ターラ&ディラン
噛み合わない歯車清瀬/ターラ > (意識がはっきりとしてからどれ程経ったか、どこまでも絶望はすり寄ってくる。朧雲のかかった瞳で小屋を見渡しても、何やら使えそうなものは何処にもない。見えるものといえば、乱雑に打たれたベニヤ板の隙間から溢れる日の光と、同じく床に横たわる、簑に身動きを封鎖された捜し人の姿。無事──とは言えなかったが、それでもちゃんと、強かに生きている彼だけが今の心の支えである。それを分かち合い、抱き合えればどれだけよかったか。残念なことに身の自由は縄によって咎められている。切られた体もこの圧迫感のせいで重度がよくわからない。喋ることも特になくて、鼓膜の働かない中で指だけを忙しなく動かし続けていた。) (2/17 22:57:10)
清瀬/ターラ > 「…………あっ」(ずっと弄り続けていたからか、袋の怪物の縛り方が甘かったからか。要因は定かではなかったが、縄がほんの少し緩んだ。右手で無理矢理隙間を広げて、指を少しずつ通しては捻って。暫し不思議な身の捩りを披露していると、漸く左手が解放された。)「ディランさ、あだっ!うぅ………。ディランさんの縄の結び目、何処にあるかわかります?頑張って、ほどいてみます」(ころころと床を這って貴方の方へと近づき、勢いをつけて起き上がる──のに一度失敗。頭を床板にぶつけても擦ることができなくて、恥ずかしさからか頬を朱に染めながら今度はちゃんと上体を起き上がらせる。忌々しい簀巻きの隙間から飛び出した左手をひらひらと貴方に振った。残念ながら自分の結び目は臍のあたりに可愛らしく咲いている。あの化け物が帰ってくる前に、気づかれないように、と囁き声。僅かな希望をも無駄にしてはならない、逸る鼓動を諌めながら、二人で助かる為の作戦を開始する。) (2/17 22:57:12)
シロー/ディラン > (閉じ込められてからというもの。最初こそ何とかしようとやれるだけの事はやったが、その全てが徒労に終わり。時間が経つに連れて疲れの方が大きくなり、糸の切れたように眠ってしまっていた。考える事も疲れてしまって、眠りに落ちていたディランを目覚めさせたのは、ターラの身動ぎする音と声であった。目を覚ますと、同じ様に縛られている見慣れた相手に気づいて、目を大きく開いて体を捻らせた。)「ターラ⋯⋯っ!⋯⋯っはぁっ⋯⋯⋯⋯ターラもか」(孤独というのは確かにディランの精神を蝕んでいて、恐怖以上に孤独な時間が長かったからか、虚ろだった世界に色がついた気がした。思わず声を上げてしまって、はっと口を噤む。ちらり、と周りを確認すれば心も落ち着きを取り戻していき、ターラも同じ状況であるという事実をまざまざと突きつけられて、酷く曇らせた表情と共に小さく呟いた。 (2/17 23:23:40)
シロー/ディラン > 血の巡りが悪いのと衛生環境、ストレスや諸々のせいで顔色の悪い自分と比べてもターラはまだ生気に溢れているように見えて、必死に拘束から逃れようとするターラにそれ以上声を掛けられずにいた。自分の縄は固く縛られており解ける気配する無かったから、きっと駄目だという感情がディランを支配していた。⋯⋯が、ターラの左手が拘束を逃れた事に気付いて再び表情を変えた。生気の感じられない瞳を開いて、転がるとターラに背中を見せた。)「ターラ⋯⋯っ、⋯⋯ああ⋯⋯、ここだ⋯⋯」(芋虫のように転がって近づくと、後ろ手にきつく縛られた手首の結び目を見せ。背中越しに小声で呟いた。)「ターラも⋯⋯捕まったのか⋯、あの化け物に⋯。⋯⋯⋯ターラ⋯⋯」(同じ様に捕まったターラに「ターラが来てくれて良かった」なんて言える筈もなくて。だけど孤独な時間を長く過ごしたディランはターラが来てくれた事が嬉しいと感じてしまっていることも事実で。声を出せば気づかれるかもしれないし、何を話せばいいかも分からなくて、何度も名を繰り返しながら背中を向けた状態で瞳を滲ませた。 (2/17 23:23:41)
