セオドア&トール
御茶会は密やかに清瀬/セオドア > 「あっ、来た来た!」(己の字がプレートに彫られた、オレ専用の執務室。……なんてのは名ばかりで、実質ここに来るときといえば面倒な雑務を部下に押し付けて遊びに呆けに来るぐらい、所謂ここは自分にとっての隠れ蓑、そして心安らぐ箱庭。元は重厚な雰囲気を漂わせていただろうその部屋は、隅に固まった娯楽道具や用途のわからない物達に囲まれて縫い目の荒い継ぎ接ぎ模様となっていた。ローテーブルを挟んで置かれたソファーの片方に座りながらいそいそと待ち人の到来を待っていると、ノックの音に笑顔を綻ばせた。「入って入って!」と二つ返事で声を張ると、貴方の姿を見て目の前のソファーへ座るように誘導する。) (2/6 23:07:41)
清瀬/セオドア > 「 遅いよぅ百騎長~!まったく、中々予定が合わなかったとはいえオレがお茶に誘ってもすーぐそっけないお返事するんだから。そんなに野郎じゃ不満?」(遅い、というのは決して待ち合わせに遅れていることを怒っているのではない。寧ろ時計が知らせた刻に達していないのにわざわざやって来てくれたぐらいだ。声色には寧ろ揚々と、嬉々とした色が見えるだろう。貴方はきっと不審に思っているだろうか、好機だと思ってくれているならば嬉しいのだが……本音を言うと、立場上は上である自分からも中々声をかけづらかったのはある。副団長はあくまで補佐を担う存在、自発的な行動をするのはあまり宜しくないのは事実。しかし団長がその座を降りた今は、そんな甘ったれたことも言っていられないのである。) (2/6 23:07:43)
清瀬/セオドア > 「紅茶は好き? オレちゃんといれ方教わってきたんだ……まぁこれ、ティーバッグなんだけどね」(テーブルに徐に置かれたブランケットタオルは、お湯にでも浸していたのかまだ暖かい。肌をほんのりと暖める白い陶器のカップと受け皿を二つ取り出し、ティーバッグを揺らしてはくしゃりと苦笑いを見せた。……まだ前座、まずはこうして少し、会話でもしておかないと。) (2/6 23:07:51)
ゑゐりあん/トール > い…いやぁ、まぁ俺もいろいろと仕事があったりしたもんで…あはは…(快活なセオドアの笑顔を見て苦笑するトール。今までに何度も誘われてきたのに応じなかった理由。それは“影”の存在である。神出鬼没であるリューグナーがいる以上、副団長との接触は避けたかったのだ。これ以上の被害を与えてしまうのは嫌だったから。…が、長い間彼に付きまとわれていると、徐々に気配を察知することができるようになり、彼がいるかいないかがわかるようになってきた。そしてセオドアから誘われ、さらにはリューグナーがいないタイミングがちょうど今回だったので参加した、というわけである)紅茶…。俺は何でも好きですよ。酒は無理ですが、それ以外なら大丈夫です。それに、副団長が淹れてくれた紅茶を断るわけにはいきませんから(そういってソファーに座るトール。しかし、おそらく今回はただのお茶のために呼んだわけではないだろうというのは薄々感づいていた。トールだってバカではない。何かある、とここに来る前から。彼に声をかけられてからずっとそう感じていた。トールは椅子に座りながら笑みを浮かべてはいるが、彼の挙動の一つ一つを見逃さんとしていた) (2/6 23:15:48)
清瀬/セオドア > 「そっか、なら良かった! そんなに詳しくないんだよね~こういうの、種類とか言われてもなんのこっちゃって感じで。だから行き遅れちゃったのかなぁ~~」(蒸気で曇ったポットからお湯をゆっくりと注ぐとティーバッグを一つずつ沈ませ、鮮やかな茶色の溶けだした掌の湖に受け皿で蓋をした。前屈みな態勢から力を抜いてどっかりと座り直し、けらけらと引き合いに出したのはこの間のめでたい挙式。ブーケを男が取っていたのが印象的だったが、どうせならもっとオレみたいな可愛い野郎かゴツいのが取った方が盛り上がりに──なんて、少しお口の行儀の悪さが度を過ぎたか。もう暫くは、どれだけお行儀が悪くても良くても、子供の時間は終わりだ。日が高いのに? じゃあお昼寝の時間ということで。一息、長く、弱音をこっそりと一緒に吐き出して、細い黄色の瞳と心の帯を締めてトールの方へと向きなおった。) (2/6 23:47:31)
