ヨハン&ターラ

カンタリ会戦

マリア/ヨハン > (【ウェンディア王国領カンタリ/白日】カンタリの前哨基地が、旅団の手に落ちた。────『後は頼んだぞ。』オレと同じ赤い目をした旅団の仲間が、肩に手を置く。『行こうヤロブアム。エシュコルが結構やばいらしい。』その後ろから赤い目の男に声をかけ、背を向けた青年の耳飾りがきらりと光った。『治療なら私も行きます。メナヘムさんは得意じゃないでしょ?』すらりとした青い目の女が、赤い目の男と耳飾りの青年に続いて治療用の陣幕の方へ駆けていった。『んじゃ、俺はヨハンと本丸をぶちのめしてやっかな。アーッハッハッハ!』黒子の多い顔を緩ませてげらげらと笑う大柄の男の後ろで、小柄な三編みの少女が不服そうに腕を組んでいた。『アモス、だめ。あなた、次は致命傷。』『ナアマの言う通りにゃ。イリアみたいになりてぇなら止めないけどにゃ?』古典派風の派手な男が、三編みの少女に賛同する。『コハとヌセ、どこ?』『あー、とっくに治療にあたってるはずにゃ。』『ッチ、お前らマジでこのひよっ子に本丸を任せる気かよ?』大柄の男はヨハンの顔を一瞥し、少し棘のある軽口を向ける。)「……はは。まー見ててくれよ。オレはまだ無傷だからさ。」   (3/3 00:21:24)
マリア/ヨハン > (ラージャ・ルビーのマントを肩にかけ直し、仲間たちを残して単騎、ヨハンは陣幕から一歩足を踏み出す。……これだけの仲間たちを差し置いて、名誉を譲って貰うのだ。負けたらゴメンだなんて口が裂けても言わないし、言えない。一瞬だけ、自分の思い通りにならない身体に気がついてはたと手を見る。自分は、この戦いを畏れているのだろうか?)「────いいや、武者震いさ。」   (3/3 00:21:32)
マリア/ヨハン > (誰にともなくそう告げて、ヨハンは青空をバックに聳える砦を仰いだ。近頃ずいぶんと暖かくなってきたが、今日はやけに風が強い。追い風でありますように。そう心の中で、祈りを捧げた。)「……俺はシュクロズアリ旅団、潮騒の魔術師ヨハンだ。この砦……貰い受ける。」(故郷のマージにほど近いカンタリという地は、海に面していながらも乾いた地面を有する。だからといって不毛地帯という印象は無いから、恐らく魃の神と共に歩んできた歴史があるのだろう。それを今日、ひっくり返す。味方をするのは海神か、魃神か。さぁ、賽を振ろうじゃないか。)   (3/3 00:21:40)
マリア/ヨハン > ((1d100+25 → (86) + 25 = 111 (3/3 00:05:05) 本部屋参照   (3/3 00:21:57)
マリア/ヨハン > 「……わだつみよ。」(腹の底からうねるものを海とリンクさせ、神の息吹を感じる。)「大水の逆巻くうねりよ。潮の手を打ち鳴らす音よりも力強く騒ぎ満ちよ」(割れてひびの入った荒れ地から、じわじわと血のにじむように潮が満ちゆく。)「砕け散り轟く高波よ かの者を踏み砕き 坩堝にすべく 響きをあげて呼び集まれ」(これは地鳴りか、それとも耳鳴りか。大きな海蛇が水底を這うような低い音が、徐々に大きくなってゆく。)「二つの扉を押し開いて迸る、混沌の海。」(あえて見ないようにしていた敵のほうへ目を向ける。何か金属製のものがきらりと光った気がしたが、逆光でその姿を詳細に捉える事はできなかった。ただ、それは小柄で。少年か、それとも、少女なのだろうかと考えそうになる思考を振り払いながら、大きく息を吸い込んだ。)「顕現せしめよ!我が人為の限りに尽くし希求する。ダー・ニト・ロロイヨハン……!」   (3/3 00:22:08)
