袋の男&ユピテル

「悪」と「悪意」が出会う時

大和守/袋の男 > (──煙の様な男と別れ、それでも尚ソイツは歩んでいた。どうにも怒りは収まらず、良さげな子供は──否、この際ぶっ殺せるなら何でも良い。油断しきった、そんな輩は居ないかと望んだ所で。その願いを聞き届けた様に、角を曲がった先には一人の少女が何やら独り言を呟きながら歩いていたのだった。──なんて好都合なのだろうか! きっと自分の素晴らしき悪事に免じて望みを叶えてくれたに違いない、と。気配を、足音を消しながらゆったりと近付き距離を詰め。すぐ後ろで、ソイツはにやりと不気味に笑みを浮かべた。)「良さげな餓鬼が一匹彷徨いてんじゃァん……こーんな所でなァにしてやがんだァ?」(『ガキ? あたしの事ガキって言ったのかしら? せめて、悪餓鬼って言って欲しいよね。だってオレらは人にとって悪い事しかやらないもんなーっ!』。落ち着いた様子で、けれどまるで幾つもの人格があるかの様にころころと口調を変えて。ぴこぴことその手に填めたパペット人形を揺らしながら、少女──ユピテルも嗤った。)   (3/2 20:25:51)
大和守/袋の男 > (その笑みの意味は、【悪】であるソイツにはよく分かった。嗚呼彼女も──【同類】だ。見目は平凡な子供だでも、その中身は化物と変わりない。そう、ソイツは確信して。)「──ゲラゲラゲラゲラッ!! テメー、悪餓鬼なんて次元に収まんねぇな。寧ろ、化物っつった方が適切じゃあないかしらッ!! あ~、おッもしろいなァ!」(『今ので分かった。君も同類、なんだね。お姉さんも同じ……悪い奴なんだなっ!』。同じ様な思考を持つ者に会えたのがユピテルには喜ばしいのだろう。)「──けどなァ」(だが途端に、ソイツは殺意を露にした。今までの上機嫌は何処へやら……否、そもそもあれは上機嫌だったのだろうか。)「そういう【悪】はアタシ一人だけで良いんだよ……だから他の【悪】は、此処でぶっ潰してやるよッ!!」(『それはとっても……強欲、だな!』。それは即ち、【戦闘】の合図だ。ユピテルはソイツの豹変に驚かず、不気味に笑みを見せた。会話も良いが──戦うのも最高に楽しくて、"イイ"のだから!)   (3/2 20:27:20)
大和守/袋の男 > 「ゲラゲラゲラッ!! お前みたいな餓鬼一人簡単に捻り潰してやらァ!!」(『子供だからって舐められてるのかしら! 僕達を侮ってると、後悔するよ。だってオレらはただのガキじゃねーもんなっ!』。ユピテルの言葉なんて聞いても居ないのだろう。遮るようにしてソイツは少女に向かって飛び、瞬時に変化させ短剣を頭目掛けて斜めに振り下ろした。相手が子供だからといって容赦など一切しない。化物だと、不死であるイモータルだと分かっているなら尚更だ。『あっぶないじゃない! そうだよ、ユピテルが怪我する所だった……サン』。それを寸での所で身を翻し避けられる。近付いてきた事を攻撃のチャンスと思ったのかパペット人形の代わりに握られた小刀が迫る。小さく舌打ちを溢しつつ、一度軽く地に足を触れさせ再び別方向へ力を込めれば、髪の一房の代わりに刃によって身体を侵害される事は無かった。ソイツは数度地を蹴り、体勢を立て直す間も無く腕を構え。)   (3/2 20:27:35)
大和守/袋の男 > 「──消えて無くなりやがれッ!! ゲラゲラゲラッ!!」(決めた。嗚呼、決めた。こいつは絶対に塵も残らないくらいまで許してやらないと。腕そのものが銃であるかの様に構えたソイツの腕は──文字通り、銃へと変わる。何時かの忌々しい彼女が持っていた平射砲と同じもので、数度放たれたそれらは一切の慈悲もなくユピテルの腹や手足へと吸い込まれていった。『ッあ、……いったッ……ぁいっ……! もぉおぉッ! 折角だからって遊んであげてたけど!! もう許さないんだからぁっ! フィリウス!!』。その叫びと共に、小刀と、もう片方にはソイツと同じ様な──見様見真似で作られた銃を手に。確実に子供には持てないであろう大きさであろうと、化物である自分達には関係ない。軽々と持ち上げればユピテルは意趣返しの様に、ソイツは心臓目掛けて撃ち抜いた。普段ならば……と思う事はあるが、今はソイツも手負い。流石に銃の反応速度には反応しきれず、綺麗に風穴が空いたのだった。)   (3/2 20:28:02)
大和守/袋の男 > 「……ひ、ひひッ、──ゲラゲラゲラゲラゲラッ!!」(『何が可笑しいのよ! 変な人なんだから!! ぜんっぜん楽しくないんだけど!!』。黒い靄がソイツの体の周りを漂う。人間でいう心臓がある部分を貫かれたからといって、化物は死ぬ訳ではない。変化があるとすれば、血とも呼べるソイツの一部分──それが靄で、ただそれらが溢れ落ちるくらいだ。ばちばちと視界が点滅を繰り返すこの感覚は、心地良くもあるがけれど厄介なものだ。上手く前が見えないのだから。けれども溢れる笑いに異常を覚えたユピテルの声を頼りに、そちらを向いて。)「あ~……なる程そゆ事ねッ! 嗚呼やっぱりあんた、アタシの足元にも及ばない【悪】だわ!」(そう叫んでは、最早捕らえる際の定番ともなった、先に刃物のついた縄へと腕を変えて──ユピテル目掛けて投げた。だが、矢張朦朧とした意識では検討違いの方向へと向かう事しか出来ず、ソイツには大きな隙が現れる。それを勿論、ユピテルは見逃さなかった。)   (3/2 20:28:21)
