夕霧&ダリア
花は茎に貫かれるように咲くλ/夕霧 > 【夕に染まった霧は、まるで血のようだったという。】(複数の足音が聞こえた。)(ちゃりちゃりという、金属がぶつかり合う軽音が、その集団からよく聞こえていた。)(それは、尊華の兵たちだ。武装した集団の中には、魔術師もいた。)「酷い有様。」(その集団の中央にいた女性は、ぽつりと呟いた。)(無骨な集団の紅一点というべきか。一人だけ、場違いな程に華やかな着物を着ているせいで、まるで砂利や岩に囲まれた一輪の華のようだっただろう。)(少し強い衝撃があればバラバラになってしまいそうな、華奢で控えめな体躯。凡そ、こんなところにいていい人間じゃない風体だが、侮ることなかれ。)(この女性こそ、集団の頭。少佐の階級に位置するほどの魔術師、夕霧であった。)「これじゃあ、治安維持だなんてお笑い草でありんす……………。」(肩を竦めて、頬は笑っているように釣り上がるが、表情は顰めていた。) (1/13 22:10:23)
λ/夕霧 > (————————なんせ、ここは………………言わば見放された土地だった。)(元々ガタは来ていたのだろう。小さな歯車が狂い始めれば、大きな歯車が食い違え、止まるまで不幸は誰にも止められやしない。)(その有様がこの抜け殻のような都市だった。元に戻そうとしようにも、その前に戦争が始まり、今じゃ領土が分断された危険な地区。)(ヨズア人系の人間や、ろくでもない有象無象が、何とか住処にしている、いつまでも憐れな穢土。それがここ、リントだった。)(この集団は、そんな荒れ果てた領土の、治安維持に派遣された部隊だ。こんな場所でも領土は領土。自国で起きる事には、自国で対応するしかない。)「(その昔は確かに華やかな街だったでありんしょう……………。けれど今じゃ夢の跡。そんな夢の残滓は、宜しゅうない気配を惹きつけりんすえ。ほんと。皮肉なことに————…………)……………はぁ、面倒はお主たちに任せんした。わっちは先に拠点に帰還しんす。面倒なお客を見つければ、いつものようにちょいちょいとぐるぐるにしておくんなんし。では」「おさればえ。主さんら」 (1/13 22:10:41)
λ/夕霧 > (夕霧は、面倒が嫌いだった。)(しかし、治安維持の為に、わざわざ少佐が出張ってくるのも、部隊にとっては望まれない事だろう。)(————————かくして、一人になった夕霧は、霧の立ち込める廃都を、散歩道のように歩きませ。)(外八文字に、悠々闊歩。)(口づけするように、煙管から吸った紫煙を吹かす事だろう。)(舞台は、整った。) (1/13 22:11:17)
めりー/ダリア > 「っは、ぁ……ッ」(鬱屈した、澱んで汚れた空気の掃き溜め、沢山の人間が飲み込んできた溜飲が最後の最後に溜まる場所。穢いものをおしやって要らないものを放り込んで、そんな形成の仕方ではなかったのだろうけれど、今となってはどうだって良い事だ。元々がガラスのゴミ箱だった、ただそれだけ。かつては栄えていたのであろうこの場所も、要らなくなってしまえばほんの少しだけ豪華なゴミ箱であり、ゴミ箱にいくら装飾を施したってゴミが多少増えるだけ。修復しようと手を施した所で、ゴミ箱は所詮ゴミ箱のままだ。過去の栄光など、かつての歴史など存じない自分がそうつらつらと述べてみたってただの御託で空論で、意味の無い事だと分かっている。ただ彼女にとって大事なのはかつてここがどうであったかでも、どうしてこうなったのかでも無い。ゴミのような堕落した自分を受け入れてくれるゴミ箱か、ただそれだけである。)「っ…ぅあ、ん、」(今こうして、この街と同じように一人の男の穢いものを受け入れて、汚れた精を受け入れて。揺さぶられて肺が潰れて、喉を空が伝って音が出る。汚れを増せば増すほどに、彼女は街に、廃都に溶け込んでいく。) (1/13 22:47:17)
