ヘスティア&黄橡

スザン会戦

マリア/ヘスティア > (【尊華帝国領・守山(スザン)/白日】尊華帝国軍大将・白梅と、シュクロズアリ旅団・セリヤーナの魔術戦は、刹那のうちに決着した。見張り台への奇襲と共に到達したセリヤーナの魔術が敵将に追わせた傷もひとかたならぬものであったようだが、返し刀を受けた彼女はより深手を追い、戦場は緊張感に包まれる。シュクロズアリ旅団は前線の彼女を介抱し、すぐさま撤退――恐らく、戦闘不能という事だろう。陣幕の内側からその様子を見ていた騎士団長ヘスティアは、両手で幕を閉めて光を遮り、仲間の方を振り返った。)「……まさか大将が出てくるとはね。シュクロズアリ旅団は彼女の治療と士気の立て直しで手一杯でしょう、私が出ます。」(脇に抱えていた兜を被り、騎士然とした出で立ちで軽く居住まいを正すと、共同戦線を張っている旅団に間違っても聞こえぬよう一層声を落とした。)   (1/18 23:41:38)
マリア/ヘスティア > 「私が死んだらあなた達は副団長の指示に従い、すぐに撤退して下さい。この攻城はミトラ進軍への囮であることは、周知の通りです。元より帝国領であるスザンの地とあなた達の命では、天秤はかけるまでもありません。本命はミトラ、それまでに全滅してはならない。私は戦場がどこであろうが死力を尽くすまで。――――では、太陽の名の元に。」(徐々に語気を堅くししながら、ヘスティアは陣幕の外に出る。太陽はまだ落ちることなく、天に輝いていた。)「―――先の戦、見届けさせて頂きました!これより聖フィニクス騎士団はシュクロズアリ旅団と共同戦線を張り、あなた達に宣戦布告を致します!我が名はヘスティア、太陽の令閨にして、不死鳥の女神である!」   (1/18 23:41:44)
マリア/ヘスティア > (セリヤーナに敬意を表し、先程見たばかりの彼女の魔術の模倣として、口上の後半はもはや己を鼓舞する為の魔術として紡がれた。)「我が仰ぎ見し、慈しみ深き火神(かがみ)、祝融の貴婦人よ。散る火花の鳴すよりも豪然たる炉の核融を、燃え滾る息吹の唸りよ。かの者達を焦がす勝利の篝火を、いま見せん。呼び集まれ、太陽の名のもとに。」(迎え撃つ敵が大将であるのか、はたまた代わりとなる援軍か。確かめる前に先手を打とうと、帝国側の陣幕へ向かって魔術を放った。ヘスティアの言葉に呼応して、地面を溶かすようなマグマが帝国側へ広がってゆく。ぱち、ぱちと音を立てそれはやがて火になり、陣幕の屋根が燃え落ちる。火蓋が落とされた。)   (1/18 23:41:49)


