コルキカム&ヘスティア&アデルグント

暁光の群像劇

大和守/コルキカム > (ーー何処に行っても、何れ程要らないモノを片付けても、探し物は見つからない。金と白。その二つが見つかればコルキカムはそれでいいのだ。それだけで、構わないのに。何をしても、どれだけ頑張ろうと、その片鱗すら見付けられないのだ。)「見つかんない……見つかんないよお…………どこ…………金と、白……」(ぶつぶつと、ゆらゆらと。魘されているかのように力無く呟き、まるで幽鬼の様にコルキカムは歩いている。コルキカムは基本帝國の近くに居るのだが、今この時は王国に彼は居た。帝國は嫌という程探した。それでも見付けられないのならば、次は王国を、と。何処か朦朧した不安定な思考であれど、それだけは判断できて。これが人気の無く、かつ人通りの少ない夜で良かったと言わざるを得ない。騎士にでも見つかれば、即座に討伐されてしまう。それ程までに、今の彼は危うい。まるで操り人形の様に我が無く、そして虚ろ。今の彼は、そこまで堕ちている。)   (2/12 21:57:56)


マリア/ヘスティア > (ヘスティアはその日、礼拝を済ませて人通りの少ない夜の街を歩いていた。明日も仕事はある。早寝するに越したことはないのだが……寝付けない胸騒ぎは、これからの騎士団を思えばこそなのだろうか?……ふと、声が風にのって耳朶に触れた。ヘスティアは振り向き、そして────あなたと邂逅を果たす。)「……イモータル?」(あまりに異質なその姿をひと目見ただけで、ヘスティアははっと息を飲んだ。ごくり、と音を鳴らして喉が上下する。……かろうじて人型を保ってはいるが、首と胴体、肩と腕の別れたデュラハンのような姿、ぽっかりと空いた片目……全てが冒涜的な”デザイン”をしている中、ぞっとするのはその銀と青の髪がひらひらとはためくさま。人形のようにどこか均整の取れた胴体。元が女性だったのか男性だったのかすらも解らない、中性的な雰囲気─────それらを美しいと思ってしまった事。何もかもがアンバランスなあなたの姿は、目にしただけでヘスティアの感情のバランスさえも、一瞬にして崩してしまった。)   (2/12 22:10:06)
マリア/ヘスティア > 「……─────イモータルか……!」(まなじりを決して飛ぶように後ろへ下がり、片手を前にかざした。護身用の武器は何も持ってはいないが、自分には魔術がある。ヘスティアは、なめらかに呪文へと繋ぐ名乗りを上げた。)「……解語の異形……言葉が通じるのであれば僥倖です。ここが騎士団の膝下と知ってその冒涜的な姿を晒しているのですか?私は騎士団長として、あなたを討伐しなければなりません。名乗りくらいは聞き入れましょう。……名乗れ!」   (2/12 22:10:12)


大和守/コルキカム > 「…………アハハハッ! なぁに? ボクそんなのしーらないっ、探し物してるだけだし~っ! ま、良いやっ!  なのってあげよ~じゃないかっ! ボクの名前はコルキカム! その脳みそに叩き込んでね!」(先程までの虚ろさは何処へやら。貴女に声を掛けられては一瞬の内に不気味な笑みを浮かべ、嫌に明るく言葉を紡ぐ。嗚呼、面倒臭いなぁ。そんな感想を内心呟くも抑える事が出来ず、赤く輝く貴女をぎょろりと見つめた。)「……ねぇボクさ、今ちょっと機嫌悪いんだよね。討伐する~っていう発言取り消してどっか行ってくれるなら見逃したげるけど。……ま、いっかあ! オマエみたいな奴等って絶対退かないもんねー!」(けらけら、けたけた。己が言いたい事だけを言い、それが終わればコルキカムの体は操り人形の様にぐったりと力が抜ける。が、その体は糸で繋がれているかのように僅かに虚空に浮く。頭上には黒い靄の様な手。しかし、闇に紛れたそれを見つける事は出来るだろうか。それを観察する暇も与えさせないかの様に、彼の体は貴女の目前まで勢いよく動かされた。関節の動きもを無視した、操り人形と化した彼は。貴女に剣を以て横凪ぎに切りかかったのだった。)   (2/12 22:39:22)


