ヨハン&セリヤーナ&アデルグント&セオドア
ウェント会戦フルディア/セリヤーナ > (幾度となく足を運んだウェントではあるが、都市戦闘の攻略目標と思うとまた新鮮だ。四方の前哨基地を落とし集まった同胞たちと打ち合わせ、3手に分かれて波状攻撃を仕掛ける手筈とした。発起人のヨハンが大将を務めることはすんなり決まり、さて誰が補佐に就こうかという時に、どちらが言ったか『若いお二人にお願いしようかね』なんて冗談めいた言葉から盛り上がるギゼムフィディアにあれよあれよと流されて結局ヨハンとツーマンセル。勝手知ったる相手だ、作戦には支障ない、いやどちらかと言えばプラスだろうけど。) (さてどう攻めるのが一番いいか。スザンの時のように法皇城に砲撃をぶちかましても良いけど、ヨハンが玉座に座りたいなら壊さないでおこうか…とそんな姿を想像してみたけど。)「いや全然似合ってない。」(思わず口をついて出た。怪訝な顔をする彼を適当にごまかす。なんにせよ実働部隊である騎士団を抑えればこちらの勝ちだ。そんな妄想は後にして、騎士団本部の方へ足を向けた。) (3/7 18:49:39)
フルディア/セリヤーナ > 「さて…立ち塞がるのはキミたちかな?」(騎士団の魔術師と思しき二人組。その立ち居振る舞いは相当な手練れであることを感じさせた。)「散々外堀攻めといていまさら名乗るほどでもないかもしれないけど。ボクらはシュクロズアリ旅団。ヨズアの民の寄る辺となるべき都市と信仰を取り戻しに、あるいは旧い魔術師の誓いを果たしに、ここへ来た。」(良い悪いを議論するものではない。これは戦争、負けたものが間違っているのだ。)「ボクはセリヤーナ。大いなる神話の巡礼者。先人の足跡を辿ってここまで来たんだ。この先には鉄のレールよりも魔術の碑銘を刻むことを望むよ。」(技術を嫌っているわけじゃない。ただ、"明け渡したくないもの"がまだあるんだ。きっと個人的なこだわりだろうけど、戦場でしか解決できないわだかまりだ。) (3/7 18:49:51)
マリア/ヨハン > (マージの砂漠。父さんの嘘。ジョンと呼ばれたあの春の終わり。────スザンのスラム。短剣のエメラルド。ジブルのおっちゃん。ヨハンと呼ばれたあの初夏。───サンホーリの川辺。ばあちゃん。沙羅双樹の髪飾り。与平と呼ばれたあの夏。───エイゴウの海。旅団の刺青。自由を説かれ、少年と呼ばれたあの夏の終わり。)「……行くか。」(雷鏡。コーフ。ジェフティ。ギゼム。リィリート。フィディア。それから沢山の人々との出会いと別れを超えて、この冬。リントの小城でオレは、シュクロズアリ-ヨズアを救う者達-を名乗った。あれからまだ3ヶ月も経っていないだなんて、信じられるか?紛れもなく、この王都攻城の戦いは歴史の一部として後世に語られていくのだろう。もしもタイトルをつけるとしたら─────)「”ヨズア戦記。”」(─────そんなところだろうか。) (3/7 19:50:31)
マリア/ヨハン > (傍白を受け取ったセリヤーナは不思議な顔をするだろうか。首をふるふると振り、なんでもないというように仕切り直して言った。)「俺たちの戦旗を揚げようって言ったんだ。……宣戦布告といこう。」(セリヤーナの魔術めいた言葉はヨハンを震わせた。こちらは二騎、相手も二騎か。……目の前に立ちふさがる魔術師は、あるいはヨハンの思い込みによるものかどうかは解らないが、恨みがましい目を向けているような気がした。もちろん、それが道理だと思うからだ。セリヤーナの当初の意図はともかく、ヨハンの扇動によって、結果としてヨズアはウェンディアと手を組むふりをし、スザンの前哨基地とエンジュを勝ち取り、弱っているところに猛攻を仕掛けたのだ。それが戦争だと思う代わりに、王国を間抜けだと思う事もなかった。全ては大いなる流れによって定められているに過ぎないのだから。)「……ああ、どっちが正しいかなんて張り合うのはもう止そうぜ。オレは、オレ達はこの手を血で染め上げてここまで来たんだ。恨むなら恨めよ、とっくに火蓋は切って落とされてる。───────数千年も前からな。」(にっと笑って、セリヤーナに続き名を名乗ろう。)「オレは……」 (3/7 19:50:39)
マリア/ヨハン > 「潮騒の魔術師ヨハン。真名はジョンだ。ジョン・ザルツベルグ。なあ、騎士さん。英雄なんてのは血なまぐさいもんだぜ。どっちが勝ってももう正義はねぇよ。勝てば官軍さ。……決着をつけよう。」 (3/7 19:50:44)
清瀬/セオドア > (湿った戦雲の低く項垂れた街は、死の水の騒然の欠片も残さず冷えきっていた。死の匂いと弾けた水とが混ざりあって、瞼を閉ざせばここはまるで錆びた鉄の海。太陽は光を遮られ、臙脂の夕日が傾こうとしているよう。手放そうにも己の拳は固く握られ過ぎている。いつもの剽軽な調子などふざけて出せる筈もなく、憂慮に濡れた横顔を眺めて字を呼んだ。)「……アデルグント」(不安と確かな覚悟を秘めたその瞳は、これから何をしようというのだろうか。頼もしさの裏に恐ろしさを兼ね備えていて、割れそうな危うさ故に鋭利を肌で、その下に潜り込み網目を這わせた神経で感じる。研ぎ澄まされて持ち主の命すらもかけんとする刃のそれに刺され、身が震えた。フードを脱ぎ捨てると赤毛を露にして、彼女より先に前に歩み出る。遠望した先の人影は毅然としていて、目の裏に電流を流し込まれたような異常に目の覚める感覚に襲われた。) (3/8 21:58:28)
