ディラン&アシュトン

ニュートラル・ギア

シロー/ディラン > (周囲を取り巻く色々なものが変わっても、身に染み付いた日課、ルーティーンというものを無意識のうちになぞってしまう。昼を過ぎると、本部を出てそのまま突き当たりのセグレートで昼食を買う。ただ一つ変わった所と言えば、カツサンドが重くて、野菜のサンドを買った所くらいだろうか。紙に包まれたサンドイッチに齧り付きながら、徒歩で本部へと帰っていく。特効薬が見つかった事と、シュクロズアリ旅団が王都へと攻め込んで来ているという報告でざわざわと騒がしい場所を避けて、工房の奥へ向かおうと鉄製の重い扉をゆっくりと開けた。)「⋯⋯ああ、アシュトン。一人かあ⋯」   (3/13 17:33:23)
シロー/ディラン > (工房の奥、オイルの一斗缶に座っている人影に気付くと、気の抜けた様な挨拶をして。そそくさとゴミ箱の蓋を開け、食べ終わったサンドイッチの包み紙を捨てた。⋯⋯よくもまあ、こんな油と埃臭い場所でいつも食事をするな、なんて思うが最早いつものこと。黙々とパスタをすする彼に話し掛けようかと逡巡している様子を、分かりやすく何度も体重の掛け方を変える足や、髪を掻く手が如実に表していた。⋯⋯今頃、騎士団長達は戦っているのだろうか。⋯⋯機械騎士達は⋯⋯。⋯⋯自分の気が済むまで一人で考えることも、アシュトンの前では出来そうになかった。ちらちら、と当たりを見渡すと、適当な工具箱を運んで来て彼の斜め前へと腰を下ろした。)「⋯⋯アシュトン、狂い水の薬が出来たんだってさ。⋯⋯それと、シュクロズアリ旅団が攻めてきてるらしいよ。」(ぼそり、と呟いては、立てた膝に両腕を置いてアシュトンの座る一斗缶へと視線を向ける。視線を固定したまま、陰鬱とした雰囲気で独り言のように吐いた。)「⋯⋯騎士達は凄いよな⋯」   (3/13 17:33:25)


マリア/アシュトン > (声を掛けられたアシュトンは頬をむぐむぐと動かしながらディランのほうを向くが、それを飲み込んでしまうまで声を発せない。やっと飲み込んだ頃にはタイミングを逸して返事をしようと思っていたことなど忘れ、落ち着かない様子のディラン見つめながら手元を見ずにフォークをくるくるを回した。もう一口大きく頬張り、あ、しまった。また喋れないじゃないか。と上を向いた。さすがに気まずいと思ったのか工具箱に腰を下ろしたディランの話すことは、『今知ったんすか?』と言いたくなるような周知の時事。最後の晩餐になるかもしれないスパゲティを名残惜しげに飲み込んで、フォークを回しながら口を開いた。)   (3/13 17:53:01)
マリア/アシュトン > 「そうっすね。ディランさんは逃げなくていいんすか?」(王都が戦火に巻き込まれた事を知り、荷物を纏めはじめた同胞も少なくない。メカニックは騎士団所属とはいえ、騎士団長と機械技師の言うことならば機械技師の言う事を聞く者が多いであろうという事からか、独立こそしていないものの、生殺与奪権を太陽の令閨に握らせようという者ばかりではないようだ。)「もし団長と副団長がだめなら、ぼくらが束になってもだめでしょうね。逃げるなら今のうちかと思いますけど。」(ぼそりと呟いた一言はとくに追求しない。この先輩整備士が騎士達や魔術師に対して何らかのコンプレックスを持っているらしいということは普段の言動からも滲み出ている為、薄々そうなんじゃないかなあとは思っていたが、まさか自分に何かを求めているとも思わなかったからだ。)「行くあてもないでしょうけど……旅団にぼくらのかわいいかわいい機械技術を蹂躙されるよか、持てるもん持ってったほうがマシって……だれだっけな。言ってましたよ。」   (3/13 17:53:10)


