ジュリイ&叉羅

月と太陽

盛岡冷麺/ジュリイ > 「(どれくらいの時間が経ったんだろうか。冷たい石畳の上で目を覚ます、冷たい風がつま先を擽り、辺りは闇夜につつまれている。気を失うまでのことを殆ど覚えていない、ここがどこかもわからない。ただ街中であるという事だけ。騙されたといえ僕がやったことは許されることじゃない。また目頭がぐっと熱くなって、大粒の涙がぽろっと溢れた。無意識のうちに唇を噛んでいたようで、口の中に鉄の味が広がる。)…ごめ、なさい…(起き上がったものの立ち上がるだけの気力も体力もなくって、道の端で座り込んで。これ以上何を信じればいい?これ以上、これ以上誰を頼ればいい?進むべき道は?右?左?それとも地獄?精神の不安定さから来る寒さに身を震わせて、外套をぎゅっと握りしめた。ゼペタル___いや、アシェドさん。ぼくはどうしたらいいですか、貴方の隣にいることもゆるされないのなら、どうしたらいいですか。答えはもちろん帰ってこない。それでもわからない、今のぼくには自分でなにかを決めるだけの判断力も、精神力も、なにもかもがないのだから。)」   (2/23 15:27:24)


しぃずま/叉羅 > 「(疲れきった声が、暗闇に覆い被さった。冷たい風を暖かく、闇夜を照らす太陽は、疲れていた。月夜に揺蕩う海月よ。朝日に輝く海月よ。あなたも、そうなのだろう。彼は、特段目がいい。光がなくとも、それだけは変わらなかった。)…今日は冷えるな、嬢ちゃん。けど、血が暖かいのは少しだけだぜ。(あなたが人の顔を見る元気があるのならば、いや。それでも顔は見えないだろう。彼の着ている長衣のせいで、顔が見えない。…と、突然、彼は腰に巻き付けたベルトに留めてある本を抜き、ページを開いた。)炎よ、人の目から消え行く景色を照らす光となれ。人の体から消え行く温度を戻す光となれ。太陽の名のもとに。(魂のように、ぼうっと炎が浮かび上がる。しかしそれは、しっかりと炎だった。ほんのり灯り、辺りを暖める。…ああ、懐かしい。それは、狐との戦いで、長く長く続く戦いの中で、最初に使った呪文だ。攻撃のためではないが。)俺の字は叉羅。こんな寒い日にこんなとこで座り込んでっから、ちいと気になってよ。(と、言えば、浮かび上がる炎を挟んで、あなたの隣へ座り込んだ。)」   (2/23 15:45:38)

盛岡冷麺/ジュリイ > 「(ほうっと灯る燈。人差し指の無い右手がそれに少し近寄って。…精神状態、体の状態、それと夜風によって冷たくなった体が少しずつ温まる。)___っ、しゃ、しゃら、さ?(泣いていたせいでしゃくりあげながら言葉を紡ぐ。うにゅり、暗闇の中で僅かに光る触手が蠢く。なにを信じればいいのかわからないぼくは貴方を警戒してしまう。いままでは…そう、信じすぎたのだ、バカみたいに。人間不信がちょうどいいくらいにはバカだった。それに、言葉を紡いで火が灯ったという事は貴方は魔術師なのだろう。…もういっそここで、殺してもらおうか、なんて。)…ぼ、ぼく…じゅり、い。(体育座りをして、自分の肩を抱いてきゅっと縮こまる。どうしてこんな寒い日に、こんなところで座り込んでいるか、だって。…わからない。わかりたくもなかった。本当はわかっていたけれど、それは、ぼくが現実として目の当たりにするにはあまりにも絶望的だった。字を口にしたはいいものの、どうしたらいいかわからなくなってまた黙り込んでしまった。)」   (2/23 15:56:33)


しぃずま/叉羅 > 「…(その、ごつごつとした岩のような、それでいて繊細な指先を持つ、暖かい手を、頭に伸ばそうとした。けれど、彼女が馬鹿な事を考えているのは何となくわかって、やめた。…何もかもを、怖がっている。)本当今日は寒い日だな…ジュリィ。(炎は凍える風に吹かれて、暖かく燃えている。)何を期待してるかは知らねえけどな。…俺は魔術師だが、もうやることはやり終えた後なんだよ。お前さんみたいなのと関わってても、何も言われねぇ立場だ。何も聞かれねぇ立場だ。そんで、何も言えねぇ立場だ。一緒に殺されるだけだ、俺は。(蠢く触手も何もかも見えているけれど…風は、彼女の寄り辺のない、真っ黒な感情を語っていた。)なぁ、ジュリィ。お前さん…何を、考えてんだ。(あなたの吹かせる風は。明るく輝くあなたとは違って、全く光がない。…手が届くところのものくらい、自分の手で守ってやりたい。それがたとえでしゃばりと蔑まれるようなものなら、俺はでしゃばりでいい。それでももう、名乗りを交わした者に、いなくなってほしくはないのだ。たとえそれが、波に揉まれてすぐに流れ去ってしまうような関係でも。)」   (2/23 16:17:24)


