かれん&明松

タナトス

マリア/かれん > (夜中の静寂が支配する狭い兵舎に、ふたり分の吐息。徐々に熱を帯び、加速してゆく鼓動、間隔の詰まる息遣いに、目の前の相手が眩しい程に生きている事を実感していた。対してこちらは死人同様の体で、恐らくは彼の求める程には体の反応が追いついてはくれていない。――感じない。それでも、両手を伸ばしかき抱くようにして生を追い求めた。心と体の乖離するような切なさに涙が滲み、もどかしそうに身をよじる姿を見て、泡沫の恋人は何を思っているのだろう。)「……柳くん……」   (1/17 18:22:21)
マリア/かれん > (この夜に何度も呼んだ名前をもう一度、吐息混じりにつぶやく。この喉は甘い嬌声という優しい嘘をつこうとさえしなかったけれど、内臓を圧迫されるようなリズムを受けて漏れ出た喘ぎは、たぶん、少なからぬ喜悦を帯びてはいるように聞こえるのだろう。必死な顔でウツロな想いを遂げようとしている彼に、おいていかれたくはなくて、朱に染まる事すらできない白面にぽろ、ぽろ、と涙を伝わせながら、愛を求めた。)「……殺して、お願い、私を殺して」(背中に回していた手をゆっくりと離して、彼の片手を掴む。そのまま首元に誘って、薄い青と赤の混じった紫苑の瞳でじっと見つめる。)「――――私を殺して、あなたも死ぬの」   (1/17 18:22:27)


シロー/明松 > 「⋯かれん⋯⋯っ!」(自分以外の人間を呼ぶ事なんて滅多に無い、狭い兵舎の一室で、はじめて誰かの名を愛しく呼んだ。この夜に何度も何度も呼んだその名を繰り返すと、吐息が詰まり鼓動が早くなるのを感じた。一対の布団に潜り込んで、背中に手を回す彼女と同じように、深い繋がりを、彼女自身を求めた。見つめ合って、何度も繰り返して、昇り来るのを感じていた。)「すき、⋯⋯好きだ⋯⋯っ、かれん⋯⋯!⋯⋯っ⋯愛してる⋯!」(微かな吐息混じりの声と、切なげな表情を見る度に、感情を押さえ付けることが出来なくなっていく。その表情の意味を確かに捉えることは出来ずに居たけれど、彼女がイモータルであるという事実が頭を過って、苦しくて、切なくてどうにかなりそうだった。   (1/17 19:21:13)
シロー/明松 > なんでそんな顔をするのか、なんて聞ける筈も無くて、ましてやどんな気持ち、と聞ける筈も無くて。結局それらは全て、彼女がイモータルだからというどうしようも無い真理に行き着くような気がして、聞くことができない。決してまやかしじゃない、嘘でも偽りでもない、自分のこのどうしようもない好意と、今行為に及ぶ彼女とのズレを感じながらも、行き場所を失った情愛を吐露することしかできなかった。彼女の小さな頭の横に腕を付いて求めていると、頬を一筋涙が流れるのに気づいて胸が締め付けられるように痛んだ。)「かれん⋯⋯っ、⋯⋯え。⋯⋯」(なんで涙を、と口にできずに居ると、背中に回されていた手が離れて自分の手を掴む。促されるままに首へと手を添えて、告げられた言葉に瞳を潤ませた。イモータルは、殺せるのだろうか。不死性の象徴であるイモータルの特性を思い出す前に、殺せる殺せない以前に、明松には無理だった。   (1/17 19:21:15)
シロー/明松 > 想い人を手にかけるなんて出来なくて、たとえ彼女の吐露が、泣きながらに訴えるような本心からの願いだったとしても、それでも。理性などとうに手放していて、今頭の中にある彼女への想いの中で葛藤しながら、首に添えた両手に力を込めた。)「か、れ⋯⋯ん⋯⋯っ!」(苦しそうにくぐもった声と、生理的に抑えることが出来ない吐息混じりの震え声を繰り返しながら、暫くして体を震わせた。自分でも果てたのか分からなくて、ただ脱力感が襲い来る。結局首に込めていた力をすぐに抜いてしまって、繋がったままかれんに覆い被さるようにして、頭を抱いて肩を震わせた。)「いやだ⋯⋯かれん、好きだ⋯⋯惚れた人を⋯かれんを殺せん、俺は⋯。⋯⋯⋯一緒にいるでさ、ずっと、守るから。⋯⋯愛するから、俺の前から居なくなるんだけは⋯⋯」   (1/17 19:21:38)
シロー/明松 > (イモータルと自分が添い遂げる事なんて無理なのか、こんなにも愛しているのに。殺してと懇願する彼女の気持ちを考えても、自分の手で殺す選択肢だけは選べなかった。)「俺が生きている限り、愛しとる⋯まだデートもしてない、かれんとやりたいことがまだ沢山ある⋯⋯だから。〝まだ⋯⋯、ずっと⋯〟⋯⋯なぁ、かれん⋯⋯好きだ⋯⋯」(かれんと一緒に居たくて、一抹の願いを込めて理由を並べた。せめて今は嫌だという思いのままこれからの事も決まっていないのに、その証拠にまだ、ずっと。と意味の違う言葉を重ねた。きつく抱きしめてから、ゆっくりと顔を上げると、涙を滲ませた表情を歪ませて、口付けを落とそうとした)   (1/17 19:22:00)