シロー/ディラン > 「逃げ⋯⋯⋯⋯、いや⋯⋯」(アシュトンの下手な敬語が自分の胸に深く食い込んだ。逃げられるものなら逃げてしまいたい、確かにそういう気持ちは未熟なディランにも存在した。それでも、どうしても騎士や機械騎士を置いて自分だけ逃げるような真似は出来なかった。ディランが実際に戦火に巻き込まれ、重症を負っていたのなら、もしかしたら逃げていたのかもしれないが、言ってしまえばまだ痛い目を見ていないから、逃げたくないというものにも近かった。口を噤むと、さらに続いたアシュトンの言葉にますます視線を下げて、すっかり項垂れた。)「そうかも⋯しれないけど⋯⋯。⋯⋯⋯⋯なぁ、アシュトン⋯⋯」   (3/13 18:30:55)
シロー/ディラン > (近頃の出来事が次々と頭を過って、額に指を組んだ手を乗せて足元を見ながら、先程の呟きに既に辟易としているアシュトンの事も知らずに、益々陰鬱な雰囲気を纏わせて名を呼んだ。)「⋯⋯⋯⋯今更だけどさ⋯傷付いた機械騎士達にどんな言葉を掛けてやればいいか、検討が付かないんだ⋯⋯。兵器みたいにずっと扱われてきて、俺達が機械騎士を、戦場に送ってしまったようなものだから、何も言えないじゃないか⋯⋯」(それは、そのつもりはなくとも機械技術を否定しているようにすら聞こえる言葉だった。ディランは俯いたまま続けていった。)「それに、あの子達は戦っているのに、俺は何もしていなくて⋯⋯。俺達に出来る事って、何があるんだ⋯⋯?戦える騎士でも無ければ、彼等を死地に送ることしか出来なくてさ⋯⋯」(情けなく前髪をかき上げる様にして頭を抱えると心の底から疲弊した様子で、小さなため息と共にまた俯いた。)「逃げたくはないんだ、でも、俺に何ができるか分からない⋯⋯」   (3/13 18:30:57)


マリア/アシュトン > (放っておけばみるみるうちにどんよりとした空気で工房中を支配するのではないかと思われる眼の前の相手の様子に、さしものアシュトンも些かたじろいだ。この人、最初からこんな人だったっけ。なんかあったのか。思ってる事をすぐに口に出さずには居られないアシュトンは『なんかありました?女?』と言ってから、『あ、すいません。』と、取ってつけたように首を前に出して肩をすくめた。)「あー、えっと。カウンセリングをお望みなら等価交換でお願いしたいっす。ちょうど新作の被検体を探してたとこでね、一通り落ち着いたらでいいですけど、協力して貰えません?」(”新作”がどのようなものかはまだ明かさないまま、スパゲッティの皿を適当な箱の上に置いて話を進めた。)   (3/13 18:52:33)
マリア/アシュトン > 「で?ディランさんがまずぼくに意見を求めたいのは、機械騎士との関係についてですか?それとも、整備士が戦う方法についてですか?ぼくあんまりマルチタスクは得意じゃないんで、順を追って話しましょうよ。ぼくにとっても収穫のある話になるかもしれないし」(魔術戦争は、魔術師同士の決闘によって行われる。だから窓の外を見れば、戦争中だなんて信じられないような陽光がさしていた。今は何時頃だろうか。たぶん、14時38分といったところかな。)   (3/13 18:52:43)
マリア/アシュトン > 「こんな風におしゃべり出来るのも、今だけかもしれませんからね。しがらみは忘れて親睦会といきましょ、先輩。」   (3/13 18:53:26)