マリア/ヘスティア > (異形はケタケタとグロテスクな嗤い声を上げ、饒舌に口を回らせたかと思うとふっと脱力した。暗闇に目を凝らすが、次の行動に動体視力を追いつかせる事は出来なかった。次の瞬間、肉迫する身体にはっと息を飲む。風を切ってあなたの姿が眼前に現れた時、それは暗闇から突然現れ出した錯覚すらも覚えた。)「……っく、……あぁあッ…!」(横薙ぎに振り払われた剣は、ジッと火花のような音を立て、僅かに身を捩ったヘスティアの横腹を切りつけた。がくっと膝を折り、血のだくだくと溢れる損傷部位を片手で抑えて、ヘスティアはあなたを見上げる。)「……コルキカム……ッ」(花の名を思わせるそれに聞き覚えは無かった。あなたの事を解き明かそうにも、今は情報が少なすぎる。ヘスティアは片膝を立てたまま、すうと夜の空気を吸い込んだ。立ち上がるまでに時間を稼げれば──……いや。)   (2/12 23:00:23)
マリア/ヘスティア > 「我が仰ぎ見し慈しみ深き火神、祝融の貴婦人よ。」(時間稼ぎなど、やっていられるか。呪文を詠唱しながら、バチバチとスイッチが入ってゆく。トドメを刺される前に、やられる前に、やらなければ。)「散る火花の鳴すよりも豪然たる炉の核融を、燃え滾る息吹の唸りよ。かの者達を焦がす勝利の篝火を、いま見せん。呼び集まれ、太陽の名のもとに!」(その刹那、石畳がばきばきと音を立てて盛り上がる。地中からマグマが湧き出て、あなたを下から煌々と照らしつける。)「…我が名において冀う、灼き尽くせ!」(溢れ出したマグマは意志を持った生き物のように、あなたの足元に迫るだろうか。ヘスティアは続けざまにあなたに問いかけた。)「……その探しものとやらを見つける為に、もしや人を殺しましたか?不死の身体とやらで驕り高ぶり、弱者を虐げた?……答えろ、コルキカム!」   (2/12 23:00:28)


大和守/コルキカム > (ーー貴女の苦痛も、何もかも。今のコルキカムには届かない。少なくとも、コルキカムの体には。その中からは精神など抜け落ちた文字通りの抜け殻は、貴女に追撃を喰らわせようとーーした所で。)「………………ぁ」(詠唱。それにより顕現した奇跡。魔術。地中から吹き出たマグマ。高く舞い上がったそれの一片は確かに、その手に触れた。途端、コルキカムの精神は強制的に肉体へと再び宿る。まさか、こんなにも早く終わるとは思っていなかった。嗚呼、自分はあの異能が無ければ、魔術を使う貴女と互角に戦える筈もない。今は足元に迫って来ていたマグマを避けようと、マグマに背を向けては届かぬ場所へと駆け。)「そりゃ、殺したよ? それの何が悪いのさ! それに要らないモノを片付けたんだからボク偉いもん!」(マグマから距離を取り。そのまま背を向けて逃げる事はせず、それとも逃げるなんて出来る訳が無いだろうと何となく悟っているのか。何処までも明るく、自分を称賛する言葉を口にした。正常から見れば明らかに歪なそれを、まるで誇るかのように。)   (2/12 23:26:13)