清瀬/ターラ > (糸の切れたマリオネットのように伏していた貴方が声を発して、動いて。不安の中に見え隠れしていた生と死の二択が絞られて、幸の兆しを見せた。すっかりと精神を磨耗してしまったらしい彼は、素人が見ても不健康。絶望に、諦めに染まってしまった貴方を端から見ているからか。人間とは天の邪鬼なもので。言ってしまえば頼りなくて、清らかでいて繊細な月下美人の花弁よりも脆くて、硝子細工すら霞んでしまう繊細さに心を変えてしまった貴方を、護らなければいけないと思ってしまった。使命感にも似た思い込みが空元気を生み出す。明るく、それでいて静かな声色で、何だか廃れてしまったディランを諭すように声をかける。) (2/17 23:48:55)
清瀬/ターラ > 「えっ、と……わかりました。頑張ってやってみます…………もう少しだけ辛抱して下さい、ディランさん」(体を捻って結び目を視界に捉えると、再び背を向けて彼の手首に指を這わせる。縄を辿って見つけた固い結び目を、これから優しく絆してやらないといけない。荒い縄目は猫の舌のように肌を削り、虚空を見つめては時折微かに唸り声をあげる。ぽつりと背中をつつく貴方の言葉、それでも不安を煽ってはいけない。いただけ、ずっと年上の貴方の姉を演じてみても怒られないだろうか。)「……ディランさん、お怪我はありませんか」(左手が一つ目の結玉をほどいた。いつ恐怖が帰ってくるかも、現在地も時間もわからない現状。私だけが彼の導になることができる。灰色の瞳を伏せて、貴方に見えることのない顔を苦痛に僅かに歪めた。)「私は不甲斐ないばかりに、少しお腹をやられてしまって……。でも、大丈夫です。きっと守ります、無事に帰して…みせますから……」 (2/17 23:48:58)
清瀬/ターラ > (意識してしまうと余計に腹が疼いてしまう。気を紛らわせる都合のいいものなんてなくて、それからも「大丈夫」と譫言ばかりを呟いていた。見え見えの偽りだとしても決して表に返してやるものか。きっと団長が掲げたものとは異なる誇りを、意地を貫いてみせるのだ。二、三度程指を止めながら、どこまでも永い時間をふたりぼっちで過ごす。)「──ほどけましたよ、ディランさん。遅くなってごめんなさい」(最後の括り目を解放し、貴方の方へと向き直ると困ったように笑いかけた。) (2/17 23:49:09)
シロー/ディラン > (声の一つ一つが、自分がまだ生きていると思わせてくれるようだった。後ろ手に縄を解かれながら、ディランは何度も瞬きをして涙を睫毛に乗せた。化け物に襲われて攫われ、過ごした孤独な時間は現実味も無く、それでいて長い時間だけがただただ現実を突き付けるような中で、耳に届く仲間の声は希望であり助けであった。言葉が出てこずに黙りこくっていたディランは、呟かれたターラの問に頷いて答えた。)「大した怪我はないよ⋯⋯」(頭部を蹴られて無様に命乞いをして気絶して、運ばれたなんて。思い出されるのは就任式の日。アデルグントさんやヘスティアさんの言葉に乗っかって、自分も騎士団だと息巻いていた結果がこのザマだ。最早死ぬまでだと思っていたから忘れていたモノが蘇り、言えないまま心の中に残った悔しさに縛られた拳を強く握りしめた。) (2/18 00:35:17)
シロー/ディラン > 「あり⋯⋯がとう。⋯⋯ターラが⋯居なかったら俺は⋯⋯」(これまでは整備士として、機械騎士を整備する立場でいた。ターラに関しても気にかけていたし、心のどこかで自分は守る側の人間だと思っていた。それがどうか、情けない自分を助けるのはターラで、就任式の記憶と繋がった。「いざ戦いになったら、自分は足でまといでしかない」⋯戦おうと息巻いていた自分を思い出して、益々悔しいと思った。そう思う自分とは裏腹に守ってくれると言われて安心して、甘えている事を紡がれた言葉が如実に表していた。乖離する幾つかの感情に表情を歪ませながらも、「大丈夫」と繰り返される言葉に安堵の涙がまた浮かぶ。背を向けて気づかれないのをいい事に口元をきゅっと結んでいた。また長い時間が過ぎていく中、ディランの心は落ち着いていて、恐怖を感じることは無かった。ターラに甘え続けて、そしてついに結び目が解かれた。ゆっくりと上体を起こして、笑みを向けられると赤くなった目元を細め、口角を震わせる。自由になった両腕でまず何をするかといえば、ターラの縄を解くことであった。) (2/18 00:35:18)
