ノービア&アシュトン
人違い大和守/ノービア > (血濡れの花嫁は『花婿』を探している。花嫁はたった一人の男を探している。女はーー己を殺した男を、探している。)(すっかり辺りは暗くなってしまい、街灯の光と淡い月光とが闇を照らす灯火となっている。そんな中、血濡れの花嫁は歩いている。すっかり人の気配も少なくなってしまった大通りを、ぺたぺたと足音だけを響かせながら。居ない。今や憎き仇と化した『花婿』は何時まで経っても見つけられなくて、それでも業火は静まらず。衝動に突き動かされる様にして小道に差し掛かる角を曲がった時、ノービアは見つけた。)「…………ぁ……あ、」(想いが溢れた。上手く言葉にする事すら出来ず堕ちた。最初に出会った時とは比べるまでもない、激情に飲まれた表情を浮かべて。)「あなた……あんた、あぁ……」(そこに恍惚とした表情などありはしない。ゆっくり、ゆっくりと銀髪を揺らしながら近付く。人違いだという事も、勘違いをしている事も、何もノービアは知らない。ただ、激情を。殺意を向けられるのが、事故ではあるが問いに頷いてしまった貴方しか居ないから。だから。)「……絶対、絶対、……ッ」(許さない。) (3/30 22:09:38)
マリア/アシュトン > 「……ハァー、やっと一人になれた……」(花祭りの喧騒から逃れて裏路地に来たアシュトンは、壁に凭れてそう呟いた。特別一人が好きという質でもないけれど、お祭り騒ぎも連日となれば人並みに疲れる。サムズアップヤミーもピッツェリアアズーロもここ最近は忙しそうだし、花祭りで買ったハンバーガーを手に持ち、立ったままたべてしまおうと包み紙を開けた。)「……ん?」(不意に現れた人影に目を向けると、アシュトンはハンバーガーと取りこぼした。服にケチャップがつき、べちゃりと音を立ててハンバーガーだったものが地面に散らばる。それは、もう会う事はないだろうと思っていたイモータルの姿だった。)「……やっ……べー」(護身用の銃くらい持っていけと整備士仲間に言われて持ってはきているが、絶体絶命には変わりない。アシュトンはトマトを踏みつけ、じりじりとあなたから距離を取るように後退する。) (3/30 22:22:12)
大和守/ノービア > 「……ふふ、ふふっ。……逃げても、無駄よ……。…………絶対、……絶対に、逃がさないから」(確かな殺意を、敵意を、そして憎悪を込めて距離を取ろうとする貴方を鋭く睨み付けた。……此処で、絶対にこの恨みを晴らしてやる。長い銀髪はノービアの感情に呼応して、まるで生き物の様にゆらりと蠢いた。瞳を大きく見開いて、まるで見つめていれば同じ様に狂いそうな程に明確な狂気の宿った闇を向ける。そして、此処で貴方を殺してやるとの意味を込めた言葉を宣言して。それまでは蠢くだけだった髪は限界など知らぬ様に長く長く、そして勢いよく伸び続け。自在に己の髪を伸ばし操れるノービアの前で、距離など幾らとっても全く意味がない。まるで刃物の様に鋭く尖った先端を幾つも貴方に向けて、そしてそのまま体を刺し貫こうと襲い掛かるのだった。) (3/30 22:38:52)
マリア/アシュトン > (前に一度見た、蠢く長髪がアシュトンを襲った。咄嗟に身を守ることも叶わずに、体の至るところへ突き刺さる。)「……っう、あ゛……!」(崩れ落ちながら地面に手を付いた。)「……あなたは……前にも、会いましたね。……不死ってのはホントなんだな……」(血で濡れた手で携帯していた銃を取り出し、地面に尻もちをついたまま銃口をあなたに向ける。)「……逃してくれっていっても聞かないし、ぼくはあんたの花婿じゃないって言っても聞かないんでしょうね。……げほっ。……ぼくを殺して、そしたら満足ですか?……もう、誰も殺しませんか?」 (4/2 22:48:50)
大和守/ノービア > 「……そりゃあ、当たり前でしょう。そんな言葉嘘に決まってる、私から逃げる為の……そうに決まってるもの」(血に濡れ、地に落ちた貴方を冷たく見下ろした。そう、きっとそうに決まってる。だってそうじゃなきゃ、『花婿じゃない』なんて言わないだろうし、逃げようともしない筈、なんて。貴方が本当に関係が無くて、逃げようとするのも当然の反応だなんて思考は残念ながら頭から抜け落ちてしまっていた。)「私……私は、殺した事なんて無い、わ。……殺すのは……貴方を、『花婿』を殺すんだって、そう決めていたんだもの! だから、えぇ、そうよ。私の為に……さっさと、死んで頂戴ッ!!」(殺す最初で最後の人は、『花婿』だけだと決めていた。『花婿』さえ殺せればそれで良いから、それだけで十分だから。話していく内に高まっていく感情のまま、再び髪が蠢いた。一つに纏まり、人の腕よりも太くなった一本の刃が貴方の腹部目掛けて振り落とされる。) (4/2 23:07:13)
マリア/アシュトン > (あなたの言葉を聞き、自分は死ぬのだと悟った。最期にどうするのが正解かもわからずに、脳裏をよぎるのは工房においてきた機械達。死にたくないと思いながらも、既に抗う術もなかった。)「……ッ……」(太い刃を突き立てられて口から血を吐き、アシュトンは銃を取り落した。かつん、かつん……路地裏に音が響く。服や地面を汚す赤いものが、もはやトマトなのか血なのかすらもわからなくなっていた。)「……あぁ……」(目から光が失われ、ゆっくりと、けれど急速に命が絶えていく。)「ディランさん……ハンスさん……約束守れなくて……ごめんよ……」 (4/2 23:23:11)
大和守/ノービア > 「…………」(貴方の命が失われていくのを、ノービアはただ見ていた。見つめるだけだった。これでもまだ動く様なら追撃を食らわせていたし、その体に更に穴を開ける事になっていたのは間違いなかった、けれど。数秒、否、数分だろうか。何も動きを見せず、ただ物言わぬ骸として出来上がったのを確認すれば。ノービアはその場から立ち去っていく。これ以上貴方に関わる事も、関わろうとする事もない。憎き『花婿』は死んだのだと分かっていても、殺したのだと自覚していても。それでも、何か胸に凝りの様なモノが残っている事に溜め息を一つ。それでも、もう居ない。憎い相手は、居なくなったーーその、筈なのだから。それが勝手な思い違いで、殺すべき相手を見誤っている事にすらノービアは一切気付いていなかった。殺したのは全く無関係な一般人で。今この瞬間から、絶対に滅ぼさなければいけない化物となった事になど。何も、何も、知らなかった。)【人違い】〆 (4/2 23:46:30)