清瀬/セオドア > 「……さて、わかってるよね、トール百騎長。団長は居ない、騎士団は今や統率に欠けている、帝國がアガンを取り返し、ヨズアの民はオレたちと手を結んでいる……それが見かけのものとも言いきれない状況で、ね」(スザンこそ奪い取りはしたもののヨズアの奴らとの約束がある、密偵からの情報も差程芳しくない。専守防衛を心掛けているのか戦力を温存気味な帝國と、果ての地を欲しがるおかしな集団。決して烏合の集まりではないだろう彼らを見透かさなければいけない、力のみがものを言うのではないと、オレ達はよくわかっている筈だ。)「オレはそのセリヤーナ嬢さんをお目にかかれなかった訳だしね、会議の内容だって知らされこそしたけれど、詳しいことは言われてないから。だから今日此所に呼んだんだよ、トール」(机上のカップの皿を外せば、ふわりと葉の匂いが香る。貴方の方へと一つ渡して、手前に置いたそれに手をつけることはなく言葉を続けた。)「今まではヘスティアに頼りっぱなしだったしねぇ~、そろそろオレも自覚持たなきゃいけないんだわ。……だぁいじょうぶ、まだどこも攻めやしないよ、それよりオレが気になってんのは──」 (2/6 23:47:34)
清瀬/セオドア > (今まで手元に向けていた視線を貴方へと向ければ、貴方と視線が交わったが残念、運命の瞬間でもなんでもない普遍的な交差だ。緊張か、不満か、あまり良い印象は持たれていないように感じる。少し話を進め過ぎただろうか、それともオレがこんなに言及するのが不思議なのだろうか。団長が居なくなってしめしめ、なんて策をこうじていると思われても仕方ないし、何なら今はそれでも構わない。本題までに御託が過ぎただろうか、生まれつき唾液が油なのかよく回る己の舌でちろり、と上唇をなぞって、いつもより声を低く、貴方を脅さぬ程度に低く唸らせる。)「各国の政策、奴らと…それから、ヘスティアのやりたかったことを汲み取ること。各陣営が何をしたいのか、オレたちがその裏をとるんだ」 (2/6 23:47:45)
ゑゐりあん/トール > …なるほど…ね。そういうことですか(正直言えば思い出したくない事件である。シュクロズアリ旅団のセリヤーナと秘密裏に行った会談について教えろと言われ、トールは笑いながらそう言った。本来なら彼女とは、ヘスティアとは仲良くやるつもりであった。…が、あの時自分が衝動的に起こしてしまった行動のせいで、怒りに任せた幼稚な行動のせいで彼女との埋めきれない溝を作ってしまったのだ。…後悔はしている。が、間違ったことをしたとは微塵も思っていない)そうですね…向こうからの、シュクロズアリ旅団からの提案は、スザンを攻める際に騎士団に協力してほしい…というものでした。また、追加の条件としてケシュトの滝に最も近い前哨基地を一つとエンジュの地をヨズア陣営に渡すことを提示しました。そこでヘスティア騎士団長が提案した条件は、騎士団がミトラを攻める際に注意をひくためにスザンを攻めてほしい、というものでした。スザンヘの共同出兵はこの前行われましたのは記憶に新しいでしょう?(ヨズア人と王国人が手を組んで帝国と戦ったスザン会戦。結果はヨズア・騎士団連合軍が勝利となった。流石にこのことを知らないわけはないだろう) (2/7 19:53:05)
清瀬/セオドア > 「成る程ね…でもそれって結構、あっちにしちゃあ美味しい話じゃあないか。勿論王国がヨズアと手を組めば帝國を疲弊させることは少しでも容易くなるけどさ。エンジュも手に入れてスザンにも拠点を置いて、結果論とはいえオレたち、彼奴らが活動できる場所を広げるのを手伝っただけにならない?」(そう語りながら席を立つと、執務机の側に掛けられたこの大陸の地図を取り外す。幾度も重ねがけるように引かれた様々な色のペンは、果ての地で拝める夜空の衣とは違い、滲み、元の原型を歪ませている。)「結局帝國は動かずさ、持久戦をお望みなのかわかんないけどかなり消極的だよね。そこの二つは組んでないのかな、もし繋がってたとしたら、王国が揺らいでるこの好機を逃そうとは思わないんじゃない? 今後を見据えたら…とか、まだ今一意図を汲みきれてないんだけどさ……」 (2/7 20:23:42)