めりー/ダリア > (ひび割れた壁とその輪郭を溶け込ませ、空っぽの胸に白濁とコンクリートを詰めていく。木を隠すなら森の中、彼女はそうして世界になって、痛い輪郭を消していく。潰されていく孤独感、満たされていく多幸感。耳の後ろで鳴る自分じゃない誰かの吐息も自分の声に被せてしまえばそこにあるのは世界ひとつだ。───────なのに。)ちゃり、ちゃり。【金属のぶつかり合う軽い音。】ざら、ざり。【複数の揃った足音。】(ゴミ箱の中身はどうやら定期的に分別されて整えられるらしい。)「………さい、あく。」(示し合わせた訳でもないのに、鼓膜を埋めていた吐息はしんとなりを潜め、そろりそろりと熱はどこかへと霧散する。ゴミ箱の中でくらい自由に足を広げていたいのに、どうやらそうもいかないらしい。目の前のごみはそそくさと隅により、整理の手から逃れようと逃げていく。中途半端にかいた汗を温めてくれるゴミが無くなった一人の女は奥歯で苦虫を噛み潰しながら、噎せるような青い臭いから逃れるようにふらりと廃都へ揺蕩っていく。求めるものなど何も無い、行く宛てなんて何処にもない。ただ、ただ少しでも胸の空腹が収まる場所へ。) (1/13 22:47:26)
めりー/ダリア > (無意識に辿っていたのは、嗅ぎなれた煙の足跡。こんな廃都の片隅じゃあ、食べることすらままならないような人間の巣窟じゃあ恐らく煙草のような嗜好品を吸えるのはそれなりに余裕があるか、人生を諦めたくそったれノーマッドくらいだろう。)「──────そこの、お嬢チャン。」(目の前の女性は明らかに前者。それも、それなり、なんてものじゃない。こんな場所で豪勢な格好で、たった1人で。それなりの立場、それなりの腕っ節。自分は彼女を知りもしないけれど、どんな人間かなんて容易に想像つくものだ。)(ゴミがゴミ箱で生きるのに必要なものはたった1つ。)(敵をかぎわける嗅覚、ただそれだけ。)(人差し指と中指を立てて、吸うジェスチャーをしながら、青臭い匂いを漂わせながら女はヘラりと笑うのだ。)「あたしにも、ちょこっとでいいから、サ。分けてくんない?」(______まぁ、嗅ぎ分けたところで取り入る気も、生きていく気もないけれど。) (1/13 22:47:32)
λ/夕霧 > 「(釣れんましたぁ…………)」(夕霧は、不意に声をかけられ、歓喜に胸が熱を持って脈動する。)(いけませんいけません、これじゃあ。)(あんなばたばたと七夕団に囲まれていてたら、あんまりに退屈で、微温湯に浸かっているようだった。)(鬱屈するような退屈さに、精々した側から、待っていたようにあなたがやってきた。)【一人になって見るもんだと、その女性は学んだらしい。】(くるりん。花弁が広がるかのように、着物を弧に広げるように振り向いた。)(着物が翻ったせいで、あなたの黴臭い体臭は、彼女の匂い袋から発せられる、甘ったるい花の蜜のような香りと、白粉の危険な香りが混ざり切ったもので覆い塗られるだろうか。)(どこか、蕩けるような、微熱を与えるような……………精気を与えるような。) (1/13 23:20:09)
λ/夕霧 > 「へぇえ…………………」(がづり)(下駄の歯と砂利が擦れる音と共に、一歩。) (1/13 23:20:33)
λ/夕霧 > 「ふぅん、ふん。」(————一歩、一歩)「なるほど————————」(一歩、一歩、一歩。)(舐るように、あなたの全身を味わうかのように、遠慮もなく吟味すれば)(はぁ、と粘質、嫌な湿気を含んだ吐息を一つ吐き出す。煙草の鋭い匂いも混じっている。)「ああ、おいたわしゅうこと……………。」「そんな見てくれの物乞いとなれば、まず【食糧を求める】のが一番じゃありんすか?」「んふ————————」「なのに、わざわざ主さんはわっちに腹の足しにもなりゃせん煙草が欲しいと言うておりゃれる————————……………。」「ふっ、んふふ…………………」「……………………。」(どろりなぁ……………。)(どろ、どろどろ。)(どろどろとして、おどろおどろしい。その子綺麗な顔が台無しな、度し難い満面の笑みを浮かべようか。)(とびっきりの悪夢のスパイスを効かせた、夕焼けが引き連れてきた宵闇のような相貌は、あなたを飲み込まんと向かれている。) (1/13 23:20:53)