シロー/ディラン > 「⋯⋯今⋯⋯解くから。⋯ ⋯帰ったら、俺にも診させてくれ、ターラの方が心配だ⋯⋯」(自分よりも先にターラの縄を解こうとしたのも、最後に付け足した言葉も、自分は守られてばかりじゃないと思いたいディランの、無意識下での最後の抵抗であった。自分よりも何故か結び目の緩い縄に違和感は覚えたが、ターラが上手くやったのだろうと納得すると、影の落ちた表情で一つ一つ結び目を緩めていき、暫くしてターラは自由になるだろう。) (2/18 00:35:28)
清瀬/ターラ > 「本当、ですか……?どこか、外傷じゃなくても痛めてたり、捻挫してたり…しません?」(貴方を疑っているわけではなかった。まだ年端のいかない私にだって言わない秘密が沢山ある。大人というのはもっと器用で隠し事が上手いものだ。猫のように痛みをじっと堪えることに長けた世の人々は、愛想笑いやのらりくらりと往なすことを得意とする。気を遣って我慢をしているのなら、今だけは楽になって欲しかった。自分を散々棚にあげた矛盾ある台詞だというのはわかっていても、窶れた相手をそのままにしておくのは、どうしても心が痛んでしょうがない。) (2/18 20:34:56)
清瀬/ターラ > 「私は…全然大丈夫です。この体だけが取り柄ですから、ちょっとやそっとじゃ壊れたりしませんよ」(両手の自由を手に入れたディランが真っ先に自分の縄をほどこうとするのを見て、体を捩って縄の結び目を貴方の方へと向ける。正面に向かい合った状態で己の拘束が少しずつ解けていくのを見下ろしていた。私よりもずっと深く長く心の傷を患ったであろう貴方が心配してくれたことはやはり嬉しくて、それと同時に余計迷惑をかけたくはなかった。困ったように眉を下げると瞳を細めて苦しげに笑って、真っ直ぐ前に居るディランをふと見つめる。)「…………あ」(今度は自分が縄をほどいてもらっている、甘えて頼っていると認識した途端の、極めて急な出来事だった。貴方の少し赤く擦りなした目尻や鼻を見て、頭の中を静かに打たれたように涙が一筋溢れた。凪に煽られることの一切なかった涕の湖は騒ぎ、その畔を余波の古ぼけた贈り物で満たしている。) (2/18 20:35:02)
清瀬/ターラ > 「ごめんなさい、ディランさん。違っ、あの……ど、どうしたんでしょうね、私いきなり。怖い訳じゃ、ない…のに……」(嘘は一切ついていない。言った通り怖さはなくて、孤独でないことが静寂の恐怖を和らげていた。こうして暫く言葉を交わしているうちに無事であることを実感してしまったのか、安堵の涙が滴として太腿へと落ちていく。やはり寂しい高官でそれを隔てるものは何もなくて、解放されるまでの間も声を圧し殺して、今にもほどけそうな括り髪を僅かに揺らしていた。)「……っご、ごめんなさい、いきなりこんな。あの……入り口、開いてるか見てきます、ね」(自分を縛るものが何もなくなったと同時に、徐に立ち上がって貴方に背を向けた。制服に赤黒く塗られた歪な爪痕も、乙女らしからぬ鼻水と涙にそぼ濡れた顔も、どちらも貴方に見せられる代物じゃない。それらを拭おうとした右手は冷たくて、そのときにやっと、手袋も平射砲も置き去りにしたままであることに気が付いた。左手で制服の裾を引っ張るとそれで顔を乱雑に拭いて、鼻をすすりながら入り口らしき所へと向かっていった。) (2/18 20:35:16)