清瀬/セオドア > (貴方に視線を向けることはないまま、そのまま入り口へと向かうとドアの取っ手に手をかけて内鍵を閉めた。「誰か他の騎士に追っかけられずにちゃんと一人で来た? これ誰かに聞かれてたりしないよね?」なんて問うと貴方の返事を待つ……開けてやる気はさらさらないけど。テーブルのポットを隅に捌けて地図を広げると、また腰を下ろして脚を組んだ。)「お前は不思議に思わない? スザンの前哨基地の片割れ、ホーリア全土、それにエンジュまで取られてさ。ヨズアの民がもし帝國と手を組んでみろよ……此所はじきに落とされるぞ」(カツ──と爪をたてて刺した場所は、騎士団本部の置かれたウェント。言うべきかはずっと迷っていた、けれど交渉の類いに関しては、悔しいけれどヘスティアの方がずっと優れているから胸の内で燻らせていた。まるでおかしなぐらいに、舵を握った途端に口が疼いて仕方がない。このままじゃかなり無茶を言ってしまうだろうから、トールはまた可哀想な位置に置かれたもんだ。指を北へと歩かせて、その上に置かれた、真っ赤に塗り潰された国を上から睨み付けると、トールにもそのままの視線を向ける。) (2/7 20:24:12)
清瀬/セオドア > 「交渉の一つでもした方がいい、ミトラかアリヤあたりを無理矢理落としてでも交換してもらうべきだ。…オレはホーリアに奴らを滞在させるのは反対だね、易々と彼奴らを信用するわけにはいかない。若しくはホーリアだけでもいい、見張りでもつけて監視するべきだ」 (2/7 20:24:21)
ゑゐりあん/トール > え…(事実を伝え終えたのち、セオドアはおかしなことを言いだした。奴らの活動範囲を広げただけ?何を言っているのだ?相手は現状同盟関係。そんな相手の活動範囲を広げて悪い意味はないのでは?なんてトールはのんきに考えていた。そんな彼をよそにセオドアは地図を用意して状況を整理し始めた)え…えぇ。確かに帝国はあまり積極的には動いてはいないですね…。けどヨズアと帝国がつながっているだなんて…(ありえない、とは流石のトールも言えなかった。これは戦争だ。裏切り、謀略、なんでもありなのだ。それはトールだってわかっている。…わかっているが、信じたくはなかった。同盟相手を疑うだなんて、とても) (2/7 20:39:26)
ゑゐりあん/トール > えぇ…誰にもつけられていないと思います(彼の質問に答え、再びセオドアの言葉に耳を傾けた)…確かに…この状態でもしヨズアが帝国と組めば、カーヤとルガムが攻め落とされるのは時間の問題…。…もし二つが落とされたとなれば残る王国の領地は五つ…(さらにその五つのうちの一つはヨズアの前哨基地がある。トールは訪れてほしくない未来の可能性を口にし、改めてその恐ろしさを実感した。本当にそうなってしまえば一気に戦況は不利になる。しかし)で…ですが憶測だけでヨズアを警戒するのは…っ(トールは耐え切れず思わず言ってしまった。憶測だけで警戒するのは何だというのだ?本当に裏切られたらそんなことを言っている暇はないというのに。自分でもわかっていた。わかっていたが、言わずにはいれなかった。信じられずにはいられなかった。例え敵対する相手であっても、一度同盟を組んだのであればトールは信じたいと思っていた。それは他ならない、彼の甘さの何よりもの証拠であった) (2/7 20:39:28)
清瀬/セオドア > 「そ。手を組んだとしても此方の領地を明け渡しちゃあオレらが追い詰められてるようなもんだよ。国はこんな状態だけどさ、だからこそここで一発勝って部下たちに…それからヨズアの奴らに、知らしめてやんないとね。何にせよ結果はあげなきゃいけないのが辛いところだけどさぁ~」(そんなに瞳を開いて、寒いのに汗なんか流しちゃってさ。曇るポットと心もよう、紅茶の匂いはやけに澄んでいる。虚無の夜の中に取り残されてしまったテーマパークのティーカップから乗客を二人分引き上げると、手前の水面は天井に下がった照明の形をゆらゆらと写し出している。奥側の水鏡は、不安と疑念に脅された貴方の情けない面をありありと反射させていた。ソーサーを持っていた右手を空にすると乱暴に身を乗り出して、その手を貴方の──)「あのさぁ」(額に添えて。) (2/7 21:27:48)
