ソウ&セオドア
ゆう。/ソウ > …喉渇いたな…(ふと、ふとそう思った。窓を閉めていても聞こえる天の涙を聞きながら___基本的に冷蔵庫なんてイカした物は家に置いていない。様々な所に旅で長い間出かけるため食べ物を置いておく必要はないのである。とはいえ、彼も人間で、胃に食べ物を与えて喉に飲み物を滑らせる。当然だ。でなければ彼は。)…水ないな…買ってくるか…。(僅かな雨に打たれながら、井戸から澄んだ水を茶色がかって光沢がなくなりくすんだ水筒の中に入れる。)…買ってくるのめんどくさいし良いよな…はは。(小さな笑みを顔に見せては家路に着く。家の扉をきぃきぃ言わせながら開け、湿ったロングコートをハンガーにかける。) (2/27 20:44:26)
ゆう。/ソウ > ふぅ…(一息ついては水を喉に湿らせる。)何か、味違くなっ……!(突然だった。いつも飲み慣れているはずの水は彼の気を狂わせ口から泡を吐かせた。)……ぅ(壁が凹んだり飛び出たりして、天井が彼を押し潰そうと迫ってくる。床は上下に揺れ立ってもいられずにへたりと倒れ込む。)…。(咳の出る度に口覆う布には赤い霰が降っていた。何かの虫が彼の喉を蝕み、乾かす。)…… っのどが!!渇いた…!!(もう一度先程の水筒に手を伸ばしては口に滑らせる。)…!!(飲めば飲むほど虫の数は増えていき彼を狂わせた。)…ぅ…うわあああああああ(狂い、叫び、暴走し、必死に、水を飲んでは、狂乱した。)だれか!!っ!!(嘲笑うかのように天の涙は強くなった。) (2/27 20:44:43)
清瀬/セオドア > (彼方此方から呻き声の轟くウェント市街、枯れた手を伸ばして救済を求める幻覚を振り切って小走りに向かったのは先代の家だった。オレの前に副団長を勤めていた…ピグム、という字の人だったか。異例の男団長を支える彼女の前任である、今はもうしがない一旅人。そんな彼のよくない噂を聞き付けて、アデルグントにだけこっそりと話を通してきた。……だってヘスティアなんかに言ったら、「副団長たる人が云々~」って小言言われそうなんだもん。雨こそ降らないもののぐずついた鬱陶しい天気の中、ドアノッカーを叩いた。……返答のない静まった家にむう、と頬を膨らませる。)「ソウ~?水くさいなぁ、君のお友達のセオドアくんが来たっていうのにぃ。……やめとこ」 (2/27 21:56:10)
清瀬/セオドア > (ふざけるような言葉はきっと癪にさわるだろうから、と1人封をした。彼は流離いの旅人だ、もし居なかったら、なんてことも考えるが風の噂とて侮れない。一度試しに、と捻ったノブはすんなりと回ってしまい、見えた家の中の光景に瞳を怪訝そうに細める。)「うわ、これまた…酷い……。ソウ、ねぇ…ソウ~。居るなら返事を──」(空き巣にでも入られたように騒然とした部屋。照明の消された部屋は見渡せど見渡せど不安を飾っていた。倒れた水筒の横にソウが横たわっているのを見つけるや否や駆け寄り、手袋を外すとそのまま額に、次に首に手をあてた。心なしか頼りなかったが脈はしっかりと彼を生かしていて、束の間の安堵と廃れた空気に生温いため息を溢す。彼の瞳にかかっていた前髪を指先で掬って払うと、できる限りの余裕を装って、言葉の尻に引き上げるような不自然な力を込めて呼び掛けた。)「ソウ!……っソウ、聞こえる?オレが誰かはわかる?…ゆっくりでいいよ、大丈夫。オレが来たからね」 (2/27 21:56:12)
ゆう/ソウ > 水を飲んだだけなのに叫び、狂い、暴走していたソウの耳に一瞬響いたのは湿って硬いドアノブをきぃと不安げに回した音。こつこつと渇いた足音がしては、何かを喋っているようだった。その方を向こうとしても首が思うように動かず、その影、シルエットしか読み取ることができない。チラリと見えた赤色と、ポンチョを見てから、セオドアだと理解するのはずいぶん時間がかかった。気づけば顔の直ぐ近くで彼の湿った息を感じ、希望と痛みからなる不安を感じては、首に温かい感触を受ける。それからは、彼に大丈夫かどうかを聞かれては、何とか意識を保ち片頬に微笑を浮かべては、)あー……はは…ちょ、ちょっとまずいかも…(彼の顔を見ずに、吐いた赤が浮かぶ床に写った自分の顔を眺めながら答える。そうするとまた心の髄の髄まで何かが這いずり回り、彼の喉を渇かせたので水を飲む。ずっとこの繰り返しだ。 (2/27 22:27:31)