マリア/ヨハン > (ごぽ、ごぽごぽ。潮騒が嬉々として地を揺らした。どぷっ!─────天地を逆さまにした滝が、割れた地面の溝のひとつひとつから尖く吹き上げる。)「海とそこに満ちるものよ!轟け!!!!」(地に蓋をされ高圧となった水の筋は、刃のように敵へ襲いかかるだろう。後に金剛石を加工することすらも出来るようになる高圧水の力をまだきっとこの世の誰も知らない。文明を凌駕するのは、ただ、神への畏怖である。)   (3/3 00:22:14)


清瀬/ターラ > (会戦を控えたカンタリの地、野営のテントは駱駝色の三角屋根を頼りなく風に揺らしている。寒さがその厳しさを弛める頃、然しながら冷気に体は芯から冷えて、ウェントよりも乾いた空気が口を伝って気管を、肺を、鑢で荒々しく削っては無造作に乾かしてくる。咳を一つすればやけにさらさらとした痰が喉から上がってきて、その燻りを治めようとテントの入り口を捲る。外で見張り番をしているのは、砂の混ざった冬の風に橙の髪を靡かせる女兵士。腕を覆った白い布を肩から下げている彼女に微かに笑いかけると、隣に腰を降ろしては一緒に地に座るように促した。)   (3/3 01:21:54)
清瀬/ターラ > 「本当にありがとうね、ヴィッキー。貴方が着いてきてくれて心強かったよ。騎士団内も騒然としてるからかな、中々皆来てくれないものだね」(王国も帝国も見境なく襲う混乱に乗じてか、カンタリの地はヨズアの一味にその旗を狙われている。義手を覆う手袋の留め具を何度もを弄りながら、情けない笑い声と共に不安を茶化した。『無茶言うわよほんと。貴方しか居ないなんて頼み込んできて、この貸しは高くつくわよ』なんて憎まれ口がどうにも頼もしくて、それと同時に彼女に怪我を負わせてしまったことに罪悪感を感じざるを得なかった。戦争に出ていればきっとこんな怪我は茶飯事で、ヴィッキーも内心こそわからないが『なんでアンタが気にするのよ』なんて言ってくるに違いない。ただ昔からの知り合いであるというだけで、背水に陣を構えてくれる彼女は騎士そのものであった。)   (3/3 01:22:08)
清瀬/ターラ > 「──ふふっ、なにその顔。わかってる。ヤバくなったらすぐ戻るし、私がタフなのはよく知ってるしょ。はい、怪我人はもう大人しく寝るの」(空は蒼い、まるで今から戦火のあがることを知らぬように悠々としていて心地好い。騎士団が制服を蒼空の色に染めた気持ちはよくわかる。仰いだ人目を戻せば、神妙な顔のヴィッキーが見つめていた。まるでこれからのことを不安に思うような苦い顔に、大丈夫といつもの大口。これ以上話していては恐怖から甘えたくなりそうで、半ば無理やりに彼女の体を引き上げるとテントへと押し戻した。夕焼けの髪が揺れて透き通った声が響く、『怪我人って……アンタもそうでしょ、ターラ。そのお腹にはまだ包帯が巻かれてて、武器だって使い慣れてないもんだってこと忘れるんじゃないわよ』。……そんなこと言われなくてもわかっている。怪我を戒めることは、この間よく学んだから。「大丈夫」と生返事を溢して、入り口に凭れていた体を起こす。きっと勝ってくるとは言えなくて言葉を探した。   (3/3 01:22:48)
