アンダンテ
partition清瀬/アンダンテ > 「お、あった」(外では賑やかな花祭り、“決然”なんて欠片のない店の中では、“誰かに気に入られたアンダンテ”の曲がゆっくりと流れる。カウンターの下に溜まったもう使われていない食器なんかを掻き分け少し古ぼけたケトルを取り出すと、水を入れて窓辺に置いた。珍しい来客の置いていった花束の紙をほどいて、花瓶代わりにしたそれにそっと挿す。綿の塊のように丸く柔らかな輪郭をしたアカシアは、翠の空によく映える。)「花言葉なぁ……」 (4/4 11:51:09)
清瀬/アンダンテ > (この時期に花を贈るということは、即ちそういうこと。ミモザの花にも沢山の言葉が隠されていて、例えば“友情”だったり、“優雅”だったり。この場合何が意図されているのか、これはただ一つの可能性、だが。音楽用語の言葉はとある言語から引用されていることが多いという。深読みのし過ぎであったら恥ずかしいし、どこまで考えたところで掌で踊らされているような気がしてちょっと癪──だけど、もし仮にあの男が、火津彌がそこまで思考を巡らせてこれを贈りにやってきたとするならば。)「何に対して、なんだろうな」(“感謝”の花はか弱い蛍の燈のように、黄の世界に染められた光を灯して咲いていた。)【partition】 (4/4 11:51:26)