清瀬/セオドア > 「お前、戦争舐めてんの? 」(いつだって露呈した爪を僅かに肌にたてる。そういえばオレは猫のような可愛らしい気紛れさも、上手な牙の向けかたも、身勝手過ぎない物の言いようも、残念ながら何一つ身に付けちゃいなかった。……視線を膝の方へと向けると、地図の端に古くからの傷のような染み痕が新たにできていた。カップから溢れてしまったらしい、どうやら身軽さも負けていたようだ。)「ぶっちゃけるとオレ、お前のことだって疑ってるからな、トール。ついでに言っとくわ、ヘスティアだって、アデルグントだってシュヴァだって……誰だって、信頼しちゃいない。あの会談で一体何があったんだろうなぁ、誰も居ない──三人だけが聞くことのできた、あの内緒のお話は、さっきオレに告げたとおりか? ヘスティアはあっちで治療をうけてた間、何を吹き込まれたと思う? 騎士達はもしかしたら、オレ達を尊敬の眼差しじゃあ見つめてないかもしれないな」 (2/7 21:27:50)
清瀬/セオドア > (誰にだって正義の定義なんてもんは変わってくる。鏡が己を己を見たままに、異なる二つを決して同じものとして写すことがないように、心を写せばきっと、誰だってその色や形は異なるだろう。着色を施した姿は雨風という苦痛に逢って剥げてしまう、変わるならば己から、滲み出る色から変えなければならない。トールの心は柔らかく、芯があり、包容力があり、そして鮮やかで眩しくて、明らかに此所には相応しくない色をしている。こんな所に居ては、混ざり逢った他の心と黒い蟠りができるだけで──本人にも、他人にも良くないだろう。その頑なな姿勢を貫かんとするならば…きっと、棘の道となる。)「そんな中でオレ達は、太陽神に忠誠を誓って繋がってるんだ。信仰っていう、そう、目に見えない──オレ達の信じちゃいないもんで、さ」(果たして彼は、わかっているのだろうか。) (2/7 21:28:03)
ゑゐりあん/トール > …っ(あのさぁ、という彼の言葉が耳に届き、彼の爪が肌に刺さるのを感じる。あぁ…もう許してくれ。ここから出してくれ。大の大人が年下の男に詰め寄られ、大人は惨めに耐えていた)……(彼の言葉にもはや答えることすらできないトール。どうしてだ?どうしてこうなった?死にかけた自分を拾ってくれて、一人前の人間に育ててくれた孤児院に、自分の家に恩返しをするために、自分の家を護るために、これから輝く子供たちを生かすために騎士になり、地位は決して望まずまじめに働いていたのに、前任者がどこかへと消えて代わりに自分が選ばれた百騎長になってからいろいろとおかしくなった。エクレに送る金も増えてあっちも随分と余裕が出てきて、子供たちを脅かす戦争は終わって平和になり、子供たちの顔に笑顔という名の太陽が戻ってきたというのに。再び戦争は始まり、化け物に目を付けられ子供たちの命と国の命を天秤にかけられ、上司に嫌われ。…あぁ、俺どこで間違えたのかな) (2/7 21:48:53)
ゑゐりあん/トール > ……ッ(そんな悲しみに浸っているトールをセオドアの言葉が現実に戻した。「お前のことを疑っている」。その言葉を聞くだけでトールは息が止まるかと思った。死んでしまうのではないのか、とすら本気で思った。まさかリューグナーとの関係が…と思ったがそういうわけではなかったようでひとまずは安心だ。…が、どのみちリューグナーにいいように使われ国を裏切っているのには変わりない。騎士の情報を流し、シュクロズアリとの会談をセットし、自分が生まれ育った国を常に危険にさらしている。それらの心労からか、トールは最近はめっきり寝付けなくなり、顔色も随分と悪くなっていた。好きだった料理も今では一切してないし、部下からも心配される一方だ。そのたびに「なんでもねぇよ」と笑ってはいるが、もうトールの心はボロボロだった。子供たちを捨てる覚悟が、国を裏切る勇気が、自分の甘さを変える力がトールにはなかったせいで、彼はもう限界まで来ていた) (2/7 21:49:01)
ゑゐりあん/トール > …つながり…ですか…(ここでトールは笑みを漏らした。それは、何かをあきらめたかのような笑みだった)…副団長。俺はァ…騎士に向いてないんでしょうか…。…戦争だってのに甘いこと抜かして、戦うことをいまだに迷ってる。…帝国が攻めてきたときはともかく、こちらが攻めた際に戦うのが辛い…。…俺は…騎士になるべきじゃなかったんですかね…(ここでトールは、弱みを見せた。ほとんどの人間の前では頼れる兄貴としてふるまっている彼が、年下の相手に対して初めて弱みを見せた。弱った自分を見せた。そこまでトールは疲れていたのだ。疲弊していたのだ。衰弱していたのだ) (2/7 21:49:06)
