袋の男&ステラ
乙女の死大和守/袋の男 > (──『花祭り』。催物よりも殺しの方が楽しいと感じてしまうソイツにとってそんな物には一欠片の興味も無かったものの、今は違う。改心しただとかそういう訳では一切ない。ソイツにとっては嘘であり、ごっこ遊びの様ではあるものの恋人が出来たのだ。青春というものが全く分からないソイツであれど、『花祭り』に誘ってみるという案はほんのりと浮かんだ。誘えば快く承諾してくれて、予定調和の様に上手く進んでいる事に、この上なく喜びを覚えたのは、きっと早く殺したいと思ってしまったからなのだろう。)「……ステラさん」(風が吹き、音も併せて心地良く過ごす事の出来る噴水広場。昼にこの場所で待ち合わせだと伝えた為に大丈夫だろうが、一抹の不安にソイツは噴水の側で辺りを見回した。流石に騎士団の制服で行く訳にも行かず、ジャケットにニット、スキニーの装いでやって来ていた。殺すタイミングやその方法など、祭りを楽しむ気など一切ないらしくそんな事を考えていれば、入り口の方に貴女の姿が見えた。貴女の名前を小さく呼んで、自分の場所を示す様にひらひらと手を振ってみせたのだった。) (3/31 19:51:45)
シロー/ステラ > 「はっ⋯⋯!はぁっ⋯⋯」(昼下がりの王都。司祭寮を出て、急ぎ足で高台の噴水広場へと向かうステラは、石の階段を昇りながら左腕の小さな腕時計を見た。⋯急がなきゃ!余裕はあるけど、ギリギリには着きたくない。手に下げたバスケットの中には、ヘリオスさんに食べて貰おうと頑張って作ったサンドイッチが入っていた。手の込んだ料理を作るにはまだ自信がなく、サンドイッチにしたはいいが、初めてのデートという事もあって準備に手間取ってしまった。サンドイッチを崩さないよう気を遣りながら待ち合わせ場所に急ぐというのは思った以上に疲れるもので、息を荒くしながら何とか階段を登りきり。膝に片手を当てて深く息を吸い込みつつ、前に屈むような体勢で周囲を見渡した。)「⋯⋯っ!!」(すぐに探し人の姿は見つかった。しかし、どうやら自分が見つける前に既にあちらは気づいていたようで、呼び掛けられながら手を振られると、『急いで来たの見られちゃったかな』と焦った様子で一瞬顔を強ばらせた。両手で思わずバスケットを胸の前に持ち上げるようにして固まると、小走りで彼の元へと駆けていくだろう。) (3/31 20:17:06)
シロー/ステラ > 「おっ⋯⋯おまたせしちゃいましたか⋯?ごめんなさいっ、色々準備をしていて⋯」(ヘリオスの前で立ち止まると、乱れているかもしれない横髪を指先で纏めると、そのまま人差し指と親指で摘んで揃える。緊張を隠すようにはにかむと、上目遣いでヘリオスを見つめる。彼女なりにお洒落をしてきたらしく、最近は忙しく跳ねがちだった金髪は落ち着いており、服装も自分の持つ服の中では一番可愛いものを選んだつもり。白いフリルワンピースを着てきたは良いものの、いざ私服のヘリオスを見ると凄く大人っぽく落ち着いていて、それと比べて自分の格好は子供っぽくないかなと心配になる。「どうですか?」とは聞けずにそのままヘリオスを見つめてから、恥ずかしそうに眉を下げて笑ったのだった。)「ヘリオスさんに食べて欲しくて、サンドイッチ作ってきたんです。この後、食べてくれますかっ⋯?」(噴水広場からは、眼下に色とりどりの花で飾られた王都が一望できる。楽団の演奏や鳥の声が響いて来るのを感じながら、夢にまでみた理想の騎士様とのデートに胸を弾ませた。 (3/31 20:17:08)
大和守/袋の男 > 「いいえ。私も今来た所ですから、大丈夫ですよ。……それにしても、何と可愛らしいのでしょう。よくお似合いだ。以前会った時から貴女は花の様に可愛らしいと思っていましたが、こうして着飾った貴女も本当に素晴らしい」(子供らしくて良い、という言葉は辛うじて飲み込んだ。上目遣いで此方を見つめる貴女の姿は可愛らしいと思うけれど、その全てに前述の言葉が加えられる事になるだろう。その服装もそうだが、手に持っているバスケットからも張り切って来たのだという熱意がよく感じ取れる。嗚呼、此方が貴女を殺そうだなんて思っている事も知らないで。本当に子供らしくて、愚かしくて──最高に、"イイ"。貴女の想い努力全てを裂かんとする思いを直隠しにしながら、ソイツは柔らかく笑みを浮かべ。恐らく欲しがっているであろう言葉をぺらぺらと口にしてみせる。演技だと思えばそんな言葉達は幾つでも浮かんでくる。出来るだけ、上機嫌にして。最高の幸福な中で、絶望的なまでに容赦なくぶっ殺してやる。) (3/31 20:45:30)
