ノービア

花嫁の嘆き

大和守/ノービア > 「どうして……どうして……どうして、なんで……どうしてなの……ああ……」(頭部が西瓜を割ったかの様に大きく破裂していても、花嫁は尚呻いていた。そんな痛みよりも心の痛みの方が勝っていて、苦しくて辛くて。最初は目すら機能せず延々と暗闇をさ迷っていたが、段々と戻ってきているのだろう。何時の間にやら、仄かに光る月を見上げていた。花嫁の髪は月光の様で、けれども血に濡れ頭部を内側から撃ち抜かれた今の姿は何よりも醜くて。)「私はあなたを殺したかっただけなのに……それだけなのにどうして……あなたは私を拒むの……あなた……」(それを行った人物の事を思い出すと、何よりも心が傷んだ。『花婿』なのかと問うて、それであなたは肯定した筈なのに。拒まれた、武力によって言葉によって全てを拒まれた。それを思うと流れる血を薄める様にして涙が溢れ落ちる。縋る様にして名を呼ぼうとした時、一瞬言葉に詰まる。破壊された脳でぼんやりと記憶を漁って──そうだ、確か『花婿』の、あなたの名前は────)   (3/22 17:00:18)
大和守/ノービア > 「……アシュトン……あなた……あぁ……名前は……そう、そうだったわ」(花嫁と『花婿』の間を邪魔しに来たあの男が呼んでいた名を思い出した。これよりその名は、花嫁にとって何よりも愛しくそして殺したい名となるのだ。あなたが誰を好いているだとか、そんな事は花嫁にとって関係なかった。そんな想いすらも【死】によって裂いてしまえば良い。万人に訪れる、無慈悲な【死】によって分かってしまえば良いのだ。そう……そうだ。そう思ってしまえば涙は止まっていた。)「ふふ……ふふふっ、アシュトン……アシュトン。アシュトン、アシュトンアシュトン……そう、そうね……きっとあなたは、私があなたの名前を呼ばなかったから……それで怒っちゃったのよね」(ただ、あなたの名前を何度も口にする。それが検討違いなのだとしても、花嫁には関係なかった。それが花嫁にとっての真実なのだから。)「安心して下さいね、アシュトン」(花嫁は恍惚と笑みを浮かべた。凄惨たる殺意と憎悪と怒りとを滲ませながら、囁いた。『花婿』に、あなたへ届きます様にと。)   (3/22 17:00:26)
大和守/ノービア > 「絶対に見つけて────殺してあげます。私の『花婿』様……」【花嫁の嘆き】〆   (3/22 17:00:29)