シロー/ディラン > 「大丈夫⋯⋯大丈夫だ、それよりもターラが⋯⋯」(ターラを縛る縄を両手で解く事だけ集中しながらディランはどこか譫のように呟いた。その証拠にディランはそれ以上言葉を発しなかった。視線を上げてターラが涙を流しているのを見ても、切羽詰まった様な表情は縄のように緩むことは無かった。息をするのも少なくなっていて、最後の結び目を解き終わった瞬間に小さく息が漏れ。口を開こうとした瞬間、逃げるように背中を向けたターラを追いかけようと、自分の足を縛る結び目の存在を忘れて立ち上がろうとして尻餅をつく。「入口を確認するだけ」と口にした彼女だったが、武器としている平射砲がない事に今更ながらに気づき、自分と同じように丸腰なのだと思えば一人で行かせる訳には行かなかった。自分の結び目を焦りながら手早く解いて、もつれるように足を動かしてターラの横に並んだ。そして見えてしまった、腹部に刻まれた傷跡に気がつくと血の気が引いたように表情を変えた。) (2/18 21:57:11)
シロー/ディラン > 「ターラ⋯⋯いいから⋯⋯。こんな傷⋯泣くほど⋯⋯痛いだろ⋯」(涙をぽろり、と流した理由はこの傷のせいだとディランは思って疑わなかった。快晴の空を彷彿とさせる青色は血に汚れて赤黒く染まっており、見るのも恐ろしい程に痛ましかった。「怖い訳じゃないのに」という言葉もブラフだったと思えば、それ以上歩かせる事もしたくはないし、こんな傷を負っておいて強がる姿が許せないとも思った。)「お前⋯⋯俺よりも余っ程、大怪我じゃないかっ⋯⋯!」(眉を顰め、辛そうな表情で声を上げた。怪我をしているとは知っていたけど、いざその傷痕を目にして、お互い縛られた状態で気づいた時のことを思い出す。その時もターラは笑っていた。これまで苦しそうな素振りを一つも見せなかった事が酷く兵器じみていると思えて、ディランの感情を揺さぶった結果だった。大きな声を出してはいけないとはっとする時にはもう既に感情を露にしてしまった後で。はぁっ、と息を吐き出して、先程よりも声の抑えられたトーンで呟いた。) (2/18 21:57:13)
シロー/ディラン > 「なんで我慢するんだ⋯、お前は⋯⋯物言わぬ兵器なんかじゃないんだぞ⋯。就任式でも、そうやって、団長が言ってくれたじゃないか⋯⋯」(未だターラが自分を助けようとしてくれた事にすら気づいていないディランは、絞り出すようなか細い声でぽつりぽつりと声に出して、俯きながら頭を振った。)「そんな風に自分のことを軽く見るなら、絶対に戦争なんて行かせないからな⋯、痛くて当たり前とか、死んで当たり前とか⋯」(騎士として死を恐れず戦うのと、それは違うと思った。あの就任式の言葉もディランにかつてない影響を与えており、それに加えて機械騎士の中でも事務以外で言葉を交わした相手の行動だった事がディランを揺さぶっていた。出口の方をちらりと一瞥すれば、ターラの膝の裏と首の下に手を回して抱き抱えようとする。そのまま抱き上げたなら出口の方へ小走りで向かっていくだろう。 (2/18 21:57:26)
清瀬/ターラ > (中々止まってくれない涙腺に暫く指の腹で蓋をすれば、少しばかり目のまわりが乾いてきたようだ。肩で呼吸を整えると、カノン砲、失くしたと判明したら態々時間を裂いて作ってくれた整備士からどんな目を向けられることか。時間があったら回収したいところだけれど、その前に病棟へと放り込まれることだろう。……まずは、奴に見つからずに逃亡を成功させないといけない。涌き出る様々な課題に足はいつの間にか止まっており、何やら慌ただしく寄ってきたディランに気付くのも遅れてしまった。)「あ……、これは、その。ほんとに大丈夫です、見た目ほど深くは………」 (2/18 22:52:23)
シロー/ディラン > ((おおお...っっっ!楽しみ...! (2/18 22:52:25)
