明松&ヨハン

厘都(リント)会戦

シロー/明松 > (リント防衛戦。期間は空いたものの、連続での攻勢を受けたリントの城群は全てが陥落し、今となってはこの城砦が最後の壁となってしまった。アガンが奪われ陸路が塞がれている為に援軍も来ず、少ない人数での防衛となったが、予想以上に厳しいものになっていた。)「はぁ、はぁ⋯⋯っ!!」(魔術戦は激しく、帝國の兵は次々と負傷し、後方へと送られていった。気付けば周囲に立つ帝國軍は自分のみ。運良く生き残ったと思える程、格好悪くはなれないし、状況は甘くなく。目の前にいたシュクロズアリ旅団の魔術師へと声を張り上げた。)「尊華帝國軍が魔術師、明松!貴殿に一騎打ちを申し込む!!」(己を鼓舞する為に、誇りの為に名乗り上げると、相手の一挙一動に精神を向けながら呪文を唱えた。)「高天原に坐し坐して 天と地に御姿を現し給う天道様 御威光を以て罪穢を焚き清め給えと 恐み恐みも白す」(両手を組んで祈りを捧げると、空から光の束が降り注ぎ、ヨハンの周囲を照らす。周りの枯れ草が燻ったかと思えば、めらめらと燃え広がった。   (1/14 01:56:23)


マリア/ヨハン > (シュクロズアリ……孤軍の旗を揚げているかのように貴族的なラージャ・ルビーの色をしたマントが南風に煽られ、はためいていた。勇ましきワラドゥと呼ばれた、青年に成り立てといったところの彼。ヨハンはすっかり戦士気取りな自分に心酔して、巨大な帝国の前に立ちはだかる。)「……よお、軍人さん。」(相手の名乗りを受け、砦の小高いところから飛ぶように降り立って)「ゲツ城、カ城の部隊長は何処に引っ込んだんだよ?……もう攻めて来ないと思って帝都に帰ったのか、それとも一般兵で様子見ってことなのかな。」「まぁいいや。」(スン、と鼻を鳴らして意識を辺りに集中させた。潮風がどこから吹くのか、感覚で理解出来ないかと。逡巡のうちに一歩出遅れ、空からの光に照らされた瞬間、はっと天を仰いだ。)「……眩……ッ…」(目に入る痛い程の閃光に目を閉じ、一手遅れた。相手の軍服に徽章が少ないのを見て油断したのか、呪文の詠唱は炎の出現に間に合わずに足元からちりちりとヨハンを蝕むように焦がした。)「……あっ……!くそっ……!」   (1/14 02:47:37)
マリア/ヨハン > (走り、逃げ惑おうにも一度ついた炎はどこまでもまとわりついてくる。ひとえに戦慣れの差か、先手を取られた事に混乱したままだった。)「……う、ぐ、……っだァアア!……こんなところで、やられて、……あぁっ、ああ゛ッ…!!」(背中に火傷を追いたくはなかった。まだ自分は、心身ともに旅団になれてはいないのに。その甘い考えがヨハンの判断を鈍らせ、背を向けるのではなく前から炎で突っ込んでいって逃げようとする。冬の風はふいごのように吹き付けて益々炎の勢いを増すばかりで、火達磨になるまでそう時間を要さなかった。足元から肉の焦げる匂いさえ混じり始める。その時―――『……ヨハン!』旅団の声を、遠くで聞いたような気がした。)「………う゛、……あ゛あっ、そうだッ!俺の名はヨハン、潮騒の魔術師だ……!」   (1/14 02:47:47)
マリア/ヨハン > (今までずっと、ジョンと呼ばれて育った。故郷のマージじゃそれが普通だった。自身を魔術師という存在に至らしめた最初の魔術は、その名を呼ばれる事だった。ようやく彼は、これが神々を代弁する魔術戦争であることを思い出したのだった。)「――――わだつみよ 大水の逆巻くうねりよ 潮の手を打ち鳴らす音よりも力強く 砕け散り轟く高波よ かの者を踏み砕き 坩堝にすべく騒ぎ満ち 響きをあげ呼び集まれ 我が名において希求する」(ざわ、ざわと地の底からどよめきのような潮騒が響き渡る。ヨハンの立つところから燃える草がじゅう、と音を立て煙を上げながら消え、じわじわと水たまりのようになっていった。)「ダー・ニト・ロロイ・ヨハン。」   (1/14 02:47:55)
マリア/ヨハン > (どぷっ。音を立て、土を盛り上げながら波が突き上げる。この戦場が、海に通じた。)「……っはは……!相性が悪かったなァ!アンタの魔術と俺の魔術じゃさ!もう炎は効かないと思いな、勝たせてもらうよ!こちとら記念すべき初陣なんだ!」(これ以上火傷を追った肌に塩水をかぶることがないように、海の吹き上げる地点から後ろに飛んで距離をとった。―――諸刃の剣だなァ、畜生、こんなに喰らうんじゃなかった。―――なんて思っても、弱みは見せられない。強がるかのように、戦士然として笑った。)「お返しだ、帝国の!――海とそこに満ちるものよ、轟け!ダー・ニト・ロロイ・ヨハン!」(生き物のようにごぼごぼと吹き出す海は形を変え、高波となってあなたのもとへと押し寄せた。流石に溺れさせる事ができるほどの質量を持ってはいなかったものの、勢いで塩水を呑ませてやればいくらかは喉をやれるだろう。あるいは、この寒さが勝機となるかもしれない。)   (1/14 02:48:00)