マリア/ヘスティア > (ヘスティアはあなたの異変には気づいたが、それが何を意味するかまでは解らなかった。あなたがどんな異能を使い反撃を試みるか。何も解らないなりに歩みを進めて近寄って、だらりと空中に投げ出された腕に持った剣を蹴り飛ばす。武器を奪えば、あるいは有利に事を進められるかもしれない。地面に音を立てて投げ出された剣を奪い、あなたに突きつける。)「偉い……?」(まるで、承認欲求を持て余した子供のようにあなたは繰り返す。一体、この化け物の”探し物”とは───……そこで、ヘスティアは、奪った剣に彫られた銘を見てはっとした。)「……これは……」(目が泳ぎ、あなたへと向けられる。マグマの赤い光を反射した剣をあなたに向けて薙ぐように、風を切る音を立てて向けた。顔には当たらなかったが、髪が一本落ちただろうか。)「……この剣の持ち主を私は知っています……」   (2/13 00:01:24)
マリア/ヘスティア > (『あなたが殺したのか』と問い詰めそうになった。しかし、はらりと地面に落ちたそれを見て、熱くなった思考が一瞬冷めるような気がした。この剣の持ち主、アインハード氏。彼は…確か殉職したのでは無かったか。多くなかった関わりの、その記憶の糸端を手繰るようにしながらあなたの顔をもう一度、目を凝らして見た。──ああ、青いリボンに惑わされて、何も見えてはいなかった。その銀髪はたしかに、あの人に似ている。)「……アインハード……さん……?」(まだ、コルキカムがアインハードその人であると確証が持てている訳ではない。異形は生前に固執したものに影響して形を取るいうのなら、アインハードさんと因縁の深かった人物である可能性も考えられる。ただ、イモータルは不死。いくらトドメをさそうとも、どうして殺戮を続けるのか、その理由を解き明かさない限り討伐したとは言えないのだ。ヘスティアは、願望を込めてあなたにかまをかけた。)「あなたなの?」   (2/13 00:01:30)


大和守/コルキカム > 「ッ、!?」(まだ体に戻ったばかり、体に上手く力が入れられない。そのせいか剣を握る力も弱々しくてーーと、剣を蹴り飛ばされては目を丸く見開いた。異能ももう使えない。更には武器まで奪われた。勝ち目など、この時点で既に消え失せた。後は逃げる他ない。突きつけられた剣がどう動くか、それをじっと見つめ。)「…………?」  (2/13 00:17:47)
大和守/コルキカム > (そんな努力も虚しく、剣が振るわれ。それをコルキカムは避ける事すら出来なかったーーが。痛みも何も無い事に、コルキカムは疑問符を浮かべた。ひらり、髪が落ちた事にも気付かずに。)「……あいん、はーど……?? …………誰の事?」(こてん、と首を傾げた。貴女の言った『アインハード』という単語は一切聞き覚えが無い。それが生前の自分の字であるという事も、全て記憶に無いのだろう。本当に、コルキカムが覚えているのは『金』と『白』。……その事しか、分からないのだ。)「……ねぇていうかさ、ボクの剣返してよ! ボクは金と白を探さなきゃいけないのーっ!!」(貴女の言葉が自分に一切関係がないと判断すれば、奪われた己の剣を指差し、返せと怒りを露にして。それは……何となくだが、他人にあまり触れてほしくないモノの様な気がする。そも、それは奪われた直後に抱くべき感情の筈だが、剣を奪われたという驚きに紛れ浮かばなかったのだろうか。此処に乗せろとでも言うように伸ばした手を広げ、貴女を何処かむっとした表情で見つめていた。)   (2/13 00:32:13)


マリア/ヘスティア. > 「……」(とぼけたように首を傾げる姿を見て、きゅっと唇を結んだ。知らないのならば、どうしてこの剣を持っているのだ。あるいは本人にすら解らない領域なのかもしれない。こうなればもはや仮説とわかっていても、それに縋るしかない。『金』と『白』。それが意味するものが何かは解らないけれど、解らないなりにヘスティアは導き出した仮説へ向かって駆け出した。)「……返してほしければ追いかけてくる事ね!そうすれば──……」(あなたの探し物とやらを見せてあげられるかもしれない。ヘスティアは、先程切り落としたあなたの髪を拾い上げて騎士団本部へと駆けた。)「……百聞は一見に如かずって奴かもね。あなたをそんな”デザイン”にしたのは、あなた自身なんでしょ……。こんな青いリボンを彷彿とさせる騎士は一人しかいないじゃない。─────白日の青女と呼ばれた、あの人しか!!」(その言葉は、自分自身に向かって放たれた慟哭であった。コルキカムを離すように、けれど振り切らないよう駆け続け、転がり込むように兵舎に至る。そこで、剣を振る一人の騎士を目ざとく見つけ、コルキカムに解らないように小さな声で叫んだ。)「……アデルグント!」   (2/13 00:55:02)
マリア/ヘスティア. > (立ち止まり、肩を掴んで息を切らしながら必死の形相で彼女に訴えかけた。)「……お願い、イモータルに追われているの、協力して!これはあなたの騎士団長として最初の武功となるかもしれません。」(物陰にアデルグントを誘い、右手に持ったコルキカムの髪をあなたに突きつける。)「ああ、よし。この暗闇なら白い髪に見える……うん!……アデルグント、よく聞いて。これをあなたの髪に結んでほしいの。説明は後!あなたは今から、先々代団長”ヴァンジャンス”となる。……これからイモータルが来るけれど、あなたが偽物だとばれないよう、言葉を発してはいけません!───あなたは、ただ立って、そして微笑んでいればいい。お願い、囮になって。後は私がやります!」(そう言うと、コルキカムの髪を握らせ、奪った剣を握り直して振り返った)   (2/13 00:55:16)


