ステラ&雷鏡

ひとつの終幕

シロー/ステラ > (ウェンディア王国、王都。シュクロズアリ旅団の魔術師と、王国の騎士団長と副団長が一騎討ちをして敗北───王都陥落というよりは、実質的な王国の敗戦の報を耳にしてからというもの。狂い水の特効薬が完成して病み上がりではあるものの、司祭であるステラは死傷者の治療などで休む暇は殆ど無かった。更に追い討ちを掛けるように連日、イモータルに襲われたという民間人や魔術師の負傷者達の治療もあり、騎士団、王国の敗北という現実を受け止めるのに精一杯だったステラの精神は日に日に摩耗していた。ステラが特別忙しいというよりかは、単に彼女はまだ精神が幼すぎた。)「⋯⋯うう⋯」(昼下がり、騎士団本部を取り囲む壁に凭れるようにしてしゃがみ込んでいたステラは、少し跳ねた金髪を揺らして何度目かも分からないため息を吐いた。休息の時間だが、これからどうなるのだろう、という不安で胸がいっぱいで、一向に心が休まることは無かった。)「騎士様が⋯⋯負け⋯」   (3/19 22:57:18)


グレー/雷鏡 ◆ > ふぅ……いつ流しに行くか……(と、俺は兄の遺灰の入った袋を見ながらため息を着く。一応、場所は何となく決めているが、どうやら神島をイモータルが占拠しているらしく、行くに行けない状況が続いているからだ。)って、おい!どうしたんだ!(と、俺は騎士団本部の壁にもたれ掛かる一人の少女を見かけて声をかけようか……)   (3/19 23:03:59)


シロー/ステラ > (大きな声で呼び掛けられると、ゆっくりと桃色の瞳を上げて雷鏡を見上げた。あぁ、どこかで会ったなあ。記憶を探ればすぐに名前は出てくる。忘れるには些か印象の強い相手だったから。)「雷鏡さん⋯どうしたって⋯ああっ、休憩ですよ。わたしは司祭だから、騎士様や王都の人達を治療するのが仕事ですのでっ」(務めて穏やかに、僅かに眉を八の字に困らせながら笑いかけたが、すぐに表情は落ち込んだ。一度視線を石畳に下げてから、しゃがんでいた目の前の膝先をきゅっと引き合わせてもう一度顔を上げ、じっと雷鏡を無言で見つめてから口を開いた。)「⋯⋯何だか雷鏡さんは変わりませんね。不安じゃないですか?⋯⋯わたしは不安です。王国が⋯⋯騎士様が負けてしまったなんて、まだ信じられません⋯⋯」(ステラにとっては強い憧れの対象であった騎士達の集まりである騎士団、ましてや騎士団を擁するウェンディア王国が敗北した事は、ステラには酷く非現実的な話だったらしい。   (3/19 23:14:07)


グレー/雷鏡 ◆ > 不安か?いや、そうでも無いな。俺は庶民のひとりとしても生活しているが、意外とみんなトップが変わったことに実感を抱いていないらしいんだわ。まぁ、俺の場合は肝が座りすぎているというのもあるかもしれないがな。ここだけの話、イモータルと何度か戦ったことがあるが、一応全部勝ってるし。(と、俺はそう話そう。)なにせ、死の恐怖を戦場で何度も味わったからか、他の恐怖が屁でもないように感じるんだわ。とまぁ、それは置いておいて………………実はな、お前にとっては残念なお知らせがあるぜ。(と、相手に切り出そうか。)   (3/19 23:26:22)


シロー/ステラ > 「そう⋯⋯なんですか?」(本当にそうなのかな?ステラは疑問に思った。自分ですら不安に思うのだ。トップがすげ替わるなどというよりは、ただ一言、〝王国の敗戦〟。国民にとってはこの一言以上に不安を煽る言葉は無いんじゃないのかな、と思うのだった。だがそれも、続いた彼の言葉で何となく合点がいった。きっと彼にはそう見えているんだ。自分で肝が座りすぎているなんていう人なんだから、きっと、彼にはそう見えているんだ。こんな状況でも普段通りな彼の態度にも合点がいって、すこし鈍感なのかな?と一瞬失礼な事を考えつつも、雷鏡の言葉に神妙そうな顔つきで耳を傾けた。)「残念な⋯⋯お知らせ⋯⋯?⋯⋯えっと、王国の敗戦よりも⋯⋯?あっ、えっと⋯⋯」(予想外すぎた為か途中でいい淀み、膝を抱え込んで座り直すと、もう一度口を動かした)「⋯⋯なんですか⋯⋯ ?」   (3/19 23:34:21)


