袋の男&イビーリオ
奇妙な約束黒助/イビーリオ > (はぁ、と一つ息を漏らす。両手を暖めるために吐き出した息は真っ白く染まり、頬を撫でる凍えるような冷たい風に乗って消えていく。空には歪んだ笑みのような三日月が浮かび上がり、全てのものを見下ろしていた――王都ウェンディアの街並みは、朝や昼であれば神秘的であろうと、街灯と月明かりのみが照らす深夜となると途端に不安感を煽ってくるものだ。そんな静謐で不気味な街並みの中、彼は一人で見回りをしていた。肩幅が広く大きな体格に加え、寒いはずなのに着崩した騎士団の制服も相まって端から見たら不良な感じに見えるだろう。だが、その表情は真剣であり、この街から危険がなくなるように。危険なことが起こらないようにと視線を張り巡らせていた) (2/15 15:37:21)
大和守/袋の男 > (──住処には、お姫様と【臆病者】が二人待っている。この王都から二人も拐った化物は一人、王都をのんびりと歩んでいた。歩いている、とは言っても道を歩んでいる訳ではない。家々を次々と軽やかに飛び移り、地を眺めていた。帰れば二人も【遊び道具】が待っている事に気分を良くし、ソイツはその顔に三日月の様な気味の悪い笑みを浮かべる。嗚呼、何と楽しい事か! もっと、もっと、【子供】を拐ってやりたい。【その他】を殺してやりたい。どうしようもなく溢れる殺意と戦意にギラギラと麻袋の下の瞳を輝かせて。どうやら一人で歩いている様子の貴方が視界に入り。)「──ゲラゲラゲラッ!!」(──不気味な嗤い声が響き渡った。嗤ってしまうのは、最早犯行予告の様なモノになっているのだろう。嗤い声と共に屋根を蹴れば飛翔し、貴方の目先に着地するだろう。そして貴方に向けて手をひらりひらりと振って、その手の平に宿る鋭い牙を持ち合わせた口を見せつけながら。ソイツは、呑気な様子で──けれど狂気的に、挨拶を口にしたのだった。) (2/15 15:53:44)
大和守/袋の男 > 「こんばんわぁ、一人で歩いてる【その他】さん。ねぇ──アタシと遊ばない? 勿論アンタが遊び道具になるけど──ゲラゲラゲラゲラッッ!!!」 (2/15 15:53:48)
黒助/イビーリオ > (建物が連なり、曲がりくねった路地を作り出す光景はまるでおとぎ話の様だった。無論、子供向けの優しいお話しではなく。その反対、大人ですら泣いたり恐怖してしまう方のものだ。そんな、暗がりの貯まる路地を進んでいる最中に、恐怖心を煽るような高笑いが聞こえてくれば即座に短剣を引き抜く。こんな時間にそんな笑い方をする者は基本的に二つの部類に分けられる。一つは酔っぱらっている者、こちらだったらまだ良いだろう。何せ酔っているだけなのだから、注意したりするだけで済むから――だが、この笑い声の主はそういう部類ではない。なにせ、自分に向けられる視線には殺気と敵意が乗っていたのだから) (2/15 16:08:28)
黒助/イビーリオ > 遊び、遊びか。こんな時間に男女が二人で遊ぶなんて中々にロマンがあるじゃねぇか――けどよ、悪ぃが今俺は見回りの途中なんだ。だからよ、遊びはまた今度ってことには…出来ねぇか?(ゲラゲラと、頭上から聞こえたときと同じ笑い声を溢す相手に警戒度合いを高める。また今度にと提案したが、今の笑い声に含まれた狂気からして確実に無理だろう。言ってみないことには分からないとはよく言うけれど、こればっかりは本当に無理だとわかる。なにせ、相対している者は狂人なのだから) (2/15 16:08:30)