大和守/アデルグント > (ーー剣を振るう。振るい、振るい、振るい続ける。夜であろうと、強くなる為には鍛練を欠かす事は出来ない。騎士団長ーー前騎士団長と呼んだ方が良いのだろうか。彼女に言われた事も覚えている。けれども、国の剣、民の盾、悪を裁く光として。その為に強くなくてはいけない。そんな思いを胸に振るっていたのだが。)「……へ、ヘスティア様っ!? え、あ、えっ…………!?」(転がり込んでくる様に兵舎へと駆けてきた人物と、その勢いに思わず困惑する。矢継ぎ早に紡がれる言葉も聞いてはいるのだが上手く理解できず、理解不能を示していた。突然何を、と突然の事にそんな事を口走りそうになった。だが貴女の必死さにそれを呑み込み。先の言葉を全てとは言わずとも噛み砕き。)「…………何が何だかよく分かりません、が! 承知致しました!!」(そう勢いよく口にしては渡された髪を己の髪へと結ぶ。器用だったのが此処で幸いした。結び終えーーアデルグントはそれ以降口を閉ざし、口元に小さく笑みを浮かべた。不安はある。確かにあるが、貴女が居るならば大丈夫だ。全幅の信頼を、覚悟を貴女に預け。これから一体どうなってしまうのか。それは、分からないけれど。)   (2/13 01:18:02)


マリア/ヘスティア. > 「コルキカム、あなたの暴走もここまでです。……この剣は返してあげる。」(と剣を掲げ、その切っ先で追いかけてきたあなたの方をさしながら、ヘスティアは立ちはだかった。)「あなたの謎を解き明かしてからね。」(軽く振り返り、流し目で”ヴァンジャンス”となったアデルグントを確認する。長身の佇まいも、影武者にお誂え向きだ。)「……ヴァンジャンスさん、手出しは無用です。見ていてください!」(アデルグントにヴァンジャンスを騙らせる為、あえて大きな声で偽りの字を呼んだ。だけど、その声は震え、魔力を帯びる。────私は騎士団長として、あなたほどうまくはやれませんでした。だけど、見ていてください。ヴァンジャンスさん。太陽の子らはその意志を、先代団長アーイディオン氏へと、現団長ヘスティアへと、そして、新たなる騎士団長、アデルグントへと引き継いでゆくことでしょう。さあ、コルキカム。見掛け倒しの威嚇に隠れた魔術をあなたは拾い上げる事が出来るだろうか。神はイモータルにも言葉を与え給うた。ならば、語れ。───この光景を見て、あなたは何を思うのか。)「……探し物とやらは、見つかった?」   (2/13 01:29:12)


大和守/コルキカム > 「…………はぁ!? 何だよそれッ、……。……」(ようやく追い付き、剣を返して貰えると思っていれば『貴方の謎を解き明かしてから』、だなんて事を言うではないか。その言葉に地団駄を踏み怒り、オノマトペが浮かんでいそうな仕草と表情を浮かべながら、貴女を見ていた、が。その側に立つ人物を見て、微かに瞳を見開いた。様な気がした。)「………………え」(様な気がした、ではない。貴女の言葉を聞いて、はっきりと目を丸く見開いた。その言葉が、確かにコルキカムに何かを与えた。それが、心から望んでいたもののようで。それが、『探し物』とやらのようで。)「……ぁ、……ッ、え、……な、なんで、泣いて、……」(何時の間にやら、無意識にコルキカムは涙を流していた。泣いている事に気付けば困惑しつつも拭い、けれどそれは止まらなくて。雰囲気が似ている。容姿が似ている。身長も彼女と似ている。ーーたったこれだけで容易く騙せてしまう。けれどそれだけで泣いてしまう程、"ヴァンジャンス"という存在は大きなものだった。泣いている理由も完全には理解出来ていないまま彼は涙を溢す。きっと、これ以上は。彼のコードを踏む他無いだろうという事は明白だった。)   (2/13 01:48:00)