清瀬/セオドア > 「──これはこれは、ようこそ。持て成しが十分にできなくて悪いね、それもこれも全部キミたちのお陰だよ」(セリヤーナ、歯車の狂い始めたあの会談の女魔術師。ヨハン、直近だとカンタリに出没した海を司どらんとする男の魔術師。礼儀の要らない御茶会のテーブルに鎬をたてるように双方を睨んだ。皮肉しかない言葉達は、怨みでも非難でもなく悲壮を物語る。) (3/8 21:58:30)
清瀬/セオドア > 「初にお目にかかるかな。オレは……。聖フィニクス騎士団副団長、セオドアだよ」(ロイドは咽ぶ、こんなことは御免だと。早く暖かい布団に包まれ、何ら代わりのない退屈過ぎる日々を怠惰を伴侶に過ごしたいと。仮に己に二番手なんてレッテルが貼られていなければ、こんな国は捨てて亡命でもしていただろうか。ただ、それをするには些か眺めた死者の数が、誑かし蹴落とした生者の数が過ぎた。ヘスティアも、トールも、アレイスも誰もかも、オレを迎えてくれる席をまだ用意してはくれないだろう。死による救済すら烏滸がましいのだ。もし仮に彼らに逢う権利があるとしたならば、神が天使に撰ぶとするならば、こんな奴ではなくてアデルグントのような清純で正しい人。神は愚者ばかりを地に、自らと遠い場所に遺していく。) (3/8 21:58:47)
清瀬/セオドア > 「それじゃ色んなことは此方の…団長から、お伺い願おうかな。────余計な前座なんて飽き飽きしてるかと思いますので、後はお得意の言葉でやりあおうか。それから血腥さの中でさ、お互い感慨に浸ろうよ」(アデルグントに視線を流すと、模範的なウインクを一つ飛ばした。この空気に耐えかねたのか、まるで彼奴らじゃ相手にならないとでもほざきたいのか、その真相は誰かに翻訳を任せよう。団長が言葉を終えたところで再びしゃしゃり出ると、わざとらしく恭しげに不敵な笑みを浮かべた。この世は馬鹿とくそったれに溢れている、皮肉も罵倒も有り余る程に喉で燻っている。遠吠えを嘲笑って沢山言いつけてやればいい、勝てばそれは己の中でのみ一頁となる。最期に切歯扼腕に耽るのはどちらか。語り部としてそれを後世に紡げるのは、果たしてどちらであるか。) (3/8 21:59:17)
大和守/アデルグント > (【敵】がいた。王都を攻め、そして落とさんとする忌まわしき【敵】が。字を呼ばれても彼に目線を寄越す余裕も無く、ただ【敵】を見つめ。貴方達の名乗りを、覚悟を聴いてーー己より前へと立った彼に視線は向かった。普段の飄々とした調子や態度は見る影もなく、その言葉に潜められた棘をアデルグントは確かに感じ取った。然しまぁ、思っている事は彼と同じだ。彼への返事は言葉にせずとも送られたウインクに紅を合わせ、小さく頷いては舞台へと上がろうか。)「ーーーー私は」(小さく、息を吸った。これから起こる事に対する覚悟を決める為に。決意を強く持つ為に。)「聖フィニクス騎士団、騎士団長」(すらりと、レイピアを提げた鞘から抜いた。多くの戦闘を共にしてきたこの武器は、王都を守るという最も大切だとも呼べるこの今も共に在る。)「ーーアデルグントです」(貴方達を、確りと見据えた。【敵】である貴方達を。此処で討たねばならない、王国と民と騎士団と、そして私達から見たあまりにも明確すぎる【敵】を。) (3/8 22:53:20)
大和守/アデルグント > 「王国の剣であり、民の盾であり、悪をーー」(『悪を滅する光』、と言い掛けた所で言葉が止まる。【悪】、というのはこの場合ヨズアの民ーーヨハン、そしてセリヤーナ。他にも王都を攻め落とそうとした彼らなのだろう。然しそれは私達から見れば、だ。彼らから見たら私達も【悪】と為り得るのだろうし、ならば、そう。此処にハッキリとした【悪】だなんて存在しない。貴女と貴方の言葉に影響されたのだろうか。ぼんやりと、然し確かに浮かんだその思考にアデルグントは首を小さく横に振り。)「ーー騎士団の、光です」(『【ふり】でも構わない。どうか、私達の』ーーーー『光となってほしい』。今は亡き彼女の言葉が蘇った。アデルグントにとっては太陽で、且つ太陽よりも輝いていた唯一無二の想い人。想いは伝えられなかったがそれは今も此処に在る。想い人の為に在ろうという炎は今も燃え盛っている。貴女が言ったのですから私はそう在りましょう。永久に、その言葉に従いましょう。この命が尽きるまで、貴女のーーヘスティアの為に。) (3/8 23:02:00)
大和守/アデルグント > 「ーー故に、この王都を【死守】致します」(ーー必ず、必ずや私はこの戦に勝たねばならない。それこそ、命を落とす事になろうとーー絶対に。そして勝利を掲げる事こそが、それこそが亡くなった彼や彼女への餞である。永く連れ添った剣の握り心地を確かめ、鋭く息を吸い込んだ。)「来なさい、ヨズアの民よ。必ずや、私は……」(ーー『団長はたった一人だ。一人の人間だ。……でも、独りじゃない』『副団長や騎士たちがいるんだ。……もちろん、あたしもな』。先日彼女に、ゼロイバに言われた言葉が蘇った。……そうだ、一人ではない。王都を守ろうと立ち上がった、勇気ある騎士達の想いを胸に。堂々と貴方達を見据え、そう『宣言』してみせた。)「ーーーー私達は、貴方達に勝利してみせます」 (3/8 23:09:15)