清瀬/ターラ > 己には大きな目的を有言した時に、裏返せば表れるものがある。天の邪鬼な言霊にとり憑かれたそれは、翻る旗と揶揄されることがあるらしい。陰湿なまでに卑屈なのは嫌いだ、同じ旗ならば、頂きに聳えるに相応しい太陽の旗を、このカンタリに仁王立ちさせることだけを考えていよう。だからこれは、密かな願望を魔術に乗せて願う我が儘。)「いってきます、太陽の名のもとに。……そうだヴィッキー、帰ったらオウトスイートのバイキングにでも行こっか。ガトーショコラ、一緒に食べようね」(乙女な秘密を交わる小指で誓って、笑顔で返事を封じた。ヴィッキーには迷惑しか掛けなかったのだから、好物ぐらいはなけなしの財産をはたいてめいっぱい奢ってやろう。そんな楽しみに気を向けてないと、先着順向かい、立つ足すら折れてしまいそうだった。敵が来る、なんて予感でしかなかったが、これが所謂知らせという奴だ。本陣へとやってきて暫くしないうちに、不穏な影は訪れる。今日は、愛しの宿敵よ。露出した左手に触れるやけに滑らかな砲のボディ、汗に蒸れた手袋。豊作とは程遠い干魃の地では神に祈りなどは届く筈もなく、相手が近づくのを待つしかないのがもどかしかった。)   (3/3 01:23:12)
清瀬/ターラ > 「……っ!な、に……!?」(地の底に巣を作った化物が嘶くような、鼾のような低い音が辺りを支配する。雷鳴とも違うそれと共に、乾いた地は広い水のように満たされていく。摩訶不思議、としか形容のできぬそれは魔術、神々の恩恵。意識を相手から逸らしてはいけない、屈してはならない、けれど怪我をして負けてはならない。暗示のように脳裏で沢山のことを繰り返す。遠くに見えた。私のように垢の抜けぬ、けれど悠然と立ち魔術師の命をうけた彼は立派な“人”であるように見えた。)「と、止まれっ…そこのヨズアの民!この地は王国の治めるカンタリ、お前たちにも帝国にも、明け渡すわけには──」(虚勢の叫びを遮ったのは泡の音。海の底がもがく吐息が気泡となり、噴水となり、刃となる。一際大きな轟きと揺れ。彼方から、そちらから、天を貫くように水の柱があがる。地割れから噴き出したワダツミの怒りがすぐ右で聞こえたと認識した時には、体が水面に打ち付けられていた。)   (3/3 01:23:28)
清瀬/ターラ > 「な、にが…ッッ、ぁ──い゛、あぁぁっ!!」(踝にも満たない程度に水面は低く、浸った頬と髪が湿れば冷たさに体は益々震えた。右腕を地につけて起き上がろうとすれば、不意打ちの激痛。側に敵がいることも忘れて苦痛を言葉にならぬしゃがれ声で叫べば、目の前の水は赤かった。食われたのだ、魔術に。あらぬ方向に指がひしゃげ、親指の付け根から手首の鵬へと裂けた右手だけは無情にも無感。見ることもおぞましい腕の容態は、本能がもう戻らないと告げる。神経を一本一本引き裂かれるような、それが一番近い点滅の感覚。背後に近付いた気配に、視線を向けることはない。)   (3/3 01:24:08)
清瀬/ターラ > 「来るな!!来……っあ゛、ぐ………、お前ら、なんて。たかが私を討ち取っただけじゃ!やるなら……っ、殺せばええやない!騎士団はお前らに屈するほどヤワやないからな、必ずお前も地獄に引きずり下ろしたって、っ……が、ぁ……う゛、ぅ……」(虫の這う脳内は煩かった。未練ばかりしか浮かばなくて、もはや敗走の余地もない。できることとは、せめて弱味を見せぬための継ぎ接ぎな主張だった。オウトスイーツのガトーショコラ、一度でいいからヴィッキーと食べてみたかった。来世に行っても極楽でも、ましてや地獄にはあんなに美味しい食べ物はないだろう。急に湯船に浸かるような暖かさに襲われて、嗚咽感に従うまま負け惜しみの吐露が終わってしまった。)   (3/3 01:24:16)