マリア/ヘスティア. > (金色の瞳からも、ぽっかりと空いたところからも、さめざめと涙を流す姿に胸がつきんと傷んだ。イモータルでも涙することがあるのか。自分が今対峙しているものは、紛れもなく”人”であったものだと痛感する思いであった。───仮説は、あながち的外れでもないようだ。アインハードさん、あなたが殉死した戦には彼女が居たはずだ。)「……コルキカム、いいえ、アインハードさん。私、あなたを彼だと思って話します。……あなたとヴァンジャンスさんの関係を、私は全て知っている訳ではありません。仲が良かったと言われても、そうだったのかと思うくらいには無関係だった。けれどその青いリボン、白と金という言葉。私は彼女を思い出した。あなたは彼女を、探していたんじゃないでしょうか。」(剣を構えたままコルキカムに近寄る。先程切られた横腹がじくりと傷んで、わずかに顔を顰めた。)「   (2/13 02:11:23)
マリア/ヘスティア. > 「アインハードさん、どんな未練があなたを縛り付けているの?あなたは立派な騎士だったはず。私に知ったような口をきかれるのは我慢ならないかもしれないけれど、私は騎士団長として、一人たりとも”騎士”を見捨てる事は出来ない。だから聞いて。───道半ばで倒れ、成し遂げたかった事が露と消える悔しさ……本当に、無念でしたよね。」(ヘスティアは剣を地面に放り投げ、コルキカムの銀髪に触れる。その先につながる青いリボンへと指を滑らせて、精一杯の”魔術”を紡いだ。)「あなたは強く、崇高で、立派な騎士でした。どうかそれを誇ってください。イモータルとなってもその強さは変わらなかった。私の血を触って。これはあなたがつけた傷です。二度目があれば私の命はなかったでしょう。」「あなたが居なければ、亡くなっていたのはヴァンジャンスさんだったかもしれない。彼女を守ったのはあなたです、あなたの剣です。」   (2/13 02:11:30)


大和守/コルキカム > (『アインハード』という人物は、相変わらず分からない。貴女の魔術は時の海に沈められた記憶を再び表へ上げる事は叶わなかったが。それでも、その言葉達はコルキカムの胸の中にすんなりと入っていった。此方へ近寄る貴女をただ、見つめる。自然と、剣を、敵意を向ける気にはなれなかった。貴女のお陰で『探し物』が見つかった。貴女のお陰で、心にぽっかりと空いていた様な空虚は少し、満たされた。けれど、分からない事だらけだ。)「…………あのね。……ぼ、ボク、やっぱり『アインハード』って人の事は分かんないよ。分かんない事、だらけ、で。……でも、でもね、きっと、ううん、絶対に『探し物』はね、その人だったから」(やっと、自分が泣いている理由が、涙を溢していた理由が理解できた。自分の中で理解できる限りの情報を整理して。確実に自分の『探し物』は彼女だったから。それを見付けさせてくれた貴女に、場違いだとは理解していながらも「ありがとう」なんて礼の言葉を口にした。まるで子供のように単純な思考である今だからこそ、こんな事が出来ているのだが。)   (2/13 02:42:56)


