ソウ&落陽
ゆう/ソウ> っふう……(来週からの旅のルートに頭を悩ませて、もう陽が出てから沈み、筆が少しも進まずに、三日月が窓か確認できる時刻になってしまった。朝から一向に鉛のようになってしまう。それに加えて朝から何も、喉に入れていない。頭の中では既に、数々の食べ物が頭に現れては消え、地図が現れたと思ったら、形を変えて肉となる。そんな事を考えていると、段々身を削るような渇き、飢えが体を侵食していく。するとお腹からくぅーっと情けない音もしてきた。)……飯、行くか…(そのまま、本能に導かれていくまま、電車に乗り、気づけば地面に足をつけていた。此処は帝都。此処までくれば値段を抑えて美味しいものを沢山食べることができる。そんな街の角に立って店を探していると何かの匂いが彼の嗅球を刺激した。醤油だろうか焦げた匂いとずっしりと味わい深い香りがしては、勝手にその方向に足を進めると、屋台が連なっていた。醤油の匂いの正体は焼きそばだったようだ。釣られるようにそちらに行こうと思えば、右手からは、油で揚げるじゅわぁと言う音が聞こえる。 (1/16 21:26:18)
ゆう/ソウ> 今度はそっちへ、こっちへ…と向かううちに、一つの屋台へ着いた。とても小さく、入れて2人であるがもう既に先客がいるようだ。しかしその匂いに誘われ、あれよあれよといううちに、暖簾に染み付いた匂いを潜っていた。入ると、四角い顔に、タオルを巻いた頑固そうな男が鉄板の上でお好み焼きを焼いていた。彼はこちらを少しとも見ず、その丸い物体を見つめたままいらっしゃいませとしゃがれた声で言った。隣にはその大男とは真反対の小さく、この食べ物と同じ色の髪を持った女が、座っていたのであった。)申し訳ない。隣いいですか…?(そう声をかけて頭をかくと思わずお腹からまた情けない音が出る。顔を直ぐに赤らめては、)すいません…(と聞き取れるかも怪しい音量で言う。こころなしか大将はもっと厳しい顔持ちになった気がする。 (1/16 21:26:33)
ひよ/落陽> 「ん~! やっぱり貴方の作るご飯、しったげんめぇです。 色々迷ったんですよ、どごでご飯食うべか。でもここ、選んで正解だったさ」(帝都の天に月が煌く、そんな夜だった。今日は非番であるので、というのも、働きづめであって余程血色悪い顔でもしていたのだろうか、‟少し休んでこい„と少量の硬貨を握らされたものだから、それに甘えたばかりである。以前の臥平会戦での戦勝凱旋以降、軍部内での私に対する風当たりは幾分かましになったように思える。私としては、有難い限りである。引切り無しにあちこちへ駆り出され、戻れば今度は書類執務の無間地獄である。息抜きは必要不可欠だ、私だって人間なのだから。王国の機械騎士でもあるまいし。──そうしてこう、私としては珍しく夜の屋台に駆り出しては、普段すっかりしなくなってしまった出店の物色をしていたところであり、つい先刻に、鉄板で生地の焼ける音と香ばしい香りに釣られ、腹も減っているものだからと、いそいそと暖簾を潜った。
ひよ/落陽> ‟あの、あの、ひとつおねがいします„と、森厳な様相の屋台大将にたどたどしくあどけないイントネーションで注文をし、眼前でそれが焼かれるのを見ては、はて、こういったものを食べるのはいつ以来であったかと、ついつい軍人視点で観てしまう。ふるふると頭を小さく振るい、いんや、今だけはちがいます、今は落陽大尉じゃなくて、ただの落陽、ただの旭、なんだから。……さ、出された鉄板焼きを前に手を合わせ、小さく‟戴きます„と告げてから箸を入れ、小さく分けてから、口元へ運ぶ。おいしい。俗物的と言ってしまえばそれっきりではあるけれど、軍隊勤務の続くこの頃はこういったものを一切口にできていなかった。であるからこそ身に染みる……と目を閉じて、‟ん~„と声を零す。その時だ、ふと背後から‟隣いいですか„と。振り返れば、帝都ではあまり見ないような装いの男性が立っていて、さしずめ蚊の鳴くような声でそういうものだから、或いは、こういった場に慣れてはいないのか、であれば、 (1/16 22:00:11)
