて、簡単に会いにいけるはずもないのにそう口にするアッシュを、初めはあまりにも楽観的とすら思った。けれどきっとそれは、この場所で会えない人に向けて花を咲かせるけじめが、彼をはじめとする皆に会える”いつか”につながると彼なりに励ましているのかもしれない。なんと言ったものかと小首を傾げていると、ソウの話を振られたので、レフィーネなりに”本当にそんな日が来るといいですね”と遅まきながら微笑みを返す事ができた。今は自分たちの罪と罰についてより、また会いたいとかありがとうとか、ありふれた事を言うべきなのかもしれない。)「ああ、ソウ副団長っ…!って、もう、副団長では、ないんですよね……元気かなあ、私も、随分お世話になりました。たしかに、ふふ、ちょっと、かわいい人でしたねっ。……では、タンポポに合うように、アナスタシアに向けては、ラッパスイセンでも、咲かせましょうかっ!」   (4/5 00:24:55)
マリア/レフィーネ > (彼女が騎士団長を辞める時は、確かひまわりを贈ったっけ。魔術を使えば季節外れの花を咲かせる事でも出来るけれど、やっぱりきっと花まつりには春の花が相応しい。復活を象徴するラッパスイセンとタンポポの黄色は、きっと良くマッチする事だろう。)「団長といえば……ヴァンジャンスさんっ。彼女……立派でしたよね。きっと、ミトラでも……」(そう言いかけて、レフィーネは口を噤んだ。そう、今は前だけ向こうと決めたじゃないか。)「…あ、アネモネっ。ヴァンジャンスさんには、青のアネモネなんて、どうですか!?…彼女のしていた、青いリボンが、わたしっ、とっても印象的で…」(アネモネの花言葉は……固い誓い。レフィーネが思い描くの噴水広場の全体像は、徐々に華やかさをましていった。)   (4/5 00:25:03)


シロー/アッシュ > (『本当にそんな日が来るといいですね』と僅かな微笑みを向けられると、静かに相槌と共に頷いてこちらも微笑みを返すのだった。考えれば考える程、自分達が犯した罪の重さが伸し掛る様な気がした。レフィーネやアルと過ごすこの時間が幸せだと思えば思う程に、かつての仲間達への罪悪感が募る。特に、王国の現状を考えれば、どうなっても文句は言えない筈だ。)「ああ、素敵だな。並んで咲いているのを見たら、少しあの二人に似ている気がするし、良く似合うよ、そうしようか」(それでも、今はせめて笑っていて欲しい、花祭りの日くらい。まずは自分から。レフィーネと暮らすようになってからというもの、沢山笑うことを意識していたアッシュは、そんな思いも手伝って、表情から穏やかな笑みを絶やさずにいた。しかしレフィーネの言いかけた言葉に、ほんの一瞬ばつの悪そうに口を小さく開閉したのだった。)「⋯そう⋯だな。彼女は強くて立派な人だった、騎士団長に相応しい人だった。⋯⋯アネモネかっ。ああ、そうだね、付けていたなあ⋯⋯彼女の就任式を思い出したよ。そうしようっ」   (4/5 20:16:32)
シロー/アッシュ > (確かに青いリボンを付けていたのが鮮明に思い出された。ああっ、と合点が言った様子で微笑むと、うんうんと何度も首肯して、もう一人、連想した人の字を穏やかな顔で呟いたのだった。)「⋯千騎長、オウガさん。千騎長の名に相応しい騎士だったよな、レフィーネ。⋯⋯エーデルワイスとかどうだろう。いつも勇敢に戦っていたから。勇敢とか勇気とか、オウガさんには良く似合うと思うんだ。」(『きっとミトラでも⋯⋯』とレフィーネが言いかけた言葉を思い出して、それ以上は言わないようアッシュも口を噤んだ。⋯⋯彼等はどうしているのだろうか。今頃。口には出来ないが、生きているかも分からない。それでもせめて、今の自分達に出来ることはこれが精一杯だと思った。自己満足に見えるかもしれないが、せめてもの罪滅ぼしにと話し合ったのだから)「⋯せめて、沢山花を咲かせよう。頼むよ、レフィーネ」   (4/5 20:16:34)