フィディア&ゼロイバ

スザン会戦

清瀬/フィディア > 「王都攻め、か」(此所はスザン、ケシェトの滝の流れる王国の地。己が旅団に入った時には、此所は帝國の有する國であった筈だ。三年前の此所での同胞の勇姿やアガン、ガーラの陥落を筆頭に火蓋は既に落とされている。カンタリもマージも王国から剥ぎ取った、手負いの騎士共が数人程度居るばかりで、スザンももう袋の鼠。)「よくやるよね、なぁアスセナ。あいつら…ヨハンもギゼムもさ」(自らの手で仲間と落とした基地を背に、手にした旗はひらひらと南を向いた。指輪を太陽に透かせば目を貫くのは眩しさ、辺りを飛び交う相棒を口笛で呼べば、一匹の時鳥が肩に停まる。旅団の皆のギラギラとした姿といったら、猛獣が檻から解放されようとその牙と爪を突き立てているようだった。帝國と手を結んで王都へ入り袋叩きにする、そんなところか。平和ボケしてる、なんてわけじゃなさそうだけど。   (3/5 15:06:07)
清瀬/フィディア > でもどうだろう、元帥だと思っていた人があの“袋の野郎”だって知ったら、皆どうなるのやら。帝國と起こるだろう後の事はよくわからないが、今は謂わぬが吉、だろう。)「……あーあ。オレだけ手ぇ抜いちゃったら、かっこつかないじゃんか」(こんなに手が震えているのは、いっそ寒さか恐怖ならば己らしかった。闘うことの、命を燃やすことの、こんなにも背筋が奮えて笑みが止まらないことを教えられてしまった。あいつら余計なことするよ、ほんと。近くにいたヌセにアスセナを預けると、何重にも着た服を追い風に揺蕩わせ歩いた。目指すのは敵の待つ場所。人の影を視界に捉えると足を止めて、空を仰いだ。綺麗な青色、どこまでもこの世界を上に進めば、そこには神のおわす国があるのだろうか。……どうぞ、これをお聞き下さい。)   (3/5 15:06:10)
清瀬/フィディア > 「────レラ アシ」(風が、吹く。)「キムン ソ カ タ ホラリ カムイ イキ エネ、レプンソ カ タ ホラリ イキ エネ」「レラカムイの冥加を、ヨズアに賛美を。今、颶の襲来を。──ダー・ニト・ロロイ・ロジータ」(自身を竜巻の目とするように、風が半透明な白い軌道を描いて廻る。風はいつしか辰となり、渦を巻いて昇る。瓦礫や岩の破片を巻き込んで怒った突風は、人影を捉えると標的目掛けて突進した。)   (3/5 15:06:19)


ゑゐりあん/ゼロイバ > さて…と。記念すべきあたしの初陣って訳だね。こりゃぁ腕が鳴るってもんじゃないかい(こちらに目掛けて突撃してくる突風を目の前にして、動揺を見せずむしろ笑みすら浮かべる長身の女が1人。肩に担いだ船の錨は非常に重そうで、しかし彼女の実力を感じさせるには十分な代物であった。そんな錨を地面に突き刺し、軽く準備運動。そして腰を落とし、右手を後ろに引いて目を瞑る)全てを恐れさせよ 全てを破壊せよ 全てを蹂躙せよ(詠唱を始めると同時に、彼女の右手の内に小さな水球が発生する。その水球は渦を巻き、徐々に徐々に肥大化してゆく)母なる大海の底知れぬ怒りをもって 我が敵を 我らが敵を ただひたすらに ただ一方的に ただ永遠に(気がつけば水球はメロン大の大きさとなっており、耳を近づければ空気を切り裂くような音が聞こえるだろう。しかし、眼前には轟音と共に襲い来る突風がゼロイバの肌を撫でようとも彼女は怯える様子もなく、好戦的な笑みを浮かべ)   (3/5 15:27:59)
ゑゐりあん/ゼロイバ > ひれ伏せさせよ(突風に向かって勢いよく右手を前に突き出した。突き出された右手にあった水球は突風とぶつかり合い、轟音と共にふたつは弾け飛んだ。水球の水が風によって周囲へと飛び散り、辺りに雨のように降り注ぐ)おっと…。意外と威力が高かったみたいだね。…こりゃぁ楽しみだよ(想定よりも突風の勢いが強かったのか、少しばかり後ろに吹き飛ばされるゼロイバ。しかし錨を掴んで踏みとどまり、顔に付着した水滴をペロリと舐めとる)よぉ!ヨズアの…えー…戦士!あたいはフェニクス騎士団の騎士、ゼロイバってもんだ!(そして遠くに見える人影に対し、ゼロイバは大声で語り掛ける)大抵こういうときって、もう少し気の利いた問答とかするんだろうけどよぉ!あたしはそういうのニガテだし、なんなら早くあんたと戦いたいんでねぇ!   (3/5 15:28:06)
ゑゐりあん/ゼロイバ > (そういうと、ゼロイバは大きく右手を後ろに引く。その中には、リンゴ大の先ほどと似た水球が)さっさと…殺しあおうや!!(そういって腕を鞭のようにしならせて振りぬくと、右手の内にあった水球がフィディアめがけて飛んで行く。この水球は、中で水が高速回転しており渦を形成している。水は、その気になれば鉄の板すら切断するほどの高威力を見せるものだが、この水球内部でも同じことが起きている。超高圧で水を回転させることで、内部では並みの剣よりも鋭い刃が無数に渦巻いているのだ。このサイズではあたっても軽症だろうが、それでも攻撃を避けないに越したことはない。さて、お手並み拝見と行かせてもらおう)   (3/5 15:28:11)