ひよ/落陽> 私も同じなのだけど。)「もちろん、気にせずどうぞどうぞ~。──あ、大将さん、あのあの、このひとにもね、ひとつ作ってくれると嬉しぇな」(背後の彼に向けて小さく手招きをしつつ、一層険しくなったような面持ちの大将にそう告げながら、にっと笑んで見せる。そうしてそのどこか疲弊したような表情と装いを見つつ)「こんた、屋台がいっぱいあるところね、賑わってらんだよ。んだんて、もうさっと声出したら、さっぱりど伝わるで思います。お疲れのように見えますんだども、今日はどぢらがら?」 (1/16 22:00:22)
ゆう。/ソウ> 隣に座ることの許可を乞うと彼女は、大層幸せそうな顔で、頬張っているのが見てとれた。幸せそうに食べるなぁと思えば、鈴のような涼しくありながらも、きちんと芯の通った声で、手招きをしてくれた。)あ、ありがとうございます。(すると彼女は堅苦しそうな大将に、ソウの分も頼んでくれて、)あ、あぁすいませんすいません…じゃあそれ一つと、酒を下さい。(メニューなんてものは存在しないのであろう。屋台のルールは、昔々、聖フィニクス騎士団がウェンディア聖騎士団なんて 呼ばれていた頃の戦記長に教えられた。その他にも色んな経験したなぁなんて頭の片隅で考えてると、隣から訛った言葉が耳に入ってくる。彼女には申し訳ないが、ソウは全く理解することができずに、途中からは思考を放棄していた。 (1/16 22:30:09)ゆう。/ソウ> 飢えで胃袋が背中にくっついてしまうほどな為、あまり頭が動かないと言うのもあるが、彼は普段でも聞き取れない自信があった。普段からこんな訛りしてたら周りの人は大変だなぁなんて思いながら、ある程度成人したものとしてあくまでも聞こえているようにしなければならない為、あぁそうなんですねなんて、訓練されているが嫌味のない笑顔を浮かべる。彼女はと言うと思えば恐ろしいほど愛嬌のあるうさぎの足跡のような笑窪を左頬に寄せていた。何故かその笑窪は幾多の困難を乗り越えた証のようにも感じられたが。辛うじて聞こえたのは”どチカラ“だった。どチカラって何だよなんて思いながら、少ない養分で頭を必死に動かしたものの、全く答えは出なかったのでもう八つ当たりに、また先程の笑顔を浮かべさせて、腕に力を入れ相手に見せて。)えぇ。だいぶ鍛えてますのでね。はははは。)夜空に乾いた笑いが響く。 (1/16 22:30:20)
ひよ/落陽> (どちらから帝都へやって来たのか、そう聞いたつもりであった。しかし隣に腰掛けた旅人風の装いの彼は、何を思ったものか力こぶを見せつけては‟鍛えてますのでね„と屈託のない笑みを浮かべるものだから、どうにも会話が成立していない様子に小首を傾げた。その表情は顰められることもない。或いは、口調の問題だろうかとハッとした。先程までつい、勢いで生まれ故郷の方言ばかりを口にしていたけれど、どうにも帝都に来て以来、故郷の訛りは他のそれに比べて特に顕著であり、標準語には程遠い異国の言語のようだとまで言った将校もあった。であればと脳裏に普段の執務室を思い浮かべ、ではそのように話そうかと思ったのも束の間の話で、初対面ともあろう得体の知れない相手に、あんな尊大な口調を用いては聊か問題であろう。‟っぁ、ごめんなさい„と、相手のその瞳を見つつ小さく頭を下げれば上目を遣うように、こほんと一瞬の時を置いてから切り返す。 (1/16 22:52:20)
ひよ/落陽> 「──あ、あの、私さっきまでつい、鈍っちゃってて……その、意味を解されていないようなら、ごめんなさい」(と、独特のイントネーションを残り香として漂わせつつも、しかし言葉のひとつひとつで見れば、大よそほとんどの人が使うそれである。乾いた笑いの彼を相手に、若干ばかり申し訳なさそうな少女の声色が跳ね返った。)「……んと、ですね。えーと……今日は、どちらから?」(そうやって噛み合わず、放置すればずれていきそうな会話の方向を修正しつつ居れば、食欲をそそる香りが尚も鼻を刺激する。‟はいよ„と差し出されたお好み焼きの乗った皿を‟……ぁ、どぞ……!„と、相手の方向へ少しばかり寄せて問い掛ける。) (1/16 22:52:23)
