スミレ&フュメオム
幸福、平和、束の間の安らぎ大和守/スミレ > (ぽたり、ぽたり。水が重力に従って地へ落ちていくのと同じ様に、少女の体も溶けては地へ落ちていく。その前には一つ、死体が転がる。死因は窒息死だろうか。顔の下半分を"彼女達"でキツく覆われたせいで、最期まで酸素を求めて悶えたのだろう。醜い面を晒してそれはそこに落ちている。少女はそれを見て、ただ独り言を呟いた。)「…………アナタも、殺してくれないんですね。アナタを殺したら、私を殺してくれるって。そう思ってたのに。……アナタも、終わらせてくれない」(その声は悲痛に満ちていて、心底苦し気で。殺したら、殺してくれる。アナタを殺そうとしたら、そしたら抵抗して……それで、殺してくれると思ってたのに。何度も終わる事を期待して、その期待は儚く散って。もう暗い森の中、少女は、終わりを望むイモータルはそこに居た。) (2/7 23:42:48)
山葵@フュメオム > (滴る雫が土に染み入る。…森の中は次第に濃霧が立ち込めてきて、一寸先も見えなくなっていく。そんな霧の中から気配もなく現れた燕尾服姿の男が、この惨状をぐるりと見回した。)…随分手酷くやったわね。(手にした杖から、そしてこの男自身から溢れ出る真っ白な煙が、死体とスミレを取り巻いている。終わりを望む、酷く悲しげな少女を見ては呆れたようなため息を一つ。)…アナタねぇ。殺しちゃったらダメじゃない、アタシ達イモータルと人間は、力も何もかも違うのよ。(溶けた体、立ち込める霧。辺りはドス黒い絵の具で塗り潰されたように暗く、空気は気分が悪くなる程に澱んでいた。) (2/7 23:58:30)
大和守/スミレ > 「…………殺そうとしたら、私を殺してくれるって。……そう、思ってたんです」(突如現れたアナタに驚く事もしないまま、淡々と答える。人間がイモータルよりも弱い事は知っている。だからこそ、死にたくないと抗ってくれたら。敵意を、殺意を私に向けて。それで、殺してくれたらと。そう思っていた。けれど、駄目だった。瞳がどろりと溶け、まるで泣いているかのような形を作った。それは何時まで経っても死ねない事を嘆いているかのようで、スミレの心境を強く表していたのだった。)「……嗚呼、アナタでも良いです。ねぇ、私を殺してくれませんか」(ぐにゃりと首を傾げ、アナタを見つめる。もう、何でも良い。終われたらそれで良い。死ねたら、それで良いのだから。それだけを少女は望んでいるのだから。) (2/8 00:09:43
山葵@フュメオム > 殺してくれる前に殺しちゃダメじゃないの。それか、何もしないで突っ立ってれば殺そうとしてくれるんじゃない?わからないけどね。(どろり、と瞳が溶ける。涙のように身体を滴らせるスミレを、真っ白な双眸で見つめた。私を殺して、そんな言葉にむっとした不服そうな表情を浮かべてから言葉を並べようとする。)良い?アタシはもう手を汚したくないの。それにアタシ達って不死身だし。…アナタみたいな可愛らしい子を殺すだなんてまっぴらごめんだわ。(ふぅ、と息を吐きスミレの側へ近寄る。地面は湿り、歩く度にぐちゃりと音を立てた。) (2/8 00:21:45)
大和守/スミレ > 「……わかり、ました。……じゃあ、次は気を付けます」(アナタのアドバイスのような言葉を聞き、スミレは小さく頷いた。確かに、黙っていてもこの見た目ならば殺してくれるかもしれない。新たな知恵を授けてくれたアナタに、有難う御座いますと小さく頭を下げようか。こんな理由で礼を言うのも、何処か可笑しくはあるのだが。)「……可愛らしい? ……溶けてるのに、ですか」(アナタが不服そうな表情を浮かべている事に、『可愛らしい』と述べた事にスミレは首を傾げた。意味が、よく分からない。この見目は人間達から忌み嫌われていた筈だが、一体どういう事だろうと、スミレは首を傾げながらぼうっと考えていた。考えられる程高い知能も思考も、持ち合わせてはいないのだが。) (2/8 00:30:04)
