スミレ
現世逃避大和守/スミレ > (──逃げて、逃げて、逃げ続けていた。慈悲を、情けを糧として、ただひたすらに。逃げなければいけない。彼処で殺せた筈の自分の事を、彼女は逃がしてくれたのだから。せめて、彼女の視界に入らない所へ行かなければいけない。そう思いながら、森の中を駆けて駆けて駆けて……右足が、ぐちゃりと音を立てて動かなくなった。正確には、溶けすぎたせいで足として使い物にならなくなったのだ。)「え、っ……ぁ、……あ、っ……れ? な、なん……で」(不死性も異能も失ったとは言え、イモータルである事には変わりない。──つまり、その体も溶けて、溶けて、溶け続けている。絶え間なく、彼女の体は溶け落ちているのだ。不死性を失ったせいで再生も出来ないのだから、何処かで終わりを迎えるのは当然の事である。それが、今にも訪れようとしているだけ。どろどろと落ちて、終わりへ堕ちようとしている体を止められない。) (2/24 20:43:30)
大和守/スミレ > 「やだ、やだ……っ、!! ぁ、や、だ、ッ……しにたく、しにたくない、よお……ッ!!」(溶けきれば【死】が待っている事は混乱し動揺している頭でも理解は出来た。だから、段々と迫り来る【死】から逃げる様に、スミレは嫌だと拒絶を叫んだ。)「やだやだやだやだっ!! おねがい、おねがい、おねがいだから、あやまるからあ!! 何回でもごめんなさいするから、ねぇおねがい戻って、もどってよおッ!!!」(それでも尚【死】はやって来る。叫びは届かず、【終わり】は残酷にも静かに距離を詰めてくるのだ。スミレを中心する様にして、体は泥のように広がっていく。地に落ちた体の一部を拾い、体を元の形に戻そうと必死に抗う。絶望に、抗おうとして。けれどもその手も段々と形が崩れていき、拾い上げた体と共に地に落ちていく。)「────ぁ。…………」(口が、溶けた。もう、言葉を紡ぐ事すら出来ない。叫びもそこで、途切れて。あとは、終わりを待つだけ────。) (2/24 20:43:43)
大和守/スミレ > (────溶けて。──溶けて──溶けて、とけて、トケテ。最後に、残ったのは。──【生】を我が物顔で塗り潰し、醜悪に溶けきった化物の成れの果て。逃げた先に残った、形容も出来ないただの物。────ただ、それだけだ。)【現世逃避】〆 (2/24 20:43:54)