竜灯&篠
からっ風シロー/竜灯> 「あん魔術師は⋯⋯」(何度目かの阿岸攻勢。リントや多方面でも攻勢及び攻勢の予兆が見られるとの事で、阿岸に割ける人員は少ないとのこと。互いに呪文の干渉を恐れ、魔術師同士の一騎討ちの様な光景が広がる中、竜灯は後方からお粗末ながらに設置された陣幕から前線を覗いた。以前阿岸を攻めた時に居合わせたヨズア人魔術師が居ることに、表情を強ばらせると、此度の援軍と共に支援兵として随伴した兵の方に視線をやって呼び掛けた。)「おう篠さん、来てくれて助かったぜよ。まだ目立った負傷兵は出とらんようじゃき、大丈夫じゃ」 (1/16 03:35:57)
シロー/竜灯> (援軍の殆どは前線に出払っており、ここで待機するのは自分達二人の他に殆ど居なかった。顔見知りの篠の方を見て、こんな状況だしせめて少しは楽にさせてやろうと、ほんの僅かにだけ微笑みかけた。立ち上がって魔術が飛び交うのを見つめながらに口を動かした。)「今は出れんのは悔しいけんど、阿岸を奪還したら俺らは英雄ぞ。気合い入れちょけ、篠さん」(若くして部隊長に抜擢された帆風兵。彼らの指揮にも関わるから、と自分が出張れないのを悔しがっていた。 (1/16 03:35:58)
マリア/篠 > 「……竜灯さん、おやっとさ、です。」(陣幕の後ろから現れ、戦場を見ている先輩兵士に声を掛ける。待機せよとの命が出てはいるが、見ずにはいられない気持ちは痛いほど理解できた。彼から近況を聞き、篠はほっと胸を撫で下ろし、歩み寄る。)「そうとですか。……はい、きばります。」(これが将官ともなれば口調もより軍人らしく固くなりそうなものだが、目の前の相手、竜灯という兵士は気さくな事で有名であり、以前から自分にもこうして別け隔てなく接してくれている。多少の訛りくらいではどうこう言わない人だ。こんな時でも失う事のない微笑みを目にすれば、僅かにたじろいだように目を伏せ、脳裏に浮かぶ言葉を反芻した。 (1/16 23:47:54)
マリア/篠 > ―――『……どうにかなる前にかぁ……そうじゃね、いつけ死んでんおかしゅうなかもん。』――後輩ながら、兵士の帆風は今も勇敢に戦っている。彼女が負けるだなんて事は考えたくもないが、撤退命令が出れば次は自分の番だ。何度戦場に繰り出しても、死の恐怖に慣れる事はできそうになかった。)「……竜灯さん、あの……」「あの、……えーと……。」(篠は、何度も拳を握ったり開いたりしては何か言いたげに口ごもった。いつ死ぬか解らないと思えばこの世に後悔は残したくないけれど、ありのままの心情を吐露するには、いまひとつ。背中を押してもらいたい――そんなところだった。) (1/16 23:47:58)
シロー/竜灯 > (気張ります、と、そう口にした篠の表情は幾らか強ばっていた。ある程度の余裕を持たせようとしてやったつもりだが、逆効果だっただろうか。前線を見ていた竜灯の耳に、篠らしくない歯切れ悪い声が届くと、竜灯は視線を篠へと向けて見下ろした。)「なんぜ?」(拳を握ったり、開いたり。口を噤んで魔術師らしくなく、言葉を詰まらせる様子を見てほんの僅かに苦笑して肩を竦めると、気合を入れてやるように背中を掌でぽん、と叩いた。)「おまんは立派な魔術師ぜ。こん俺が保証しちゃる。」(魔術師らしく、言葉にしてええよ。と思いを込めて、何度か背中を優しく叩くと、にぃ、と生気に溢れた視線を向けてニヒルに笑った。)「俺に任せちょき。俺は伝説になる男じゃきにの。⋯⋯ほれ、なんぜ?篠さんも軍人じゃ。口を噤んじょるようじゃいかんぜ?の。」(こんな様子じゃあ駄目だ、と思うがままに篠の背中から手を離すと、見下ろしたまま聞いた。 (1/17 00:15:47)
マリア/篠 > (『俺に任せちょき。俺は伝説になる男じゃきにの。』―――その言葉を聞き、はっと上を向くようにしてあなたの顔を目に入れた。……どうしてあなたは、自分が欲しい言葉をいつも的確にくれるのだろうと、不思議になる。そうだ、私はそんなあなただからこそ、話したい事がある。)「……あの、私……」「憧れちょっ人が、おって。」「……」(意を決して口を開いたつもりが、ゆるゆると目線は地面に下げられ、言葉は尻すぼみに勢いが落ちて慎重なものに変わっていく。)「……どうこうなろーごた、まじゃっく解りもはん。じゃっどん、ないごて私ん理想に近うて、こげん人んお嫁になろごったねって、ずっと思うちょって。恋に恋して満足しちょったゆうやつかもしれもはん。」(ふぅーと息を吐いて、キッと顔を上げた。目は少し潤んで、頬は赤らんでいるだろうか。自分でも、顔全体が火照っているのが解った。――こんな時に色恋じみた相談を持ちかけようとするなんて、あなたにはどう思われてしまうのだろう。) (1/17 00:39:48)