シロー/ディラン > (一つ口に出せば、ディランも気付かぬうちに抱えるものが加速していって、最早自分で制御することも不可能に近くなっていく。また一つこの場の空気を益々陰鬱な雰囲気にする言葉を発しようと震える口を開こうとした時、アシュトンの呟きがディランの顔を上げさせた。)「⋯⋯⋯⋯あ、ああ⋯⋯」(王都が攻め込まれているという状況が自分をそうさせたのか、それとも溜め込んでいたものを初めて人に吐き出したからか、アシュトンの気の抜けた言葉に豆鉄砲を喰らった鳩の様にぽかんとした表情を浮かべると、気の抜けた返事を返してしまった。新作の被検体がどのようなものか、普段なら話を聞いてから断るのがオチだったが、自分とは正反対にこの状況でも自分のペースを乱さないその雰囲気に呑まれて、思考がすう、と冷えていった。半人前とはいえ、きっと魔術師らしからぬ乱雑に組み立てた言葉ばかり並べていたのだろうと思えば、バツの悪そうに組んでいた指先を一つずらして組み直した。)   (3/13 19:15:59)
シロー/ディラン > 「ごめん。⋯⋯戦えるものなら、戦いたい。俺に出来ることが知りたい。騎士のように戦えないのはもう分かってるけど、それなら俺達に出来ることは何か分からなくて⋯⋯」(そこまで言っておいて、答えになっていないか、と首に手を当てて視線を下げると、暫くして顔を上げてまた一つ呟いた。)「機械騎士との関係もそうだけど、今のままじゃ何も言う資格もない気がして⋯⋯だから⋯⋯うん、戦う方法が知りたい、俺に出来る事が⋯⋯」   (3/13 19:16:01)


マリア/アシュトン > 「あ、そっちからいきます?」(にや、と笑ってアシュトンは前かがみになり、膝と肘をくっつける。ディランと同じように両手を指を組むが、二人の仕草は神への祈りなんか意味してない。ぼくたちは整備士なのだ。建設的な話し合いと行こうじゃないか。)「んじゃ、そうですね。ぼくのシェルターに搭載したガトリング、あれ欠点があって。装填に手間がかかるんですよね、手動でやってるから。ディランさん、あれに自動装填をつけることはできませんかね?例えばですけど……そうだな、砲弾を並べるベルトみたいなものを作って、自旋運動をうまく使うとか。それと、その場合弾の減りが著しくなるんで、真鍮製の砲弾に代わる何かがあればもっといいです。……あれ?」(生き生きとまくし立ててから、どうも自分の思うような相槌がついてきていないような気がしてディランの顔を見る。)「ディランさん、あのー……シントへの出動要請って聞いてます……よね?」(のほほんとしたこの人の事だ。もしかして、まだ耳に入っていないのか?先走りすぎた自分を諌めるように自らの頬をぺちぺちと叩き、改めてその事について話し始めた。)   (3/13 19:53:30)
マリア/アシュトン > 「妙な影が民間人や魔術師を襲ってるって話です。騎士のソールさんやエルボさん…だっけ?が、結構致命傷だったとか……あぁそうだ、ヴィッキーさんなら解りますよね?彼女時々工房に足を運んでくれるし。彼女も遭遇してやられたそうなんですけど、とにかくそれがですね、イモータルの仕業って事で、法皇自ら討伐を命じられたんですよ。帝国を出し抜けたらシントはぼくらの領土……って、やばいっすよね、何がって法皇ですよ。変な水で頭やられちゃったのかな。特効薬を持ってくべきは法皇城っすよ、ホント。あ、関係ない話しました。すいません。」(首の後ろを欠きながら、きょろきょろとあたりを見渡した。不敬罪とかなんとか言われたらたまったもんじゃないが、幸い周りに人はいないようであった。)「ディランさんが、なんか精神的な話をしてて、根性入れて欲しいとかだったらすいません。ぼくはそういう柄じゃないし、騎士の霊性とかいうヤツもピンときてない側の人間なんでね。現実的な話させてもらいますよ。……ぼくもウェンディア人のはしくれなんで、そりゃ神様を信じてます。魔術師を機械で殺せば神罰だって怖い。でも、相手がイモータルとなりゃ話は違うっしょ。」   (3/13 19:53:37)