ゆう。/ソウ> やってしまった。完全に表情を変えさせてしまった。違ったんだな。本当に申し訳ない。そんな事が頭に巡る。すると彼女は先までの笑窪は肌色の表面に埋もれ、ソースがついていた真っ白い歯は、閉じられた。するとすぐに、謝られてしまった。誤解であったのだ。2人の間を通り過ぎる風は申し訳なさそうに音を立てていく。助けを求めるように対象の方を見れば、今片面が焼けたところで、何も聞いていないというか聞いていなかったことにすると言う一抹の優しさが変わらない表情と空気より伝わった。何だ?何が正解なんだ?と頭を必死に動かしていると、申し訳なさそうな今度は、声の裏に重い、重く後ろめたい気持ちと共に、どちらからと尋ねられた。)ぁ、ぁぁあ、も、申し訳ないです…はは、恥ずかしいですね……はは、私は、住居を基本的に持たないんですよね…生業を旅人としてまして。今はこの近くに家を借りてますが。ははは。(この重みを持って、四方から迫ってくるような空気からソースの匂いが救急を刺激した。 (1/16 23:17:57)
ゆう。/ソウ>皿は、目の前に置かれ、彼女は此れを勧めてくれる。)あ、あぁ、はい、ありがとうございます…(空気が鉛のようになって、無体流の重さである。その空気の中、割り箸を割る。綺麗に割れなかった。悪いものというのは続くものである。お好み焼きを箸で挟み中身を見ると、黄緑いっぱいの中に、少し赤が混じって見える…が、彼の先程までの胃とは打って変わり、胃まで申し訳なさそうにしているようだ。いただきます。と小さく言っては、口の中に入れる。)
(1/16 23:18:43)ゆう。/ソウ> ……!!お、美味しい!!これは!!(先程までの出来事を全て忘れさせてくれる美味しさであった。くどくならず、キャベツの味が広がるが、その焼き加減に対照のこだわりを感じる。肉の味の幅の膨らみを感じるがどこか郷愁を誘うような単調な味である。ソースは疲れた体にあう、継ぎ足しの濃いソースだ。)大将!美味しいです!(輝いた目で大将に言うと、大将は先程彼女が見せたような笑窪ではなく、重みのある笑窪を見せた。彼女にもまるで子供のように、口にソースをつけて、身を乗り出し、美味しいですね!と話しかけては、また口にかきこむ。そしては、また恥じらいを思い出し、すいませんと言っては、)貴方は…どちらから?(と静かに聞く。 (1/16 23:19:00)
ひよ/落陽> (少なくとも私は相手方が悪いとは思わないものだったからこそ、先程までの談笑と打って変わっての気不味い雰囲気に、困ったようにして私は眉を下げ、そうして苦笑してみせる。‟申し訳ないです„なんて言う相手を見ては、もろ手を前に、そうして左右に手首から振りつつ、すかさずに、‟ぁ、いえ! 私がですね、私が訛ってたのがだめだったんです„と相手をフォローするものだ。)「わ、旅人さんですか……! そっだらすごいことだべさ、あちこち見て回ったり、きっと楽し……ぁ、こ、こほん。──ともかく、あの、あったかい内に、ね……!」(と、相手が割り箸を綺麗に割れなかったのを見て‟よくあることです„と言って小さく素朴な笑みを浮かべる。小さく言い放った‟いただきます„だが、次の瞬間にはその味に歓喜の声を張り上げるものだから、よほど腹を空かせていたのだろうか。あまりに美味しそうに食べているから、見ているこっちも悪い心地はしないものだ。小さな童のように食べかすを口元につけたまま、無邪気にもこちらに身を乗り出して、きらきらと輝いた目で訴えてくる。) (1/16 23:41:10)
ひよ/落陽> 「──っふふ、お口にあったみたいで何よりです。……ぁ、私ですか? 私は、そうですね……田舎の出なんですけど、紆余曲折あって、今は帝都に住んでます。……帝都の様子はどうですか? 王国ともヨズアとも、全然、仕来りも違いますからね……! 何か苦労とか、してらっしゃいませんか?」(相手のテンションの落差、美味いものを食べて美味いといえるのはとても幸せなことで、それを恥じる必要はあまりないと、少なくとも私は思うけれど。そうやって、ハッと我に返った相手に、先程自分が投げ掛けた問いがそのまま跳ね返ってきて、そうざっくりと、端的に説明してしまおう。自分がそうであったように、どうにも慣れるまでこの国の国民性にはついていくのが難しく感じる。それが他所から来た旅人であれば尚更だろうと、身を案じそう質問を投げかけて。) (1/16 23:41:13)