大和守/袋の男 > 「勿論ですとも。ふふ、それにしても私の為に作ってきて下さっただなんて……本当に私は幸せ者ですね」(成る程、そのバスケットの中身はそれか。自分の為に作ってきたのだという努力の結晶を前にして、ソイツは心底幸せそうに微笑むだろう。無論、それら全てをぶち壊しにする結末を予想しての笑みだけれど。それでも完璧に演じきってみせれば、続けて「お手をどうぞ」と腕を曲げ差し出した。エスコートしましょう、お姫様。勿論行く先は地獄なのだけれど。ふと、そこで何処に行くのかが分からずそう問いを投げたのだった。事前に何が出ているのか調べはしたけれど、貴女の好みだなんてソイツは全く分からないから。)「何方に行きましょうか? 折角ですからスイーツを食べに行くのも良さそうですし……それに、貴女に似合う花を見繕うのも良さそうだ」 (3/31 20:45:32)
シロー/ステラ > 「あっ⋯⋯!そうですか?嬉しい⋯えへへ⋯⋯。ヘリオスさんも凄く凛々しくて、綺麗でかっこいいです、とっても⋯素敵です」(〝可愛らしい〟と言われて、ステラは内心舞い上がりながら、心底嬉しそうに口元を緩ませて笑った。その言葉でもう頭がいっぱいで、子供っぽいって意味なのかなと考える事すら無かった。聞く人が聞けば歯が浮く様な台詞の数々も、ステラには胸を高鳴らせる要因でしかなく、掌を差し出されて、嬉しそうに掌を重ねて遠慮がちに握った。)「ヘリオスさんとなら、どこでも⋯。⋯⋯あっ、お花、お花を見に行きたいです。花祭り、なのでっ」(大切な人にお花を贈る。わたしにとって一番大切なヘリオスさんにお花を贈りたい。何度も夢見たシチュエーションに惹かれて、隣のヘリオスを見上げながら食い気味にそう返すと、手を少しだけ強くきゅっと握り直した。『ヘリオスさんはきっと、わたしにお花を贈ってくれる』そんな浅ましい願いも胸に秘めつつ、一緒に歩き出そうとするだろう。) (3/31 21:23:45)
シロー/ステラ > 「でもわたし、ヘリオスさんとなら⋯、どこでも⋯⋯。⋯⋯あのっ、大通りから逸れても、ヘリオスさんと一緒なら、二人きりになれる場所にも⋯⋯」(彼よりもわたしは年少者で、まだ少女だからと気を使ってお祭りだけを楽しむつもりだったら。)「ヘリオスさんの近くに居る事の方がわたしは、幸せです」(もしそうだったら、子供だからと遠慮しないで欲しいとステラは思った。ヘリオスさんとなら、何でもしたい。二人きりになったら⋯⋯キスとか───。そこまで考えて、頬をほんのり赤くしたまま視線を下げるのだった。 (3/31 21:23:57)
大和守.袋の男 > 「花、ですね。分かりました。……それでは、行きましょうか」(『花を見に行きたい』と言われれば、その言葉を叶える為に、握る手に仄かに力を込め貴女の歩幅に合わせて歩き出す。……花、花か……。どうせならば花言葉の事も考えて渡してやりたい事だ。元より、殺してやる前に冥土の土産として何か送ってやろうと考えていた為に少しならば花言葉の知識がある。わざわざ面倒で余計な知識をこの頭に叩き込ませる事になったんだ。期待以上の反応を望もうと、貴女に視線を向けた所で。ソイツにとっては実に好都合な、小さな欲望の現れに瞳を細めた。はっきりとした返事はしないまま、とりあえず口元に笑みを浮かべるだけにしておこうか。) (3/31 22:14:06)
大和守.袋の男 > 「……おや、これは凄いですね」(歩き続け、やがて辿り着いた花屋。一目見た瞬間から広がっていく色鮮やかな花々を前に、ソイツは短く感想を溢した。花の一つに目を付ければ、それを下さいと店員に頼み小銭と引き換えに一本の花を手にした。)「これを、貴女に贈らせて下さい」(そうして貴女に贈ったのは、小さな白のスミレ。愛らしくも堂々と咲き誇る白は、きっと貴女に合うだろうと。……ただ、その花言葉の中には『乙女の死』というモノが紛れているのを貴女は知っているだろうか。) (3/31 22:14:10)