清瀬/セオドア > (不自然に乗っかった身と貴方の自虐的な笑みに、熱なく火照った頭は水を被せられた。太陽の名の元に、と気持ちまで駆け抜けた結果、大切な同胞を置いてけぼりにしてしまった。それどころか目の前の彼は憔悴しきり、このまま手をそっと押し出せば今にも崩れて塵になってしまいそうだった。聞こえるか細い声が慈悲を呼び起こす、本来あるべき己を取り戻さんと心が暮れて染まる。これ以上傷をつけないように、と話した指さしが残した生々しい感触が、己にも引っ掻き傷を残していった。緩んだ瞳で見た貴方を推し量るように見つめれば、頼れる兄貴と親しまれた貴方のなんと脆いことか。……こんなことでは、裏切りがどうこうと言う前に、騎士団の基盤から崩れてしまう。立ち尽くしたその姿から無理矢理に脚を動かし、貴方の横に立つと、座り込んだままの貴方と同じ高さまで屈んで肘掛けに手を掛けた。) (2/7 22:30:50)
清瀬/セオドア > 「なぁトール、お前が騎士に向いてないっていうんならさ、お前なんで辞めないんだ? 何か…したいことがあるから、口には出しやしないけど居るんじゃないの。オレも流石に言いすぎたよ……国の為にって口走ったことがこうやって仲間を苦しめてちゃ、方針どうこうなんて言っちゃいられないよなぁ」(うって変わって柔らかな声がトールへとかかる。この男は何もかも純情で、情熱的で、一人間としては素晴らしい存在だ。相変わらず此所には相応しくないかもしれない、けれどこんな人を崩して取り返しのつかないようにしてしまうのはいただけない。大蛙のように喉を鳴らして背伸びをすると、次の言葉を絞り出す。考えろ、最善を。悟られず、慎ましく、わざとらしくなく、かといって偽善は見せずに。この男を救うことだけを考えた、まるで身勝手な掌の扱いを魅せよう。)「トールが戦うことに罪を感じてるって言うんなら、その上司であるオレが頑張るっきゃないなぁ~。オレは副団長、並み居る猛者を押し退けた新鋭。確かに若造だけどさ、そこはトールもよぉ~くわかってるっしょ?」 (2/7 22:30:52)
清瀬/セオドア > (敢えて陽気に、まるで先程のことなんてなかったかのように、跳ねるような軽い足取りが縦断越しの床板を鳴らす。罪が辛いならば背負ってやろう、他人の荷物を背負いに背負ったトールが最初に棄てるのは、きっと自分自身の贖罪だ。)「オレが理由を作ってあげるよ、トール。恨むならオレを恨めばいい、トールの罪悪感は俺が──ああ、ん~ごめん。言い方を変えようか」(これで気が済むならば何度だって声を張り上げて言ってやろう。何だってやってやる、その為にオレが居る。身勝手ながらにもう決めてしまったのだ。これから来るだろう新しい団長サマにも、この剣の構え方の甘すぎる男にも、何一つ悩みの残らないぐらいに働いてやる。)「オレ、そろそろ聡く意地悪になるわ。そういうことだからさ…口出しは許さないよ、百騎長サン。オレがトールの為になんだって命令するから、そうなったらちゃんと受け取ってね」(お前が望むことは、こういうことなのだろうか。) (2/7 22:31:07)
ゑゐりあん/トール > …なんでだろうな…。…何故だかは正直言って俺にもわかりませんよ…。…ただ、見えない“影”が俺の足を…腕を…体を…首を縛り付けるんですよ(…と、ここで初めてトールはついにリューグナーの存在を仄めかす言葉を呟いた。が、この言葉は彼を知っているものでしか気づくことができない。だからこの言葉はセオドアにとってはただの比喩でしかないのだ。…それでも、この言葉を言うだけで少しばかり心の荷が下りた気がした。全く共有できていないが、それでも誰かに自分の現状を言うことができた、という事実は少なからずトールの心を軽くした。そして彼から投げかけられる優しい言葉。部下がいつもしてくれる心配の言葉とは違う、頼りがいのある力強くて優しい言葉。今まで誰かに頼られることしかしてこなかったトールにとって、誰かを頼るというのはとても神秘的で、とてもやわらかで、そして、なんとも楽な気持ちになれる)…えぇ。…あなたは強い。騎士としても、人としても。それは十分理解してますよ (2/7 22:52:22)