フルディア/セリヤーナ > 「副団長に…団長ね。いや、充分なもてなしだとも。ところで…ボクが以前会った女団長はどうした?ボクはてっきり彼女とケジメを付けるものだとばかり…いや、よそう。キミたちに聞いても詮無きことってやつだ。」(常在戦場って言葉があるというボク自身はそこまでとは言わないが…。)「突剣か。キミは魔術師じゃないのか?団長。…いや、言い訳はいらないよ。いまさら問答をしに来たわけじゃない。こちらもそれ相応の態度を示そうというだけの話さ。」(顔色は変えないが声は冷たい。一つ間を置いて詠唱を紡ぐ。)「瞳を閉じて 赦しを乞え 言の葉を捨て 古の契りを血に染めた 数さえ持てぬ愚者 原罪への回帰 閉塞する輪廻 名を忌まれたXIIIが 霞雲の虹への背信を刈る ~ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア~《逆罰の三日月》」(自身の影に形を与える。背の丈よりも高い柄、繊月様の鋭い刃。魔術で織りなされた"武器"は、自身にも邪の道を強いるだろう。この大鎌が最後には自分をも刈り取るとしても、この道を征くと決めてしまったから。) (3/9 21:55:54)
フルディア/セリヤーナ > 「瞳を閉じて 剣を掲げよ 戦塵に煤けた古の神々よ 我らその灰を雪ぐ者 廃墟の信仰 睥睨の寂滅 亡国の怨嗟を背負い 恐怖と憤りの杯を呷れよ ~ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア~《リバイバル》」(大鎌を構えてさらに詠唱を重ねる。地に満ちた影が蔦のように触手のようにのたうち回って2人に襲いかかる。)「ボクは魔術師としてここに来た。キミたちが魔術師であるというならこの影が蹂躙する。だが武器を取るというなら…この鎌で刎ねよう。さ、ウェンディアが何たるかを示してもらおう!」 (3/9 22:00:34)
大和守/アデルグント > 「…………ッ……!」(セリヤーナの言葉に、一瞬アデルグントの表情が暗く曇る。『以前会った女団長』──それは恐らく、ヘスティアの事なのだろう。そうとしか考えられないし、何よりその言葉はまだ癒えていない傷へと触れ、そして抉っていった。嗚呼、やはりまだ自分はヘスティアの死を完全には乗り越えられていないのだろう。その自覚は度々あったものの、まさかこの場所で、戦場でそれを再認識させられる事になるとは。首を小さく横に振り、堕ちていく思考を無理矢理引き戻した。【敵】に耳を貸してはいけない。その言葉は間違いなく、心を蝕み支配していく影の様な暗い魔術となって自分を害するのだろうから。襲い掛かる蔦を寸での所で回避し、体勢を完全に立て直す事すら叶わないまま、そのままアデルグントは地を蹴ればセリヤーナに向かって飛び、距離を一気に詰めるだろう。) (3/10 07:52:16)
大和守/アデルグント > 「──我が主、我が剣、我が意思を捧げし者よ。冷たき怒りを、その御力を我が仇敵に振るわん事を此処に希う。楔を降らせ、刃を降らせ、咎人に罰を下せ。──太陽の名の元に」(──途端、ぱきぱきと音を立て空は悲鳴をあげるだろう。その言葉によって、魔術によって生成された、空中に浮かぶ氷柱の数々は一本残らずセリヤーナへとその牙を向けている。締め句と共に、アデルグントが剣を指揮棒の如く滑らかに、セリヤーナの右腰から左肩までを目掛けて振るえば、奏具である氷柱達も一斉にセリヤーナに向かって降り注ぐ。貴女の言葉に答えを示すならば──武器と魔術、どちらもだ。) (3/10 07:52:20)
マリア/ヨハン > (『オーケイ、オレの相手はあいつってことね。』騎士団長を名乗った女……アデルグントを挑発するようなセリヤーナの口ぶりに、ヨハンは合点する。副団長を名乗った男もこちらを見据えている気がした。)「そのスカした態度がいつまで続くか見ものだな。……なぁ、確かにアンタとオレは初対面だけど、いわゆる相手にとって不足なしってのを感じてるよ。負けようなんざ思ってないけど、同じ殺されるなら一般騎士よりゃ─────」 (3/10 22:40:14)
マリア/ヨハン > (一歩、二歩と距離を詰めながら、ゆっくりとした口調で彼の言うところの”余計な前座”を口にしようとする。まだその息遣いに魔術を紡ぐような気配を感じないだろう。セリヤーナが魔術を紡ぎ出した瞬間、警戒する気配を喰い殺す、獅子のような両手でセオドアの肩と胸倉に噛み付いた。)「ッらァァあッ!!」(───前座のオチなど用意していない。これは”強襲”なのだ。セリヤーナが魔術に固執するヨズア人のイメージを刷り込んでくれたお陰で、虚を突く事くらいはできただろうか。)「覚えたぞ、セオドア!!────刺し違えてでも、あの砦の天辺まで押し通る!」(のたうちまわる触手の原に組み伏せようと体重をかけた瞬間、異音に気づいた。ガラス質の残響は悲鳴に似た声をあげ、空を支配する。)「……セリ……」 (3/10 22:40:19)