λ/夕霧 > 「ようざんす。“コレはほら、ここに置いておきんすえ”。一度手放したもの……………、主さんがどこでどう拾おうが……………わっちは興味いりんせん。」【では、悪趣味なテストを開始しましょう。】(被検体はあなた。)(夕霧は、その手に持っていた、豪奢な煙管を地に置き、そこから紫煙がひゅるひゅると畝りながら空に登っていく。)(さて、あなたはそれを取るか取らないのか。)(悦楽に浸った、薄汚い女だった。) (1/13 23:21:05)
めりー/ダリア > (くるり、くるり。)(灰で彩られた廃れた世界に咲くひとつの花は、世界をひとつの作品へと昇華させていく。背景に紛れ込んで温く生きることしか出来ない自分とは違う花。存在が、空気が、世界が呑まれ、呑み込まれてしまいそうな感覚が彼女の頭をぶん殴っては思考を揺らし、擦られた感触がじんじんと残る自身の体を汚らしいものだと指を指す。)「……は、は。」(彼女が足を1歩引いたのは無意識的で本能的なものであった。力を持たない弱者であり誰より堕落し醜い獣に成り下がった彼女が、底無しの世界を覗かせる深淵たる君から逃れようとするのは当然の事だ。口角を釣り上げて笑ってみせた所で、それが虚勢であることも自虐を装い自分に酔っていることも、全て全てその夕の前には隠し通せるものでは無いように思う。空気がそこにあるように、酸素がそこにあるように。紫煙は、霧は、夕の朱は、逃げる事を許さないようにきっとそこに"ある"のだろう。)(深く、深く息をする。ちゃり、と小石を削って下げられた足は再びあった場所に戻り、首に伝っていた雫は竦められては服に吸われて消える。) (2/9 18:20:06)
めりー/ダリア > (今更なんだ、怯えるものなど焦がれるものなど、そんなものはとうに捨てた筈なのだ。守るべきものが何も無い自分は、誰より愚かで誰より惨めで、誰より自由であるはずなのだ。それはどんな場所でだって変わらない、そのはずだ。そこのない深淵とて、そうだ。そうでなければ、ならないのだ。)「何かを食らうのも、寝るのもネるのも、どれもこれも幸せに生きるためっつー…なんちゅーの、メイギタイブン?っしょ。」(深淵に落ちるのが怖いなら、自ら堕ちて仕舞えばいい。)(怖い事があるなら、怖いことを前提にしてしまえばいい。)(彼女は、そうやって息をしているのだから。) (口に滑らせる言葉に意味は無い。思い浮かべる理論に裏付けも無い。恐らくこんな理論は明日になれば忘れているし、明後日になれば当たり前のように同じことを繰り返す。彼女は、それでいい。)(あなたに平伏する様子を見せないまま、『いつも通り』にゆらりと歩き、貴方の足元にしゃがみこんでは浅黒い指を、薄汚い手を煙管に伸ばす。プライドの高いような高尚な人間であれば恐らくしないであろうことであっても、彼女にとってはどうってことの無いことで望むものが手に入るなら喜ばしいことだ。) (2/9 18:20:54)