清瀬/フィディア > 「……はっ、格好を間違えたんじゃあないのかぁ…女!海ならもっと南だけどなぁ?…此所じゃあ山賊の方がお似合いだろうよ───」(なんというか、随分と派手と言うか気の合わなそうな奴が居た。火を噴く山々の聳えるスザンでは特別浮いたその姿は、所謂海賊と呼ばれる輩の格好そのもの。水球を手に纏った彼女が通り雨を降らせれば、癖のある銀髪がしっとりと濡れてバンダナに張り付いた。愉しげに喉笛を狙ってくる女は安直で読みやすくて、余計なことをされるよりずっと心地いい。貴方の姿を揶揄する声を遮るように、何かが宙を一直線に飛んで来た。捩った身を掠めていったものが水の塊であるとわかったのは、焼け焦げるような布の音をすぐ側で聞いた少し後だった。削れたバンダナと髪、それから額の表面。切り口は異様なまでに整っていた。……ああ、今の。あと少しずれてたらちょっと…かなり不味かったかも。こめかみから伝う雫が冷や汗であるか雨粒であるかはわからなかったが、彼女の魔術の産物であることは確か。これも幸運であり神の加護、だと思っておこう。)   (3/5 16:16:32)
清瀬/フィディア > 「……いいね、そういうの。口下手を気にしてるなら安心しろよ、すぐに何も言わなくてよくなるさ。……お望み通り相手して、殺してやるよ」(殺し合うのなら、快晴の空のように潔くやってやろう。額から垂れた血を指貫の長い手袋で拭うと、旗をつけたハーベルトを地に真っ直ぐと刺した。)「アンノミ カムイ エシタ タノクラン カムイノミアン クシ エンタ イコシネウェ ワ イキ ヤ」(再び魔術を紡げば、旗を五月蝿く音立てて颶が周囲を取り囲む。風でできた鳥籠が貴方の背後を、頭上を、遠くからすぐ側までを、じりじりと掠めるように吹いていた。神に祷を捧げれば、天から伊吹が遊びに来る。万物をを地に伏せさせんとする風が頭上から吹き付けて、それをぐっと堪えながら、苦しさを孕んだがなり声で唱えた。)「カムイカル。風斬の翼を以て烈風を、春嵐の訪れを、靦然たる悠然を。──射抜け、匂鳥」(鳥籠の風から飛び出したのは数匹の小さな鳥を模した魔術。貴方の腕を、太ももを狙う鎌鼬が貴方の後ろから鋭く襲いかかるだろう。)   (3/5 16:16:33)


ゑゐりあん/ゼロイバ > 海だけが、あたしたちの居場所じゃないのさ。自由を求める海賊にとって、海賊がいる場所が海なのさ!(そう叫ぶと、相手の旗が不自然にはためき始める。敵の攻撃、最初の攻撃から察するにおそらく風の魔術)ならば…ッ(ゼロイバは全身を力ませ、顔を腕で覆い防御の姿勢をとる。この鍛えぬいた筋肉なら、多少の風は問題ないだろうという算段である。しかし、一陣の風が前ではなく後ろから吹き抜けたかと思えば)   (3/5 16:31:21)
ゑゐりあん/ゼロイバ > ぐ…ッ!?(腕や足から鮮血が噴き出る。筋肉を固めたため切断こそされなかったが、それでもそれなりに深い切り傷がゼロイバの腕や太ももにできる)く…ッ(そうして両腕をダランと垂れ下げよろめくゼロイバ。しかし、すぐに踏みとどまり肩を震わせる)はは…ッ。ははは…ッ(そして顔を上げると、その表情は狂喜に歪んでいた)はははははははは!!!いいねぇ…。いいねいいねいいねぇ!!魔術師同士の戦い…ッ!今までの戦いとは一線を画す興奮じゃぁないか…ッ!!ビンビン感じちまうよ…(ニィッと口角を上げたゼロイバ。今度は両腕を引き、左右の手のひらに水球を作り始める)もっと…もっとだよ…ッ。もっとあたしを…(そうして再びリンゴ大の水球が完成し、二つともをフィディアめがけて統合する)感じさせておくれよぉっ!!!(浮かべる笑みはまさしく鬼神の如く。純粋に戦いを楽しむ、狂戦士そのものであった)   (3/5 16:31:27)