清瀬/ターラ > (ディランの視線が自分の腹を、傷口を捉えてしまったのに心が痛く跳ねた。腕で変色した制服を覆うとばつが悪そうに目を逸らして、口角を下げて吃る。貴方が見てしまうと憂わしげになってしまうのはわかっていたから、なるべく見せたくはなかった。…それだけじゃない、きっと優しい貴方がこれを見たら叱るだろう未来は簡単に想像できたからこその隠蔽。感極まってしまった感情の中に激痛を堪えるものもスパイスに含まれていたが、決して苦痛に悶えるばかりが主成分ではなかった。そんなに心配されるようなことではないと安心させるつもりが、貴方の怒りを呼んでしまう。)「…………っ」(初めて聞いた荒れた声に肩を震わせると、逸らしていた目を思わず彼の顔へと合わせてしまう。憤怒を彫った酸鼻極まる表情が、己の犯した過ちをより重い罪とする。思慮に長けていつでも賢明な判断を下していたディランという人は自分の中で頼れる人であり、自分の中に存在する数多の憧れの一人でもあった。そんな彼からの強い否定のようなそれがどうしても辛くて、折角塞き止めていた涙がまた瞳の裏に溜まって眼球の裏を熱く擦る。) (2/18 22:52:25)
清瀬/ターラ > 「あの、私…そんなつもりじゃ……」(彼なりのポリシーをぶつけた結果であろう言葉は明らかな否定となって身を貫いた。私なりに頑張った結果は、全て無駄となったのであろうか。もっと女らしくか弱くいればよかった?痛いと泣きわめけばこんなにはならなかった?心で問いただすだけでは解答など渡してくれないのはわかっているのに。逆上の果てに喉まで出かかったのは、最低な魔術。「貴方だって何もできない癖に」。……果たしてそんなことを言える権利があるだろうか。武器を紛失し、唯一の取り柄たる身はがらくた同然。これ以上ない程に役立たずで、反駁などの余地もないのだった。) (2/18 22:52:41)
清瀬/ターラ > 「や、ディランさん…重い、でしょう?…そうでなくても疲れてるんですから、ほんとに…無理は……」(膝裏と首もとに回された手を反射的に避けようとして、僅かに身を引いた。其れっぽっちだけでは退くことのない手を何とか説得しようと伸ばした手を、一瞬だけ不自然に宙に留めた。何でもないように手を下ろすとゆっくりと拳を作ってはほどくのを繰り返す。一度不調を覚えてしまうと負は連鎖し、何ともなかった筈の腹は何者かが産声を叫び散らしては痛覚へと変えていく。瞳を苦痛に細める様は、貴方にもよく見えるだろう。受諾の代わりに溢した謝罪は、打って変わって頼りないものだった。)「ごめん、なさい」 (2/18 22:52:54)
シロー/ディラン > (かぁっとなってしまったのは、就任式やイモータルとの接触、そして死を待つだけの孤独な時間と、立て続けに起きた出来事による感情の揺り返しのようなものであったのか、潤んだ瞳で震えた声を発するターラを目にして少しずつ冷えていく。ターラを抱き抱え、消え入りそうな謝罪の声を聞いて、苦しそうな表情を見て、小走りで進みながら表情を曇らせた。)「⋯⋯俺は整備士だから⋯⋯ッ」(一言、切れるように漏れる息に乗せて呟かれた短い言葉は、未熟な魔術師らしく言葉足らずであった。きっと苦しむターラに酷いことを言ってしまった自分への理由付け、という形の言い訳なのだろう。自分でも理解できないまま、無言の時間が過ぎる。胸元を見れば苦しそうな顔のターラが居て、せめて揺らさないように走ろうと視線を前に向けて、ひた走った。) (2/18 23:40:04)
シロー/ディラン > 「⋯⋯もう少し、もう少しだけ⋯っ、頼むから、頼むから⋯⋯っ!⋯たっ⋯太陽神様⋯⋯っ」(堰の切れた様に吐き出された言葉が空を切る。ディランは最後まで気づくことは無かったが、単に彼女が心配だった、傷を見て声を荒げたのも最初からそれだけの簡潔な理由が原因なのだった。こめかみに心因的なものか分からない汗を滲ませながら、司祭が居る騎士団本部を目指した。)「ターラ⋯ッ!ターラ⋯⋯っ、」(機械騎士として、兵器扱いされて、このまま終わるなんてそんな酷いことがあってたまるもんか。怪我を見た瞬間に最初から頭が真っ白になっていたディランは、死んでしまうかもしれないと我を忘れていた。魔術師にもなれなければ、いざ親しい仲間の死を意識させられれば耐えられない。結局は温室育ちの整備士であり、ターラとは違って一人の騎士にもなれないのだった。 )〆【噛み合わない歯車】 (2/18 23:40:07)