ゑゐりあん/トール > (顔を上げ、セオドアを見ながらそういうトール。今にも崩れかねない塵の塊だったトールが、少しだけ人の形を成した気がした)副団長…(他者を傷つける辛さ。これはトールにとって無視できないものであった。誰かを“護る”ために奮ってきたその力を、誰かを“傷つける”ために奮うのはとてもつらかった。いろんな人間を知っている。優しい人間は家族にも優しいこと。一見恐ろし気な外見をした人間が実は子煩悩なこと。いつもはおどおどした人が愛する者を護るために勇気を出すこと。そういう人々がいることを知っていた。そして、そういった人々が帝国やヨズア人にもいることもまた、知っていた。彼らが彼らの“護りたい”もののために戦っていることを知っていた。自分がそうだから、余計につらかった。…しかし、彼はその罪を背負ってやると言っているのだ。…きっと、そうはいっても自分は結局自分を恨むのだろう。彼を恨むことなんて、出来るはずがない。 (2/7 22:52:38)
ゑゐりあん/トール > 意外にもトールはヘスティアのことを恨んではいなかった。あのサイコロで大切な部下たちの出身地を譲った際彼女を殴ったのは、無論彼女の無責任な行いに腹を立てたのもあるが、トールという人間がいるにもかかわらずヘスティアが責任を取ろうとしていたからだ。お前が背負い込む必要はないんだ。俺を使え。お前はまだ、若いんだから。“未来がある”んだから…と。…結局あの場では激情に駆られて其のことを言う暇はなかったし、そのあとも険悪な雰囲気でしかなかったため彼女にその思いを告げることはできなかった。…が、これは彼女に対する侮辱でしかなかったのだ。騎士団長という立場にいて、あらゆる悩みを抱えているのに、年下というだけで相手を子ども扱いしてしまったのだ。だが、セオドアの言葉で気が付いた。目が覚めた。そうだ。こいつらだって、もう大人なんだ。俺と同じ“未来という、子供という太陽を護る為に戦う騎士なんだ”…と。だからトールは)…ッ!!!(パァンッと頬を叩いた。その音は部屋中にこだまし、彼の頬は真っ赤に腫れた) (2/7 22:52:44)
清瀬/セオドア > (わからない、と彼は細々しく嘆く。呪いの類いか、気の毒と言うにはまだ理解が足りないのだろう。わかったような気をされることは誰にとっても辛いことだ。易々と理解なんてされたくないプライドと、助けを求める悲鳴とが身を潰すように縛り付ける。丁度間を縫ってくれる存在が少ないからこそ、縫い目を無理やり抉じ開けられると人はどうにも苛立ったり、焦ったり、不安になってしまうものだ。今まで精巧に、正直にディテールを造り上げてきた貴方だからこそ、崩れてしまえば復元の難しいのはなんとなく読み取れる。だからこそ今は、羽毛のように柔らかに、誰かが護ってやらないと。) (2/8 23:57:41)
清瀬/セオドア > 「…難しいよなぁ、忘れてもいいよ。これはただの御茶会だったって言い張っても、オレは構わないよ」(一つ、トールに優しく握らせるように告げた。逃げ道を作ることは易いことだ。それを望むかどうかなんてわからないが、それは貴方を不信という言葉で悲しませることになる。これがおじゃんになれば、今度は次期団長様だ。きっとその頃には多忙になる彼女には、中々負担は与えにくい。…会談の当事者を招きたかった己の我が儘もあったが、彼には持ちかけるべきではなかったのだろうか? きっとそんなことはないと、思いたかったが──)「えっ。ちょ…トール!?いきなり何して………」(返事はなく、高く肌を叩く音が代わりに応える。見れば頬を赤く腫らしたトールが、何やら重々しい表情で顔を伏せていた。こればかりは意図が全くもってからない、混乱を表情に顕著に出してトールの名前を数回呟くと、口をぱっくりと開けたまま固まってしまった。戒めか? 意気込みか? その答えはやはり、貴方から聞く他ないのだろう。) (2/8 23:57:42)
