ディラン&フュメオム

接敵

シロー/ディラン > 「すっかり遅くなってしまったなあ」(日が暮れて、開いているのは酒場などの夜の店ばかり。先日、久しぶりに多くの酒を飲んでしまったディランは今朝から二日酔いで調子が悪く、魔術砲の砲火訓練で疲れ切ってしまっていた。夕餉を行きつけの店で済まし、騎士団寮へ近道をしようと明かりの少ない裏路地へと歩を進めていった。)   (2/7 16:45:05)


山葵@フュメオム > ……あらあら…。…迂闊な人ね。人気の少ない場所は危険だって教わらなかったかしら?(かさ、と湿った葉が地面を覆う路地裏は、夜の闇よりもまだ暗い。そんな狭く湿った薄暗い道を歩き続けると、ふと辺りが真っ白な煙霧に覆われていることに気がつくだろう。先程までは存在しなかったその霧の中から、低く這うような、それでいて何処かしわがれた声が聞こえた。次に現れたのは、大きな赤いリボンが付いたハットを被った、燕尾服姿の一人の男だった。)ねぇ…アナタ、王国の騎士さんかしら?だとしたら、アタシを騎士団の本部まで連れて行ってほしいのだけれど。(赤で彩られた深紅の唇と目元。陶器の人形のような肌を覆うように這う大きなヒビ。そして黒目の存在しない双眸。恐ろしさ美しさの混在するその不気味な男が、先程よりも甘い潤った声で言葉を発した。)   (2/7 17:03:39)


シロー/ディラン > (辺りに濃霧が漂い始めた所でディランは周囲の異変に気付く。霧というよりは煙のようで、もわりと白い塊が空気中に広がるのを見て、火事か何かかと辺りを見渡した。が、これだけの煙が出ているのに燻る所か弾ける火の粉の音も喧騒も聞こえず、恐ろしい位に閑散としていた。何も聞こえない静寂に耐えきれず一歩踏み出した所で、前方から突如聞こえた声に体を強ばらせ、ひゅう、と喉を鳴らした。)「⋯⋯イモータル!?」(前から人影が見えた時には、恐ろしくて後ろへと下がっており、その全貌がはっきりと映し出されると同時に、肩にかけていた小銃を焦りながら構えた。ドク、ドク、と早鐘を打つ鼓動。荒い息。喉を突っかからせる自分とは対照的に滑らかで潤った声を上げる人型の容貌を見ると、小銃を持った腕を震わせて、ぶれる銃口に合わせて金属が擦れるような音が響いた。)   (2/7 17:19:27)
シロー/ディラン > 「こ、断る⋯⋯!俺は整備士⋯騎士団が黙っていないぞ⋯イモータルが、こんな所に居るなんて⋯!」(戦争で感じる死の恐怖とは違う、全身が総毛立つ様な得体の知れなさからくる恐怖に、体の震えは止まる気配を見せない。ただし怯えている所を見せたら終わり、なんてディランに備えられた一介の生存本能が、声を張り上げさせた。)「それ以上近づいたら撃つぞ!⋯⋯撃つ!⋯⋯化け物め⋯」(イモータルの不死性を知らない訳では無いが、今自分に出来る事は生きる為に虚勢を張ることだけだった。   (2/7 17:19:31)


山葵@フュメオム > あら…あらあら?…酷いわね、そんなに警戒するなんて。人間を見た瞬間襲いかかって来るイモータルよりも余程理性的だと思わない?(息を荒くしながら銃を構えるディランに、呆れとも慈しみとも取れる笑みを浮かべながら、彼の忠告を無視してゆっくりゆっくりと歩みを進める。掻き分けた霧は分散することなく男の身体に纏わりついていく。)…別に良いわよ、撃っても。アタシには効かないけれど。(銃を震える手で構える目の前の男をまるで小動物だとでも思っているのだろう。次第に距離は、詰められていく。20m、10m、5、4、3……。)   (2/7 17:40:42)


シロー/ディラン > 「っ黙れ!俺は魔術師だ⋯⋯来るな、来るな⋯⋯っ!!」(鉛の様に重い足は自分の意思と反して思うように動かず、地面を擦るように小さく後退りする事が精一杯だった。その間にも距離はどんどんと詰められ。お互いに手を伸ばせば届くんじゃあないか、そんな距離まで近づいてようやく、漸く震える銃口を相手の顔面に向けて引き金を引いた。)「⋯⋯はぁっ⋯⋯!」(轟音と衝撃でたたらを踏み後ろに数歩下がる。銃口から硝煙が吹けども、手応えなんてものはまるで無かった。)「醜いイモータルが⋯っ!」(口から出た罵声は、怯える自分を何とか現実に引き戻す為の魔術であった。必死で敵意を保って、銃口を向けたまま声を上げた。)「騎士団は⋯⋯イモータルを見たら必ず殺すぞ⋯⋯っ」   (2/7 17:56:27)


