袋の男&ヨハン&セリヤーナ
水面下、紛者と踊れ大和守/袋の男 > 「あ~~ッ、最っ高……ッ!! ほんっと簡単に騙されてやーんの、愚かで可哀想で愉快だなァ……」(ゲラゲラ、という笑い声は鳴りを潜めていた。それはソイツの狂気が漸く静まっただとかそういう理由では決してない。ただ、この姿に合わないからというだけ。さて、態々ソイツの特徴である笑い声を自重した姿と言えばーー今ソイツは、尊華帝國軍元帥の姿へと化けている。声も低くその歳を重ねたモノに相応しいものへと変えてはいるが、何せその声であの笑い声は元帥というモノに似合わない。遊び半分で兵へと化け、それから元帥の姿を拝見し更に化けたものだが、いやはや実に面白い。元帥というだけで周りの者は頭を下げる。敬意を払ってくる。ーー実に、"カイカン"だ。くつくつと込み上げる笑いを抑えながら、ソイツは帝國を歩いている。)「あ」(ソイツのその反応は、明らかに良くない事が起こる前兆。良からぬ事を思い付いた事への証。そうだ、この姿であらゆる悪事を働いてやろうか、なんて。何時の間にやら人通りの少ない道を歩きながらソイツは笑っていた。どうせなら軍も動かしてやろうか、だなんて。下手すれば國さえひっくり返る様な悪意を秘めながら。) (2/24 00:55:04)
マリア/ヨハン > (少年の、赤く煌々とした瞳を縁取る重たげな睫毛がカメラのシャッターのように瞬いた。再び開けられた時、移り変わる場面は数刻先の帝国軍本部、人気のないとある会議室。)「……はは、本当に元帥だったんだ。オレ達てっきり……なぁ?」(少年ヨハンは隣に座る仲間、セリヤーナに目配せをしてから、向かいに座る老爺をもう一度見た。三人が卓を囲む事になったいきさつは、遡る事数刻前の事……『あー、そこの爺さん、聞いていいかな。オレ達帝国軍の本部に用があるんだけど、それってどっちの方角?』大人しくセリヤーナの言う事を聞いていれば良かったのに、舵を手放そうとしない仕切り屋のヨハンの性格が災いして、二人は人通りの少ない道に迷い込んでしまっていた。声をかけた老爺が元帥その人であるという都合の良すぎる流れにはきな臭さを感じないこともなかったが、すんなりと案内され、極めつけに『元帥様』と最敬礼を向ける兵士たちを数人目にすれば、神の導きだったのだなとすんなり納得がいった。そうして、たった二人という最小単位の孤軍は、帝国の懐に入り込み、元帥と顔を突き合わせている今に至るという訳だ。) (2/24 12:42:51)
マリア/ヨハン > 「……あー、こほん。」(出だしから仲間の足を引っ張ってしまったのだから、これ以上失態を晒さぬように馴れ馴れしい少年の軽口はこの瞬間封印しなければなるまい。ひとつ咳払いをし、いかにもヨズア古典派ですと示した服装を隠すため羽織った襤褸のローブを脱いだ。─────マジでボロくせぇ、これちゃんと洗ってあんのか?────借り物のローブの持ち主の顔を思い浮かべながらそれを畳んで、堅苦しい挨拶はセリヤーナに任せようと、簡単な名乗りだけを上げた。)「改めまして────……ヨハンです。こっちは……」(両手を卓の上につき、首を前に突き出すような軽いお辞儀を披露した後、目線をセリヤーナのほうへを向ける。) (2/24 12:43:51)
フルディア/セリヤーナ > (スザンの件では好き勝手やらせてもらったから、今回はヨハンを立てるつもりでいた。どちらにせよ帝国軍にコネはないし、元帥についても爺だということしか知らないので、出たとこ勝負なのは仕方ない。彼が方向音痴だというのはちょっと想定外だったけれども。) (こういう場所は慣れないものだ。組織だった軍隊というやつは我々の愛する"自由"とは対極にある。すれ違う兵士たちや建物の内装など所在なさげに観察しながら部屋に通された。いやはやヨハンが話しかけた爺がまさか元帥とは。少々できすぎな気もするが、今は流れに身を任せるほかないだろう。)「セリヤーナ。よろしく。」(この上ない作り笑い。これで済ませてしまおうかとも思ったが、会議の枕のあいさつはよろしく、と隊長の目が言っているのでもう少し言葉を続けることにした。) (2/24 18:11:33)
フルディア/セリヤーナ > 「尊華の街はずいぶんとにぎわっていますね。我々のような田舎者は目を回してしまいましたよ。あのような場所で貴方にお会いできたことはまさに幸運でした。感謝します。ところであの裏路地には何用で?ぁあ失礼、隠れ家的レストランでもあるのかと興味本位で尋ねはしましたが、プライベートなことには踏み込むつもりはありませんので。」(口八丁しゃべるだけというのも苦手ではないが、本題につながらなければ仕方がない。中身のないことを口から出まかせにしながら交渉へのとっかかりを探す。)「それにしても街の発展は平和であればこそ。軍の采配がよいのでしょうね、戦火はここまで及んでいないようで。ウェンディアのじゃじゃ馬な団長があちらこちら帝国にちょっかいをかけていると風の噂で聞きましたが…いかがでしたか?王国の騎士団というものは。帝国軍の足元にも及ばないといったところでしょうか。」 (2/24 18:11:42)