シロー/ステラ > 「わあっ、綺麗⋯⋯!」(今年は行けないかなと思っていた花祭り。ヘリオスさんとのデートがどうしてもしたくて、他の司祭の方々にお願いしてやって来た城下町はすごく華やかだった。沢山のお花で彩られて、賑やかな祭り。戦争があった事など誰も知らないような空気だった。ヘリオスに連れられてやってきた花屋で、店先に並んだお花に目をやると、屈んで目を輝かせ、にこにこと微笑む。しかしヘリオスが慣れた手つきでお花を購入した事に気付くと、思わずはっとして佇まいを直してしまう。気付かないふりをした方がした方が良かったかなと思った時には既にヘリオスの視線はこちらを向いていた。受け取る前から口元が弛むのを隠すことが出来ず、受け取ってから漸く糸が切れたかのように表情をぱぁっと綻ばせた。)「ヘリオスさん⋯⋯嬉しいです、ありがとうございますっ⋯⋯!わたしも⋯⋯っ」 (3/31 22:40:31)
シロー/ステラ > (ステラは花言葉について疎く、その意味を知る由も無かった。それでもきっとこの綺麗な白いスミレには特別な気持ちが込められているんだと信じて疑わなかった。自分も、と店主に可愛らしいピンクのお花を指さして、これを下さいと、ポーチから出した小銭と引き換えにピンクのチューリップを一本受け取って。きょろきょろ、と何やら周囲を見渡してから、そっとチューリップとスミレをバスケットに入れ、ヘリオスの手に指先を絡めて寄り添うと、見上げて小さな声で呟いた。)「⋯⋯ヘリオスさん⋯っ⋯⋯あの、ちょっと、あっちの方に行きませんか⋯?」(そう言って小さく指さしたのは、人気の無い小さな広場へと逸れる小道。ぎゅっ、と掌を握って、ヘリオスをじっと見つめ続けた。)「好き⋯⋯お花、しっかり渡したいです、二人きりで⋯⋯」 (3/31 22:40:44)
大和守.袋の男 > (文字通り花の様に咲き誇った笑みを見ては、どうやらこの花言葉を貴女は知らなかったのだろうと察した。ならば……そう、後で殺す時にでもネタばらしをしてやろうと内心ほくそ笑む。『わたしも』、と言ったのだから貴女も何か花をプレゼントしてくれるのだろうかと、期待こそしていなかったが好奇心のまま貴女の姿を視線で追い掛ける。貴女の影に隠れてよく見えなかったものの、どうやら桃色の花を買ったらしかった。残念ながら良い意味の花言葉なんて調べる価値もないと手を付けていなかった為にその意味は分からないが。まぁとりあえず貴女の事だ、『誠実な愛』だとかそんな感じの物をチョイスしたのだろうと勝手に予想していた。貴女が花をバスケットに入れたのを見てはどうしたのだろうと首を傾げるも、己に寄り添い愛らしく紡がれる貴女の言葉で納得が言った。)「えぇ、分かりました。行きましょうか、ステラさん」(指差した方向は、どうやら人気の無さそうな場所。嗚呼、実に好都合。先程から起こる、ソイツの計画にとって何もかもが揃えられていく展開に内心醜悪な笑みを浮かべる。ソイツは優しく微笑んで頷き、再び貴女の歩幅に合わせつつその場所へと向かっていく。) (3/31 23:04:34)
大和守.袋の男 > 「……ふふっ。ステラさんがどんな花を選んで下さったのか、とっても楽しみです」(大通りはあんなにも騒がしく明るかったのに、対になるかの様に此処には全く人気が無く静かだ。広場の真ん中で、ソイツは貴女を優しく見つめながら期待に満ちた言葉を掛けるのだろう。嗚呼、嗚呼、決めた。これから渡されるのであろう花なんて受け取ってなんてやるものか。お前が誘導したんだ、自ら死へと歩んだんだ。後悔なんてしても無駄だ、したところで辺りには人なんか居ない。誰も助けてなんかくれやしない。最高へセッティングされた舞台へ登ったソイツは、貴女を絶望へ堕とす為の台本を用意して待っている。その醜い化けの皮が剥がれるまで、きっともう少し。) (3/31 23:04:37)