清瀬/フィディア > 「お前……っこの、狂人がよ……!」(とち狂ったように嗤う海賊の、邪悪こそなけれど奇態な様態が喉を気色悪く撫でた。呼び起こされることのないと思っていた猛る闘志が沸々と燃える刺激を渇望する。風の魔術が剔抉した慎みのヴェールの向こう側は、鮮血と清々しい狂気。水の脅威なんてもう腹が一杯、一昨日来やがれ。可視のできない闘技場を纏っていた風を呼び寄せると水の珠を弾き、散らした。頬や幾重の布を刻む水滴の刃に心を盲目に躍らせて、この歪む殺意の中刮目した。)「きっしょく悪いなぁ、俺そういうの嫌いだからさ。……さっさと逝けよ、なぁっ!」(叫んだ慢心のなかには、巫山戯た道化のように闘いを楽しむ貴方を甘く見るような節もあったのかもしれない。ヨハンが渇きの地を満たしたのなら、俺はこの潤いを生気ごと吹き飛ばしてやる。気紛れに放浪していた心に燭を与えたのが戦ならば、力を以て応え鎮めよう。光から隠れがちであった紫の瞳の瞳孔を開いて口からは犬歯を剥き出した。今神を呼び起こすその故は、愉快の為。)   (3/5 20:26:21)
清瀬/フィディア > 「セイ オテルケ ワ ヤッカ、チュプ カムイ タス」「追い風の運ぶは絹の百合、風守りの方舟を抉じ開けよ。暮れの雁、啼かぬ時の鳥、臥籠のうちの雀は嘶き、飯豊は瞳をいからす。──振り立て、緑柳の時に茹だる薫風よ!」(斧とも槍とも呼べぬその刃の先をゼロイバに向け、詩を贈る。体の全てを魔術な預けるような、目眩と脱力を練ったような感覚に襲われる。それは集まる浮遊感によるもの、熱に浮かされ侵された身体によるもの。高まるままの意識を更に沸騰させ、渦潮のように引寄せる風を意のままに。熱気と冷気とを縒り合わせた矢を放つように、伸ばしたハルベルトの先から僅かに紫に染まった風を脇腹目掛けて射ち放った。)   (3/5 20:26:30)


ゑゐりあん/ゼロイバ > まだ逝けないねぇ…ッ。魔術師同士の戦いが、これ程までに楽しいと知ったからには、もっと戦いたいからねぇ…ッ!(彼の雄叫びにそう返す。そうして地面に突き刺していた錨を手に取り、相手に向かってかけ出すゼロイバ。どうやら近接戦で勝敗を決めるつもりのようだ。しかし)この風は…ッ(相手に風が集まり、紫色の豪風をハルベルトの先に形成する。そして放たれた風の一矢はゼロイバの脇腹目掛けて真っ直ぐに空を翔ける)速い…ッ!(ゼロイバは回避しようと脚に力を入れたがズキリと脳内に痛みが走る)こいつは油断しちまったかねぇ(それでもゼロイバは最後の抵抗に体を横にずらす。風の矢は彼女の腹部に文字通りの風穴を開けたが、体を横にずらしたのが功を奏したのか、臓器に傷は付かなかった)くぅ…ッ。効くねぇ…ッ(顔を歪めて膝を突くゼロイバ。しかしその顔はやけに楽しそうだった)   (3/5 20:46:37)
ゑゐりあん/ゼロイバ > …海賊稼業を続けていたんじゃぁ滅多に合わないような魔術師との戦闘。…それを何度も行えるのかい…ッ。こりゃぁ…陸に来た甲斐があったってもんだねぇ…ッ(脇腹を抑えながらも、錨を支えにして何とか立ち上がるゼロイバ)今回はあたしの負けだよ。…いい経験をさせて貰ったと礼を言わせてもらうよ。…また殺し合おうじゃないか。もっと対魔術師の経験を詰んで、あんたと戦わせてもらうよ…ッ(そういうとゼロイバは腹部に傷を負ったにも関わらず錨と足を引きずりながら、戦地から撤退した。海の上では負け無しだった女海賊ゼロイバ。しかし、魔術師同士の戦闘の経験値は皆無だった故に敗北を喫したのであった)   (3/5 20:47:49)