鬼若
遥か昔の恩人へ大和守/鬼若 > (夜も更け、皆が寝静まる頃。鬼は過去に使用していた、思い出の物とも呼べる楽器ーーオカリナを手にしていて。不安な夜。はたまた、眠れない夜。そんな時には鬼はそれを吹いているのだが、どうやら今宵は何時もとは違った様子。それを手にはしていても、吹こうとはしない。手に持っているだけ。それだけだ。窓から、仄かに地を照らす月を眺め。鬼は一人、物思いに耽っていた。)「…………紫宛姉さん」(ーーかつての、恩人の名を呼ぶ。文字通りの、命の恩人だ。己を拾うた、あの恩人の名前。姉弟だなんて年齢差では無かっただろうに、あの人は笑って姉と呼べと言ったのだ。それは、もう遠い昔の話になってしまうのだが。) (1/30 00:07:13)
大和守/鬼若 > (これは、昔々に聞いた話。気紛れに飛び出た話だったが、あの人はかつて帝國軍の兵士だったらしい。栄光で名を轟かせた訳でも、多くの勲章を頂いた訳でもない。ただの兵士だ。ただまぁ、あの帝國軍の厳格さに合わぬ、礼儀正しくはあるのだが気紛れな態度。果てにはーー「飽きたから」、だなんて理由で軍を抜け。……つまりは、悪い意味ではあるが多少は名が知れていたらしい。まぁ、それは【鬼華】という礼儀正しい女性の話。鬼若の知っている【紫宛】という女性は口が悪く、非常に自分勝手なのだから。)「……ねぇ、紫宛姉さん。あんたが死んでからさ、好きな人が出来たんだよ。……そんで今度、その人に告白しようと、思ってるんだけど……」(ぽつ、ぽつ。過去を思い出したせいだろう。その恩人に話し掛けるように。普段の口調ではなく、素の言葉で、語りかける。ーー今は亡き、恩人に。姉に。彼女が居なくなってから出来た、命を捧げようと誓ったただ一人の御方の事を。) (1/30 00:15:10)
大和守/鬼若 > 「……なぁ、見守っててくれよ。あんたが見ててくれるなら、何でも上手く行きそうな気がするんだ。だってあんた、いっつも言ってたじゃないか」(……そう、あの人はいつも言っていた。『何でも私に任せなさい!』と。自信満々の様子で豪語していたのだ。その割には何時も失敗を繰り返してしまうせいで、いつしかその言葉を適当に受け流すようになってしまっていたのだが。ーーそれでも、今は。その言葉に頼ってもいいだろう。貴方が自分の事を姉だと言っていたのなら。こんな時くらい、弟が姉を頼っても良いでしょう。) (1/30 00:22:24)
大和守/鬼若 > (鬼は、花に頼り。そして。鬼若は、華を愛すのだ。)【遥か昔の恩人へ】〆