シロー/ディラン > (自分とは真逆の、普段通りの表情や仕草で話すアシュトンを見ていると、少しだけ平静を保てる気がした。「そうですね」と一言置いてから饒舌に話し始めたアシュトンを見つめていたが、相槌を返す余裕はなかった。シュクロズアリ旅団との戦争に向かうということなのだろうか。この王都の防衛にこそ、霊性を持つ騎士を向かわせるものだとばかり思っていたし、それに太刀打ち出来るかと聞かれたら頷ける筈もない。アシュトンは戦うつもりなのだろうか、と顔色を窺うような視線を向けていると、今度は自分の知らない情報が飛び込んできて、その有り得ない命令に眉を顰めた。)   (3/13 20:49:52)
シロー/ディラン > 「シント⋯?いや、聞いてない⋯⋯けど、王都がこの状況なのにか⋯⋯?何かの間違いじゃ⋯⋯」(まさか遷都でもするつもりだろうか、いや、それこそ有り得ない。代々王国の象徴だったこの王都を捨てて、しかもシントに遷るなんて。そこまで考えた所で、続いた言葉に瞳を細めて、口元を拳で押えた。)「⋯⋯そう、なのか。ヴィッキーさんが⋯。」(知らなかった。自分はといえば引きこもってばかりの工房の虫だったからか、そんな事が起きていたとは露知らず。しかしだが、どこまでも冷静なアシュトンの物言いに、ディランは静かに瞳を肯定を示すかのように一つ瞬かせた。)   (3/13 20:49:54)
シロー/ディラン > 「⋯⋯ああ、分かった。⋯⋯ガトリングの砲弾にベルトを付けるアイデアなんだけど、少しだけ時間が掛かりそうだ。弾倉を取り付けて、内部の砲弾を使い切ってから交換、というものなら明日にでも完成させられる。アシュトンのアイデアの簡易機構にはなるけれど、自旋運動を用いて排莢は自動、十分に砲弾を込めた弾倉を持参すれば今よりも持つと思う。⋯⋯それとイモータルを撃つのなら、砲弾は鉛でも大丈夫だと思う。」(暫くの沈黙の後にゆっくりと告げた。戦うという意思を現したものだった。僅かな逡巡か、また一つ視線を一度下げてから、小さく頭を振った。)「⋯⋯⋯ありがとう、⋯⋯そうだよな⋯。⋯⋯戦うよ。そうしたら、きっと機械騎士達にも、何か言えるようになる⋯気がしてる。」   (3/13 20:50:02)


マリア/アシュトン > 「うへ、マジで知らなかったんすか……ディランさんって本当、のんびりしてんだなァ。」(組んだ手のひらを頭の後ろにくっつけて、おどけるように眉を上げて口をへの字にした。しかし、襲われた同胞の話をすればようやく彼なりに合点がいったようで、遅ればせながら乗ってきた様子の口ぶりに、アシュトンは満足げにうなずいた。)「おお、いーね!今より良くなりゃ上々っすよ。ああ、たしかに鉛でもいいのかな。けど、そうなりゃガトリングの方にも少し細工がいるな。すぐにジャムるようじゃ使い物になりませんからね。交換中はディランさん、援護頼みますよ。ぼくノーコンなんで。」   (3/13 21:22:17)
マリア/アシュトン > (決まり、とばかりに膝と叩くと、小さく頭を振って何かを考えているそぶりのディランを見て、あぁそういえばまだ、話は終わっちゃいないんだという事を思い出した。)「お礼を言われる筋合いはないっすよ。実を言うとはじめっからディランさんを誘うつもりでしたから。ぼくに関しては打算が7割。シェルターごとシントに行ってる間は、とりあえずこの戦火から逃れられるっしょ。……んで、えーと。」(目は自分のシェルターのほうを向き、頭の中で設計図を描きながら、次の話へとうつる。)「やっぱディランさん、なんかあったっしょ?”機械騎士達”なんて主語でかくしてもぼくの目はごまかせませんよ。喧嘩でもしました?ディランさん口喧嘩弱そうだからなぁ……。」(一泊置いて)「で、だれと、なにがあったんですか?」   (3/13 21:22:23)