フルディア/セリヤーナ > (2,3バックステップを踏んでやや距離を取る。影の蔦は前線、防御に回すには少し間に合わない。手首を軸に大鎌を取り回す。氷柱を多少弾いてそのまま突剣は柄で受ける。それでもまだ止まない氷柱に右手右足を刺され、砕けた氷の破片で顔を浅く裂かれた。痛む手足でバインドは不利と判断しさらに後退。数瞬の間にブレスレットを外し暗触文字をなぞるとセリヤーナの身体は影に沈んだ。) (3/10 22:41:04)
マリア/ヨハン > 「……ッ!よそ見している暇なんてないんじゃねェか!」(仲間に注意を逸らさずにはいられないのは、ヨハンだけだろうか。セオドアを見据えながらも放たれた咆哮は、紛れもなく自分自身に向けられたものだった。)「汝がために、榮えと、力と、美と、勝利と、威光と、そして星幽は常しえなり。我が先にイスラフィル、我が背にジブリル、我が右手にイカイル、我が左手にアズライル。これより月水に依りて命の木へ至る血の道を描かんとす。」(例えセオドアが自分の手から逃れていようとも、最後まで詠唱すると決めていた。……しかし、この呪文はセリヤーナの、女性である彼女の助けが必要かもしれない。男の自分の口が紡ぐ”月水”という言葉に、創生の神はどれだけの赦しを施してくれるか検討も付かなかった。) (3/10 22:41:28)
マリア/ヨハン > 「我らの名の負いし罪を試みに引き給わぬよう、地における名を捧ぐ。───大水の逆巻くうねりよ 潮の手を打ち鳴らす音よりも力強く 砕け散り轟く高波よ かの者を踏み砕き 坩堝にすべく騒ぎ満ち 響きをあげ呼び集まれ」(フィディアが馳せ参じた先の戦によるものだろうか、触手は濡れた地面を這い、びちびちと飛沫を上げ、その下で唸るような海の声がした。ヨハンは後ろに飛ぶようにしながら、セオドアと距離を取る。) (3/10 22:41:33)
フルディア/セリヤーナ > 「こっちは気にするなヨハン!自分の詠唱に集中しな!」(数メートル離れた位置に鎌を支えに影から這い出る。ローブの下の流血を肌で感じながら、ヨハンの詠唱に重ねて。)「轟け 母なる大地のはらむ岩漿 跳梁する龍脈 集積さす龍穴 空への火道を点睛と為す」 (3/10 22:42:19)
マリア/ヨハン > 「潮騒よ、喝采を上げよ。」 (3/10 22:42:35)
フルディア/セリヤーナ > 「ダー・ニト・ロロイ…」 (3/10 22:43:25)
マリア/ヨハン > 「「シュクロズアリ」」 (3/10 22:43:31)
マリア/ヨハン > (熱せられ続けた地水は沸騰する。地中からごぼごぼと聞こえる音と硫黄の匂いによって、その狙いが当たりだった事を察した。沸騰した水は圧力が高まり、やがて影の触手が鑽孔したいくつもの穴隙から激しく噴出した。低いもので背丈ほど、高いもので背丈の4倍はありそうなこの間欠泉は、硫化水素の腐卵臭を撒き散らしており、地中深くにある硫酸が噴き上げているのと変わらない事を示していた。──────地獄の釜の蓋が開いたのだ。空と大地との気温差で、ウェント砦には霧のような気嵐が立ちのぼっていた。勢いを止めないこの海の林によって、身体を使った剣技は制限されるだろう。しかし、それはこちらも同じ事。合戦場は地獄の様相を呈し始めた。) (3/10 22:43:38)
清瀬/セオドア > (騎士団の太陽である恒星の瞳は覚悟に澄んでいた。命を賭すことに躊躇いのない点では誰よりも献身的で、向けるべき者への正しき慈愛に溢れている。理解という点でも信頼という点でも、ヘスティアの意思を誰よりも継いでいるのは間違いなく彼女だ。忠実で、華麗で、冷静で誰よりも熱く。細身ながら光る身をしたレイピアを掲げた姿は頼もしく……あんなにも易々と、失うことを厭わぬのが恐ろしかった。憎かった、それがアデルグントには赦されるのだから。死ねばそれが栄光だとばかり思っているようにさえ見える。アデルグントの中にどれだけの責任と覚悟があるのかを知らぬまま、彼女の決死の宣言を傍らに、行方を託すことを決めた。黒髪の少年は獰猛な獣の瞳を向けている。血生臭い騎士には似合わぬ、魔術師としては模範的な誠実なる神への心を以て視線を返す。) (3/12 18:24:27)
清瀬/セオドア > 「別にスカしてなんかないよ~。キミだってどうだい、その綺麗な顔の下にはさ────」(忍び寄る攻撃に、警戒を向けていなかった訳ではなかった。話術で優位を企むのは常套手段、武器の類いを取り出す素振りを探っているうちに先手を取られただけのこと。肩を掴もうとした手を咄嗟に弾くのに気を取られ、呆気なく胸元を掴まれるとそのまま地面に倒された。ポンチョと制服の防御を通過する鋭利な小石の刺さる感覚と、視界で必死に焦点を探す揺れた頭。貴方の前では己は逃げ出す兎か?……よく見ると良い。苦しげに見上げる瞳は貴方と同じ、百獣の王の目だ。玉座を狙う若獅子の片手を眼前で食い止めながら、ヨハンの襟を鷲掴む。) (3/12 18:24:38)
清瀬/セオドア > 「……っはは!いいね、ヨハン。お前がオレのセケルとなれるか、やってみせなよ…っ!」(己もまた、昔は彼と同じように生気と泥臭さに溢れた良い瞳をしていたのだろうか。細い黄の瞳を更に開いては鼓吹した。貴方が死神の名を冠する者となるというのなら抗うのみ。───空を劈く、針の先が金属板を引っ掻く音。揺らぐことなく此方を見据えていたヨハンの眸子が逸れたのにつられて、同じく火花を散らす二人を視界の端で捉えた。勇ましさ、猛り、鑑たる姿に照らされて鼓舞されると共に、衝撃の渦が呼ぶ消失を畏れた。己か、相手か、きっとこの、世界からしたら微塵も気に掛けぬような時間の中で多くのものが失われる。ほんの一瞬の須木、その筈が随分と意識を奪われていたのか、気が付けばヨハンは眼前に吼えていた。) (3/12 18:24:50)