山葵@フュメオム > ………ねぇ、アナタ。いくらなんでも乙女の顔面に鉛玉を撃ち込むのはないんじゃなァい?……脳味噌イカレてんのかァ!?!?(大きな銃声が夜空に木霊した。霧を割いて一直線にフュメオムへと向かって行った。フュメオムの顔面の一部が煙霧に溶ける。行き場を失った銃弾が、建物の壁の一部を抉った。…その刹那、ぐわっ、と開かれた大きな手のひらがディランの顔面を掬い壁へ強く押し付ける。鈍い音が聞こえた後、フュメオムの顔が押し付けられたディランへと近付く。その距離僅か数cm、目と鼻の先で。)……折角穏便に済ませようとしてたのによォ…このクソ野郎がァ…。……なァ…?…人間がここまで知能が低下してるたァ思わなかった……。…あら、いけないわアタシったら、下品だったわ。…そうねぇ、猿のがまだ賢いわね?(暫く怒りに任せて口汚くディランを罵っていたが、何かを思い出したかのように慌てて口元を片手で抑えると、何度か咳き込みいつもの女口調へと戻す。)…頭、冷えたかしら?…ねぇ、お話する気分になった?   (2/7 18:23:02)


シロー/ディラン > 「⋯⋯ひゅ⋯⋯っ!」(目を離した瞬間、恐ろしい事になるんじゃあないか。と背けたくなる瞳を必死で向けていたのが仇となった。突然の大声に迫り来る掌、顔面を掴まれて壁に押し付けられると同時に肺の中の空気が抜けて、喉が情けなく鳴った。銃を握っていた手を思わず緩めてしまい、鈍い音と共に銃が地面へと転がった。罅の入った顔、真っ白な瞳。恐ろしい顔が目と鼻の先まで近づいて顔を青ざめさせる。)「⋯ぐ⋯⋯っ、何が、したいんだ、何が目的なんだ⋯⋯、離してくれ⋯⋯」(恐怖を悟られまいと必死で口を動かすけれど、頭の中は完全に逃げ腰であった。   (2/7 18:45:39)


山葵@フュメオム > …ふふ。簡単な話よ。アタシもうこうやって人間と争うのは面倒なの。…今のはアナタが仕掛けてきたからなのだけど…一々応戦するのも嫌だし。アタシ、ただお菓子を食べたりして何ら人間のアナタ達と変わらない暮らしをしているし、自分から人を殺したりも”最近は”しないのよ。…ねェ、アタシを騎士団のお偉いさんのとこまで連れて行って。そしたらアタシ、こういう約束をするの。「他のイモータルを狩ったりして人間に協力する代わりに、自分に手出しをしないでほしい」…ってね。(恐怖を悟られぬように必死に取り繕う男の言葉を尻目に、フュメオムは足元に煌めく小銃を蹴り、遠くへと飛ばす。フュメオムが言うには、自分に危害を加えなければ、人間に力を貸すという。そのようなうまい話はあり得るだろうか。いや、普通に考えればそのような話はあり得ない。おおよそ本部に行き、組織を壊滅させてしまうだろう。どう対応するかは、そちら次第だが。)   (2/7 19:16:50)


シロー/ディラン > (イモータルの吐いた言葉を信用なんて出来る筈も無かった。ディランの数少ないイモータルに対する知識でも、一目見て分かる〝人ではない〟という事実だけが、フュメオムの言葉に聞く耳を持たせなかった。)「⋯⋯騎士団は⋯⋯そんなに甘くない⋯⋯イモータルと協力なんて⋯⋯、お前の求める安息からは程遠くなる一方⋯⋯───っ!!!!」(不意を打って勢い良く手を払い除けると、前のめりに躓きそうになりながら見てくれも気にせず逃げ出した。人気のある大通りへと駆け抜けて、騎士団寮へと走る。怖くて後ろの一つ振り返る事も出来ず、落としてきた小銃も捨て置いた。)「はぁ⋯⋯っ!⋯⋯助けてくれ⋯⋯っ」(これからもう一人で眠るのも怖い。いつアイツが現れるかも分からない。騎士長辺りに話そう、全部。あんな化け物に、全部ぐしゃぐしゃにされたくなんてない。【接敵】   (2/7 19:40:50)