めりー/ダリア > ───────けれど。「ほら、あんた。こんな高価なモン、落としちゃあもったいねー、よ?」(手に持った煙管の吸口を地に擦り付けた後、そちらを貴女に差し向けて。彼女は、ゴミはゴミらしく。厭らしい笑みを浮かべてからそう小首を傾げるのだ。)(バカにされることは幾度とある、見下されることも玩具にされることも幾度とある。けれど、彼女もやはり、何処までも堕ちたつもりであるとはいえ、一人の人間であることには変わりは無いのだ。与えられる幸せを享受しているだけの豚であるのは確かに心地よいし楽であり、動物として生きるならば自身の生き方は最適解と言えよう。けれど。)(足元が消え入りそうな危険な気配の中に立たされた動物は、皺の伸び切った脳を久し振りに蠢かせることにしたらしい。最期に成り得る瞬間くらい、人で居たいと願ってしまったらしい。)(彼女は君の素性など知らない。知らずとも、君が、君の纏う雰囲気が、自分のような存在を容易に無かったことにできる程のものであると警鐘を鳴らしているから。)(後と死ぬほど後悔するかもしれない。後悔する間も持たせて貰えないかもしれない。けれど、これが今の彼女の『最適解』だった。) (2/9 18:21:04)
λ/夕霧 > 「…………………………。」(ゆっくりと、睫毛の長い瞼を見開いて…………) 『何かを食らうのも、寝るのもネるのも、どれもこれも幸せに生きるためっつー…なんちゅーの、メイギタイブン?っしょ。』(コクリ、と小さく頷いた。)(巡る血管に、熱が宿る。)「んふ……………」「よござんす。」「わっち好みでありんすえ……………。主さん。」「ふ、ふふっ————————」(ああ、抑えようにも、熱っぽい吐息と一緒に、くすくす笑ってしまって仕方がない。精神が高揚しているからか、それとも……………新しい玩具を見つけたような、そんな道楽感。)(夕霧は、我慢が苦手だった。)(辛抱は、すれど、事愉しみに置いては、人一倍に、厄介な性をしているのだから。)(故に、気取っておかしな格好をつける輩よりも………………)(貴方のような、人間が…………………) (2/9 19:44:02)
λ/夕霧 > (蜜のように、好ましい。) (2/9 19:44:16)
λ/夕霧 > (求めてこその人間。手を伸ばし、見上げ、渇望し…………そして、求める。人は、ただひたすらに、それに熱を込める。) 『ほら、あんた。こんな高価なモン、落としちゃあもったいねー、よ?』(自を失わない、意志の、強かさ————………)(夕霧の正体も、とっくにわかっちゃいるだろうに…………。)「あぁ………………勿体ない————————」「せっかく、わっちが主さんに情けをかけたと言うのに…………」「あはあ。」「主さん、面白う事しなすんなあ………?」「んふ」「その意味、わかってやっているのなら、大した度胸でありんす。」「『全く』。」(そして、目を伏せ、ゆっくりと“言葉を紡ぎ出した”。)「『万物流転 形在物 流るる 脈筋へ』」(変化は唐突だった。彼女の体の周りに、墨字のシルエットがはたはたと、頭上から流れ落ちてくる。)「『須臾の内にこそ 熱は宿し なれば 一刻足りとも 変化無き物無く 万物は たった今流動す』」「『結界は 大いなる熱の前に 融解する』」(その文字達は夕霧の体を覆い始め————)(二拍の拍手)「『きふきふによりつりやう』。」 (2/9 19:44:33)
λ/夕霧 > (その瞬間、貴方の手に持つ煙管の『輪郭が崩れ落ちる』。) (まるで、あなたが持っていたのは、元々液体だったように。さることながら…………煙管だったものが、不透明の液体となって、温度もなく、貴方の手を滴り落ち————————)(雫は地に染み込んでいく。) 「あらあらあらあらあ」「これはこれは」「どうした事でありんしょう…………。」(にんまりと笑みを見せた。)「はて、“それは本当に高価な煙管だったのか”。」「わっちには、滴り落ちる妖しげな液体らしゅうものにしか見えんす。」(これじゃあ、貴方の格好もつかない。些細な抵抗だったかも知れないが、形がこうも溶け落ちてしまえば……………)(貴方の抵抗の真意も崩れ落ちて、無意味なものになってしまっているだろうか。)「残念でありんした————————」「可愛らしゅう反骨でありんしたけども……………」「……………………。」「一歩」「足りんようでありんしたねえ。んふ、ふふ」「ああ、口惜しい…………………口惜しい。」 (2/9 19:44:46)