シロー/ディラン > 「ああ、分かったよ」(ガトリングというのはただでさえ砲身の加熱による劣化が激しい。それを抑える為の多砲身式とはいえ、あの速度での連射は砲身へのダメージが大きい。加えて鉛玉は柔らかい故に砲身に金属が残りやすいから、益々交換は必須となるだろう。貴重な真鍮を使うべきなのはそういう側面がある。へらへらと喋りつつもアシュトンは的確に理解している。お互い理解しているからこそ、二つ返事でディランも頷いた。無論、アシュトンの様にへらへらとする事は出来ないが。)「そうだったのか、アシュトン⋯⋯。うん」(お礼を言われる筋合いは無い、と余裕を持った返事を受けてバツの悪そうに耳の後ろを掻いた。自分より幾つか年下のアシュトンだが、自分よりも遥かに肝が座っている。こんな時でも難なく平静で居られるのだとアシュトンの新たな一面を知って、凄いなと内心見る目が変わったのは言うまでもない。何やら他の話をしそうなアシュトンに頷きを返したが、続いた言葉にディランは言葉を濁して俯いた。)   (3/13 21:52:10)
シロー/ディラン > 「アシュトンには敵わないな⋯⋯。⋯⋯いや、喧嘩では無いんだけど⋯⋯それが⋯⋯」(口喧嘩が弱そうと言われても大して気にする事もなく、首を傾げながらどう言ったものか、と言葉を探した。何度か言葉にならない唸り声を上げると、一拍置いて問われた言葉に、漸く話し始めるだろう。)「機械騎士のターラ⋯⋯と。⋯⋯あんまり、大きな声で言いたくはないんだけど、彼女、カンタリの防衛戦で片腕を失って、アーツになったんだよ。」(元々は手首から下がアーツだったのが、腕を丸ごと失ってしまったのだ。アーツの手術自体、誰が取り付けたのかまでは知らないが、その整備を受け持っていたのはディランであった。アシュトンがそれを知っているかは分からず、一度説明を挟んでから続けた。)「俺がアーツの整備をしていたら、あの子が泣いちゃって。前々から気にかけてはいた子だし、この前俺がイモータルに殺されかけた時も助けてくれたのは彼女なんだ。⋯けどさ、アデルグントさんの宣言、あっただろ?それであの子も騎士として命を賭けているなら、可哀想とも言えた立場じゃないから、尊敬する、とは言ってみたり、⋯⋯いや、ごめん、言葉纏まらなくてさ⋯⋯。」   (3/13 21:52:30)
シロー/ディラン > (如何せん何から話せばいいのか、あった事を一つ一つ話してしまって、全く纏まっていない事に気づき一度謝ってから、一つ息を吐いて落ち着けた。)「⋯⋯俺、なんて言葉をかけてやればいいのか⋯。あの子にどうしてやれば良かったのかなって⋯⋯」   (3/13 21:52:32)