シロー/ステラ > 「⋯⋯っ⋯」(ばく、ばく、と重く胸が鐘を打つ。手を繋ぎ連れ立って歩きながら、ヘリオスから顔が見えないようずっと視線を下げていた。わたしから好きって、大好きだって、告白したい。こんな素敵な人、きっとわたしの人生で一度だけ。だから⋯⋯ちゃんと⋯⋯。⋯⋯彼女なりに逃したくない、ヘリオスさんだけは。という気持ちのままに必死で言葉を脳裏で組み立てる。どんどんと喧騒が遠のいていき、聞こえるのは二人の足音だけ。ヘリオスの足がゆっくりと速度を落とし、止まって漸く、人気の無い広場に着いたのだとステラは気づいた。)「⋯⋯!えっと⋯⋯ヘリオスさん⋯⋯っ」(そっと名残惜しそうに手を離すと、バスケットを地面に置いて、ピンクのチューリップを両手で掴む。ごくり、と息を飲んで端正な彼の顔を見つめていると、緊張して呼吸すら止まりそうだ。それでもありったけの胆力を以て視線を彼の目に固定すると、ステラは口を開いた。自分も魔術師だと言うのに、伝えたい言葉は彼のように素敵な文になることは無かったけれど、精一杯魔力を込めようと思った。) (3/31 23:33:41)
シロー/ステラ > 「わたし⋯⋯ずっと夢でした、ヘリオスさんみたいな素敵な人とこうして、その、恋人になること⋯⋯」(きゅっ、と胸の前に持ち上げた一輪のチューリップを掴む。)「ヘリオスさんは、わたしの理想の騎士様で、理想の男性です、これからもずっと。好き、大好きです、ヘリオスさん。わたし、ヘリオスさんの事が大好き」(何とか纏めていた筈の言葉は、いざ面と向かうとどこかへ飛んでいってしまったみたいだった。それでも、伝えたい事は堰を切ったかのように溢れ出てきた。一歩近づくと、両手でチューリップを彼に差し出し、目を閉じた。)「わたし、ずっとヘリオスさんの事を一生、支えていたいです。だから⋯⋯わたしとずっと一緒にいてください。ヘリオスさん、大好き⋯」(稚拙かもしれないが彼女なりに精一杯想いを伝えると、受け取って下さいと祈った。 (3/31 23:33:43)
大和守.袋の男 > (名を呼ばれ、ソイツはただ黙って貴女を見つめる。手に持った桃色のチューリップは貴女に柔らかく映えて、まるで貴女もその花々の一つの様。緊張のあまりかチューリップを握り締め紡がれていく言葉は、はっきり言って一文目以外は脳に入ってこなかった。)「……あ……ァ、?」(貴女の言葉が、『夢』という単語がその邪魔をした。何重の布に隠された記憶。その一枚目の布が、音を立てて破けた。びりびりと走る、まるで電流にも似た痛みに眉を、寄せて。)(ーー『止めてレーヴちゃん、そんな事しても楽しくないよ……猫を虐めちゃ駄目だって……』ーー『人の物を取っちゃいけないって、何度言えば分かるの!』……アタシに話し掛け、そして怒鳴る馬鹿な子供と親。アタシの楽しみを奪おうとする光景。生き物を虐げたりするのは、唯一心から楽しめる事だった。だから取り上げられるのは本当につまらないし、それがムカつくから何回でも繰り返していく。『止めて、痛い』ーーだから何? その反応が見たいからアタシは皆を虐めるの。ほら、ねぇ。貴女も楽しいでしょう。) (4/1 00:02:44)
大和守.袋の男 > (小さくて、本当に短い光景が脳裏に流れていた。それが終わったと同時、貴女の『ずっと一緒にいてください』という言葉が耳に入った。此方に差し出された花、そして愛の言葉。それを見ているとどうしようもなく虐げたくなるのは、きっと今見た記憶のせいだろう。)「ステラ、さん」(思わず貴女の名を呼んだ。でもこれ以上、この感情を押さえ付けるのはーー。)「ゲラゲラゲラゲラッ!!」(ーー無理、だった。)(するり、と幕が落ちる様にヘリオスの姿が溶け落ちる。その後には、ソイツの本来の姿が待っている。他人の『絶望』を心から望む、あまりにも醜悪なイモータルが。貴女が顔を上げる前に、花を無視して貴女の胸ぐらを掴むのだろう。)「あ~、最ッ高だったわ! 騙されてる事すら知らずに恋してたテメェの間抜け面ッ!!」(笑う。何処までも醜悪に、残虐に、極悪に。)「絶望した?」(貴女の見ていた理想が崩れ落ちて。)「なァ、餓鬼」(貴女の幸せ全てを拐っていって。)「ーーーー絶望しろ」(ソイツは、『絶望』を好む。) (4/1 00:02:47)