清瀬/セオドア > 「どっちの科白だか……っ!!」(黒い鞭がすぐ横を撓り地を強く打つ。大地の揺れる音に負けじと声を張り上げ、ヨハンの詠唱を妨げようと胸元を締める手を強めた。そしてヨハンは魔術を唱える。膝を覆い被さる身体へと何度もたて、身を捩りやっと劣性が崩れた。互いの拘束は振りほどかれ、二人の詠唱を追うように続けざまに祈った。)「海原、煌めく水鏡、辿るは空の風。繚ら──ッッ、ぁ゛…………っ!」(地響きはまるで、地殻の底にある湖が呼び起こされ、この地をのみ込もうとする咆哮にも聞こえた。遠くで、近くで、幾つも吹き上がる噴水は最高に生臭い火葬の匂い。足元から募るように漂い始めたのは白い靄。懸念が逸るばかりにアデルグントの方を見てしまったのが失策だったか。足元の孔から噴く硫酸が触れた服を溶かし、肌を焼く。余裕のない苦悩の顔、眉を歪め息が詰まったが、詠唱の言葉を澱めはしこそ断ち切ることはなかった。) (3/12 18:25:06)
清瀬/セオドア > 「──繚乱霜華、雅趣の恵みは日照り氷雨。凍てつく大地、凍結の春と朝露の藍柱石。瀞に眠る御霊は昊へ還りて飆となる。奮迅の乱舞よ、雹と躍りて吹き荒れよ。眠りの大地よ、凍てし手の擦りに霜棘を咲かせよ」(穏やかな風の吹いていた戦場に息吹を生む。ヨハンの方へと吹かせた風は氷の礫を乗せる。風に撫でられた地面は凍りつき、刃のように鋭利な背丈の半分ほどの氷柱をいくつも生やしヨハン目掛けて進む。此で怪我を負わせるつもりは些ともなく、ただの遅延行為でしかない。地獄へと陥没したこの地で、焦りの中思考を巡らす。) (3/12 18:25:19)
清瀬/セオドア > 。)「──アデルグントッ!!」(荒い息を隠すこともなく、骨まで爛れたように痛む脚を庇うように踞る。脂汗に服の下の肌が温く滲み、直ぐ様それを悪寒へと変えてゆく。神は平等などてはない、虚しくも力のある方へと憑くものだ。無力の拮抗を打ち砕くその力を、詠唱という貢物で此方へ引き寄せるのが魔術師。霞の中に紛れた、仲間だろう影の名を呼ぶ。自分には、神風に乗りゆく覚悟がなかった。両手を扇ぎ尊き一撃となることが怖かった。せめてできることといえば、追い風の吹雪を吹かせること。眩しいぐらいに耀く太陽は、影があればこそその煌々たる姿を表す。黒い茨の海ですら、その黒点の一部に過ぎぬと過言を垂れる。)「自由にやっていい、オレが合わせる!」「王国が何たるか……それを示せるのは一人しか居ないだろ、団長!」 (3/12 18:25:28)
フルディア/セリヤーナ > 「っ…」(致命傷には及ばないが軽傷では済まない。冷気が殊更に肌に刺さるのは、スザンで死にかけた後遺症だろう。副団長も氷を扱うのか。)「いやはや全く…悪縁としか思えないね。」(地熱・噴泉・氷柱・雹嵐。天変地異を詰め込んだ様相の戦場に、人の想いと自然への畏敬が肌に沁みる。…自分はここに何を遺せるだろうか。)「両方とは…傲慢な団長だね。ボクもウェントには何度も足を運んだんだ。その"進歩"は争いのためにあるのではないと思っていたのだけれど…買い被りかな。それとも野蛮な時代への退行をお望みかい。」(いきなりつかみかかるなんて少年もあとでお説教かな、と内心思いながら彼を見やる。実際のところ頼もしくはあるのだけれど。) (3/13 00:16:15)
フルディア/セリヤーナ > 「いやしかし…派手にやったなぁ少年。煙くて何も見えないじゃん?」(2人で詠唱を重ねるなど、初めての経験ではあったが存外うまくいくものだ。2つ目のブレスレット、暗触文字の仕込みをなぞれば防御の影が傘となった。)「踊れ 大地を駆ける炎のロアよ 姿を顕し夜を祓い 蹉跌の巡礼を照らせ 群青の淵 黄金の涯 雲を霞と稲妻を追っても 英傑の仲立ちが狼煙を上げる ~ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア~ 《ジャック・オー/リバイバル》」(狙ってどちらかを攻撃するのはちょっと難しい。とりあえず弾幕張って牽制、そして煙に巻かれた影たちを改めて使役するために詠唱を追加する。ヨハンがあれだけ大技を叩き込んだのだから氷に被弾した体を休める意味でも、一歩引いたところから援護としよう。両陣営の間に小火球群と影の蔦を並べて、霧の向こうへちょっかいをかけるように断続的に波状攻撃を仕掛ける。当たらずとも、足を掬えれば十分だ。) (3/13 00:17:06)