ゆう/ソウ > 飲めば、指先で押さえつけられた蟻のように低い悲鳴をあげ、直ぐすると喉が焼けたように熱くなるのだ。大きく息を吸ってから、彼の頭に手を乗せては、)セオドア、悪い、はは、た、ぐあっ、た、助けて、死ぬかも、はは……。…っ。(唾液を口からダラダラ垂らしながら彼のほうを向いて嗚咽をする。 (2/27 22:27:53)
清瀬/セオドア > 「……仕事終わらせてきたからさ、センパイ。ちゃんと居られるからね、安心して」(目の前の彼を友として放っておけないから、なんて。付け焼き刃の建前の下に隠れた本音が“仕事なんて面倒だから”であればまだだらしないだけの男で済んだ。勿論此方を蔑ろにするつもりもさらさらない。頭に乗せられた手と苦悩にまみれた顔に心が握り潰されそうになる。脆く繊細な子供を見守るように柔らかな笑みを浮かべ、苦痛に苛まれ踠くソウの身を引き寄せた。きっと彼も他と同じ、水の驚異にあてられたのだ。ソウの背中を優しく叩くメトロノームの音、暫くそれを繰り返すと彼を元の位置に横にさせて、溢れた水や赤色を手袋で拭うと被っていたフードをソウに被せた。)「いい男はこういう時に友を救ってこそ、だよね。とりあえず横になってて……ベッドはどこか答えられる?しんどかったらスペース作っちゃうし、兎に角ソウは安静にしてて」(手を繋ぎながら時折きゅっ、と握る。反対の手で額を撫でながら散乱した部屋を見渡して、彼の体だけでも安らげる場所を探した。) (2/27 22:52:07)
ゆう./ソウ > 安心して"何て母のような柔らかい聲でソウの神経を慰撫すれば、心の中で荒れ狂う荒波を静めてくれるが、苦痛は消えず、とうとう彼に返事もできぬまま、酸素を枯渇した肺が激しく上下して胸部を躍らせる。"ありがとう"といわんばかりに彼に向かって閉じた瞳を開き、彼の琥珀のような、怖がることを知らない幼い少年のようなきれいに透き通った瞳を見つめる。ベッドの場所を聞かれても答えられず、嗚咽は止められないまま、呼吸を荒くして彼に身を寄せる。生を実感するために握った手を強く、強く握り返しては、唾液がまだあふれでる口を半開きに、)セオドア...はぁ...っ...っっ...生きたい...死にたく....ない...死にたくないよ...はぁ...っう..助けて...(蝕む無視をなんとか制御しながら、彼に助けを求める。 (2/27 23:54:46)
清瀬/セオドア > 「ソウ…………」(こんな安売りの魔術ではソウを助けるには叶わないらしい。死の恐れと苦痛の辛さとに侵された瞳は濁っていて、何度もえずき姿を歪めるそれは普段の大人びた彼からは想像もつかない様であった。いてもたってもいられなくなって衝動のままに彼の身を抱き上げると、己の不安に濡れた顔を見せぬように彼を胸の中へ押し込めた。)「──わかった。オレが絶対助けるから、今、救ってやるから……」(片手を絡めたまま己の不安をかき消すように忙しなく握り返す。フードのついたポンチョの向こうで荒い息を繰り返すソウの背中を擦りながら、瞳を閉ざした。言葉を現に、それが魔術師の持つ力。願えばそれは神に届くかもしれない、全てはまにまに、確証のないそれは蜘蛛の糸。奪うことを強いられる騎士としてではなく、今日は人を救う為に紡ぐ。)「栄華頽勢、世は必衰。流るる水の湧きし御泉にまします神々よ、恵の溢れん輝きの棲み家より出で給え。今曇天の地に救いを、かの者に安息の慈雨を」 (2/28 00:36:11)
ゆう./ソウ > 今度は彼の方が弱くか弱い聲で、ソウの名を呼び、抱き上げた。ソウは喘ぎながら彼を溶けてしまいそうな目で見つめ、彼の暖かく大きな手に溺れていた。ふと彼の目に見上げれば、先とはうってかわって眼は、暫時の焦燥に揺られながらも、獣的な決意を煌めかせて、滑らかに呪文を詠唱し始めた。すると彼が口から言霊を生めば生むほどソウの体のなかの虫を浄化していき、気付けば前より清々しい顔をして、汲んでも汲んでも無くならない井戸のように涙がはらはらと崩れる。そうしては、彼の両頬を先まで震えていた冷たく細い手で包み込み、涙を頬に流したまま、太陽のような笑顔を浮かべて、)ありがとう。セオドア...ありがとう..ありがとう..(徐々に声が細くなると同時に笑顔に浮かぶ広角は上がっていき、崩れるように彼に抱きつく。窓の外の雲は過ぎて、太陽が出ていた。 (2/28 01:18:41)