シロー/ステラ > (返事を待つ時間はやけに長く感じられた。抱きしめてくれるかな、好きだっていってくれるかな。お花受け取って、なんて言ってくれるだろう。もしかしたらキスとか───。目を閉じていると、ドキドキと自分の鼓動がさらに大きく聞こえてくる。我慢出来ずに視線を下げたまま薄目を開けてしまうと、そこには彼の足だけが映っていた。『ステラ、さん』⋯⋯あっ。わたしの字。急いで目を閉じたけれど、次の瞬間、私の体は衝撃と共に僅かに持ち上げられた。)「あっ、あ⋯う⋯いやぁっ!!え⋯⋯ヘリオスさん助けてっ!いや!!」(目を開ければそこには、白い布を被った知らない何かがいた。胸倉を掴まれているのだと理解した時には、頭が真っ白になっていた。握っていた花をつい取り落としてしまって、拾うことも出来ずにじたばたと手足を動かして、ヘリオスへと助けを求めたが。どこにもいない。そんな筈はないと信じたかったが、続いたこの化け物の言葉はすうっと腑に落ちて、それが真実なのだと否応なしに理解させられた。)「騙され⋯⋯わたし⋯⋯ヘ、ヘリオス⋯⋯さん⋯⋯」 (4/1 00:28:57)
シロー/ステラ > (じゃあ、ヘリオスさんは最初から。そう考えた時。自分はこれからどうなるのか、殺されるのか、そんな恐怖よりも、今までの時間が、ヘリオスさんとの時間全てが嘘だったという現実が深く胸に突き刺さった。)「う、う⋯⋯っ、そんなぁっ⋯、ヘリオスさんは、ヘリオスさんのこと、わたし⋯⋯す、好きだったのに⋯⋯っ!ずっと、夢で⋯⋯大好き⋯⋯ヘリオスさん、そんなの⋯⋯酷いよ⋯っ!う、うわぁああっ!!うう⋯⋯っ」(じたばたと抵抗していた時の力は何処かに消えてしまって、胸倉を掴まれたまま両手の袖で何度も瞳を擦って、ぼろぼろと涙を流しながら泣き喚いた。)「う、ううっ⋯⋯うわぁぁっ!!!⋯⋯うわあああっ⋯⋯!!!」(目の前の化け物の言葉などもう耳にも入っておらず、嗚咽だけを繰り返して、何度もしゃくり上げる。過ごした時間は短くてもステラにとって、ヘリオスはかけがえの無い存在で。夢にまでみた理想の騎士様で、幸せの絶頂に居た故の喪失感だけが胸中を支配していた。何処か子供らしく大きな声で泣きながら、目の前の化け物に訴えかけた。) (4/1 00:29:19)
シロー/ステラ > 「ヘリオスさん⋯⋯っわたし、ヘリオスさんのこと大好き⋯だから、わたしは⋯⋯フローラ、真名も教えるから⋯⋯わたしとずっと一緒に、ヘリオスさんで居てください、お願いします⋯⋯お願い、ヘリオスさんが大好き、わたしぃっ!!うああ⋯⋯っ、うう⋯⋯ぅ」 (4/1 00:29:23)
大和守.袋の男 > (……嗚呼、嗚呼、そう!! そんな反応をアタシはずっと待ち望んでいた。絶望に、これまでの幸福が失われる事に、その全てに泣き喚く【子供】の姿を! これまでに無い程の興奮が背を駆け上がり、ぞくぞくとした感覚が全身を包んだ。堪らなく、"カイカン"だ。)「ゲラゲラゲラゲラッ!! 全くテメェも可哀想で哀れで救われねェなァ!! 偽りなんかにーーッ……」(笑い、嘲笑を浮かべ貴女の反応を心から悦んでいた。この上ない、歓喜。この上ない、カイカン。間違いなく最高級であるそれらに、ソイツは機嫌を良くしていく。だが、上手く言葉にならない言葉の中に潜んだナイフが、再び布を掻き切った。二枚目の布が、はらりと落ちる。)(ーー『君の信仰は、随分と……悪趣味なんだね』ーー『ふざけてんじゃねぇぞ! 何だあの戦い方は!』……馬鹿みたい。アタシの信仰はね、何よりも素晴らしいのよ。背後から攻撃なんて、あんな攻撃だってとってもイイじゃない。嗚呼、ムカつく……『やだ、こわい、何、するの……?』。だから、ああしたんだ。アタシの信仰を素晴らしいモノだと広める為に。思い出した、アタシの生前の字はーー殺人鬼として二つ目に付けたのは……"ブギー"。) (4/1 00:54:16)
大和守.袋の男 > (少しずつ思い出す記憶。また意識は彼方へ飛んでいた様で、気が付けば貴女は『ヘリオス』を望んでいた。そんなモノを望んだ所で、またそれが失われた時の絶望は計り知れないモノだというのに。それでも幸せを望むのは、やはり子供だと。幼いなと思う他なかった。)「餓鬼ね、本当に……ッ!! 十分に蔑む事もしないし、それが真実じゃないって分かってても求めて……あァ、涙ぐましい健気な現実逃避ね…………あっ」(ペラペラと貴女に対してどうでもいい言葉ばかりを並べていたものの、パッと胸ぐらを掴んでいた手を離した。何を思い付いたのか、貴女と視線を合わせーー。)「……これで良いかな。フローラ。大丈夫。私はずっと此処に居るとも。私は君を愛して……」(なんて、一瞬にして『ヘリオス』の姿に己の姿を変化させては真名を呼んだ。先程言った事など全て嘘なのだと、そう表す様に言葉を紡いでいく。愛の言葉を口にしつつ、そのままするりと貴女の頭を撫でる様に手を這わせて……。) (4/1 01:08:37)
