アデルグント&ヘスティア
鎮火大和守/アデルグント > 「ーーヘスティア様ッッ!!」(ーーなんて、医務室に駆け込んでくる騎士が一人。余程急いでいたのだろう。息を切らしながら、【水】の厄災に呻く者達や、彼らを治療しようと奮闘する司祭達を押し退けながらもアデルグントは必死に一人だけを探していた。あまりにも必死なその様子を見兼ねてか、一人の司祭がアデルグントの元へと訪れ、『ヘスティア様は彼方に』と場所だけを伝え立ち去っていった。有難うと口にする余裕も無く、アデルグントは駆けた。早く、早く、早くーー嗚呼。)「ヘ、ヘスティア様、ヘスティア様ッ!! アデルグントです、……ッあ、嗚呼っ、どうか、どうか、ヘスティア様……死なないで、どうか、生きてくださ……ッ」(先ず視界に入ったのは、ベットに横たわり眠る貴女の姿。まるで転げる様にしてベッドの側の床に片膝を立てて座れば、涙を溢し手を組んで祈りながら貴女が目覚めるのを希っていた。ーーどうか、どうか、太陽よ。私の太陽よ。私の憧れるただ一人の太陽よ。まだ落ちず、堕ちず、どうか。どうか私を照らし続けて下さい。) (3/4 21:48:01)
マリア/ヘスティア > (聖騎士団医務室は、緊急事態の真っ只中だ。病床は足りずに、司祭は順繰りに患者を回っていた。ヘスティアもその中で、自分の順番を待ちながらこの世に別れでも告げようかと、考えるともなく思っていたところだ。───本当は、元騎士団長であり万騎長の彼女を司祭が後回しにするはずもない。彼女が意識を失っている間に、手の甲には『回復見込み無し』の印である赤いインクがとうに押されていたのだが。息を吸うのも辛い……内臓がやられている。震えながら細く長く吐き出すと、重い体は寝台と一体化するかのように沈みゆく。それでもなお、まさかこんな所で死ぬとはまだ思っていなかった。帝国元帥との死闘からも還ったのだ。なまじヘスティアの中に刻みつけられた経験が彼女を落ち着かせていたのは、幸は不幸か、まだわからない。)「……あ…………」(とぷり、と暗く深い海に落ちてゆく感覚の中、水面から差し込む光はよく知る者の声だった。ヘスティアはゆっくりと瞳を開き、そのものの顔を見る。……ああ、なんと言ったっけ。この女性の名は……) (3/4 22:35:58)
マリア/ヘスティア > 「……エ…トワール……」(枯れた声で、あなたの名を呼んだ。これが最期なのだとしたら、騎士団長であるあなたに遺言を託せと神が巡り合わせてくれたとしか思えなかった。) (3/4 22:36:08)
大和守/アデルグント > 「ヘスティア様、っ……!!」(名が、呼ばれた。固く閉じていた瞳を開き、貴女の方をはっと見つめた。枯れてしまった声が貴女の残りの命を表している様で、アデルグントはぽたりぽたりと涙を溢れさせた。)「ヘスティア様……嗚呼、本当に、目を覚まして下さって良かった……。どうか、まだ話されないで下さい、落ち着いて……ゆっくりなさっていて下さい。大丈夫、大丈夫ですよ、ヘスティア様。きっと私が、貴女様を救ってみせますから……」(それは貴女に対する言葉であると共に、自分に対する暗示でもあった。自分なら出来る。自分が、彼女を救わなくてはいけないのだ。)「……だから……また、……ーーあの太陽の様なお姿を、見せて下さい……」(ーー大丈夫、大丈夫だ、アデルグント。まだ彼女は生きている。生きているのならば、何とか出来る。その筈だ。回復の見込みが無い、なんて赤い印なんてキッパリと否定してやればいい。お前は騎士団長だ。この御方に背を押された、騎士団の長だ。ーー何としてでも、彼女を救え。) (3/4 23:12:27)