山葵@フュメオム > ありがとう?…感謝されるようなことはしていないわ。(小さく頷き、頭を下げて感謝の言葉を述べるスミレに顔を少し逸らしそう素っ気なく返す。照れ隠しのつもりなのだろう。つくづくイモータルの倫理観とは分からないものだ。)えぇ、そうよ。…良い?女の子ってみんな可愛らしいの。溶けてるとか関係なくね。アタシはそう思うわ。だからアナタが溶けていようと、とっても可愛らしいわ。(首を傾げ考える素振りを見せている彼女に近寄り、頭を撫でる素振りを一つ。本当に撫でれば崩れてしまうかも知れないし、何より女性に馴れ馴れしく触れるのはあまり良くない。)…そういえば…アナタ、ここから出ないの?こんなに湿ってたら気分も滅入っちゃうでしょうに。(ぐるりと辺りを見回す。絡まった蔦は黄土色に枯れているし、並ぶ木々だって葉のついたものはもう僅か。湿りきった地面は歩く度にぬかるむ。お世辞でも良い環境とは言えない場所で、何故アナタはひっそりと潜んでいるのだろうか。) (2/8 22:59:37)
大和守/スミレ > 「…………そうなん、ですかね」(アナタの言葉を聞いても意味をあまり理解できていないようで、不思議そうな表情を浮かべていた。もっとも、その表情も溶けていってしまうのだから意味は無いのだが。不安定な視界の中で、撫でるーーような素振りを見せたアナタの姿に、スミレは嬉しそうな、心地よさそうな表情を浮かべる。イモータルとなってからは撫でられた事などない。故に、無意識のものだろうが。何処か、その顔は普通の少女の様だった。)「…………ここ、少し……落ち着くんです。暗くて……好きなんです」(生前、暗い所が好きだったのだろうか。本能的にこの様な暗い場所を好み、そして居るらしい。そんな事を話すスミレの表情はまるで恋する乙女の様なもので、こんな場所であろうとスミレは安心感を得られているのだろう。) (2/8 23:11:39)
山葵@フュメオム > …あら、普通の顔もできるじゃない。良いわね、アナタは悲しい顔してるよりそういう顔の方が似合ってるわ。(溶ける中で、嬉しそうな、どこか安堵したような表情を浮かべる少女に此方も満足げに微笑む。何より、この悲観的な少女がやっと年相応にも見える表情を見せたのが何よりも嬉しかった。)暗いところが好きなの?…ふーん、もしかしたら、アナタの本能的なものなのかも知れないわね。まっ、アタシはそういう事に口出す立場ではないもの、アナタが居たいところに居れば良いと思うわ。(恋するような嬉しそうな顔。きっと生前に何かがあったに違いない。だが自分がそこに踏み入る権利はない。それ以上の質問をすることもなく、また別の話題に移る。)…そういえばアナタ、食べることってできるかしら?よかったら、食べてみてほしいものがあるの。 (2/8 23:26:10)
大和守/スミレ > 「…………? 何の、話……ですか?」(先程浮かべた彼女の表情は、完全に無意識なものだ。故にアナタからそんな事を言われても、スミレは何の話だと困惑する他ない。首を傾げ、疑問符が浮かんでいそうな表情してはそう問うてみたのだった。)「食べる……一応、出来ますよ。ちょっと、見苦しい事にはなるかもですけど……それでも、良いなら……」(溶けてはいるが、一応普通の人間と同じ様な事をするのは可能だ。だがまぁ、口を開けばその口がどろりと溶けてしまい、食べるのに少々時間は掛かってしまう。それが少し嫌で、食べなくても支障は無い為に食事を取ることはしていなかったのだが。でも、折角誘われたのだ。アナタがその様子を見ても大丈夫だと言うのならば、是非その誘いに乗りたい。何処か不安そうな表情を浮かべ、アナタの返答を待っていた。) (2/8 23:45:12)