マリア/アシュトン > (初めは抵抗感たっぷりに、それでもようやっと訥々とした口調で語り始めるディランの顔を見つめながら、ふんふんと相槌を打つ。”気にかけていた”とは言葉以上の含みがあるのだろうかとも思いながらも、最後の言葉。アデルグント騎士団長の宣言についてなら、アシュトンの方にも一家言あった。ディランのためというよりは、自己表現をしたくてうずうずしていた心のままに、切り込みはじめる。)「あー……その事なんですけど、アデルグント騎士団長の宣言。ディランさんもアレに感動しちゃったクチですか?」(ぼさぼさの金髪が目にかかり、うっとおしそうに顔を振いながら、思い出すのは騎士団長の就任式だ。)「まあ、団長はたしかに立派な人だと思いますよ。頼りがいあるし……けど、ぼくはあれに打ち震える事はできなかったんですよね。まぁ、そりゃ全員を納得させろって方が無理あります。単にぼくがマイノリティだった、別にそれでいいんですけどね。」   (3/13 22:35:31)
マリア/アシュトン > (アシュトンの言葉は、ディランの感動に水を差すだろうか。しかし彼のスタンスはいつだって『知ったこっちゃねえ。』空気を読むとかいう高等技術はあいにく持ち合わせていないのだ。)「機械騎士と騎士を平等にするってんなら、騎士のほうを”ただの人間”にしてやるべきでしょ。……と、ぼくはそう感じちゃいました。誇りとかいう名のつく鎖と首輪を機械騎士にまで押し付けて、どうしたいかなんて明白だ。ま、”やり手”ですよね。」(非難がましくなってしまっただろうか。それで王国が勝利を掴めるなら上等だとは思う。もし自分が騎士団長をやってみろと言われたら、とてもじゃないが彼女のようにうまくはやれないだろうから、文句があるって訳じゃない。)「えーっとですね。機械騎士が兵器扱いだったって、ディランさん言ったでしょ。でも、広い視野で見てみりゃ騎士だってそうですよ。治療やなんかにおいて騎士のほうが優先される事があるんだとしたら、希少性じゃないすか?魔術師はそう多くないっすから。……ぼくらだっておんなじことです。人間なんていくらでも替えがきいちまう。けど、それを悲観こそすれど、誰かのせいなんかじゃないでしょ。」   (3/13 22:35:39)
マリア/アシュトン > (歯車は錆びれば替えられる。自分たちとて、日々当たり前にこなしていることだ。だからといって歯車が文句を言うだろうか?否。)「なんだろーな。……いや、こっちことまとまんなくてすいません。ぼく、ホント思いついたまんま喋ってるんで話半分に聞いてくださいね。……要するにですよ、ディランさんは勝手に文句言われてる気になって、一人相撲してるんじゃないかな?って思うんです。あのー、認知の歪みってヤツ?……ターラさんと僕もすっごく仲言い訳じゃないけど、ディランさんにどうして欲しいとかないんじゃないですか?腕がなくなったらそりゃ泣きますよ。戦争だって怖いでしょ、彼女も普通の人間だし。そこで、ディランさんがなんかヒロイックな事言ってさ、彼女に影響を与えなきゃいけないって思ってんなら傲慢しょ。ディランさんは団長みたいになりたいんすか?」   (3/13 22:35:45)