大和守/アデルグント > (────地獄が、現れた。正に此処は現世の地獄。もしや、自分達は何時の間にか死んでいたのだろうか? ……そんな錯覚を起こしそうになる程の圧、そして現象。辺りには白い靄が漂い視界を否応なく覆い邪魔をされていて、彼は──セオドアは一体大丈夫かと視線を仲間のモノであろう影へと、ずらした所で。自分の事を疎かにした罰が下ったのである。)「─────ッぁ、ぐ、……ッ!?」(痛い。)「…………ッ、う、ぅ……」(痛い、痛い。)「……ひ、ッ、あ…………ッ……う、」(──痛い。──その叫びを発せずにいられたのは、辛うじて理性が覚悟と決意を掲げられていたからだろう。駄目、駄目だ。痛くても、何があっても。負の叫びは絶対に発してはいけない。良いのは、勝利の咆哮だけ。だから、だから、こんな痛みは我慢しなくてはいけない。硫酸は思いきり顔の左側を焼き、そして腕も足も胴体も侵食し耐え難い苦痛に襲われる。その硫酸の性質故に押さえ痛みを緩和する事すら出来ず、けれどもまだ闘志の残る瞳を敵の居るであろう方向へ鋭く向けた。) (3/13 13:26:16)
大和守/アデルグント > 「────ッ、邪魔、です!!」(火球と蔦。それに対し怒りを乗せながらそう叫ぶ。流石にどちらもを回避する事は叶わず、蔦はレイピアを振るう事で切り捨てたものの火球により頬に新たな傷が加わった。それに舌打ちを一つ、した所で。靄が収まりつつあり、風が吹き地面が凍っているのを視界に入れた。これは恐らく……セオドアの魔術だろうか。続いた己の字に気付き。)「…………分かりました、セオドア!」(そう、叫び返した。この吹雪──成る程、これを上手く利用できれば……。襲い来る痛みを無視して思考を回し、廻し。絶えず構えていたレイピアを降ろし、手を空に掲げヨハンの方へ流れる風へ向けた。)「我が主、我が力よ我が声を聞き届け給え。全てを掻き消し灯の前の灰を吹き消し命を巻き込み荒べ荒べ神風よ。我が字の元に、我が真名の元に奇跡を希わん。繋ぎ、紡ぎ、その後が我らの歩む道と為らん事を」 (3/13 13:26:29)
大和守/アデルグント > 「────セオドア」(彼の吹雪を渦巻かせ、そこに加わった新たな風が更に巻かせ巨大な竜巻と為って吹き荒れる。それだけではなく、周りには小さくはあるも高圧の風が幾つも現れ。それらはゆっくりとヨハンとセリヤーナの方へ向かっていく。触れればその中に潜む氷粒が容赦なく切り裂こうとするだろう。それ以前に風が凄まじく引き込まれそうになるのを何とか踏ん張って耐える。風に従って荒ぶる髪を抑えながら、最後に小さく彼の字を溢した。──『太陽の名の元に』の締め句は貴方に託しました、セオドア。) (3/13 13:26:52)
清瀬/セオドア > (吹雪なんていう、己の信仰と若干逸れた魔術であったからか、先駆けた氷の柱による被弾の呻きはやはり聞こえない。悪運強く五体満足で生きてきた身体に、業火の誘拐は苦悩以外の何者も呼ばない。一人であったならば可愛い我が身を守ろうと敗走していたこの局面、勇敢なるアデルグントの手前というものがプライドに首輪と縄をしていた。靄ごと巻き込んで辺りを微かに晴らした竜巻、荒れ狂う風が幾つも集まった風の潮目となる中心に、痛む体を物ともせず佇むアデルグントを見た。地に膝をつくこともせず最期を迎えた、嘗ての帝国の偉人の姿を重ねる。闘志の詠唱に応えるように威力を増す礫の風に乗せて、小さく字を呼ばれると意地の悪い笑みを浮かべた。)「……成る程ね。全く粋なことしてくれるよ、団長」(涙か汗かもわからぬこめかみの湿気を手袋で拭うと、鬱陶しく翻るポンチョを外して風に浚わせた。先に合わせる、と言ったのは此方だ。お望み通り締め句を後押ししてやろう。低くしていた背丈をしゃんと正し、勝利の女神を称え冀望を祈った。)「──太陽の名の元に」 (3/13 13:58:40)
マリア/ヨハン > (気嵐の中で、距離を取ったセオドアの身体が硫酸の噴流を浴びてゆらりと蹌踉するのを目にした。しかし場を支配するいくつもの消魂しき環境音、噴流を打ち上げた瞬間に轟音によって生まれた耳鳴りにかき消され、小さな悲鳴は聞こえていない。渾身の一撃を外したのかと焦りで心臓が早鐘を打ち、一瞬冷静を欠く。驚くべきことに、セオドアが痛みを堪えながらも淀みなく詠唱を続けているとは思い至らなかったのだ。アデルグント、騎士団長と名乗った女には被弾したのだろうか。視界の悪い白き舞台に目を泳がせ、その姿を捉えようとしてしまったのが間違いだった。耳鳴が止んだ瞬間、セオドアの呪文が耳に入る─────油断。冷たい風が生まれ出て、雹が目に当たった。)「……うっ!」 (3/13 16:36:27)
マリア/ヨハン > (咄嗟に両腕で顔をかばいながらセオドアのほうを見る。まさか、これが攻撃のつもりか?鬱陶しくはあるが、この程度で致命傷を与えられると思っているのなら……と、ヨハンは余裕綽々を詠おうとする。瞬きする間にも戦況が変わってしまうという事をヨハンはまだ知らなかった。光陰は矢の如く過ぎ去る事を知らない、若さ故の誤算が足元を巣食う。次の瞬間には、風が凍てつかせた地面から立ち上る氷柱がこちらに迫ってきていた。)「……な、く…くそッ……!」(堅い鬣を生やした氷の龍のようなそれは直進するのみで、恐れずに見据えれば避ける事は出来なくもなさそうだ。しかし、逃げながらではセリヤーナと連携が取れない。詠唱の時間が欲しかった。)「……ッセリヤーナ!時間を稼いでくれ!」(ヨハンは霧の中の影へ叫んだ。暗触文字を使いこなすセリヤーナの事だ、すぐに応じてくれるはずという読みは間違っていなかったらしい。ボウ、と音を立てて生まれた小さな火が氷のダイヤモンドダストを照らして生まれたサンピラーが、一瞬セリヤーナの横顔を照らしたかのように見えた。) (3/13 16:36:37)