マリア/篠 > 「……そっ、そっ…!そん人はっ、いつも明るう笑うちょってっ!……皆を引っ張ってくれて、ほんのこて、守山男児ん名に恥じん……っあ。」(勢いづいたかと思えば、はっと口を抑えて篠はその場に立ちすくんだ。……ええい、ままよと、あなたの羽織をつんと引張り、その手を決して離さずに手を震わせる。その胸に飛び込んでいく度胸もなければ、資格もない。)「………り、竜灯さんっ、……こ、こん戦ばおわったら私の気持ち聞きたもんせと思うちょりました。じゃっどん、お互い今日にもどげんなるか……ごめんなせ、覚悟を決めよごたったんじゃ!」(羽織からぱっと手を離し、一歩下がって深々と礼をした。本当なら手を握ってしまいたかったけれど、この小さな戦いの上ではどうやら臆病風が優勢だった。)「……おっ、お慕いしちょりましたぁっ…!」(言ってしまった―――何を言われるか恐ろしくて、顔を上げる事できない。だのに、言い切った勢いで、篠はどこか晴れやかだった。これで、戦に行けると。) (1/17 00:39:55)
シロー/竜灯 > (「憧れちょっ人が、おって。」それを聞いて竜灯は、察しない程鈍感ではなかった。戦場ではあるが、いや戦場だからこそなのか、尻すぼみになりながらも続きを紡ぐのを、魔術師として男として、黙って聞いていた。「もし篠さんの方が早かったら」なんて思う筈もなく、答えは決まっていた。自分には惚れた人がいる。覚悟を断ち切る事はせずに最後まで聞き届けると、頭を下げずに言いきった。)「すまん、篠さん。俺には惚れた女が居るぜよ、糸依さんちゅう兵の事を好いちょる。やき、篠さんの想いには、答えられん。」(普段通りの口調で短く言い終えると、竜灯らしくにい、と朗らかに爛漫に笑みを浮かべた。ありがとう、と言おうか迷ったけれど、覚悟を決めた篠の為に、今度は自分が口を噤んだのだった。)「⋯⋯おぉし!篠さん、こん戦、勝つぜよ!俺らが英雄じゃ!俺らは尊華帝國軍ぜ!」(ぎゅっ、とハチマキをきつく締め直すと、大きな声で気合を入れるように、お互いを叱咤激励するように叫んだ。ここに居るのは軍人だ。という視線で篠を見つめ、口角を釣り上げた。 (1/17 01:01:57)
マリア/篠 > 「……あ」(下げた頭に掛けられた言葉に、ぎゅっと目を瞑った。もしかしたら、あわよくば、なんて。―――考えていなかったら、こんな事言わなかったに決まっていた。勿論、相思相愛だと勘違いしていた訳ではない。だけどいきなりで困らせるかな、とか、自分の事は好みじゃないかもしれない、と思った程度で。そう言われれば『伝えたかっただけだ』と強がる算段でいたのに、恋人が居るなんてことをまるで知らなかった自分が恥ずかしかった。目の前の相手のみならず、糸依――当然、彼女の事も知っている。――その先輩兵士にも迷惑が及んだんだとはっきり悟っては、うるうると目に涙が溜まって、今にも零れ落ちそうになった。)「あぁ……竜灯さんには、恋人がおじゃったんと……。」(波が落ちないように、ふっと顔を上げて赤い鼻を啜った。)「そっか、そりゃそうやなあ、あはは!こげんよか人じゃっで、おらんわけなかど。」 (1/17 01:23:26)
マリア/篠 > (右手をせわしなく後頭部に持ってきてかいてみたり、手の甲で鼻の下にかいた汗を拭ったり、そのまま顔を隠すようにふっと顔をそらしたりして、あはは、と笑って、精一杯あなたの明るさに応えようとする。解ってたはずだ、そう都合よくはいかないこと。どうなっても、それが覚悟を決める事になるからと思い込んで言った事ではないか。ちくりちくりと刺す胸の痛みは、振られた事の深い悲しみというよりは、今ただ、この場にいるのが居た堪れないというようなものだった。悲しみにすらまだ追いつけていない自分をどこか客観的に俯瞰して、だけど、手に余って。)「……うううううう、あいがともしゃげもした!……っふぅー……やってやっど!勝ちますとも、勝ちます!」 (1/17 01:23:35)
マリア/篠 > (腹の底から声を出し、気付けにと持ってきていた焼酎の四合瓶を手にとる。からからと蓋を開けて、口をつけてぐいっとそれを煽った。竜灯が止めない限り、その中身は笊を通しているかのようにみるみると消えてゆくだろう。)「……っぷはぁああっ!!」(―――『もう何も守っもんはなか。』そう強がって、臆病風を追い出した。)「尊華帝国軍、ばんざあああいッ!」(次に吹くのは、神風か。果たして―――)〆【からっ風】 (1/17 01:23:40)