袋の男
アタシの観察記録「ユピテル」大和守/袋の男 > 「……はぁ~~…………」(ソイツは血と肉と骨とに囲まれた不衛生な床に大の字に寝転がりながら大きな溜め息を溢した。ユピテル達を見送ってから数分と経たない内にその顔からは表情が抜け落ちていて、何を思ったのか勢い良く体を起こす。そしてそのまま、頭に被っている麻袋と白布を引き千切らんばかりの勢いで体から外した。先程の騎士……というのには随分雰囲気の違った女との戦いで、それはほぼ使い物にならなくなっている。布に関しては大部分を落っことしてきてしまった様で、嗚呼、これでは全く良くない。)「ああもう、折角こないだ新しくしたばっかなのにボロボロじゃな~い! 全くあの娘ったらとっても大胆なんだら、キャッ! ……まァた遊んであげなきゃだわァ!!」(その茶化しの裏には明確な殺意と戦意と悪意とが内包されており、紅と紫のオッドアイをギラギラと獣の如く輝かせた。あれ程の"カイカン"を植え付けてくれた相手なのだ。相応の"お礼"をしなければいけない。──そうだろう?) (3/13 16:49:41)
大和守/袋の男 > 「……あん? 何だこれ。んー……アイツのか。何時の間にこんな本を……」(使い物にならなくなったこれらをどうしようかと、立ち上がった所で。ユピテルのせいでぐちゃぐちゃに掻き乱された紅い残骸の側に、一冊の本が落ちている事にソイツは気付いた。本を持ち上げくるくると裏と表とを引っくり返し、小さく書かれた『ユピテル』の字に気付いた。恐らく日記だとかそういった物なのだろう。ユピテルの前では、あくまでも"テメーら"やら、まるでユピテル以外の二人が実在しているかのように振る舞っているものの、それがユピテルの妄想やらその類だという事はとうに理解している。──実に"下らない"。偽に、己の想像に狂うなど。もしもそれが暴かれた時には、狂う事など出来ない癖に。根っからの【悪】であると自称するソイツにとっては、ユピテルという存在は全く以て嫌なモノであった。)「ふーん……」(偽に狂気を委ねた少女が一体何を書いているのか。沸き上がる好奇心のままに、その一枚目を捲り──) (3/13 16:49:56)
大和守/袋の男 > (──『親分ができたのです! きっとこれから、とっても楽しい事がたくさん起こると思うの! どうなるのか楽しみだわ! 明日はフィリウスが書いてね!』。──なんて、短い文章ではあったが。その文字列を見た瞬間、ソイツは思わず目を見開いて──そして嗤った。)「ッは、は──ゲラゲラゲラゲラッ!! なーんだこれ!? ……あァ、ったく……これだったら、」(──『いつ裏切っても良さそうだ』。くつくつと沸き上がる笑みの通り、その思いは醜悪な色を宿した。嗚呼、本当に子供だ。悪餓鬼なんて枠には収まらない──なんて言った事を後悔してしまう程。どうにも自分は勘違いしていたらしい。ユピテルを【悪】には辛うじて届かぬ【悪意】だと。そう思っていたけれど。その先を捲っても何の字も書かれていないのも、恐らく本当にこれだけの為にこの本を手に入れたのだろう。こんな物を書くため、それだけの目的で。) (3/13 16:50:08)
大和守/袋の男 > 「────やっぱりただの餓鬼じゃねェか」(あくまでもその純粋さからの【悪意】からだと思っていたが、何とまぁ──。ユピテルはフィリウスとサンクトゥスという『友達』の為に生きる【子供】だったのだろう。今は、その『友達』と自分の為とも言えるだろうか。嗚呼、なんと愉快。何とも素晴らしい。)「ゲラゲラッ──ッは、たっまんねぇなァ……!!」「これでぶッ殺せる」(嗚呼でも、もう少し待ってやるべきだろうか? どうせなら、最高の──『幸福』の中をぶっ殺してやる方が楽しそうだ。静かに、ソイツは殺す企画を本格的に練り始めたのだった。──無邪気な【子供】は、まだそれを知らない。)【アタシの観察記録「ユピテル」】〆 (3/13 16:50:28)