行町/キツルバミ > 【母なる大地ぞ、我が魂守り給へ、然らば我が身さながら捧げむ。汝が童たる尊華の名の下に与へ給へ。天変動地____________≪島崩し≫__】(布の燃え散る不快な薫り、火の粉と共に舞うは我が陣営の紋章を掲げていた陣幕の煤。派手な一撃に一体何名の同胞が倒れ伏しただろうか。狩猟を生業として生きていた彼は咄嗟に空気の動きを読み取って被害拡大を阻止しようとしたが、思うようには行かなかった。もう現役を引退して随分と時間が経った、故に現役の長と刃を交えるには熟し過ぎている。土煙、火の粉、煤、その他諸々が視界から消えたころに貴方の視界に映るのは左肩の肌を爛れさせた老人の姿だ。然し、貴方はひとつの疑問に辿り着く。貴方の放った魔術は果たして、斬撃をも孕んでいただろうか?確かに彼の左腕には鋭利な刃物で傷付けた様な真新しい傷が見えた筈だ。)   (1/19 00:15:56)
行町/キツルバミ > 「_________________随分と、張り切って居る様じゃな。仕立てて貰うたばかりの紋付袴が台無しじゃ…、お嬢さん、こんな老いぼれの肌に興味があるとはなかなか粋な趣向じゃのう。」(彼はカッカッカと笑い飛ばしながら短刀を地に捨て、軽い金属音が短く響く。彼の周囲に多くの同胞が居たにも拘らず、怪我人はキツルバミただひとり。土埃と地、その保護色となっていて一寸気付くのが遅くなっても無理は無いだろう、彼の背後には神や魔人とすら思える様な巨大な剛腕が浮かび同胞たちを庇う様にその大きな腕でキツルバミ以外を抱え込む様に硬化していた。そして、貴方にはそれが土砂で形成された腕だと気付く。)   (1/19 00:16:02)
行町/キツルバミ > 【母なる大地ぞ、父なる天空ぞ、我が尊華守り給へ、然らば我が魂さながら捧げむ。汝が童たる尊華の名の下に与へ給へ。天地開闢____________≪賽の河原≫______】(そこに居た筈の陽気で助平なご老人の姿はすでになかった。地に滴る彼の血液は大地を脈動させ、唱える詩は彼の言葉に目を覚ます。空中に浮遊していた巨大な土砂と魔術の腕は更に地面から這い出るようにして増えていく。ひとつ、ふたつ、みっつ、4本の剛腕がそれぞれに天を仰ぐほどの巨大な刀を模した土砂の塊を携えて、貴方の目の前に顕現する。)「お初にお目にかかる、かのう?どうも物忘れが酷くてのう…儂ぁしがない老兵、キツルバミじゃ………して、お嬢さん____儂ぁ、手加減なぞせんでええんじゃろう?」(彼の声は静かに、しかし空気を、大地を、びりびりと震わせ肌をヒリつかせる程の威厳を持って放たれる。同時に宙に浮く4つ腕はその巨大すぎる形成からは想像もつかない速度で貴方を叩き斬ろうと全力でその腕を振るう。元より先の短い命だが、そうでなくとも彼は尊華の名の下に、尽力しないなんて選択は在り得はしない。)   (1/19 00:16:21)


マリア/ヘスティア > (地を這うかの如き響く低い声が、風塵に乗ってヘスティアの耳朶に触れた。ごうごうと燃え盛りぱちぱちと爆ぜる音に混じり途切れ途切れであったが、それが魔術であることは恐らく考えるまでもない。治療魔術か、はたまた消火の魔術か。咄嗟に浮かんだ思考が甘いものであったことを、最後の一句で悟った。)「……島……?」(どくどくと蟀谷が脈打ち、戦いの熱に支配されるのを感じる。バチバチバチ、とスイッチを叩きつけるかのようにアドレナリンが脳へ到達し、ヘスティアの瞳は一層赤く核融した。その目が次に見るものは、肩を負傷した老兵……自分の記憶が間違いでないのならば、彼が聞き及ぶところの―――)「……首刈り、……」   (1/19 01:06:00)
マリア/ヘスティア > (彼女が帝國の人間であれば、伝承めいた噂に確証を持つ事が出来たのだろう。しかし、心のどこかでは『馬鹿げている』とそれを一蹴する。かつて王国を絶望の淵に追いやった武将がこんな軽口を叩くような人物であるとも俄に信じがたい。騎士団長として就任したばかりの彼女はかつての英雄と刃を交えた事もなければ、姿すら見たことが無かったのだから。だが、しかし。もし、そうであれば)「……キツルバミ氏とお見受けしました。」(相手にとって不足なし、といったところだ。)   (1/19 01:06:06)
マリア/ヘスティア > (かまをかける意味も含めて、慣れないその名をたどたどしく呼ばう。情動と平静のはざまで、ようやく土埃の奥に隠れていた”もの”を目にした。その豪腕はこちらに向けられた魔術では無かった。敵の数は依然、凋落せず。それを悟る。)「……女神よッ…!我が名において冀う、太陽の眷属たる……―――」(あなたが放つ次なる魔術の始まりを耳にすれば、咄嗟に返す刀で詠唱を始める。先程の奇襲は伝家の宝刀とも言える大掛かりなものであったのに、一撃で決する事が出来なかったなんて。間に合え、勝機を掴めと焦り、滑る口は目の前の相手の魔術が完成するのに、一歩届かなかった。)「………ッ…!」(形容しがたい地響きのような音と共に、土くれはあなたに従った。四つの剛腕を背負う明王の姿に、瞳孔を震わせて目を見張る。そして、名を耳にした。)   (1/19 01:06:18)
マリア/ヘスティア > 「……やはり……あなたは!……うっ、うああぁああああああああアアアアアッッ!!」(迫りくる土の刃にヘスティアは咆哮した。死を悟りながら、最期の断末魔が悲鳴であってはならないと己を奮い立たせ、獅子のように獰猛に。それを”言葉を紡ぐ事を放棄した”愚かな魔術師と思うか、はたまた、騎士であることを全うしようとした者と思うか。刃は彼女の腹に突き立てられ、そして無惨にも)「――――ッ……」(炎のような鮮血を吹き上げて、その場に倒れたのだった。)   (1/19 01:06:25)