大和守/袋の男 > (────嗚呼、実に面白い事になってきた。段々と機嫌は良い方へと傾いていき、その表情に笑みが浮かんでしまうのを止める事が出来ない。帝國の会議室。恐らくこれから【面白い事】を見せてくれるのであろう二人の男女を招待していた。二人の向かいの椅子へ座ったソイツは足を組み、二人を見下ろすかの様に顎を上げてはソイツの思う『元帥』を堂々と演じていた。何せソイツも帝國の元帥がどんな人柄なのかなど知らない。会話を交えた事すら無いのだから分かる訳が無いと開き直っており、間違えていたとしてそれはそれで面白い事になりそうなのだからイイ──と。表情には出さずとも、内心ソイツの性格が思い切り溢れた計画を立てていた。)「……ヨハンにセリヤーナ、か」(二人の字を聞き、静かに復唱する。己の名は名乗らない。そもそも元帥の名など知らない。そんな状態で下手に違う名でも口にしたら、すぐに自分が偽物だとバレてしまう。これも威厳ある『元帥』を演じる為の一要素だと判断し、口を閉ざした。) (2/24 19:03:49)
大和守/袋の男 > 「…………そうだな。我々には到底及ばぬ癖にちょっかいを掛けてくる──実に、邪魔な輩だ。鼠の如く這い回り、一体何がしたいのやら。……それと、余計な御託は良い。さっさと本題に入ったらどうだ」(──実の所、王国と帝國の戦況などソイツにとって知った事ではない。そも、興味など無い。自分が楽しければ良いと、そんな性格なのだから当然だ。故に完全にソイツの想像のみで返答しているが、どうやら『帝國』という文字と響きだけで強そうだとソイツは判断したらしい。帝國を持ち上げ、暗に王国など相手ではないという事を表していて。──だがまぁ、これ以上ソイツにとって理解の出来ない事を言われても何も出来ない。意味の分からない事が積み上がって混乱するだけだ。単刀直入に申せと、ソイツは命令する様に言葉を紡いだ。) (2/24 19:03:52)
マリア/ヨハン > (やけに高圧的な”元帥”の雰囲気に、ヨハンは片方の口角をひく、と軽く持ち上げて笑った。満面の笑みで破顔する場面でもないからアルカイックに抑えたかったところだが、あるいはアイロニカルに見えてしまったかもしれない。内心は、嬉々たり得るものを既に掴んでいた。思い返されるのはかつて、父が跡取りの兄に商法を教えていた日常の一コマ。 (2/25 00:13:01)
マリア/ヨハン > ---『……ジェイコブ、客が高圧的だからと態度を変えては駄目だ。何故かわかるか?』兄が手伝いとして修行がてら営業に充てがわれた顧客は気難しい事で有名な婆さんだった。軽いセールストークを真に受けて、押し売りはごめんだとこちらを詐欺師扱いする。財布の紐が硬いドケチだと誰もが思っていた。『あの婆さんはウチを懇意にする気はないと思うよ。無理に付き合うのは辞めたいけどな。』と諦めを漂わせる兄の肩を掴み、親父が言った言葉。『ああいう風に初めから心の壁を作ってしまう人はな、自信がないんだ。自分が割を食う事にひどく怯えていなけりゃ、そうはならない。笑顔で断ってくる客のほうがよっぽど手強いぞ。辛抱強くお前は商人としての誠実さを見せつけ続けろ。』親父は兄の鼻を指差し、『いけるぞ』と背中を押した。--- (2/25 00:13:10)
マリア/ヨハン > 目の前の元帥が自信のない人物とまでは思わないが、高圧的な態度は何かの裏返しだと仮定しよう。間違っていても軌道修正すればいいだけだから構わない。ヨハンはたった今、自分の力を試したくて仕方が無かった。)「─────そりゃあいい!」(パン、と両手を打ち鳴らし、乾いた音が会議室に響く。さぁ、商談の始まりだ。目の前の食えなさそうな爺さんは、果たして”ヨズアの民”を高く買ってくれるだろうか?)「ええ、話が早いのはこっちも助かるってもんですよ、キツルバミさん。」(事前に仕入れていた元帥の名を呼ぶ。)「それに、王国への遺恨ね。そりゃあそう思いますよって安心しました。腹立ちますよねぇ、撹乱するみたいにさ、イマイチ何がしたいか解ったもんじゃないですからね。さぞや神経をすり減らしていらっしゃったでしょう?いやぁ、帝国は自分から攻める事が少なかったんで、もしかして何かあるのかとばっかり。元帥様は単に慎重なお方だったんですね。 (2/25 00:13:26)