ゆう/ソウ> はぁ...田舎...ですか...(そう言われ、はて先程の訛りはどこだろう、と頭を動かす。先程の飢えからは解放され、お好み焼きの養分が頭を動かすサポートをしてくれるのに加えて、先程の鋭く重い空気も暖色へと色づいてくれたため、思考を止めたり、回りの空気に押されることなく考えることができた。最も、最後まで結論が彼に顔を見せることはなかったが。すると彼女は"悩み"なんて言う言葉を見せたため、ソウは上を向いて脳漿をしぼり、頭の中のメモをペラペラと捲った。)旅人としての悩みはないですね。只、最近のヨズア、ウェンディア、尊華の間の風が強く吹くようになったとは思います。(この屋台のにおいを嗅いでから、地面をグッと見て)明日には此処がウェンディア領かもしれないし、また別のことが起きるかも。本当に何もわからないのが怖いですね。 (1/17 00:25:49)
ゆう/ソウ> (彼女の方を向き、ゆっくりと顔に微笑を浮かべては貴方の職業は?と訪ねる。大将は、ゆっくりと皿を洗っている。それから頃合いを見ていたのか、私にジョッキ一杯のビールを出した。はいよという声が空気を震わせる。少し、彼女を見てからジョッキを持ち上げ、何か思い立ったように、彼女の方言のイントネーションで、私たちの偶然の出会に乾杯。と言って先程の微笑とはまた変わった心からの笑顔を寄せて見る。 (1/17 00:26:03)
ひよ/落陽 > (確かにそうだ。今は戦時中であるからこそ、明日には帝都とて戦場となる可能性は零ではないのだ。こうやって一時とはいえ、軍務から離れ、普通の人間として美味いものを食べて、たのしいことをたのしいとしているから、迂闊と言われても仕方が無いが、やはり薄っすらと忘れていた。)「──あ、大丈夫……です! 帝都は絶対に落ちません。なにせ、これまで幾度となく王国の侵攻を跳ね返し、奪われた領土も奪還した尊華帝國です。ですからきっと……あ、ぇえと……お酒の席なのに、その、そういう話を広げちゃってごめんなさい。──あ、貴方は悪くないんですよ! 私が聞いたんですから私が悪いんですよ……!」(先程までの様子を見ていれば、このあときっと彼が謝罪の言葉を口にするのは明白であったから、あえてそう先に、貴方のせいではないと繰り返す。しかしこの大将は本当に慣れているように感じる。 (1/17 00:59:36)
ひよ/落陽 > 彼にジョッキを出す間も、とても完璧で、場の空気を読み切っているように思えた。とはいっても、私はまだお酒、飲まない……というより、飲めないのだけど。彼の持つジョッキより小さなコップに注がれた簡素な茶の表面が持ち上げればゆらゆらと揺れていた。相手もジョッキを持ち上げて、何を思ったのか私のイントネーションに合わせて乾杯の音頭を取った。嫌な心地は微塵も無かった。ただ、こういうものも悪くない、たのしいのだなと、そう思っていた。こつん、と、硝子のぶつかる音がした。)「──んだ、乾杯です……!」(そういって相手の顔を見て、その純粋無垢とも言うような穢れの無い笑みに、相応のもので返そうか。そうしてコップを呷り、茶を流し込む。──私は酒を飲まないが、しかし、今回、ひとつ分かったことがある。酒の席では、生まれがどこであろうと、こうして巡り合ったばかりの者と飲み食いをするばかりではあるが、しかし確かに、芽生える何かがある、と。 (1/17 00:59:38)
ひよ/落陽 > であれば彼がまた旅人として、変わらぬ帝都の夜を訪れることができるように、また或いは、こうしてひとつ屋台の下で、同じものを食べ団欒できるように。変わらぬ帝都を、守護するとしよう。) 『乾杯音頭はあどけなく』〆 (1/17 00:59:48)