シロー/ディラン > (アシュトンは、まるで機械について話している時の様に饒舌に語った。自分はといえば、その間に言葉を返すことすら出来ずにいた。きっと彼が休むこと無く話し続けていなかったとしても、自分は彼に返す言葉を持ち合わせていなかったのだろう。黙って視線を下げたまま、考え込んでいた。アデルグント団長の言葉に確かに自分は感動していた。初めて自分達を見てくれたと、それは酷く主観的だったのだろう。彼のように客観的に物事を捉えられれば、また違ったのだろうか?⋯⋯彼の言葉を鵜呑みにして団長や万騎長の宣言で感じた気持ちを考え直せる程器用では無かったものの、アシュトンが掻い摘んでディランの為に分かりやすく伝えようとしてくれた最後の声は、すうっとディランの胸の内に落ちたのだった。)   (3/13 23:18:20)
シロー/ディラン > 「⋯⋯いや、俺にはなれない⋯、あの人みたいな覚悟は⋯⋯⋯⋯」(大言に責任を持てるような、あの人みたいな覚悟は。そこまで言いかけて、ディランはハッとした。アシュトンの言いたいことが分かったような気がした。)「⋯⋯ああ、そうか、俺にはなれないから、傲慢なのか。」(最初から分かっていた事ではないか。自分には荷が重すぎるんだ。人に言われてようやく納得できた。)「⋯⋯なんか、納得いった気がしたよ。別に何かを求めてた訳じゃないんだな、俺に。そうか、一人相撲か⋯⋯⋯」(ターラは自分に何かを求めていた訳では無い、単に悲しいから泣いていただけか。寧ろ迷惑だったんじゃあないかとまで思えてきた。自分に何か言う資格が無いのなら言わなければいいだけで、彼女に何かアクションを起こすべきは少なくとも自分ではなく、きっと他の誰かなんだ。それこそ、例えば雷鏡さんのような⋯⋯)   (3/13 23:18:23)
シロー/ディラン > 「ありがとう、アシュトンはちゃんと物事の本質⋯?をしっかり見れて凄いな、楽になった。」(僅かに悔しい気持ちはあれど、人に言われれば認められるものだ。)「俺はただの整備士なんだ。」(憑き物が落ちたかのような表情でディランは苦笑した。アシュトンの新作のことなどすっかり忘れていた。   (3/13 23:18:31)


マリア/アシュトン > 「えぇっ?」(散々高説を垂れたというのに、お礼を言われるだなんて。この人は本当に……なんと実直なのだろうか。詐欺とかすぐ引っかかりそうだな。)「っはは、年下に好き勝手言われて喜んでら……。ディランさんってナメられやすいんじゃないすか?いや、ぼくはちゃーんと解ってますよ。器がでかいんですね、きっと。」(一斗缶から立ち上がり、ポンとディランの背中を叩いた。缶のふちが尻にめり込んで、服にもしわがついてしまった。)「いやあ、ターラさんと話した訳じゃないから、知ったこっちゃないっすけどね……。今度ぼくも話してみますよ。」(落ち込んでいるのなら、話くらい聞いてみよう。機械騎士を大切に思っているのはアシュトンも変わらなかった。)「ってかちょっと言おうと思ってたんすけど、ディランさんがターラさんに…その、何?……俺が守るとかなんとか言わなきゃいけないとか思ってたんだとしたら、仕事の範疇を超えてると思うんですよね。二人は付き合ってる訳じゃないっすよね?いや!言わなくてもいいです、大丈夫。ディランさん童貞臭ハンパないし。」   (3/14 01:13:28)
マリア/アシュトン > (言わなくてもいいと言ったのは、わざわざ自分の口で言わずとも察してあげよう!というアシュトンなりの配慮であった。最後の一言は間違いなく余計だが。決して自分がターラに対して特別な思いがあって聞きたくないとかそういうわけではない。アシュトンにとっては確信に近いものであって、そう思うと、なんというか、”いや、彼氏かよ”と突っ込みを入れたくもなるものなのだった。)「じゃあガトリングの調整に入る前に、約束の……新作の被験やってもらいましょっかね。」(と言うと、オーバーオールのポケットからペン型の機械を取り出した。先端にはシェーバーのように細かい歯が螺旋状についており、アシュトンがスイッチを押すとそれはヴィイイイイイイイイイイイとけたたましい音と立てて回転し始めた。)   (3/14 01:13:49)
マリア/アシュトン > 「鼻毛カッターです。粉塵を吸う事も多いから、時々長いのが一本出てることあって……最初は回転で巻き込んで抜くタイプを作ったんですけど、あんまりにも痛いから回転刃をつけてみました。これで痛くないはずですよ。……じゃ、失礼しますね。」(まるで小さなチェーンソー。アシュトンは恐ろしげなその機械を持ち、ゆっくりとディランに近寄った。─────今何時くらいだろう。ちょうど、15時くらいかな。……工房の時計が、ボーン、ボーンとゴングを鳴らした。)〆【ニュートラル・ギア】   (3/14 01:13:55)