明松&かれん
恋は盲目シロー/明松 > (かれんと、大事なやくそくをしたその日の晩のうち。お互いに火照った体を求め合って、眠りにつこうとしたけれどどうにも眠れなくて。すっかり日付も変わってしまって、夜明けも近くなった時間だった。外の空気を吸いたくて、きっと二人だけの時間を濃密に過ごしたくて。かれんと一緒にやりたい事を急いでいる訳じゃあ無いけれど、何となくかれんと二人で夜遊びをするような、そんなドキドキを味わいたくて、誘った。)「⋯⋯ちゃんと温けえか?かれん。」(誰も居ない兵舎を二人で窓から抜け出して。かれんの手を引いてここにやって来たのは十数分前の事だった。兵舎からほど近い路地の長椅子に座って、自分の足の間にかれんを座らせて、お腹に回した手をもぞもぞと動かす。寒いだろうと自分の羽織の予備をかれんに羽織らせて、後ろから耳元で囁いた。) (1/25 22:21:24)
シロー/明松 > (ついさっき、二人で情事に及んでいた時に言っていた彼女の言葉。「異能のせいだ」という言葉が頭を過ぎったけれど、そんな事はどうでもよかった。今、俺がかれんを好きなのはそんな偽りのものではない。絶対に。こんな胸が高鳴っているんだ。自分の胸と冷えた背をくっつけて、やけに響く自分の鼓動を感じながら、また話しかけた。)「いつか、いつか殺してやる。⋯だけど、その前に、かれんはしたい事、他にないんか?俺が何でもしたるよ。⋯⋯⋯幸せにしたる、かれん。なんでも言ってええよ。」(あの場を逃れる為に吐いた嘘を繰り返して、 冷たいかれんを暖めてやろうとお腹に回した手にきゅっと力を込めて。自分の片方の手首を掴んで固定すると、後ろから首元に顎を寄せるように顔を寄せ、落ち着いたの声色を心がけて呟いた。 (1/25 22:21:55)
マリア/かれん > 「……ん、うん…温かい。」(石段に座り、後ろから抱きかかえられながら明松の腕に髪をすり、と擦り付けて言った。)「……したい事……。死ぬ前は、誰かに可愛いとか言われてみたいって、夢見てた。イモータルになってそれが叶って……男の人に抱かれる、のも……。」(過去の男――かれんが殺した、被害者たちなのだが――それを思い返して言葉にする。”あなたが叶えてくれた”と言わないあたりに、察してしまうかもしれないけれど、それすらも素直に口をついて出てしまう。はっと口をつぐみ、白い顔のままではあるが照れたように眉尻を下げて振り返る。)「……あっ、その、違うの。好色な女だと思わないでね。……その、愛されてみたかったっていうか……あぁ、ごめんなさい。……やっぱり違う事ないかも。私、柳くんが思ってる以上に”悪い子”かも。……柳くんとするの、良かった、すごく。この身体じゃ、あんまり感じないけど……でもあったかくて、嬉しかった。……ごめんなさい、ごめんなさい……。」(妄りがましいと言えば、そうなのだろう。それを求めてしまう自分が酷くふしだらで汚らわしいものに思えて、何度も懺悔した。) (1/25 22:22:48)
シロー/明松 > 「うん。可愛い。」(ゆっくりと話し始めたかれんの心地良い声を聴きながら、小さく呟いて、抱きしめる手に力を込め直す。愛しくて甘い匂いがして、ずっと嗅いでいたいなと思いながら、黙って吐露を受け止め続けた。)「⋯⋯かれん、俺が終わらしたるよ。全部。何度でも抱いて、かれんを幸せにしたら、俺がそのままかれんと一緒にいつか俺も死ぬ。これまで、死ねなかったんよな、大丈夫。俺が殺して、幸せなまま終わらせたるよ」(イモータルは不死と聞いたけれど、関係ない。殺す、と決して本心からではない言葉を繰り返しながら、でも少しずつ、何度も繰り返す内に、嘘をついているという後ろめたさは消え去っていた。自分でも気づかないうちに。首の上から手を回して抱きしめると、白い頬に自分の頬をくっつけた。) (1/25 22:23:16)