マリア/かれん > (あなたの手に力が篭もると、苦しげに目を瞑り息を止めた。再び開いた瞳は潤んだまま、どこか恍惚としており、体の奥底からぞくぞくと這い上がるようなリビドーと混じり合ったタナトスに身を委ねてあなたを見つめて)「―――」(『逝かせて』と声に出さずに唇が動いた。)(ふっと力が抜けたかと思えば、重力場に従うかのようにあなたは沈んだ。譫言のように繰り返す愛の言葉は、かれんの体の表面を滑って落ちて、泥に沈みゆく。嬉しいはずなのに、どこか現実味がなくて。彼の言葉疑う訳ではないけれど、ただ、『そうか』『花蓮はこんなにも、愛されているのか』と他人ごとのように、”二人”を俯瞰していた。―――花蓮?)「……あれ」   (1/17 19:49:15)
マリア/かれん > (それが生前の名だったんだろうか。曖昧な記憶は眠りに落ちる前のようにさらに混濁し、疑問はすぐに霧散した。次の瞬間にはもう、自分が何か引っかかりを感じた事すらも、覚えていなかった。そっと重ねられた唇が離される時、彼の首に腕を回してぐいっと引き寄せ、鼻と鼻が密着する距離で、かれんは燃えるような赤い瞳をあなたに向けた。)「……じゃあ、あなたを殺して私が死ぬ。」(目的を邪魔された。自身の執着を否定された。ゴーレムが使役に抗えないように、彼女もまた、イモータルという本能に抗えなかった。)「かれんの事、好きなんでしょ?愛してくれてるんでしょう?私のために死んで、ね。お願い。殺してあげる、死のう、柳くん。できるよね?わたしのこと、好きなら、わたしのために、死ねるよね?死んでよ、ねえ、お願い。私と、死んで下さい、お願い。」(畳み掛けるような言葉と共に体を起こし、彼の肩に手をかけた。押し倒そうと、その手には力が込められる。)   (1/17 19:49:22)


