董
死の水-発症-ゑゐりあん/董 > やだ…やだ…ッ(体中に汗をかき、崩れた寝間着姿で必死に畳を手で何度も押さえつける董)だめ…ッやだ…そんな…ッ!!(目からは涙を流し、その姿はまるで誰かに対し必死で心臓マッサージを行っているようにも見える)月光…ッ!月光…ッ!!逝かないで…ッ!置いてかないで…ッ!!(周囲の人間から見ればそこには何もないが、董には確かにはっきりと見える。体中が血に濡れ、今にも息絶えそうな愛すべき者の姿が)目を開けてよ…ッ!ねぇ…ッ!開けてよぉっ!!!私を一人にしないでよぉッ!!!(彼女に異常が起きたのは数日前のことである。帝国内で不特定多数の人間が発狂状態に陥ったのを皮切りに、彼女もまた気が狂ってしまったのだ。原因はわからない。ただ、董はこうやって毎晩必死の形相で自分だけにしか見えない瀕死の火津彌を必死に蘇生しているのだ)お願い…ッやだ…嘘だって言ってよ…私を…私を護るって言ってくれたのに…ッ (2/23 20:13:38)
ゑゐりあん/董 > (その手はやがて弱々しくなり、語気も弱まっていく。そして目に見えない血に濡れた夫を抱え、その胸に顔をうずめ泣き出した。唸り声ともわからぬ泣き声。畳には、大粒の涙がこぼれる。しかし、シミはできない。何故なら、すでに畳にはシミができる余裕がほとんどないからだ。部屋中の畳は濡れており、まるで体から嫌でも水分を抜こうとしているかのようだった)月…光…?(すると董は何かに気づいたのか、自分の両手を呆然と見始める。そして周囲をキョロキョロと見始めると、今度は部屋の隅のほうをじっと見つめ震え始める)つ…き…(そして勢いよく立ち上がり、転げんばかりの勢いで部屋の隅へと行き、また見えぬ誰かを支える)月光…!?月光…!月光…!!!起きて…!どうしたのその傷!?…やだ…心臓が…ッ(彼女はまた見つけてしまったようだ。息絶えてしまった夫を)やだ…ッやだよぉ…ッ!!月光…!月光!!!(そうして再び畳に向かって心臓マッサージを始める董。永遠と火津彌を失う苦痛、恐怖を彼女は味わっているのである。まるで水に溺れるように。もがいてももがいてもその苦しみは決して拭えず。底へ底へと沈んでいく。恐怖の底へ。絶望の底へ) (2/23 20:13:44)