盛岡冷麺/ジュリイ > 「(いつもは爛々と輝く瞳さえ、今は酷く濁っていた。どこも見ていない様な、見たくないと言っている様な。貴方の顔さえ見ようとしない。乾燥した唇から滲む血も、泣き腫らした赤い目も、ボロボロになった指先も、すべて誰かに向けようなんて思えなかった。ただひたすらに、神罰の鎖に縛られてこの世に磔にされているのが辛かった。)…ぼく、は…(顔を膝に埋めて、また唇を噛んだ。大切な人に抱き止められ、頑張ったねと言われ、そのまま微睡みに身を任せて死ねたなら。いつか失った「 」の記憶さえ奪い取られて、過去も亡くして、未来も無くして、ましてや現在(いま)すら失くしてしまいそうで。いいや、ぼくに今があることさえ罪だ。そんなものに未来なんて、贅沢にも程があった。)   (2/23 16:33:12)
盛岡冷麺/ジュリイ > ___こ、この、まんま…(痛いのも、苦しいのも、寂しいのも、もう嫌だ。もううんざりだ。生まれ変わって、ふつうの女の子として、かわいい服を着て、おしゃれして、幸せになりたい。手を繋いで、手を引いて、笑いあってくれる人が欲しかった。それは叶わない。だったらもう、行き着く先はただひとつなのだ。)……きえ、ちゃいた、い…(死にたいなんて口にするのは、初対面の貴方には重すぎた。この言葉は代替品だけれど、それでもぼくが背負うには、抱えるには大きすぎた。いっそこの気持ちを海に放り出して、どこか流れるままに攫われて、深い海のそこで永遠の眠りにつきたかった。誰の記憶にも残ることなく、後先もなにもかも考えずに、地図にすら残らない秘密の宝物に、なれたなら。)」   (2/23 16:33:25)


しぃずま/叉羅 > 「俺にはできない。(最後の願いも、砕け散る。それは優しさだとか、それは厳しさだとか、そういうものではない。ただ、)俺はお前さんが何なのか知らない。わからない。だからできねえ。そもそもとして俺はもう戦うのはやめた身だ。だから、俺にはできない。(それだけだった。結局は、取るに足りない「人間」一人の願いなんていうのは、取るに足りない人間一人の決めたことに押し潰されて消えてしまうのだ。誰も知らない宝になることはできない。あなたはもう既に、地図ができてしまっているのだから。生きても、死んでも、行く先は宝だ。結局ただの金の元手だ。)…それと、俺はちと強欲でな。(でも。その地図を辿るのは、自分でありたいと。彼は、そう願った。)」   (2/23 16:52:18)
しぃずま/叉羅 > 「俺と知り合って死ねると思うなよ。」   (2/23 16:52:20)
しぃずま/叉羅 > 「俺が馬鹿な考えだと思ったら、それがどんだけ正しくても俺が間違ってやる。誰が望んだかなんて知らねえ。俺が望んだ、それで十分だ。死ぬな、死ぬんじゃねえ、死なせられるわけがねえ。(表情は見えない。それはあなたが努めて見ないようにしていても、たとえ見ても。けれど。炎はただ漠然と燃えているだけなのに、熱は、確実に広がった。)ジュリィ。お前さん、俺に付いてこい。嫌だと言っても連れていく。俺が生きたいとそう望ませてやる。理由なんて必要ねえ。お前を、生かしたい。唐突だと思っても当然だ、でも。」   (2/23 16:52:31)しぃずま/叉羅 > 「目の前の物を逃しちまうのは、もう見飽きたんだよ。」   (2/23 16:53:09)


盛岡冷麺/ジュリイ > 「(宝物の地図を見つけたのは怖い海賊?どこぞの金持ち?いいえ、貴方。"死ぬな"なんて、初めて言われたかもしれない。だって貴方が話しかけてる相手はイモータルだよ、神罰の顕現したものだよ、死体だよ、バケモノだよ。バッと顔を上げて貴方を見る。顔は見えない。見つけられたら破壊されるのを待つだけのぼくを、宝物を、貴方は立派な宝石箱に入れようとしてくれている。)……っあ、は…(絶え間ない絶望の連鎖に大きな希望を叩きつけるなんて、なんて…ひどい人だ。その希望がなくなったら、もっと深い絶望に突き落とされるのに。ああでも、それでも。貴方の手を取りたいと思ってしまうのは、我儘だろうか。)   (2/23 17:17:09)
盛岡冷麺/ジュリイ > っしゃ、しゃら、しゃらさ、ん、(泣きながら笑って、笑いながら泣いて、貴方の名前を呼んだ。嗚咽の混じったそれは消して金糸雀のような美しい言葉ではない、声ではない。溢れ出る涙は拭えど拭えど収まってくれない。貴方の顔も見えないのに、なにも知らないのに、貴方はぼくを連れて行くって。)___おば、おばかさ、だよ、しゃらさ…あは、んふ…(いつか見た光景、それと重なる。あれは夕暮れの海の出来事だっただろうか。やっぱりまだぼくは子供だった。さっきまで「もうなにを信じればいいのかわからない」とか「消えちゃいたい」とか、言ってたのに。叉羅さん、あなたもおばかだけど、ぼくもおばかさんだ。垂らされた銀色の糸が光っている。ぼくはそれを掴むだろう。たとえそれが、悪魔の唾液で輝くただの蜘蛛の糸だったとしても。)」   (2/23 17:17:23)