めりー/ダリア > (食えない女、底の見えない女、嗚呼、本当にやりにくい。)(心の奥底で苦虫を噛み潰しながら、態とらしく目を細めては紙より薄い言葉を吐く。人間は様々な観点で二分する事が出来る。生物学的な分類、一定の年齢、主義的なものや持ち物の有無、確定的な何かの要素。彼女と君を分ける線引きは幾らでもあるが、彼女が特にひしひしと感じているのは『人間らしいか』という観点だった。底なし沼のように覗けないその瞳は人間らしさなど映さない。『扱いにくく予想のできない、本当に人らしくない女』であると心の中で銘打って、一先ず助かった命に礼をひとつ。)「そりゃぁ光栄なこったね。どーぉも?」(態度こそ舐め腐ってはいるが心の奥にある例も安堵も本当のもの。誰よりも人間らしい──動物らしいと言った方が彼女には適しているのかもしれないから、そう言ってしまえばきっと人間らしくは無いのかもしれないが──彼女は、狡賢ささえ持ち合わせていたとて、狡猾さは持ち合わせていない。体面上焦りや安堵を隠そうとはしているけれど、髪に隠れる汗が、かちりと固まった後脚が理性の言う事を聞くことは無かった。) (3/2 11:56:09)
めりー/ダリア > (どろり、ぼたり。否。きっとそれに正しい擬音を当て嵌めることは出来ないし、どちらかと言えばはらりさらりと言う音が正しいのだろうが、それは確かにどろりぼたりと重たく粘着質で気持ちの悪い様相で、君の空気を、周囲を彩っていく。墨の色程に、君の瞳の色程に気持ちの悪い色をきっと彼女は知らない。突如として始まった自分の持たない魔術のそれにそっと息を飲んで、文字に飲まれていく君に警戒して奥歯を噛む。文字に、墨に飲まれて行くのは君だと言うのに、飲まれているのは彼女の方だ。無意識に細くなる喉に気付いてもそれを和らげる方法を知り得ない。動き方を忘れた彼女は動けない。魅せられたか、囚われたか、それとも───────)「っ、な、」(掌に横たわっていたするりとした硬質のそれが、手の体温で溶けていくように、輪郭の糸をパチリと切られたように堕ちていく。溶けゆく雫は掌をべしゃりと汚して透かさない。その色が赤だろうが黒だろうが、なんであれ、彼女にはそれが自身の心臓を貫かれた衝撃による吐血の跡に見えた。声が上手く出せないままに目を奪われて動けない彼女は、嗚呼、何と小さく馬鹿らしく滑稽な蛙だろうか。) (3/2 11:56:18)
めりー/ダリア > 『んふ、ふふ。』(そろり、そわり。)『ああ、』(するりと這いより頬を撫でてきそうな、その滑らかすぎる存在が気持ち悪いと心底思う。)『口惜しい。』(その言葉は彼女の心を逆撫でするものか、はたまた『玩具』が直ぐに転がってしまった君自身の感情か。真意は知らないが、彼女に出来る小さな反抗はきっと大して残されちゃあいない。)「………、あーー、あ。」(大きく、大きく肺を膨らませるように息をしてから、右足に預けていた体重をするりと左足に掛け変えた。ばっちいなぁなんて言うように手をひらひらと降り、不透明な液体をぴっぴと飛ばして考える。さて、どうしようか。砂でも掛けて逃げてやろうか。魔術だうわぁすごい!なんてはしゃいでやろうか。子供のように癇癪でも起こしてやろうか。開き直って平然とでもしてやろうか。嗚呼、でも。)「あんた、イイ性格してるってよく云われるっしょ。云われない?」(汚れた手を拭くこともしないまま、スキニーの後ろポケットに手を突っ込む。煙草の空き箱を手に取って、慣れた手つきでそれを開けては顔を顰めて、無いと思っていた煙草を1本見つけて小さくお、ラッキーなんて呟いて。) (3/2 11:56:30)