シロー/明松 > (「よぉ、軍人さん。」そう言って降り立ったその魔術師は真っ赤な街灯をはためかせていて。気取るような、気障な口ぶりに明松はぎりりと歯を食い縛った。自分が舐められているのか、戦慣れしているのか。華美な装飾もその余裕の一つ一つが気になって、不安感を僅かに煽ったが、己の魔術は難なく顕現した。メラメラと炎が燃え広がって、苦悶の声が聞こえた。まだ息はあった。肩で息をしながら次の呪文を唱えようとしていた明松の耳に、魔術師の名乗りが聞こえてきた。「ヨハン」名を認識して、再び口を開いた。)「掛けまくも畏き 日輪の大神⋯⋯⋯⋯っ!!⋯⋯」(おどろおどろしい、そう感じた。地に着いた足の裏から感じた震動にたたらを踏んで、目の前の魔術師を見た。炎が妙に弱まっている気がした次の瞬間、地盤がぐちゃりと揺らいで、片足が沈みこんだ。地面の色が変わったと気づく頃には炎はとうの昔に消えていて。轟、と荒波が吹き荒れた。)   (1/14 03:38:28)
シロー/明松 > 「水の魔術師だがや⋯⋯っ!!っ、⋯⋯」(ずっと悩んでいた。高波に攫われたなら、もう呪文を唱えることは出来ないだろう。水の中に囚われたならば、尚更。だけれど後ろに走って逃げられるようには思えなかった。悩んで、結局、逃げるか逃げないか、どちらが良いかと考えて決めた。)「掛けまくも畏き 日輪の大神 月輪の大神 共に地に御働きを現し給いて 玉虫の簾降る御威光を此処に 罪穢を分け隔て給いて 愚なる怨敵の数々を戒め給えと祈願奉る」(量の手の指を組んで、早口で呪文を唱える。空より極光が満ち満ちて、簾のように降りた。七色に波打つ光が波を受け止めると、続く呪文に呼応してぽつぽつと極光の内で瞬きが強まった。)「天川を流る篝火 天に坐す星神 森羅万象に神留坐す光之神 仇なす罪穢を立所に祓い清め給えと 天(あま)に坐す萬光へ念じ申す いざ」(オーロラの中に生まれた幾千の光が輝いて、ヨハンを照らし灼かんと前方に強く放たれた。光が幾重にも重なる地点では地面が溶けて、硝子となる熱量であった。)「⋯⋯ごは⋯⋯っ!」(魔術はすぐに溶け、行き場所を失った波に呑まれながら明松は、ヨハンの行方を視線で追いかけようとした。   (1/14 03:38:33)
シロー/明松 > 「⋯⋯ごほっ!ごほ!⋯⋯⋯⋯答えろ!⋯⋯引かぬならば明松が討ち取る!!」(こちらへと向かっていた波を操る力が失われ、四方へと重力のまま散り、少しずつ地へと染み込んで行く。喉が塩辛くて咳き込み、びしょ濡れになりながら、ヨハンの方に流れて行った波が消えゆくのを眺めた。   (1/14 03:46:47)


マリア/ヨハン > (次なる一手を打つべく頭を動かした。高波で見えなくなっている相手はおそらく波を背に逃げているか、そうでなくとも呪文を詠唱する余裕はないはずだ。そうたかを括って今のうちにどでかい魔術をと長い詠唱を始めるヨハンの頬を掠めるように、熱線がじゅっと音を立てて墜落する。)「……潮騒よ、喝采を揚げよ、我が声に、…………うっ……!」(次の瞬間、無数の光の筋が天から降り注ぎ、地面を穿つ。呪文は中断され、ヨ低く屈んだり、後ろに飛んだりして光線をまともに受けないよう逃げ惑うのに精一杯であった。じゅっ、じゅっ、と濡れた地面にそれが当たると、水たまりがぼこっと泡を吹いて煙を上げる。翻したマントに穴が飽き、腕を掠め脹脛に命中する。その先の地面でじゅう、と音が聞こえた。貫通したのだ。)   (1/14 23:30:35)
マリア/ヨハン > 「……ぐっ、あぁ゛っ……!」(勢いを失っていく波の向こうに、しっかりと立つ敵の姿が一瞬だけ見えた。彼は波に覆い尽くされる直前に呪文の詠唱を完成させたと言うのか。)「……誰が……引くかァアッ……!やってみろってんだ、この……!」(脹脛の痛みでがくっと膝を折り、わなわなと震えながら立ち上がるが、何度もがくがくと崩れ落ちそうになる。後ろから『ヨハン!』と声がし、旅団員が駆け寄ってきた。彼は『退け』とヨハンに告げる。)「……な…んでッ、離せッ、俺はまだやれるのに!この通り口だって回る、俺はまだ……」(喚きながら仲間に食ってかかろうと飛び込むと、言うことをきかない足が縺れて突っ伏すように崩れた。どうやら自分の出番はこここまでのようだ―――ぎり、と歯を噛みながら仲間の手を取り、奥から現れた人物へ目を向ける。)「………頼む。」   (1/14 23:30:41)