大和守.袋の男 > 「…………る訳ねェだろ、ばァか」(姿は『ヘリオス』のまま。本来ならば絶対に言わないであろう単語さえも口にして。……そして、貴女の髪へ滑らせた腕を変化させる。それは刀となって、貴女を貫こうとする。背から腹まで、貫通する様にと。勢いよく、一切の慈悲なく振り落とされるのだった。) (4/1 01:08:43)
シロー/ステラ > 「ヘリオスさん⋯っ!ヘリオスさんッ!ヘリオスさんがいい、わたし、ヘリオスさんが居ればいい⋯⋯っ」(目の前の化け物にどんな風に罵倒されようとも、その言葉も姿形も、視界には入っていながらステラの真相意識は認識する事を拒む。ステラにとってヘリオスという男の存在は何よりも大きなものになっていた。幼さ故のものと思えば少しは仕方がないと言えるのかもしれないが、ステラには一度は叶ったであろう夢と理想を手放さなければならないという事実は重すぎた。胸ぐらを掴む腕が離され、そのまま重力に従ってステラの体が下がる。足には満足な力は込められず、そのままがくんと膝を折って地面に崩れ落ちると、顔を上げて涙でぐしゃぐしゃになった表情のまま、ヘリオスの腰へと手を伸ばすだろう。)「あ⋯ヘリオスさんっ!ヘリオスさん、大好き、わたし、ヘリオスさんが好き、ずっと一緒に居たい⋯⋯」(頭を撫でられると、そのまま腰に手を回して抱きしめようとした。) (4/1 20:27:19)
シロー/ステラ > 「⋯⋯あ、う゛⋯⋯⋯い⋯⋯げほ゛っ⋯!⋯⋯へ、りおす、さん⋯⋯」(じわ、と胸が熱くなる。確かめようと視線を下げることは出来ず、力が抜けてヘリオスの腰にしなだれかかる。腰辺りに顎を乗せて彼を下から見上げる様な体勢になると、苦しそうな表情で貫かれた事など目もくれず、ヘリオスの腰に抱きついた。)「わ、たし⋯⋯ヘリオスさんに会えて⋯⋯夢みたいに幸せだったから、だから⋯⋯好きだから、お願いします⋯⋯ずっと一緒に⋯⋯」(腹部の内蔵と血管が傷付けられた事で、食道を通って血液が喉をせり上がる。何度も噎せてヘリオスの服を口から溢れ出た血で汚しながら、ありったけの力でヘリオスの服を掴んだ。)「何でも⋯⋯良いです、ヘリオスさんがイモータルでも⋯⋯それでも、わたしは良いです、愛してます、からぁっ⋯⋯!⋯⋯お願い、ヘリオスさんのこと、教えてください⋯⋯何を言われても、愛します、だから⋯⋯、信じて⋯⋯」(これまでどんな事をしてきたのだとしても、ヘリオスさんの事を愛するから、理想の騎士様でいて欲しい。手離したくない。その一心で縋った。 (4/1 20:27:21)
大和守/袋の男 > 「……あァ? ハッ、まだンな事言って」(傷付いても、致命傷と為る一撃を食らっても尚『ヘリオス』という男をただ求める哀れな貴女の姿を見ては鼻で嗤ってやろうとするも。またもや、その言葉は途中で止まる。強制的に止められる。──三枚目の布が、剥がれた。そろそろ、その本質が見えつつあった。)(『ッははははは、ッ!! 私を殺そうって? ンな事が出来る訳ないでしょうがこの雑魚がよ!!』これはアタシだった。服装からして……恐らく騎士団の者だろうと分かる、その男と対峙するアタシ。『この命を失う事になろうと貴様を此処で斬らせて貰う。ウェンディア聖騎士団、騎士が一人。字を、"ヘリオス"。……推して参る』。金色の髪に、赤い瞳。それは、まるで、今のアタシの姿みたい。否、違う。みたい、じゃない。嗚呼──そうだ。ヘリオスという男は、確かに居た。確かに居たけれど、そうだ。嗚呼─────もう、ソイツはとっくに死んでるんだよ。──アタシが、殺したんだ。) (4/1 20:56:11)