しぃずま/叉羅 > 「お、やっとこっち見てくれたな。…へぇ、かわいいじゃねえの。ますます死なせたくねえな。(先の鬼気迫るほどの熱意は、あなたが流した涙に冷やされ、優しく暖かい、温もりへと変われば、そんな風に、冗談半分で言って、頭を撫でる。)ああ、馬鹿だよ。俺はどうしようもねえ馬鹿さ。馬鹿っていいじゃねえの!俺は好きだぜ、馬鹿でいるこたあ。有り体とか、建前とか、面倒臭えもんは投げ捨てるに限んだよ。自由は楽しいぜ。…けど、ちっと寂しいのもあるけどな。(どこにいても風は吹く。人の風も然り、また自然の風も然り。そうした時に、彼らの事を思い出して、少し寂しくなってしまう。けれど、隠居生活をして、何も見出だせないまま死ぬなんて事はできない。…好機が来たなら、動かねばと、そう思って。)…俺も、顔を見せとこうか。どうせ一緒に行くなら、見ることになるもんだ。(長衣の頭に被った部分に触れる。…その瞬間、黒く尖った物が見えた。それなりの長さを持った、真っ黒な棘が。…ゆっくりとその衣を引き、錆色の髪と髭、堀の深い顔が露になった時。黒い角だと認識できるだろう。)」   (2/23 17:51:05)
しぃずま/叉羅 > 「聞いたことはあるかも知れねえがな。…俺はフェニクス騎士団の元万騎長、前の字は「オウガ」だった。今じゃお前さんを生かしたいただの馬鹿野郎さ。忘れるか、まあ無理なら出来るだけ隠しといてくれ。バレると誰が追いかけてくるか分かんねぇからな。(魂のような炎が、触れあえるよう浮かび上がる。)何があったかは俺も知らねえけどな。…今は泣きな。たくさん泣け。泣きたいときは、そりゃあもう馬鹿みたいに泣きゃあいい。(そして、彼はあなたを抱き寄せる。)そしたら、行こう。好きなだけ泣いたら、こんな町抜け出しちまおう。抜け出して、2人で旅しながら生きよう。おまえさんの事も、ゆっくりでいいから教えてくれよな。」   (2/23 17:51:12)


盛岡冷麺/ジュリイ > 「えへ、ぼく、ぼくたち、おばかさん!(泣きながら笑っているから、ぼろぼろの笑顔だった。それでも目の前に垂れてきた銀色の糸は、強く逞しくぼくを引っ張り上げてくれた。悪魔の糸なんかじゃなかったって思った時は、主にが降りた…というよりは、音を立てて崩れた。気持ちのいいくらいに。自分も外套をぱさりと外せば、ぷるぷるとしたゼリー状の髪が淡く光った。)…しゃら、しゃらさ、つの!つの、はえてる!(子供というのは、見たことのないものを目にした時ははしゃぐものだ。あなたのそれに驚いたかと言われればそうだと答える。けれど軽蔑も畏怖もしなかったことを信じてほしい。お互いおばかさんで、お互い変わり者だ。)   (2/23 18:10:51)
盛岡冷麺/ジュリイ > おーがさん、って…、ぉわっ、あ…(抱きしめられて、さらに涙が溢れでた。それと、大きくて逞しくて、すごく安心した。元万騎長、聞いたことくらいはある。もしこの人が現役だったならば、ぼくは為すすべなく殺されていただろう。でも、今だけは喜ばせてほしい。あなたが"叉羅"としてぼくの前にいることを。それで、それでいつか……いや、あなたの真の名前を、知りたいと思ってしまったことは…まだ秘密。でも、ぼくもあなたのことたくさん知りたいから。___ぼくの真名もいつか教えられますように。立ち上がる気力も、歩く意味ももう見つけられた。___明けないはずの夜、あなたという太陽を見つけた事に感謝を。)」【月と太陽】   (2/23 18:11:00)