山葵@フュメオム > …あら、ふふ。無自覚なのね。気にしなくて良いわ。アタシの話だから。(自覚なく浮かべた表情だったのだと気付き、少しだけ得したような、イタズラっ子のような笑みを浮かべる。人間達の畏怖するイモータルの、可愛らしい一面。アタシだけが知っているのよ。)気にしないで、アタシが好き勝手やってるだけだから。(笑みを溢し霧の中からどこからともなく何かを取り出す。それは、小さくて可愛いショートケーキだった。)ケーキよ。柔らかいから、きっとアナタでも食べられるんじゃないかしら?(そう言うが早いか、ケーキをあなたの前に差し出した。甘い香りが、霧に乗って漂う。) (2/8 23:56:38)
大和守/スミレ > 「……ケーキ……!」(取り出されたのは、小さなショートケーキ。その可愛らしい魅力には抗えぬものがあり、子供なら大体が好きだと答えるだろう。スミレもイモータルであれど、その例には漏れぬ様で。ぱあっと明るく表情を綻ばせては、恐る恐るといった様子でケーキを受け取るだろう。)「ずっと、ずっとね。甘いケーキを食べるの……楽しみにしてて、それで、だから……ふふ、嬉しいです……有難う、ごさいますっ」(口を開いた。ぽたり。確かにその口は溶けていくが、それでも一口ケーキを食せばその甘さに瞳を輝かせた。止める事が出来ず、どんどんとその手からケーキは無くなっていく。食べ終えれば、甘さの余韻に浸る様に瞳を閉じて。スミレの語るそれは、彼女の夢だったのだろうか。それを果たせた事に多量の幸福感を覚え、夢を叶えさせてくれたアナタへ笑顔で礼を口にしようか。今度は無意識でもなんでも無く、自らの意思で浮かべたものだ。) (2/9 00:10:37)
山葵@フュメオム > あら。喜んでいただけたようで何よりだわ。(可愛らしいケーキを前に喜ぶスミレに、フュメオムも思わず笑みが溢れる。この少女のイモータルも他の子供と何ら変わらないようだ。恐る恐るケーキを受け取っては目を輝かせ表情を綻ばせる姿は、もうただの少女そのもの。そこにイモータルだとか人間だとかは、もう全く関係ない。)そうだったのね。よかったわ。アナタがあんまりにおいしそうに食べるもの、アタシも取っておいた価値があるってものよ。(ショートケーキの甘さに浸り、目を閉じて噛み締める彼女にうんうんと頷く。笑顔で感謝の言葉を述べるスミレに、今度こそ本当の笑顔を見せてもらった。)やっぱり、アナタはとっても可愛らしいわね。 (2/9 00:25:34)
大和守/スミレ > 「……え、と……んと、有難う、御座います……?」(二度目のその言葉には、否定の言葉を重ねる事はしなかった。どう答えるべきなのだろうかと、暫しの沈黙と思案を重ねーーもう一度、感謝の言葉を。これ以外にどう答えれば良いのか何も浮かばなかったからというのもあるが。何より、こんな自分に『可愛らしい』なんて言葉を掛けてくれるのには感謝しかない。)「あ、あの、えっとっ」(何時の間にか、終わりたいと。そう望む気持ちは少し薄れていた。完全に消える事は無く、この幸福によって今は隠されているだけかもしれないが。でも、そんなのを抜きにして、とても楽しい時間が過ごせたから。言葉を詰まらせながら、ようやっと口を開いたスミレは。そう、誘いをアナタに投げ掛けたのだった。)「ーーーーまた、お話してくださいっ」【幸福、平和、束の間の安らぎ】〆 (2/9 00:41:30)