大和守/袋の男 > (──次の瞬間、天と地は引っくり返る。腹に、巨大な槍が容赦なく突き刺さり、それを即座にユピテルが引き抜こうとしたせいで、押される勢いはそのままだが、支えであった槍が無くなってしまったのだからその勢いのままに吹っ飛んで当たり前で。塀に背を打ち付け、腹に新たな風穴が加わりながらも。満身創痍であろうと、ソイツは嗤った。)「ぁ、はッ!! ────たッまんねぇなァ!?」(嗚呼、【ぶっ潰す】と宣言したにも関わらず、こうして逆に倒されてしまっているのだ。ただの子供だと侮っていたのが、仇となったのだろうか。いや、それでも──構わない。)「あー、たのしい」(『終わった? ……うん、大きな槍刺したから多分動けないんじゃないかな。ふふんっ、あたし達の勝ちだわ! どうよ!』。勝ち誇る様なユピテルの言葉を他所に、心底愉快そうな笑みがソイツの顔には浮かんでいた。塀に体重を預け、目前に立つユピテルを見上げ。)   (3/2 20:28:48)
大和守/袋の男 > 「……なぁ、お前。餓鬼。……あ、餓鬼よりも悪餓鬼って言った方がいいのかしらァ?」(『何よ、お姉さん。僕達に負けた癖にまだ何か言うつもり? 内容次第じゃあこのまま殺す!』。くつくつ、くつくつ。笑みが、溢れた。その台詞は余りにも自分に似ていて、けれど何処か幼くて。それは最早【悪】ではない。それはこれから【悪】に育つ種、【悪意】だ。そもそもが見誤り、期待していたモノとの差に油断していたのが敗因だとも言えようか。否、もうこの際勝敗は関係ないだろう。)「ふふ、ふふっ、ゲラゲラッ、あんたってとっても──"イイ"じゃない。けど、けどッ! 傷付いただとか、そんな事だけであんなに怒るなんてだァめッ! 自分に降り掛かる災すら楽しんでこその──【悪】なんだからッ!!」(『…………』。歴とした【悪】の言葉に、ユピテルは口を閉ざした。絶え間無く動かしていたそのパペット人形すらも、動きを止めていて。)   (3/2 20:29:03)
大和守/袋の男 > 「んでさァ……一つ良い? あんた、アタシの子分とかになる気はないかしら? 【悪】として未熟な【悪意】を育てるのも重要だと思うのよッ!」(──【悪】に育てた後はどうするか? ……それはまぁ察して欲しい。【悪】に対してのソイツの態度を思い出せば、きっと分かるだろうから。突然の事に決めかねているユピテルの様子を見てか、ソイツは判断を後押しする為に言葉を続ける。)「アタシは人を拐うのを生き甲斐としてるの。だから、拐ってきてあんた達はその人間で自由に遊ぶ。あんた一人でいるよりも沢山楽しめると思うけど?」(『なら、良いわよ! お姉さんって意外に使えるんだ。すごーい!』。意外に、という言葉に怒りが浮かびそうになったが、ユピテルの返答にさぁっと熱が冷めていく感覚がした。嗚呼、やはり、【悪】程価値観が育っている訳でもない。与えられた物を貪るだけのモノだ。ただの子供とは言い難く、【悪】と呼ぶには幼すぎる──ちっぽけな、【悪意】だ。)   (3/2 20:29:39)
大和守/袋の男 > 「……良い判断だわァ! ……あ、名前は? ……分かんないと後々面倒だし?」(……今更ユピテルが無垢な子供に戻るのも難しいだろう。さっさと育って【悪】に為って──早くぶっ殺させてくれ。そんな感情を隠しながら、彼女の呼び名を問うた。何時かぶっ殺そうと企んでいるにせよ、それを悟られてはいけない。己を味方だと信じきった所で裏切る方が──【絶望的】、でしょう? 『あたしはユピテル! 僕フィリウス。オレはサンクトゥスだ!』。ぴこぴこ、ぴこぴこ。再びパペット人形を動かし、名を口にするユピテル。その表情はまるで純粋無垢な子供の様ではあるが、それに騙されたらお仕舞いだ。)「ユピテル、フィリウス、サンクトゥス……ね。へぇ。ま、使えそうな子分が出来るのはアタシにとっても最高なのよね~、情報も色々必要だし?」   (3/2 20:30:00)
大和守/袋の男 > (『あたし達三人に任せて! 遊べるなら何でもするよ。楽しい事なら大歓迎だからな!!』。なんて、ソイツの思惑すら知らず笑うユピテル。果たしてその結末はどうなるのか。【悪意】は【悪】へと為るのか。その結果、一体どうなるのか。……目下、【悪】の子分となった【悪意】の最初の仕事は、親分である【悪】を運ぶ事だった。【悪意】のせいで動けないのだから、ちゃんと働いて貰わなきゃ。……なんてね。)【「悪」と「悪意」が出会う時】〆   (3/2 20:30:18)