ゑゐりあん/トール > …すみませんね、副団長。驚かせちまって(顔を伏せ、驚くセオドアにそういうトール。その声は、先ほどまでの弱弱しいものではなく、いつもの。…否、いつも以上に頼れる百騎長の声だった)情けねぇ所見せちゃいましたね。情けねぇ俺、叱ってくれた礼、しなくちゃ無礼…ですな(そして顔を上げ、いつもの調子でラップのような代物を口ずさむトール。その表情は、何かが“落ちた”かのような顔だった。それは清々しいとはまた違う、覚悟を決めたかのような、そんな顔。その顔でセオドアを見つめる)…副団長。まずは謝らせてください。俺は、団長やあなたを心のどこかで馬鹿にしてました。自分より後に生まれたからって、“守ってやらなきゃならない存在”として、子供扱いしてました。実は俺…ヨズアとの会談の場で、俺は団長を殴ったんです。サイコロで領地の配分を決めようとして腹が立った。そして殴ってしまった。…そして彼女は自分の指を切ろうとした。俺はそんな彼女に腹が立ってしょうがなかった。部下の故郷をサイコロで売ったこと。 (2/11 22:07:56)
ゑゐりあん/トール > そして責任を取るために指を切り落とそうとしたこと。それは…彼女を子供だと思ってたから殴ったんじゃないかって、今考えるとそう思えるんです。…彼女は彼女なりに何か考えがあった。でも俺は、そんな彼女の意図を汲むことなく己の激情だけに任せて台無しにしてしまった。…馬鹿ですよ、俺は。己の行動に何の責任もない大バカ者だ。その場の感情だけに任せて動くなんて、俺のほうがガキでしたよ(自嘲気味に笑うトール。百騎長になっても“自分は頭が悪いから戦うことしかできない”なんて自慢気に言っていた自分を殴りたい。そんなの、子供がするような言い訳だ。大人なら、“子供を導く大人”なら、苦手なことでも言い訳せずに克服しなくちゃならないのに。これじゃぁ、エクレの子供たちに顔向けなんてできたもんじゃない。…それに、国を売ってまで子供たちを助けようだなんて、馬鹿にもほどがある。あの子たちはいつも言っていた。「国を護りたい」と。俺の影響なのかはわからないが、あの子たちは騎士になって国を護りたいと言っていた。 (2/11 22:08:02)
ゑゐりあん/トール > …そんな夢を持った太陽たちを護る為に国を売るなんて、本末転倒にもほどがあるし、何よりもそれはあの子たちの未来を潰しているに他ならない。もっと言えば、この国の子供たちはなにもエクレの子供たちだけじゃない。この国全土にいっぱいいるんだ。そんな子供たちの命を潰すなんて、どうかしてる。今まで散々馬鹿してきて、国も滅茶苦茶にした落とし前を付ける方法なんて思いつかないが、それでも今はやるしかない。殺るしかない)…セオドア副団長。お願いがあります(そういうとトールは頭を下げた)俺の後釜を探してくれませんでしょうか (2/11 22:08:07)
清瀬/セオドア > 「……トール」(緩んで欠けて、形のなくなってしまった塵をぎゅっと押し固めて、無理やりに取り繕ったような像であった。彼は彼なりの意思を持って、彼の想う善を行っていた。子供であると、大人であると。年齢という当然の認識に、誰もに等しく定められた歩む速さに、オレもトールも酷く縛られている。トールは“視過ぎて”、オレは“背け過ぎて”、互いに苦しいのだ。年齢で図ることの苦しさを貴方に晴らしてしまうのは、容易いことだが勝手だ。 するべきではない、言うべきではない。きっと正しい務めは、言いたいことの丈をぐっと堪えて、貴方を慮ってやることだ。だからそのお前の下した、覚悟という名札を付けた幼稚な“勝手”を、オレは見過ごしてやるんだ。) (2/12 23:17:50)
清瀬/セオドア > 「…まず、オレの一存じゃ決められないってのはわかってね。他の人、特に団長には……話を、通さないと。オレ自身はね……少し惜しいけど、トールが決めたことなら、応援してやりたいかな」(深々と頭を垂れるトール。下がった頭は旋毛を露にしていて、まるで人の紡がれた終点のようなそこをつつくと、貴方に顔を上げさせた。太股に肘を置くと組んだ両手に顎を乗せ、最初こそ神妙に、段々と軟らかく目尻を緩めた。此所で己が保証してやれるのは話を通すという権利を与えてやること、オレの返事一つで部下を簡単にぽい、なんてできてしまえば──きっと謗られてしまう。副団長なんてのはしゃしゃらず、腰に下がった巾着のような、玩具に付いてくるちゃちな菓子のように悪戯なままでいい。)「そういうことなら、今度こそ“お話”をしようか。……トールはもし百騎長から降りたら、何かしたいこととかある?何でもいいよ、お前が俺に言いたいことだけでいい。オレに何か聞かせて欲しいんだ、トール」 (2/12 23:18:08)