大和守/袋の男 > 「─────じゃあ教えてやろうじゃあねェかッ!!」(再び意識が戻った時には、縋る貴女が居た。そんな貴女を無理矢理引き剥がして、『ヘリオス』の姿を取り払う。布を纏った姿で、貴女を見下ろした。救いなど一切無いと切り捨ててやる。その先にある『絶望』を何より望むから。何よりも尊んでいるから。)「──あのなァ……『ヘリオス』なんて男は、居ねぇんだよ! アタシが、この『ブギー』様が!! この手で殺してやったんだよッ!! ──ッはははははッ!!!」(笑う。嗤う。 呵う。哂う。何処までも絶望に堕ちろと笑って、笑う。)「だからなァ、テメーが愛した『ヘリオス』なんて男は幻想に過ぎねェ」(顔をずいと近付けた。邪悪で醜悪な笑みを浮かべて、貴女を嘲笑うのだ。『愛』なんてモノを全て切り捨てるように。) (4/1 20:56:21)
大和守/袋の男 > 「お前を愛した男なんて存在しない」(なぁ。真実を、本当の事を知って。)「お前を愛する奴なんて────居ないんだよ」(──『絶望した?』) (4/1 20:56:24)
シロー/ステラ > 「⋯⋯う、う゛⋯⋯っ」(引き剥がされると同時に、腹部に感じていた異物感が消え去って、地面へと勢い良く仰向けに倒れ込んだ。勢い良く腹部から流れ出て自らを中心に広がった、血液のぬめりを感じながら、腹の方から体が冷えていく。ヘリオスさんの姿は気づけばなくなっており、そこに居たのはやはりあの化け物だった。最早ぽっかりと空いた腹部の風穴は熱いのか寒いのか。少なくとも手足は寒い気がして、動かそうとすれば痙攣するように震えるのが分かった。)「⋯⋯ヘリ⋯⋯オス⋯⋯さん⋯⋯」(ぼやけた視界で輪郭だけを捉え、焦点の合わない瞳で彼を見つめた。瞼までも激しく瞬きさせて、静かに涙が頬を伝って、血溜まりに落ちた。)「⋯⋯⋯酷⋯い⋯⋯い⋯⋯や⋯⋯。⋯⋯────」(ああ、わたし、死んじゃうのかな。意識が朦朧としていく中でそう思った。死を間近に感じても、ヘリオスを失った喪失感の方が大きくて、寂しかった。一人で死ぬなんて、いや⋯⋯。そう思っても、もう喋る気力も残っておらず。唇を震わせるように動かして、喉を鳴らすことしか出来なかった。) (4/1 21:56:38)
シロー/ステラ > 「─────」(『い や』。魔術師としての尊厳すら失った事に気付くと、泣き出そうとして表情を歪ませながら、口の中から血と共に泡を吹いた。 (4/1 21:56:40)
大和守.袋の男 > (そうだ、そう。もっと、もっと絶望して、哀れで惨めで儚い肉塊になれば良い。近付いてくる『死』を拒め。そして恐れろ。その哀愁を誘う姿こそが、心から欲し望むモノだった。)「ッ、はははッ、……可哀想ッ!! 本ッ当に哀れで惨め……救われねぇなァ、そこが最高なんだがなッ!! あ~、でも……そうだなァ」(恍惚とした笑みすら浮かべて貴女を眺める。死へゆっくりと近付いていく貴女を、心の底から悦んで。そんな愉悦に浸る脳味噌を、一つの『物足りなさ』とでも呼ぶべき思いが邪魔をする。笑みは消え失せて、けれどそれを解消する為の更なる『絶望』を与えるにはどうしようかと思考しーー。)「あッはァ……ッ!!」(答えは直ぐに出た。元より貴女の『絶望』を見たお陰で狂喜の中に沈んだ脳だ。今までで一番と言って良い程の思考の巡りを見せ、そして血の海に沈む貴女の前で、ソイツは。) (4/1 22:24:15)
大和守.袋の男 > 「フローラさん」(ソイツは姿を変えた。再び、『ヘリオス』となれば貴女の耳元で貴女の名を囁いた。確か人間が最後まで残る五感は『聴覚』……だった筈だ。だからきっと聞こえるでしょう。魔術師としての尊厳すら、何もかも奪われた身の貴女にも。束の間の幸福を差し上げましょう。)「……ねぇ、フローラさん」「最期にお伝えしたい事があるんです。どうか、聞いてください」(前置きを、一つ。……聞け、この言葉を。)「私は、フローラさんの事が大好きです。大丈夫、最後まで私はずっと一緒に居ますから。……愛していますよ」(この魔術を。)「……なーんて、はははッ………………嘘ですよ」(紡がれたモノを。)「貴女の事なんてーーーー大ッ嫌いです。フローラさんの事なんて、愛してる訳ないじゃないですか。さぁ、さっさと逝ったらどうですか? あははッ」(ーー『絶望』を。)(幸福だなんて、希望だなんてやるものか。絶望に堕とす為の幸福ならば…………幾らでも差し上げますが。) (4/1 22:24:19)