マリア/ヘスティア. > 「……そう……ごめんなさい、わからない事ばかり言ってしまって。」(もしかすると、目の前の彼はアインハード氏ではないのかもしれない。過去にばかり囚われて”コルキカム”という人格をきちんと見られなかった。また謎は袋小路に迷い込んでいく。)「あなたはヴァンジャンスさんを、愛していたのかな……」(手がかりが欲しくて、ぽつりとそう呟いた。だけど、彼は”ヴァンジャンス”という名すらも解らず、”その人”と呼ぶばかり。アインハードではないなら、”コルキカム”は何を求めて、彷徨っている?もう一度目を凝らしてあなたの姿を目に焼き付けた。糸で吊り下げられたかのような首に、手。その姿は、あるものに似ていた。)「……マリオネット……?」(人形という言葉は、人の形をかたどった傀儡という意味の他にもう一つ意味があるはずだ。自我がないものを、我々は須らくそう例える。ヘスティアはコルキカムの肩を両手で掴み、まなじりを決して訴えかけた。)   (2/13 03:02:07)
マリア/ヘスティア. > 「……コルキカム、あなた、はじめて会った時から笑っていましたよね。目に黒い涙を流しながら、笑っていた。──どうして?……隠したい感情が、あるのではないの。……怒り?悲しみ?……何を覆い隠そうとしてるの?……笑わなくてもいい、隠さなくてもいい、教えて──教えて、あなたを!」(やはり、”わからない”と言われてしまうだろうか。コルキカムの自我が、意識が”神罰に”持っていかれる前に、彼の心を解き明かさなくてはいけない。ヘスティアの表情は必死そのものだった。これで彼の深層を引きずり出す事が出来ないならば……)   (2/13 03:02:13)


大和守/コルキカム > 「──……あい……」(『愛』。その、言葉によって。コルキカムの不死性、コルキカムの異能。それらはこの瞬間、永久に失われた。貴女の紡いだコードが、コルキカムの──アインハードの記憶を、呼び戻す。ぐちゃぐちゃに入り交じり混濁する精神と意識の中、朦朧としながらアインハードは言葉を紡ぐ。)「……あ、ぁあ……そうだ、ボク、……僕、は……」(──『アインハード』と。二人だけで談笑をしていた時は『コロナリア』、と。そう呼ばれるのが、僕にとって何れだけ嬉しかったか。壊れた人形みたいにずっと笑うのは、君に真名を教えた日から止めたんだった。────『しなないで』、と呼び掛けられた最期の日の事はよく覚えている。血で汚れるのにも構わないで彼女は僕の体を揺すって。僕の為なんかに必死になってくれる、そんな彼女が何より愛しかった。何時の間にか彼女を好きになっていた事。それを伝える前に、死んでしまったから。だから──今、伝えられなかった告白を。)   (2/13 11:25:49)
大和守/コルキカム > 「──ヴァンジャンスの事を、愛してた……」   (2/13 11:26:11)
大和守/コルキカム > 「そうだ、……僕は、僕は……」「……ずっとずっと、ヴァンジャンスの事が、好きで……でも、伝えられなくって……」(貴女の側に立っている──ヴァンジャンスではない、彼女に呼び掛ける様にして、感情を吐露した。どうしようもなく、涙が溢れる。)「僕、僕はね、ずっと、愛されたかったんだ。けど、それ以上に君が好きで……」(生前、強くなろうとしたのは凄いと誉められる為。愛されたいが為に。弱くては、いけない。弱くては愛される訳がないと。ずっと笑っていたのも、愛されたかったから。全部、全部愛される為にやっていた。以前のフュメオムとの会話。激情に任せて叫んだ最後の言葉の後には、『愛されたいだけなのに』と続く筈だった。だが、イモータルは自身のコードに関する言葉を失っている。だから言えなかった。だからずっと、『探し物』に必死になっていた。けれど、それも今日でお仕舞い。こうして想いを伝えられた。それだけでもう、十分だ。──不死性を奪われた彼を一体どうするのか。後は貴女にお任せしよう。)   (2/13 11:26:34)


マリア/ヘスティア > (ヘスティアは、コルキカムの僅かな異変に気づいた。辿々しい言葉で感情を吐露しようとしている事には変わりないけれど、戸惑う様子は生前の記憶に押しつぶされている事を彷彿とさせた。彼は少しずつ、あるいは一気に思い出しているのだろう。まだ、コルキカムがアインハードであるという情報は無く、コルキカムはコルキカムとして、ヘスティアの目に映る。)「……あなたは…ヴァンジャンスさんの何、だったの?……騎士だった事は、やはり間違いなさそうですね。……」(手を動かして、地面に落ちている剣を拾った。)「愛されたかった……そう、そうなの……。」(その言葉は悲痛な叫びのはずであるのに、語る声は静かで、純粋なものだった。ヘスティアは立ち上がり、剣を振るう──コルキカムの頭上を横なぎに、まるで、糸を断ち切るように。)「あなたを操る運命の糸は、今切られました。」   (2/13 12:20:03)
マリア/ヘスティア > (ヴァンジャンスさんは結婚して、もう騎士団には居ない……その事を伝えようか最後まで悩んだ。けれど、ようやく会いたい人に会えたのだ。このまま嘘を突き通し、罪は自分が背負おうと思った。──だけど、一人じゃない。ヘスティアは振り返り、アデルグントの目を見てひとつ、こくりと頷いた。共犯になってくれますか、と。)「私は、やはり神罰の異形となったあなたをこのまま見過ごす訳にはいかない。それが私の使命だからです。……だけど、最後にもう一度だけ聞きましょう。名乗りなさい、あなたの名乗りたい名を、私は私の記憶に刻みつける。」(あなたは、『コルキカム』なのか、それとも『アインハード』なのか、はたまた別の誰かなのか。断ち切られた糸は、あなたの意思を尊重することを意味していた。)   (2/13 12:20:14)