行町/キツルバミ > 「______おや、……血を流し過ぎたかのう。耐えられて居ったら丸裸にされる所じゃったわ。」(カッカッカ、と気楽に笑う老人は周囲に漂う四つ腕から意識を抜き取り、すぐさまサラサラと元の土砂となり地面に還っていく。今まさに対峙した騎士団長へと歩み寄っていくキツルバミの身体を避けるように土砂達は降り注ぐ。彼女の目の前に辿り着いた彼はすっと腕を払い、空を切る。それに呼応するように貴方の身体に付着していた土砂や土埃は敬意を払う様にその身から退いていくだろう。彼は見ての通り、楽天的な印象も強く、殆どの部下たちが彼の存在を良くは思って居なかったかもしれない、先代元帥が優秀だったのなら尚更だ。しかし、今回の戦闘で彼の本質が垣間見えた事だろう。それが周囲の人間にどう映るかは分からない、ただ尊華の土地にもう彼を【耄碌した老害】としか思わない人間は居なくなったのではないだろうか。)   (1/19 01:13:02)
行町/キツルバミ > 「にしてもお嬢さん、若いのに良く儂の事を知っておったのう…、きさんが強くて命拾いしたわ。どうも物忘れが激しくてのう、切羽詰まらんと呪文もよう思い出せんくなってしまったんじゃ…」(トドメを刺すのかと思われた彼の手は野太刀には伸びず、そっとヘスティアの胸部へと伸ばされた。それから、自陣を振り返れば彼は声を張るだろう。)「ほお…、肋が肺に刺さっとるかもしれんのう。やい、きさんら、衛生兵を呼べ。このお嬢さんはまだ息が在る様じゃ。」(彼は尊華の紋章を背負った元帥であり、義理と人情に生きる任侠者である。それこそ祖国の為ならば手段を択ばない程の筋者ですらある。ただし、それはあくまで、統治と民の為というのが本質だ。貴方を殺せば、新たな烽火とも成ろう、報復を恐れているのではない、ただ___貴方がこちらを見据えたその瞳には多くの同志達と守り続けた灯火が見えた気がしたのだ。こればかりはただの耄碌爺やの妄言でしかないと笑われてしまうかもしれないな。)   (1/19 01:13:07)
行町/キツルバミ > (多くの死で成り立つ平和ならば、両国のどちらが勝とうとも其処に意味なぞ無いのだ。何れ敵国ではなくなるはずの相手ならば、何れ祖国と一つになる相手ならば、先を見据えた上で救うのが義理という物だ。彼は衛生兵と共にヘスティアの治療を始める。宣言通り、貴方の命も死守して見せる。此処は戦場だ、まだ彼の覚悟は燃え尽きてはいない。)