シロー/明松 > 「⋯⋯っ」(言えるだけの事を言ったつもり、イモータルを説得なんて馬鹿げてるのかもしれない。いや、説得なんてものでは無く、ただの、下手くそな口説き文句でしかなかったのかもしれない。兎に角、限られた時間と、底なし沼に嵌ったかのような思考の中で、身動きの取れないなりに必死に紡いだ言葉は、届く事は無かったらしく。返す刃で一蹴されると、ぞくりと背を恐怖が上って、声を失った。ふわふわとした、それでいて茹だるような興奮と情愛を突き刺すように、己の命の危機が迫る。これから殺されるのだと理解するのに、数秒の時間を要して、その間にかれんは体を起こしていた。)「⋯⋯愛して⋯⋯」(まるで取り憑かれたかのように畳み掛けられる言葉の最中、愛してる、と最早譫言のように呟きかける。殺されるのだと生命的な恐怖の中ででも、目の前の想い人(イモータル)への好意は消えなかった。それを不思議だと思わない位には惚れていた。愛しているから死ねる、この人の為にと思いかけた自分は居たけれど、必死にぐるぐると打開策を考えていた。何とかしてこの人を死なせたくない、自分も死にたくない、俺だけを見てほしい、ずっと一緒に───。   (1/17 20:40:01)
シロー/明松 > 肩に力が入って、このままじゃ、と一抹の恐怖に駆られて。恐怖を無理矢理振り払うように態と強い語気を振り絞って、無理矢理にかれんを押し倒す。)「⋯⋯ッかれん!!!!」(覆い被さるように見下ろすと、首に両手をあてがって僅かに力を込めた。そのまま荒い息のまま肩を上下させて、続けた。)「───ええよ殺したる!お前のこと絶対殺したるから俺と一緒に居ろッ!まだ俺にだってかれんとやりたい事がある、愛してる、全部終わったら殺してやる、だからそれまで待ってろ!なぁ!?かれんっ!!」   (1/17 20:40:13)
シロー/明松 > (カッとなった勢いのまま言い切って、自らを偽りながら、思ってもない事を一息に吐き出して、覆いかぶさりながら前腕を首辺りに載せ、喋れる程度に体重を掛けると、切羽詰まった表情で、荒い呼吸を零した。落ち着かない動悸と乱れる呼吸を抑えようと喉を鳴らしてまた口を開いた)「俺が絶対ぇお前を殺すから、ずっと愛しとる、かれんに惚れた、惚れたからまだ殺せん!好きにさせる、⋯⋯っ、俺が一番かれんを幸せにできる⋯⋯かれんを幸せにしたら一緒に死んだるから!!」(何度も言葉を詰まらせながら、かれんを見下ろした。全部言いきった明松は、さっきよりも酷く息を荒くしていた。   (1/17 20:40:33)


マリア/かれん > (勢いづいて寝台に組み伏せられ、見開かれた瞳はますます、グロテスクな程に赤く色づいて輝く。彼の呼吸に合わせてかれんの胸も上下して、まるでそこに生きた心臓があるかのようだった。叫びに似た言葉の弾丸。獰猛なフレーズがかれんの脳を劈くと、止めどなく涙が溢れ出した。)「……っあ……ぅ……柳く……」(『殺してやる』――それはどんな愛の言葉よりも甘やかに、かれんを陶酔の沼に誘った。こくこくと従順に頷き、赤い瞳にどろりと青色が交じる。また、身体が情を交わしていた時と同じような紫苑の瞳に戻って、彼の言葉に聞き入る。――私もこのひとを、好きになったのかもしれないと思った。)「……っう、…うん。わたし……もっと、はやく、あなたに会いたかった。でも、っ。ん、く……」(涙に濡れた顔を隠すように腕を持ち上げ、しゃくり上げながら『でも』の続きを組み立てていこうとする。頭の中の言葉はまとまらないけれど、彼を信頼する気持ちに嘘偽りはなかった。)   (1/17 21:27:23)
マリア/かれん > 「……誰にも、愛されずに死んだから、……生きていた頃の私だったら、あなたと、こんなふうにはなれなかったかもしれない。……ねえ、気づいてる?あなたが私を愛してくれてるのは、この瞳のせいなんだよ。化け物になった私は、人を虜にする異能を持ったの。……いつか正気に戻った時、私のこと、恨んでくれても良い……」(腕を離すと、僅かに濡れた髪が束になって彼女の額を、彼女の額に刻まれた文字を晒していた。真実、真理――彼女は、嘘がつけなかった。)「……それでも、私はあなたのこと、たぶん好きになってしまったから。」   (1/17 21:27:38)
マリア/かれん > (そのまま彼の背中に冷たい腕を回して、もう一度ぎゅうっと強く抱きしめた。『やくそく、』『やくそくね。』と譫言のように繰り返して。)「……私も、柳くんのこと、守る……柳くんを傷つけるひとがいたら、私ね。」(玉虫が光の角度によって見える色を変えるかのように、かれんの瞳もくるくると色を変えた。彼と同じ黒い瞳で天井を見つめ、ぽつりと零した言葉は)「……殺してやるから。」(やはり、災いを彷彿とさせる酷く罰当たりなものだった。)〆【タナトス】   (1/17 21:27:44)