大和守/コルキカム > 「……僕は…………ヴァンジャンスの、友達、だったよ」(──貴方は、ヴァンジャンスの何だったのか。自覚している限りなら、その答えしかない。生前は想いを伝える事が出来なかったから。今、イモータルとなってようやっと伝えられたけれど。けれど、ヴァンジャンスと恋仲になりたいと、そこまでは望んでいない。想いを伝えられた。どうせならば、その願いを叶えられたまま死にたい。返答はいらない。それを拒まれたら苦しいし、受け入れられたとしても死ぬ事が嫌になる。こんな体でも生きていたいと、それを望んでしまうから。それは、きっと彼女に迷惑を掛けてしまうだろうから。そんな事になってしまうくらいなら、此処で、このまま。死んだ方がよっぽど良い。──だから。)   (2/13 12:51:12)
大和守/コルキカム > 「────僕は、アインハード」(貴女のその言葉は、何よりも救いとなって。──今の貴女は、まるで女神の様にも見えた。【死】という救いを求めるように、貴女を見つめる。見つめ、そして──字を名乗った。真名を知っているのは、ヴァンジャンス一人で良い。彼女は唯一の友達で、初めて恋心を抱いた相手なのだから。だから、貴女にはどうか自分という存在を知っていてほしいと。自分が確かに存在したという事を覚えていて欲しいと。アインハードは俯き、強く目を瞑って。訪れる死を、救いを待っていた。)   (2/13 12:52:05)


マリア/ヘスティア > 「アインハードさん……やっぱり。」(ヘスティアは、目を閉じて頷き、彼に剣を返した。)「ヴァンジャンスさん、サーベルを貸して。……トドメは、私が刺します。アインハード……その名は、剣を持つ強き者という意味。そうありたいとあなたがつけた名前ならば、その本懐を遂げるべきでしょう。」(アデルグントに目配せをして、サーベルを受け取り、構えた。「聖騎士アインハードは、決闘の末に生涯の幕を閉じるのです。そのために、私が相手になりましょう。」(ヘスティアは目を閉じ、あなたの合図を待った。)   (2/13 13:04:48)


大和守/コルキカム > (確か貴女は自分を騎士団長だと言っていた。嗚呼、今の騎士団の長がこれなら、きっと──大丈夫だろう。生前ではあれど騎士団に居た者として、そんな事をぼんやりと思った。──貴女は本当に素晴らしい御方だ、とも。返された剣の握り心地を確かめる様に、力を抜き、握りを数度繰り返した。イモータルであった者に対しても慈悲を掛け、最期を。こうして飾ろうとしてくれるのだから。)「────騎士団長、殿。貴女が長として在る騎士団は、とても、……とても、良いのでしょうね。貴女は、とても良い人、ですから。…………それでは、いかせて頂きます」(貴女の言葉に、こくりと小さく頷いた。きっと、これを振るうのも──これが最期だろう。「プラム」と刻まれたその場所を何処か愛しそうに眺めて。一度瞳を閉じ、次に開いた時には覚悟は決まっていた。今持てる全力で地を蹴り、貴女の目前に迫り。貴女の右肩から左腰までをなぞる様な袈裟懸けを振るおうと。その軌道には、当然心の臓も含まれている。剣を持つ者として。容赦なく、全力を振るった。)   (2/13 13:43:31)