めりー/ダリア > (あんたが強い人間であろう事はもう重々承知の上だ。あんたを恐れて平伏する人間は五万といるだろうし、それなりに良い立場に居を据えていることも何となく想像出来る。それが善き人格者であれば媚びを売って幾らでも諂ってやる物だけれど、きっとあんたは違うから。)「やらし〜ね、あんた。あたしは好きだよ、ムカつくけどね。」(煙草を汚れた手で一本取りだして、咥えて臀にまた手を当てて。)(快楽主義的で自己愛の強いその脳は、快楽と自分以外に興味が無い。反抗した所で適わなかった。ならその次はどうする?また反抗する?ここで負けたままは悔しくないのか?)(あぁしまった、マッチを忘れてきてしまったみたいだ。)「…ね。火、持ってない?」(ほんの少しだけ解けた笑みを浮かべながら、汚れた手を君に差し出した。)(興味がなくなった。面倒臭かった。要らない意地で反抗する程体裁にも自分のプライドにも誇りがなかった。ただ、それだけで。その深淵がそこにあることを認めるだけで、向き合うことも無視をすることも寄り添うこともしないまま、力を抜いて彼女は息を吐いた。) (3/2 12:00:38)
めりー/ダリア > (急に反抗しなくなったらつまらないと感じるだろうか。面白くないと興味を無くすか、癪に触って殺すだろうか。そうだっていい、何だっていい。世を捨て人を捨て自分を愛して自分を捨てた彼女に、その行先がどうなろうと大したことじゃあないのだ。いまはただ、そうだな。)「煙草、吸わせてよ。」 (3/2 12:00:39)
夕霧 > (尚も我を通すか。)(魔術の恐ろしさ。片鱗とは言えども、たった今身をもって体感したろうに。)(その言葉の意味を、わからず屋だなんて、賢くしぶとく強かに生きてきたあなたなら有り得ん話。)「………………………。」「驚きんした。」(もういっそ、頑固なのだろう。)(そして、自身のあり方に、泥臭くとも誇りを持っていた。捨てるにゃ惜しい自己を持っていた。)(そういう事、なのだろうね。)(ゆさぶれど、柳は揺れるだけ。柳であることに変化は与えられない。)「えへぇえ。」「いい目でありんす。」「熱を含んだ、目を。」「いんや────」「そんの薄汚れた瞳の中に、隠し持っている。」「…………………すごい。」「すごい。すごい。すごい。すごい。」(繰り返された言葉に、きっと意味は無い。)(ぬうっと、その黒真珠というには、あまりに濁り過ぎた目が、じっと、あなたを決して離しやしない。) (3/21 03:07:42)
夕霧 > 「一見、命を軽んじていながらも、」「その実、ある一定の自我を貫いている。」「そういう人間の言葉にこそ、熱は宿り、やがて魔術は湛えるというのに─────」「あああ」「放し飼いにするには惜しゅうござりんすえ。」(でも、ここの人間を、今更兵士に引き込む程愚者ではない。)(彼女はあくまでも、ここにいてこその彼女。そして───)「主さんが、尊華人であったら、面白かったのに。」(彼女は、華にはなれやしない。)(あり方は、どうあれかの民族だ。その延長線なのだ。)(ならは、夕霧はここにいる必要はない。)(面白い玩具を見つけて、気分のいいまま帰る。)(そいつが1番だ。)「わっちは帰りんす。。」「もう主さんに求める物はありんせん。」「褒美に、ほうら。」(ひょい投げ渡したは、これまた豪奢な彫刻が施された煙管が一本。)「それ使ぃ」「上手く売れば、もっといい思いが出来んしょうけども…………………」「主さん次第でありんすなあ。」 (3/21 03:08:06)
夕霧 > 「さらればえ。」(それは、夕霧のもう一本の煙管だった。その価値は、きっとあなたの人生じゃ、どうしたって手に入れられないもの。)(気まぐれ一つで、夕霧はそれをぽんと投げてはさっさと去っていった。)(それで、あなたの道がどれくらいにねじ曲がり、どこでまた合流するのか。)「全く、楽しみでありんすえ。」「全く」「全くに。」(女はほくそ笑む。)〆【花は茎に貫かれるように咲く】 (3/21 03:08:24)