マリア/ヨハン > 「……っし、」(礼は後だ。もう油断も、容赦もしない。この時、奇しくもヨハンとアデルグントは、全く同時に口を開いた。)「……海神よ、我を覚醒に導く蛇よ。ジブリルよ、雄々しく猛る光の大海の守護よ。月よ、海を満ち渦潮を巻く引力よ。汝らがために、榮えと力と美と勝利と威光と、そして星幽は常しえなり。かの者を累に巻き、力強く騒ぎ満ちよ。潮騒の喝采、渦潮の慟哭、高波の咆哮。」(これがきっと、勝っても負けても最後の詠唱になりそうだ。今やらなければ命を絶たれる。死力を尽くして、ヨハンは喉を絞った。)「ダー・ニト・ロロイ・ヨズア。」 (3/13 16:36:49)
マリア/ヨハン > (ヨハンと、セオドアの締め句はほぼ同時だった。噴流をあげていた穴隙はさらなる水圧で地割れのように広がってゆき、硫酸の間欠泉が勢いを弱めるとともに、冷たい海がそれらを洗い流すかのように溢れた。みるみるうちに水は腰ほどの高さになり、そして渦潮となって騎士団の二人を襲う。セリヤーナならば影の翼で逃げられるはず、出来るかどうかはわからないが、この渦潮の巻き添えをくわぬように自分の手を取って砦のてっぺんまで連れて逃げてもらう算段で口を開こうとする。しかし、アデルグントとセオドアの生み出した竜巻が、ヨハンに時間を与える事を許さなかった。ヨハンの髪とマントが荒れ狂うように舞ったかと思ったその刹那、身体は宙に浮き、気圧で鼓膜に激痛が走る。気流の中で瓦礫が何度も身体に当たり、ヨハンは為す術もなく翻弄された) (3/13 16:36:57)
マリア/ヨハン > 「……っ…あ、うぁあ゛ッ!!!セリ……」(このまま竜巻の勢力から逃れる事が出来なければ、高度を増して落下の衝撃で死は免れない。天空から叩き落されれば、下が石畳だろうと深い水だろうと大差はないだろう。どのみち衝撃で身体は砕け、そのまま己の生み出した渦潮によって海の藻屑となるだけだ。)「……あれだ……あの上にッ……」(翻弄されながら、目まぐるしく変わる景色。安定しない視界の中で、セリヤーナが防御のために生み出した影の傘を捉えた。せめてあれに着地する事ができればと、一か八か身を捩って竜巻から脱する。────ヨハンの身体は回転しながら、影の傘の上を跳ねる。その間に小さく短い詠唱を唱えて、渦潮の魔術を解いた。) (3/13 16:37:08)
マリア/ヨハン > 「……うっ、ぐっ!……………」(水柱が上がり、ヨハンの身体は浅い海に沈んだ。水の中で、ごぼ、と苦しげに息を吐き出し、そして水面に顔を出す。まだ、体中の至るところが痛む。これで勝負が決していなければ、恐らくもう死を覚悟する他ないだろう。)「……やった、か……!?セリヤーナは……っ!?」 (3/13 16:37:16)
清瀬/セオドア > (太陽を掲げたのと同刻。禍々しい噴水はその勢いを殺し、変わりに夥しい量の冷水が地を埋めた。戦場は暴風の霰吹く湖畔となったのだ。空と海の渦が全てを摩り、牙を向いてあまねく全てを切り裂く。)「……っ!上だ、上に避け───ッッ!!」(魔術が満ちていく様子を、最初こそ固まった頭でただ眺めているだけだった。我に帰った頃にはかなり遅くて、言い聞かせるように叫んだその瞬間から傷口に染みる水が渦潮となり始めた。踏ん張る力は呆気ない程に無力で────水中へと引き込まれ、玩具のように蹂躙された。体の中の空気は追いやられ、流動体の大衆に押し潰される感覚に身が張り裂けそうになる。どれだけの時間無理やりな漂流の旅をしていたか。意識が薄れて霞み逝く直前、急に視界が捉えた水面から顔を上げる。) (3/14 00:40:07)
清瀬/セオドア > 「ご、ぼぁ……ぐ、げほ……っ!う゛、ぇ……っは、あ…………」(水面が現れたのではなく、湖そのものが退いていた。空気を取り込もうと先走り過ぎて喉を水が擽った。胃から、鼻から、吐き出した水と垂れる滴が湿った地に水溜を作る。足先は痙攣し、塞き止められた気管を抉じ開けるように肩で深い息をした。カーテンのような前髪から世界を覗けば、全てを無に還したような更地となっていた。全てあの対なる渦が浚ったのだろう。)「アデル、グントは………」(俯せた状態から僅に顔を動かすと、力なく伏したアデルグントの姿があった。途端に更なる悪寒に襲われる。悪夢の予感。このままでは彼女は、きっと。死を畏れ、そして崩壊を畏れた。今太陽が沈んでしまっては、皆の足元を、行方を照らす人が居なくなる。思うよりも早く、口は紡いでいた。) (3/14 00:40:18)
清瀬/セオドア > 「……仄聞の、風よ…書翰の傀儡の、糸受けを…揺らせ ──飛び立て、氷肌の伝書鳩。太陽の小僮、に…太陽の…加護を……」(水に侵された喉は何度も噎せ荒れる。掠れた声で咳に何度も阻害された詠唱は、頼りない一羽の氷細工の鳩を作り上げた。指先で押し出せば濡れた地を滑るように飛んでいく、戦いの終わりを啼く鳥はきっと、無事帰って来てくれた味方の元へと届くだろう。……助けが間に合うかはわからない。自分ですらまともに体を動かせぬ様だ。自身よりも酷い損傷をしている筈のアデルグントは、直ぐにでも治療をしなければもう元のようには戻れぬかもしれない。騎士団の頭とその参謀が消え失せる最悪の未来が訪れた場合、交渉の余地もなく王国の歴史は影に呑まれてしまうだろう。そんな事をさせてはいけないのだ。────痛みに苛まれる冷たい深海の中、足掻くことを止めた。)「……ヨハン少年、降参。もう此方は……戦えそうにない。……此処で殺す?それとも大衆を前に打ち首?……っげほ、んぁ゛、ぁ………いいよ、選べばいい、オレらはもう負けたんだ。……先に口でも、塞ぐかい?」 (3/14 00:40:36)