大和守/袋の男 > 「……あら? ……あら、あら、あら……! まぁさか、そんな事を言われるとは思ってなかったわ……ッ! みーんなビビったり攻撃してきたりするだけなのに……ッ!」(──驚き、だなんて言葉を体現するかの如くソイツは大袈裟な身振り手振りを行った。初手で怖がらず、またはイモータルだからと攻撃を仕掛けてこない相手は初めて見た。ソイツは貴方の事もその例に漏れず攻撃でもしてくるのだろうと思っていたのだが、あまりにも拍子抜けで。ソイツの動きは何処かコメディ染みていて、まるで茶化している様にも見えるが、ソイツにはその気など一切ない。筈だ。)「こーんなにも珍しい相手は……ハジメテ、なのよね~! だぁから、そのお誘いに乗ってあげようかしら~っ」(ゆっくりと貴方へ近付いていきながら、ソイツは言葉を紡ぐ。先程までの殺意や敵意をひょいと消し去り、代わりにソイツはその声に媚びる様な色を乗せた。つまりは貴方を見逃すと。そう言っているのと同義で──。) (2/15 17:09:16)
大和守/袋の男 > 「──なーんて、言う訳無いだろ」(その全てを撤回する様なそんな低い声と共に、ぐにゃりとソイツの左腕が蠢いた。瞬きの間に腕は縄へと変化し、その縄の先には剣状の刃物が付いた──縄鏢、と呼ばれる武器へと変化する。それを勢いよく貴方目掛けて振るい、正確なコントロールで操作し、貴方の胴体を左肩から右腰までをなぞる袈裟懸けを食らわそうとしたのだった。) (2/15 17:09:19)
黒助/イビーリオ > 痛…ッ!(視線から敵意が消え、言葉から殺意が失われる。つい先程まで向けられていたものが突然消えたことに少しばかり脱力しながらも、ゆっくりと近づいてくる相手への警戒は低めなかった――それが、命を救った。ある程度近付いてきた相手の左腕が蠢いたかと思えば、次の瞬間には刃のついた縄に変わり、左上から胴体を袈裟に下ろさんとする。それを避けるために構えを一度解き、右半身を下げながら後退する。しかし、見てから動いた為に完璧に回避することは叶わなず、左肩から鳩尾までを服諸共に切り裂かれた。その痛みに思わず声が漏れた) (2/15 17:29:28)
黒助/イビーリオ > へっ――中々良いロマンしてるじゃねぇか!(だが、痛みだけで繊維が喪失するのなら、自分はここには立っていない。前に出したままの左足を軸に右半身を下げた勢いのままに小さく回転、身を沈めながら回転したことで発生した遠心力を利用して相手の懐へと踏み込み、自らの巨体を利用して相手の回避先を絞らせる。その上で、今の一撃のお返しとばかりに右腰の辺りから左肩までを切り裂くように短剣を振るって) (2/15 17:29:30)
大和守/袋の男 > 「ゲラゲラッ──あらあら、良いロマンだなんて──嬉しくって嬉しくって、もっと殺したくなっちゃうじゃない……ッ!!」(刃物は確かに切り裂いた。鈍く重い感触にソイツは三日月の様な笑みを浮かべた。嗚呼、何度も味わってきたこの感触が、たまらなく"イイ"。これを味わう為に殺人を犯していると言っても過言ではない程、これは愛しいモノだ。『良いロマンをしている』。その言葉にそうでしょ? とでも言いたげに恍惚の笑みを浮かべながら殺意を増幅させた。嗚呼、嗚呼、本当に──楽しい。) (2/15 17:53:24)
