ヘスティア&アデルグント

二人だけの叙任式

マリア/ヘスティア > (昼下がりの騎士団長執務室。ヘスティアは書斎の椅子を180度回転させて、窓の外から降り注ぐ陽光を眺めていた。ゆっくりとした動きで椅子の肘掛けを撫で、ほうっとため息をつく。──この椅子に座るのも、もうじき最後になるだろう。)「……突然の呼び出しに応じて頂き感謝します、千騎長。」(振り返らないまま、ヘスティアは部屋の中にいるアデルグントに声をかけた。堅苦しげな口調は先日、コーフの結婚式で顔を合わせた時のものとは打って変わった儼乎たる騎士団長としての態度であった。ヘスティアは椅子から立ち上がりようやく室内へ振り向くと、狭窄した視野であなたの顔をよく見ようと目を細める。眉根が寄せられ、或いはいかめしい顔つきに見えるかもしれないだろう。)「貴女の前哨戦での活躍も、絶えず耳にしております。一騎当千の誉れに相応しき働きを、改めて讃えさせていただくと共に……貴女にいくつか、お尋ねしたい事がございます。」(こつ、こつ、と足音を響かせて、アデルグントへと近づき)「貴女にとって太陽とはなんですか?」(まずは、そう尋ねてみせた。)   (2/7 20:38:57)


大和守.アデルグント > (ーー執務室へと呼び出され、アデルグントは実の所非常に緊張していた。一体どうしたのだろうかと。何か自分はやらかしてしまったかと、戦々恐々としていたが。だが、貴女の言葉にやや緊張が和らいだ。けれども真っ直ぐに貴女を見つめ返す。呼び出されたのだ。当然何らかの事が起こるのには変わりないのだろうから。)「……お誉めの言葉有難う御座います、団長。……何でしょうか」(アデルグントの口調も何時もとは違う。明るく仲間を励ますようなそれとは違っていた。貴女の言葉に頭を下げ、礼を一つ。だがーー『尋ねたい事がある』。再び緊張が走り、体が固まる。尋ねたい事ーー一体なんだろう。己の手を強く握り、緊張に耐えながら。此方へ近付く貴女を見つめ、質問を待った。)「ーー太陽、ですか」(【太陽】とは、何か。その問いに、アデルグントは少しの沈黙を紡ぐだろう。だが、答えは一つである。憧れの人である貴女が。アデルグントにとっての太陽なのだから。)「私にとっての太陽はーー団長、貴女様です。王国を照らし、騎士団を照らしてくれる貴女様が。民を守り、この国の為に命を賭ける姿は憧れでもあります。故に貴女様こそが、私にとっての太陽に他なりません」   (2/7 21:11:32)


マリア/ヘスティア > 「……えっ。」(ヘスティアは、あなたの返答を耳にして驚いたように目を見開いた。けれど、どこまでが本音かは掴みかねるはずだと一度冷静になる。神を意味する太陽を一人の人間になぞらえるなど、罰当たりと言っても過言ではない発言ではあるが───それでもやはり、騎士たちの太陽となる為に戦ってきた矜持を、アデルグントが見てくれていた事には感じ入るものがあった。)「そ、そんな事を言わせたくて聞いたわけじゃなかったのだけど……何かそういう、えー、私を持ち上げなくてはといったような……プレッシャーを感じさせていたのならごめんなさい。」(少し頬を赤くして、明らかに動揺した様子でぱたぱたと顔を仰いだ。女性騎士に嫌われる事は慣れているけれど、こんな風に慕われるのには免疫がなかった。たとえそれが、社交辞令であったとしても。ヘスティアはこほんとひとつ咳払いをし、再び背筋を伸ばす。)   (2/7 21:26:20)
マリア/ヘスティア > 「質問を変えましょう。あなたの言うように、”騎士団長”が騎士の指標の一つだとするならば統率としてはこの上ないものになる。だけど、残念ながらあなたのような騎士ばかりではなくてね。……あなたのその視点を、騎士目線に立っていた者として役立ててはみませんか。単刀直入に言います、次期団長になる気はありませんか?」   (2/7 21:26:27)



大和守.アデルグント > (ーーそんなプレッシャーだなんて、微塵も感じていない。全てはアデルグントの本心なのだが、それについて深く掘り下げるのは野暮だろうか。顔を赤くし、動揺した様子で顔を仰ぐ貴女の姿を見ては微笑ましい物を見るように笑みを溢してしまった。これは失礼にあたってしまうだろうか。けれども、押さえる事が出来なかったのだから許してほしい。)「…………えっ?」(ーー今度は、アデルグントが驚く番だった。【次期団長】。その言葉の重みに、アデルグントは瞳を泳がせ、明らかに動揺しているのが分かるだろう。)「……わ、わたしが……ですか? ふ、副団長とかは……ああいえ、嫌とかいう訳じゃ無いんです、けど、……でも、驚いて、しまって……」(貴女が任命してくれたのならば、アデルグントはそれに従うだろう。だけれども、副団長になる気はないかと。聞かれただけならば、アデルグントには承諾も出来ず動揺するしかない。こんな自分にその座は相応しいのかと。自分の事を捨て駒だと、人形だと思ってきた己には務まるのかと。そんな不安ばかりが溢れ、答える事も出来ずに居た。)   (2/7 22:00:05)