グレー/雷鏡 ◆ > 俺の兄貴がいるじゃんね?……あいつが……イモータルに……致命傷を負わされて……(と、俺は皆まで言わなかった。言わずとも、何を言わんとしているかは分かるだろう)ちょうど、ステラ。あんたが死の水で苦しんでいた時にだ。……俺も兄貴が逝った時は周りを一切見ず号泣したが、一通り落ち着いてから周りを見回した時にもアンタがいたからな。……多分、知らねぇだろうと思ってな。だが、そのイモータルはどうやら「嫉妬」していたらしい。……恐らく、前世の時に友達との関係をばらばらに引き裂かれた結果、死んでイモータルになっていたというらしいが……(と、俺は詳しく話していく。)   (3/19 23:39:39)


シロー/ステラ > 「あ、⋯⋯アレイス⋯⋯さんが⋯⋯?」(流石のステラも、そこまで言われて、雷鏡が言わんとしていることを理解出来ない程鈍感ではなかった。口を噤むと、雷鏡の言葉を聴きながらも俯いて、黙り込んでいた。────わたしが発症していた時に。アレイスさんがイモータルに殺された。見ないなと思っていた。でも、治療者の中にも死者の中にも居なかったから、生きていると思っていた。そういう事だったんだ。────)「そう⋯⋯だったんですか⋯⋯、い、いいです、聞きたくないですっ⋯⋯!イモータルのことは⋯⋯!」(アレイスさんを殺したイモータルの身の上話など聞きたくなかった、どうでもよかった。それよりも聞きたいのはアレイスさんの事だし、実の弟である彼がアレイスさんの話よりも先にイモータルの身の上話をしようとした事が無性に嫌で、話の続きをさせないよう、ステラにしては珍しく声を荒らげがちに止めた。悲しげな表情で雷鏡を見あげる。⋯⋯この戦いで沢山の騎士が死んでしまったからか、涙の一つ浮かばない自分が少し悲しかった。まるで、慣れたしまったみたいで。)   (3/19 23:57:03)


グレー/雷鏡 ◆ > まぁ、一応応戦はしたみたいだが……背中を滅多刺しにされていたな。恐らく、失血死と思われるが……(と、俺は弟の死因を説明する。)……まぁ、あくまでも遺体を引き取った際にこちらで鑑定させて貰った結果だから本当にそうなのかは分からんけども。でも、背中に何度も刺されたあとがあるから、多方そうだろうと見込んでいる。……大方、兄貴のことだから、「生きたい」と。「まだ死ぬ訳には。」と思って逃亡を図ったが何らかの理由でマトモに動くことが出来ずに……ということなのだろう。まぁ、実際のところは見てないから分からないからあくまでもこれは予想だ。(と、俺は最後に断っておこうか。)   (3/20 00:02:31)


シロー/ステラ > 「そうですか⋯⋯。」(実の兄がどのようにして死んだのか、詳しく話してくれる雷鏡。きっと話すのも辛いだろうに、と思えば、ステラは明るく振る舞うなんて出来そうになかった。表情を暗く落とすと、どう言葉をかけていいものか、と言葉を探しながらゆっくりと立ち上がり、制服についた汚れを軽く払った。)「雷鏡さんが一番お辛いですよね、わざわざわたしに、ありがとうございます⋯。⋯⋯礼拝堂でお祈り、してこようと思います。雷鏡さんも、お体とか気をつけて下さいね」(これ以上、雷鏡さんに無理をさせたくはなかった。親族が亡くなったとあれば、何よりも時間が必要だろう。こうやって挨拶に回ることは必要な事だとは知っていたが、対して深い仲になれた訳でもない自分のために、時間を使わせるのは申し訳ない。体の前で手を合わせると小さく頭を下げてお礼をして、そのまま礼拝堂に向かっていこうとするだろう。   (3/20 16:39:45)