フルディア/セリヤーナ > (ヨハンのやろうとしていることはだいたい想像が付いたから、影の翼をひらいて空に逃げる。小手先の牽制で詠唱の時間は稼げたろうか。彼にばかり大技を頼んで申し訳なさもあるにはあるが…これも巡り合わせと思おう。)「まずい、これは判断を誤ったね…」(ヨハンと団長の大規模な魔術がほとんど同時に発現する。ヨハンの水攻めは想定通りだが、旋風を相手に空を飛んじゃまずかろう。タッグバトルで幾度と魔術のやり取りをして、肉体的にも精神的にも、疲労はもう無視できないほどだ。そんな中で空中障害物競走はとてもじゃないが長くもたない。視界の端にヨハンが暴風にもまれるのを捉えたが、とても助けに入れる状況ではない。心の中で謝った次の瞬間には自らも竜巻に呑まれた。) (3/17 16:44:55)
フルディア/セリヤーナ > (あまりの強風に息をすることもままならない。ウォータースパウトの飛沫に体温が奪われる。激しい上昇気流と旋衡風に煽られては姿勢制御など不可能だ。もはや飛ぶことは諦めて、吹き荒れる暴風に流されるまま上端から噴き出されるしかない。着地の算段はあるけれど、すぐに戦線に復帰するのは難しくなる。お互いダメージも重なった最終局面、あとは彼に託しても大丈夫だろう。)「あとは頼んだよ、少年。」(声が彼に届くはずもないが、口にすることに意味がある。なぜなら、我々は魔術師だから。) (3/17 16:45:13)
大和守/アデルグント > (──彼に託した締め句を耳に捉え、届いた事を感情に浸る暇など敵は与えてはくれなかった。その代わりの様に地は冷水に浸され、犯され、やがて重みを増していくのだった。)「……ッ、これ、は…………。……──我が主、我が力、我が剣、その尊き御力を賜らん事を此処に──」(この現実を嘘だと思いたかったのだろうか。遠くこの場所から離れていた意識。それは彼の叫びにハッと我に帰り、素早く詠唱を重ねようとしてももう遅かった。その途中で強大な力に呑み込まれ、押し流され弄ばれ翻弄される。抗う事すら叶わぬと、考える時間すら与えず問答無用で理解させる、圧倒的な力だ。無理に無理を重ねていたその体には抵抗の為に裂ける力など少しも残っていなくて、それでも重ねようとするのならばそれは【生】を諦めれば叶う事だった。【生】を諦めてまで抗うかなど考える間もなく却下。今はただ、少しでも生きられる道を選ぼうと、水の中でもがきながら必死に【生】目掛けて力を注いでいた。) (3/18 20:20:11)
大和守/アデルグント > 「……ぁ…………」(意識が揺らぐ。視界が薄れる。どうしようもなく身を蝕んでいた痛みすらも感じなくなっている事に【死】を感じて。水の中、まるで助けを求めるかのように手を伸ばそうとしたのが最後。その途中でふっと体の力が抜け、【死】を悟って。──そのまま、アデルグントは意識を失った。手放したくはない、掴み続けられるのならば続けたかった意識を無理矢理引き剥がされて。ただ、思った。【敗北】が訪れると。騎士団長だというのに、こんな所でだらしなく終わろうとしている。私は騎士団の光にはなれない。なれなかった、のでしょう。嗚呼────『ごめんなさい』。) (3/18 20:20:14)
マリア/ヨハン > (────────────…………) (3/18 23:23:51)
マリア/ヨハン > (竜巻が収束したその瞬間、鎌を持った死神が風を巻き起こしながら耳の横を通り過ぎ、『また今度にしておいてやる』と囁いたような心地がした。敵の覚悟たるや天晴。ヨハンは膝をつかないでいるのが精一杯で、血の混じった咳を拳で受け止めながらセオドアに近づいた。)「……降伏宣言、しかと聞き入れたぜ。神々の照覧の元に。……ちょっと、待ってろ。」(そう言うと、ヨハンは大きく息を吸い込み、砦に向かって叫んだ。)「……フィディアアアアアッ!!聞こえていたら、旗を掲げてくれ!!……オレたちの勝利だ!!!」(旅団の徴は入れ墨しかない。けれど、見せしめの為にも戦旗を掲げる必要があった。『馴れ馴れしく呼ぶな』なんて文句があるとすれば、後で聞き入れる事としよう。) (3/18 23:23:59)
マリア/ヨハン > 「今アンタをどうこうする決定権はオレにゃないんだ。王都を手に入れたところでうまく支配できるかどうかは別の話だ。法皇城で会おう、あの騎士団長さんも一緒にな。オレも仲間の治療に向かう。」(言外に『お前も行け』と合図をし、セオドアから目を離す。)「……”血腥さの中で感慨に浸る”時間が無くて悪いね。ぁあ勘違いするなよ、情けなんかじゃない。逃げたらどうなるか最悪の想定をしとけ。……じゃな、セオドア。逃げ道はあの世にもないと思えよ。」 (3/18 23:24:05)
マリア/ヨハン > (ヨズア暦30679春) (3/18 23:24:13)
マリア/ヨハン > (王都陥落。)〆 (3/18 23:24:18)