マリア/ヘスティア. > 「副団長はあくまで参謀、指揮の面では実質上のトップかもしれません。セオドアは副団長として文句のつけようがない騎士ですから、彼をその発言権のある地位から動いてもらう事は考えていません。……反対に、騎士団長は士気の面でのトップであり、それぞれが右脳と左脳のように、アクセルとブレーキのように、感情と理性を司り、騎士たちを動かしていかなければならないの。まず、一番初めにあなたに叩き込ませてもらいましょう。騎士団長というものは、力や知略に溺れてはならない。──千騎長として腕が立つあなたは、その力がかえって邪魔になるかもしれないくらいよ。それでも、『太陽の令閨』として騎士たちを照らす役目を、あなたに任せたい。」(アデルグントの頬を両手で抑え、喝を入れるように赤い目をかち合わせ、じっと見つめる。その顔は生き生きと輝いているように見えるだろうか。)「   (2/7 22:15:09)
マリア/ヘスティア. > 「辞任を宣った身で高説を垂れる私を許してね。───いいですか、アデルグント。太陽の令閨は覚悟がなければ務まりません。今ここで腹を決めるか、すっぱり断るか選びなさい。私はあなたに託したいと想っている。サポートの為なら手段をいとわずなんでもすることを約束しましょう。…‥あなたという人間が本当はどんな苦労や陰を抱えているかは、私には解らない。それでも、いつだって明るく笑って周囲を照らしてくれるその強さは知っているつもりなの。『ふり』でも構わない。どうか、私達の───────光となってほしい。」   (2/7 22:15:14)


大和守.アデルグント > (貴女の教え、喝ーー言葉。最初は確かに動揺していた。貴女の言葉を聞いても尚、不安でいた。けれどーー『貴女に任せたい』という言葉を聞いて。アデルグントは一瞬、目を丸くした。けれど、次の瞬間には動揺は無くなっていた。任せたいと。託したいと。光になってほしい、と。確かにそれを聞いたのだ。その言葉を噛み締めるように、アデルグントは瞳を閉じて数秒沈黙する。ーー次に開いた時には、覚悟が固まっていた。)「ーーーー分かりました。このアデルグントーーいえ。エトワール・ディユ。必ずや、この騎士団の光となり、貴女様の想いを叶えてみせましょう」(口にしたのは、字ーーではなく真名。貴女になら教えても構わないと、そう判断した故の発言。真剣に貴女を見つめ、見つめ。心から覚悟を、決意を、言葉を紡いだ。)   (2/7 22:37:13)


マリア/ヘスティア. > 「……エトワール……。」(あなたが口にした、最も魔力のこもった言葉。ヘスティアは満足げに微笑んで、そしてあなたを優しく抱きしめる。)「良い名を、つけてもらいましたね。」(手の力を緩めてもう一度あなたの顔を見る。聖フィニクス騎士団は、きっともう大丈夫だ。ヘスティアは腰に提げていたサーベルをすらりと抜き、あなたの肩にそっと刃をのせ、片膝を立てて座るように促す。すう、と息を吸い込んで、詠唱に似たその言葉を口にするだろう。あなたはこの儀式に覚えがあるはずだ。それは、騎士の叙任式。)「 ……信念をもって誓いを立てるべし、志ある者よ。 剣をもって己を律し、義をもって悪を裁き、品をもって礼に応え、慈をもってか弱きものを護る事を。聖騎士、字をアデルグント。これを以って騎士団長の叙任を完了する。……太陽の名の下に。」   (2/7 22:45:28)


大和守.アデルグント > (良い名だと、その言葉に思わず涙腺が緩みそうになる。貴女に、己にとっての太陽に。存在を、認められた。一人の人間として受け入れられた。そんな気がして。溢れそうになるのを押さえ、貴女の指示通り片膝を立てその場に座った。肩に剣が乗り、そして紡がれた言葉を聞いて。)「ーーーー太陽の名の元に」(そう、アデルグントも返した。静かに、けれど高ぶる気持ちは抑えられず。抑えきれず、一粒の涙が溢れた。それが、彼女の気持ちをよく表してくれている。ーー此処に、新たな騎士団長が誕生した。)【二人だけの叙任式】〆   (2/7 23:13:05)