大和守/袋の男 > 「……ぁ、……ふふッ、ふふふふッッ!!! ゲラゲラゲラゲラッ!! あ~~────楽しくなってきたなァ!!」(そんな事を考えているばかりで周りが疎かになっていたせいだろうか。貴方がソイツの懐へ踏み込んだのを見ては、貴方の狙い通りの箇所にソイツは回避を──しようとして。そこで貴方の思惑に遅れて気が付いたのだろう。短剣の身を捩ってもう一度回避行動を取ろうとするが、遅い。短剣はソイツの体を右腰から左肩までを白布と共に綺麗になぞった。然し、手応えは無かっただろう。その証に、黒い靄の様なものがソイツの体から溢れ出る。それがソイツにとっての血の様なモノ。己が攻撃を食らった事を鈍い痛みと共に理解すれば、ソイツは嗤った。嗤い、嗤い、一つ踏み込めばまだ距離も離れていないであろう貴方に、今度は貴方の持つ短剣へと変化した手で貴方の短剣を持つ腕を突き刺そうとした。) (2/15 17:53:40)
黒助/イビーリオ > 殺す殺されるっつーのにはロマンがねぇけどなァ!(ゲラゲラゲラゲラと笑い続ける相手にこいつは人ではないと看過した。としか思えない。本来人と言うのは痛みを感じれば動きが鈍るか、あるいは止まるものだ。だが、自分が振るった短剣が想像した通りに動き、相手の胴体を右腰から左肩までを切り裂いたと言うのに、それでも笑い声が絶えることは無かった。それに加えて、切り裂いた場所からは赤い血ではなく黒い煙が吹き出たのだ――それで確定した、こいつはイモータルなのだと) (2/15 18:21:37)
黒助/イビーリオ > しゃっ、らァッ!(右足で踏み込み、振るった短剣と同じものに腕を変形させた相手を見れば、次の攻撃のために動かしていた体を止め、短剣へと変わった腕を振るう途中の、隙だらけの胴体へと全体重をのせたタックルを行う。相手の狙いは武器を持っている自らの腕だ。片腕だけでも無効化すれば有利になると思ったのだろう――故にこそ、更に距離を近付けた。直前での自分と相手の間合いは短剣の間合いだ。振るって行動出来、次の相手の攻撃にも対応できる完璧な位置取り。それはつまり、自分の短剣へと腕を変形させた相手にとっても完璧だったと言える。それを逆に利用して、相手の攻撃を阻害しながらカウンターができるタックルを選択したのだ) (2/15 18:21:39)
大和守/袋の男 > (──嗚呼、イモータルという化物で良かった、と。そんな思いが思考を過った。全体重を乗せたタックル、そんなモノを食らってしまえば確実に骨が折れる。文字通りソイツの体は吹っ飛び、勢い良く壁に叩き付けられれば地に落ちる。──それもソイツにそんな事を思わせた要因の一つだ。こんなモノを人の体で喰らっていたのなら、きっと気絶してしまって──"楽しめなかった"、だろうから。)「────やぁだ、強引……!! アナタってもしかしてそういうのが好きなのかしら……? ゲラゲラゲラゲラッ!! だとしても、アタシは一旦帰らせて貰うわ……どーも調子が良くないみたいだし、ね~」(地に落ち暫く俯いていたのだが、不意に勢い良く顔を上げ、貴方を何処か恍惚とした表情で見つめ、確かに傷付いている筈なのにころころと表情を変えながら茶化す様にそう語ろうか。けれども直ぐに溜め息を一つ溢せばゆっくりと立ち上がったのだった。) (2/15 18:58:56)
大和守/袋の男 > 「ねぇ──また遊びましょう。約束よ。アナタと遊んだこの時間はとっても楽しくて──"イイ"。"カイカン"、だった。こうして傷付いちゃった事だって、アナタに負けた事だって──全部が"ソソル"わ。何より────負けてそのまんま、なんて気に入らねぇからな!! ゲラゲラゲラゲラッッ!!」(そう嗤い声を残して、ソイツは跳躍した。文字通り人外の脚力で、ソイツは直ぐに見えなくなってしまう。──約束だ、と。そう言ったからには、ソイツはまたアナタを狙うだろう。次は殺してあげるから──なんて、その裏に隠れた明確な殺意を残しながら、ソイツは奇妙な約束を残していった。)【奇妙な約束】〆 (2/15 18:58:59)