マリア/ヨハン > (セリヤーナの”挨拶”はやはりさすがだ。どこまでこちらに本音を打ち明けてくれているのかは解らないが、王国が邪魔だという言質はもう取ったようなもの。来る前に打ち合わせた『感情に訴えかける』というミッションを初手からクリアしてみせたのだ。)「じゃ、単刀直入に言いますよ。【王国をぶっ潰したくないですか?】オレ達がしにきたのは、そういう話です。」(ヨズアは亡国の民だ。王国や帝国を天秤にかけ、どちらかに特別な私怨がある訳ではない。ただ自分達の居場所を取り戻す戦いに身を投じた結果、端から世界を敵に回す運命にある。オレもセリヤーナもきっとそれは解っていて、情になんか呑まれちゃいないはず。だけど、あえて火種を持ち込もう。────智に働けば角が立ち、情に棹させば流される。そんな窮屈な世の中で通す意地。住みにくいなら、住みやすくしてやるしかない。これより情に訴えかけるのは自分の役目と腹を括って、智の役割を仲間に任せてみるとした。次は利害と損得の話しだ。任せたよ、セリヤーナ。) (2/25 00:13:38)
フルディア/セリヤーナ > (尊華の人間でも年を食うと結論を急ぎたがるようになるのだろうか。年季に醸された尊華節を覚悟していただけに拍子抜けだが。目の前の相手がそう望むなら、ばっさりと本題を投げ込んだほうが得策だろう。ヨハンの言葉に続ける。)「つまり、ウェントを攻略しようということですよ、元帥殿。」(腕を組んで、それでも変わらず作り笑いは崩さない。)「ヨズアと尊華が協調して王都を北面から圧迫します。うまくすれば我々は東からも部隊を出せる。いかがです?毒やら何やらで王都が混乱している今が好機です。」(この爺相手にどの程度交渉というものが機能するかわからない…今のところは控えめにしてみようか。) (2/25 19:07:22)
フルディア/セリヤーナ > 「我々旅団としては民族の再興を目標に活動していますが、2大国双方を相手取るのは現実的に不可能。逆に言えばどちらかにその席を空けてもらおうというわけです。価値観の近さからいって尊華とは共存の目があるだろうというのがひとつ、戦局はウェンディアを追い込んでいるというのがもうひとつ。今日ここに参じた理由です。」(テーブルを指でこつこつと叩きながら話を続ける。)「王都攻略の軍を出してはいただけませんか?大義も士気も我々には充分、"技術"も"平和"も手の届くところにあるのですから。」(ほかに参謀がいるような気がして、細かい戦果の分配には触れなかった。とりあえずこの爺から軍を動かす言質が取れれば十分だ。この爺の印象については、あとでヨハンの意見も聞いてみたいな。) (2/25 19:07:33)
大和守/袋の男 > 「…………ほう?」(──【王国をぶっ潰したくないですか?】──【つまり、ウェントを攻略しようということですよ、元帥殿】。それ以前の言葉には一切として動かなかったソイツの表情が、二人の言葉で笑みへと変わった。──嗚呼、"イイ"。実に"イイ"。まさかこうして元帥へと化け、最初の悪事がこんなにも素晴らしいものになるだなんて思ってもいなかった。……最高に、素晴らしいではないか!!)「……成る程、成る程なァ…………」(──水面下で、ひっそりと一人の化物に弄ばれている事なんてソイツ以外は知りもしないのだろう。気分はどうだい、ソイツに騙されている全ての登場人物達よ。嗚呼、若しそれがバレてしまった時の"カイカン"はきっと、今までに味わった事の無い様なモノで──。想像するだけでも──"タマラナイ"。背徳感が一気に背を這い上がり、その瞳に狂気を宿しながら、口を開いて。) (2/25 20:00:13)
大和守/袋の男 > 「────面白いッ!! 実に面白いではないか──ッ!!」(机を勢いよく叩いては、ソイツは立ち上がった。大仰な身振りを加え、胸に片手を当て、もう片方の腕を大きく広げて。狂気的に言葉を紡ぐ。)「嗚呼、何と────実に、実に"イイ"」「こうして貴様等と出会ったのも、天の導きという事か──この帝國を頂点へ押し上げんとする、神の伝えなのだろう……。──なれば、逆ろう事こそ破滅へ向かうというものだ」(神など、そんなもの知った事か。これは己の手で掴んだ、最高に素晴らしい──【絶望】に堕とす為の最悪の舞台を作り上げる為の、前座だ。)「──良いだろう、ヨズアの民よ」(嗚呼どうか、どうかもっと楽しませてくれ。楽しみはまだまだこれから続くけども、何時かは終わってしまうのだから。それが尽きたら、それを上回る程の楽しみをソイツは所望するだろう。けれども今はこれで十分だ。これから起こるであろう事を思い浮かべて。) 「王国を潰す為に──貴様等に協力してやろう。軍を、動かしてやろうではないか」(──紛者は、悪役は、笑った。)【水面下、紛者と踊れ】〆 (2/25 20:00:18)