マリア/ヘスティア > (コルキカム、もといアインハードが描いた軌道は、ヘスティアの肩にめり込む。顔を歪めながらサーベルを構え、それを彼の鳩尾に突き立てようと死力を奮った。)「………────うぁああぁあああッ……!!!!!」(獰猛に命を燃やした咆哮が夜空に響く。赤い目が輝き、あなたの最期の表情を目に焼き付けんとした。彼の剣は胸を滑るようにしてヘスティアの胴に斜めの線を描いていく。)「………っく、ぁああッ……!!…はぁーっ……はぁーっ…!!!!」(息を切らして、がくりと膝を折る。ヘスティアの放った一撃は、決して手を抜いた訳ではないがいま一つ威力に欠けただろう。しかし、既に不死性を失ったあなたに致命傷を追わせるのには十分だろう。)「……アイン、ハードさん……あなたはとても……強かった。」(胸を抑え、苦痛に顔を歪ませながらもヘスティアはゆるやかに口角を上げた。そしてそのまま、どさりと地に伏せて……──────死闘が終わった。)   (2/13 14:00:59)


大和守/コルキカム > (剣が、貴女の肩にめり込んだ。剣を通して伝わる嫌な感覚。それにアインハードは眉を潜め、けれどそのまま剣を振り切った。──同時。鳩尾にサーベルが突き立てられる。ずぶり、とそれはアインハードの体に沈んでいき、言葉にならない悲鳴をあげそうになる。けれども必死の表情でそれを噛み殺す。アインハード。剣を持つ強き者。それを全うするのだ。悲鳴などあげてはいけない、と。)「────ぁ゛、ッ、……ぐ」(けれども、呻き声は溢れてしまう。痛み、溢れ落ちる命。そのまま立っている事は難しく、その場に崩れ落ち、倒れる。痛い。ただ痛い。熱い。けれども、薄ら聞こえた貴女の、言葉に。思わずアインハードは涙を溢れさせていた。何よりも嬉しく、そして救われた様な心地。ごぽり、と内臓が傷付いたせいか血を吐いた。血と、涙とで顔を汚しながらも。アインハードの表情には小さな笑みが浮かんでいた。)   (2/13 14:29:52)
大和守/コルキカム > 「────じぇん、てぃ……れ……ぇ……」「…………しあわせ、に……なっ……て……よ……」(必死に体を動かし、アインハードはアデルグント──否、ヴァンジャンスを見上げた。今この瞬間、アインハードにとって彼女はヴァンジャンスとしてそこに在るのだから。もう視界もぼやけ、殆ど何も聞こえてはいない。自分が声を発する事が出来ているのかすら分からない。でも、これだけは伝えたくて。彼女の真名を呼び、ただ幸福を願った。彼女が幸せに生きれたならば、それで良い。ヴァンジャンスの過去を知る者として、今までの分幸せになってくれたらと。それだけを言い残して。アインハードは、動かなくなる。ぷつりと、糸が──命が切れたかのように。)   (2/13 14:30:05)
大和守/コルキカム > (──彼の死に顔は。本当に、幸せそうであった。)   (2/13 14:30:22)


大和守/アデルグント > (──命が溢れる。風を切り裂く音が鳴る。イモータルとヘスティアによって繰り広げられる、文字通りの、死闘。それをヴァンジャンスは──アデルグントは見ていた。ただ、視ていた。双方の気迫に飲まれ、何も手を出す事すら出来ず。ようやく動く事が出来たのは、イモータルが動かなくなってからだった。)「ヘ、……ヘスティア様ッッ……!!!」(慌ててヘスティアの元へ駆け寄り、息はあるか。脈はあるかの確認を素早く行う。……弱々しくはあるが脈があるのをその手で感じた。微かにではあるが胸が上下しているのも確認できた。……大丈夫、大丈夫だ。まだ、息はある。助けられる。そう判断し、アデルグントはヘスティアを抱えれば医療室へと駆けていく。──絶対に死なせない。死なせる訳にはいかないのだから。最後に、一目だけあのイモータルを見た。それだけだった。何処かイモータルが己に似ていた事も、何もかも。今は、救える可能性のある命を救わなければいけない。ヘスティアの手によって、一体のイモータルは死んだ。──アデルグントにとっては、ただそれだけの話。)【暁光の群像劇】〆   (2/13 15:12:08)