シロー/ステラ > 「⋯⋯っ!ご、ほッ!!!!⋯⋯⋯⋯」(せり上がる血液に何度もむせ返り、口の周りを真っ赤に染めながら、朧気にだが聞こえる高笑いに反応して、苦しげな表情を向けていた。しかしだがそれも最後の気力であって、段々と苦しげな表情は抜け落ちていき。確りと彼に向いていた瞳孔が制御を失って揺れ始めた。最早何も考えられず、意識を手放そうとしたステラだったが、やけにクリアな声で自らの真名を呼ぶ声にはっ、と息を吹き返したかのように瞳を僅かに見開いた。)「⋯⋯さ⋯⋯」(泡を吹きながら何とか、声にならない声を上げて、もう人影しか捉えることの出来ない視界で何とかヘリオスを感じようとした。)「⋯⋯リオ⋯⋯さ⋯⋯────────⋯き⋯⋯あ、い⋯⋯し⋯⋯」 (4/1 22:42:03)
シロー/ステラ > (魔力の一つ宿らない、喉が震える音を短く発した。指先のひとつ動かないけれど、確かにヘリオスの声だけが聞こえて。既にまともな思考回路を持ち合わせていないなりに、縋る。 そしてそのまま、涙をぽろりと流した。)「──⋯⋯⋯⋯⋯」(ヘリオスの声がステラの意識を繋いでいたのか、もう口すらも動くことはなく。まるで言霊の魔力に従うように、もしくは逝け、と言われて糸が切れたかのように、ゆっくりと上へ、上へ、と瞳孔だけが動いていき、目尻に涙を溜めたまま、息絶えた。虚ろな表情だけをその場に残して動きを止めた。) (4/1 22:42:05)
大和守.袋の男 > 「は……ははははッ!! ゲラゲラゲラゲラゲラゲラッ!!」(愉悦。恍惚。狂喜。狂気。既にその儚い命は救えない悪意によって吹き消された。その最期には何を思ったのだろう。その最期には何を願ったのだろう。それが『絶望』である事を切に願い、命を無くした骸には興味の欠片も無いのか広場から去るべく足を動かした。こつん、と足先に触れたのは貴女の持参した籠。軽い衝撃で中身は柔い守りの中から転げ、土や砂に彩られる。白の菫。そして花と同色をした生地の中に挟まれた瑞々しい野菜。貴女が態々時間を割き、手間を掛けて作られた努力の結晶。意地汚く愉悦を浮かべては、爪先で結晶に力を込め粉々に割ってやるのだ。そのお陰で暗く色付き秩序の乱れた中身に見向きもせず、ただ最後まで貴女の尊厳を、全てを己の手で汚し壊す事に意識を向けていた。確かもう一つ貴女の持っていた物があった筈だ。己に向けた愚かな想い。一体何処に行ったのか視線を揺らしていれば。唸りと共に幾分か鋭い風が吹く。隠れる様にして潜んでいた桃の鬱金香は流れに乗り舞う。存在を示した桃は、触れれば侵食しようとする棘の備わった蔦に絡め取られ、紙を丸めるかの様に容易く摘まれた。) (4/2 00:04:46)
大和守.袋の男 > (ーーもしもこれが、この『悪』に心を奪われた少女の果てとして定められていたのであれば。何と素晴らしい展開で、好みの天命なのだろうか。顔の大半を覆っていた麻袋を、何事も無かった様に戻った指先で引き千切る様に取り去った。未だ『悪』の本質は布に隠されたまま。けれど今と然して大差無いのであろう生前を思えば、このまま化物として命を狙われるのだって『イイ』と思える。否、元よりそれを嫌悪していた訳ではない。寧ろ忌み嫌われる事こそ光栄。それこそが己の栄光。『悪』となる事こそが、己の使命。否、否。理由なんて何でも付けられる。だってさ、ブギー。)(ーーそれが、『夢』だったんだろ?)「馬鹿らしい」(こんな事を考えるのすら馬鹿らしい。かつてーー否、今も信仰している『化物』達を思えばこの想いは熱くなる。それは炎の様に。それとも地獄に燃え盛る業火の様に? 何処までも信じ、崇め、信仰しているモノに為りたいと願った。側へ在る事を願っていた。『狂信者』。表すならば其れが最適解。だってーーーーーー『人間』じゃ、『化物』にはなれないんだもの。) (4/2 00:04:49)
大和守.袋の男 > (無数の星だって何時かは無くなってしまう。数多の花だって何時か枯れていく。貴女の最後を、『夢』の果てを紅と紫に焼き付けた。風に吹かれ、貴女に寄り添う様に白の菫は咲いていた。)【乙女の死】〆 (4/2 00:04:52)