ゑゐりあん/トール > えぇ。わかってます。でも…こんな話をすることができる相手ができただけでも、俺はもう随分と救われますから(一存で決められない、と言われても尚そういうトール。いいのだ。話を通してくれるだけでもありがたい。自分にはもう時間がないのだ。最後の最後まで誰かに責任を丸投げしてしまうのは気が引けるが、もしこれをしくじってしまっては全てが台無しになる。とにかく、急がねば)百騎長をやめた後は…。長い人生の道すがらに落としてきてしまったゴミを拾って、捨てるべき場所へと捨てに行くつもりです。…そのごみを放っておくと、俺だけじゃなくてほかの奴らまで。…俺の後を継いでいく子供たちにまで迷惑をかけちまう。…だから、俺はそのごみをちゃんと処理する義務がある(そういうと、トールは一呼吸を置いてセオドアの目を見る)…副団長。…俺は騎士団を…(裏切っていました。そう、言いたかった。言いたかったのに、言えなかった) (2/12 23:54:12)
ゑゐりあん/トール > …ッ!(何故なら気づいてしまったからだ。“影”に。先ほどまでは何ともなかった視線の先にある単なる影に、確かに生気が宿ったのを、悪魔が宿ったのを感じたのだ。もう一度言おう。トールは奴に長く付きまとわれた結果、彼の気配を察知することができるようになったのだ。いるとき、いないとき。確信はないが、しかし影に奴が潜んでいる感覚を第六感が訴えかけるのだ。この部屋に入ってしばらく談笑するまではその気配はなかった。「騎士団を」そういった時もなかった。…が、裏切ってという単語を言おうとした瞬間、確かに気配を感じ取った。戻ってきたのだ。奴が。嘘が。リューグナーが)…やっぱり、なんでもないです。ただ、俺から言えるのはそれだけです(ここで奴に聞かれては全てが終わってしまう。言えない。間違っても言えない。言って楽になりたかったが、もう無理だ。もっと早くにいうべきだった。なんて後悔をするが来てしまったものは仕方がない) (2/12 23:54:21)
ゑゐりあん/トール > ヨズアとの会談の件で、俺から言えるのは…それだけです(トールは再びそういった。話題を一番初めにまで戻し、自分の言葉をそう締めくくった)…ほかに何かありますか?なければそろそろ仕事があるので、俺はこの辺でお暇したいのですが。それと、“先ほどの件は後で手紙でお知らせします”(そういって立ち上がろうとするトール。先ほどの件。それは自分が言おうとした言葉、「私はイモータルのリューグナーにそそのかされ騎士団を裏切っていました」という旨の言葉。それを後で手紙で送ると、そういったのだった) (2/12 23:54:26)
清瀬 / セオドア > 「そっかぁ、ならよかった」(ぽつり、ぽつり。その意図を完全に繋ぎ合わせることはできなかったが、彼が自分の落ち度にけりをつけようとしていることは、何も知らない自分ながらに察することができた。落としたものを拾うことは勿論大切だけれど、皆が皆、自分の落としたものを全てわかっているなんて、そんなことはない。籠から溢れた破片が時に他人を汚したり、誰かの残していった大きな過ちを拾ってしまうこともある。誰かに見つかってしまう前に全てを拾い尽くして、隠してしまおうとする彼の、その理由だけは大層に抱えているらしい。急に他所ゝしくなってしまったトールを引き留めようか迷ったが、恐らくそれは…しちゃあいけない方のお節介だ。) (2/13 00:27:33)
清瀬 / セオドア > 「……いいや、他にはないよ。急な用事に付き合わせちゃってごめんよぅ!…あっ、もし怒られたら言いに来てね。トールは油を売ってたんじゃなくて、買わされた方だってちゃ~んと言ってあげるから」(うーん、と少し考える素振りを見せて、後はもういつもの猫なで声を聞かせるだけだ。その“お仕事”とやらがちゃんと上手く進むように一つだけ口添え、円滑な予定をお望みならばどうぞ、このセオドアにお任せを。部屋を出ていこうとする貴方に手を振り、見ているかはわからないが最後にウインクをサービスしてあげた。──しっかりと、ドアの閉まる金属の音を聞いてから、長い息の音が部屋を支配した。無性に息苦しいこの空気は、きっと寒いからと締め切っていたせいだ。窓を開けるとカーテンの裾がはためき、身を無情にも冷ましていく。長い前髪とフロアランプの装飾をパラパラと綻ばせて、やけに歪んだ紅茶の鏡は呟いた。)「あーあ、冷めちゃったよ」〆【御茶会は密やかに】 (2/13 00:27:35)