大和守/アデルグント > (アデルグントは、その夕焼けの空の様な紅の瞳をゆっくりと閉じ。そして、祈る。詠唱を、紡ぐ。全ては、己の太陽の為に。)「ーー全てを閉じ込め封じる神聖なる我が力よ、封じ込めし力を今顕現せしむ事を冀う。我が主、我が心、我が力。願い、信じ、命ず。害を封じ生を引寄せよ。その輝きを以て在るべし。落日を煌めかせ彩らん。我が真名の元に、我が字を以て其を為す事を命じる。ーーーー太陽の名の元に……!!」(ーーどうか、落ちかけていた太陽が再び天へと登り輝きますように。) (3/4 23:19:11)
マリア/ヘスティア > (────味覚。口の中に満ちていた鉄の味が、失われた。)「……エトワール、……ゲホッ、ごめんなさい……王国を守れなかった……」(嗅覚。血の匂いに混じった、化粧っ気のない清楚な石鹸の香り。快活としたあなたらしい香りがいつのまにか消えていた。)「”マージを”じゃないよ……ウェンディアは……もう後がない、の。降伏するなら、今……ごめんなさい、でも、きっと皆、それにまだ、気づいてない。気づかないふりをしてるのね…きっと。戦争って、こうやって終わるの。」(触覚。指先が冷たくなってゆき、あなたの手を取ろうとも、もう持ち上がらない。) (3/5 00:12:13)
マリア/ヘスティア > 「旅団は、王都を攻めるでしょう……最後の一人まで、戦うというのなら、それも良いと思います。……だけど、勝っても、負けても……それで終わりにしましょうよ。」(聴覚。…あなたは、私を責めているだろうか?それとも”はい”と言ってくれるだろうか。もはや何も聞こえない。聞こえないから、そんな決定権もないくせに、宣う事が出来る己を自覚していた。)「私の最後の、幹部会議です。……よく聞いて。この負け戦の中、あなた達が意地でも掴み取らねばならない勝利は……無条件降伏を、しないこと。……生きてさえいれば……まだ……立て直せる。だから、だからね……」(唇が、喉が、思うようにならない。) (3/5 00:12:25)
マリア/ヘスティア > 「……ヨズアを、共和国として認めて。このウェンディアと統合してでも、生き残るの……。……ぁ、……君主を戴かせないこと、朝廷に、はいり、……勝利しても、勝つまで王都を攻めて、くるから、……この戦を終わりに……首都をくれてやるなら……リント……帝国は、刃を向けてる、だけど、元帥に掛け合えば、あるいは。……私、もう解らない……でも……」(視覚。──バチバチ、と音を立てながら蛍光灯が点滅する。ふっと消えたのは、自らの視覚か、それとも部屋の明かりか、解らなかった。) (3/5 00:12:34)
マリア/ヘスティア > 「………戦争を……終わらせ、たいって……っひ、ぐ……散々ッ……散々、宣った、騎士たちが、いたのだもの。……馬鹿ですよ、こんなになるまで……気づかないで……技術に、あぐらをかいて……ッ!ならば、終わればいい、奴らだけは、統合に、反対できないはずよ……!…っひ、……う、あなたや、セオドアは、……戦う、権利がある。だけどね……。王都を、攻められて、重い腰を上げる、無責任な奴らなんかに……英雄にならせて、たまるもんですかッ……!!」(死期を悟って、感情が理性を醜く塗り替えた。これが幹部会議だと言うなら、あまりにも理不尽で、無責任だろう。泣きじゃくりながら、心底悔しそうな表情のまま、ヘスティアはまだ闘志に満ちた瞳をそっと閉じた。) (3/5 00:12:47)
マリア/ヘスティア > 「……見せてやりなさい、……ペンは剣よりも……強しという事を。」(第六感。)〆【鎮火】 (3/5 00:12:53)