シロー/明松 > 「良え子だよ、可愛くて綺麗で優しくて、理想の女性やから、惚れた。愛してる。かれんと俺が出会うのは運命だった。⋯⋯俺、かれんに会えて本当に幸せやよ。⋯⋯したいこと、思いつかんならさ、かれん」(ぎゅううう、と強く抱き締めて、触れ合わせた頬をすり、と擦るように滑らせてからしばらく黙り込み。そのままぼそり、と呟いた。)「────それじゃあさ、俺達最後には⋯⋯結婚しよう。俺はかれんが、嫁に欲しい。」 (1/25 22:23:18)
マリア/かれん > 「け、結婚」(思いもしなかった言葉に、かれんは瞼をぱちぱちと動かした。何をもってして結婚なのだろう、イモータルと人間の結婚――?それを誰が認めてくれるというのだろう。ああ、だけど彼は軍人で、魔術師なのだ。ならば誓いの詠唱、ウェンディアにもあったそれをするのが意味を持つのだろう。嬉しそうに頬を綻ばせ、次に唇を尖らせて照れくさそうに膝を抱えて揺れた。)「……考えておくね。」(いつこの異能が解けてしまうか解らないと不安に思うのは恐らく、人同志の恋でも変わらないのだろう。そうなれば、また自分はおいていかれる側で。今が幸せであればあるほど、虚しさが心を締め付ける。)「―――あ……」(ふと、思い出したように声を漏らして、おずおずと振り返り、ためらいがちな白い吐息を地面に落とした。瞳はまた甘えるように色を変え、とろり黄みの強い乙女色をあなたに向ける。)「……振り袖、着てみたかった。ずっと―――もう覚えてないくらい、ずっと前から。……」 (1/25 22:23:29)
シロー/明松 > (考えておくね。という言葉とは裏腹に、斜め後ろから覗き見た横顔は微笑んでいた。感じた事のない暖かな幸せに釣られて頬を緩ませると、零れたか細い声に反応する前に彼女が振り向く。イモータルだからなのだろう、色の移る瞳は黄色く染まる。何を意味しているのかは分からないけれど、悪い感情では無いことは伝わって、黒い瞳を細めるのだった。やっと聞けた彼女のしたい事。)「⋯⋯振袖かあ、かれんに似合うだろうな。絶対着せるから、もうちょっと待っとってね。最後は振袖を着せたまま⋯⋯そんで⋯っ⋯かれんのこと、殺したる。」(不死である彼女と添い遂げるには、きっとそれしかなくて。花嫁衣装を死装束にするのは少しだけ嫌だと思ったが、何よりのかれんの夢が殺される事なのだから、自分に出来ることは幸せなまま終わらせる事であった。耳を巻き込むように掌を頬に添えて、少しかれんを上に向かせると、軽く唇を重ねる。) (1/25 22:23:45)
シロー/明松 > 「⋯っん。⋯⋯良かったよ、かれんの夢を叶えるのが俺で。全部叶えたるよ。⋯⋯八百万の神様に誓って」(ひゅるり、と朝方の冷えた風が吹く。日が明ければ、かれんと外には居れないだろう。辺りが明るくなる前に帰ろうと、かれんの手を握って、腰を支えるように立ち上がる。「今日は部屋に戻ろう。ちゃんと、待っとってよ」「俺が殺すから、絶対」微笑むのは難しくて、目を細める程度しか出来なかった。それでも、他の男に取られるのは絶対に嫌だから、俺が幸せにしたいからと、こんな事を口に出来るなんて思わなかった。⋯⋯不思議なものだった。こういうのをきっと【恋は盲目】と言うのだろう。) (1/25 22:24:00)