レーテー

わたしがすきなおと

蟻ィぃいッ!!!/レーテー > (ざり、ざり、ざり、焼き物のお皿を擦り合わせる音。ざり、ざり、ざり、器の底をスプーンで撫でる音。ざり、ざり、ざり、それは、彼女が裸足で歩く音。彼女は今日も好きな事をします。人の少ない路地裏で、鼻歌交じりにそっと歩みを進めていきます。一歩、また一歩、ざり、ざり、彼女が歩く度に彼女の肌の色と同じ陶器の破片が地面に転がって、ゆっくり、ゆっくりと灰に成って消えて居きます。彼女の身体はとても脆く、独りで立って歩く事すらも足の裏を擦り減らしてしまいます。でも、大丈夫。彼女はもう自由だから、彼女はもう好きな事が出来るから、だからこうして自分の足で歩く事すら許されます。)「ご機嫌よう、ノラ猫さん。」   (1/13 01:45:36)
蟻ィぃいッ!!!/レーテー > (にっこりと笑いかけたのは、彼女の身体よりも小さな小さな野良猫さんです。でも、どうやらノラ猫さんは今日も不機嫌みたい。彼女は仲良くなりたくて、そっと手を差し伸ばすけれど、撫でさせてはくれません。ノラ猫さんのゴワゴワした毛並みに触れる前に、彼女の指先は爪を突き立てた前足に弾かれて、ひびが入ってしまいます。毎日、毎日、こうして彼女がノラ猫さんと仲良くしようとするのは、何故でしょう?お友達が居ないから?ひとりぼっちで寂しいから?いいえ、彼女が好きだからです。ただ、野良猫さんが好きだから、嫌われていても、不機嫌でも、手を何度弾かれても、こうして逢いに来るのです。だって本当は、人がそう在る理由なんてそれだけで十分だから。)「あら、___また、来るわね。」(彼女はひびの入った手をそっともう片方の掌で包んで、優しい笑顔をノラ猫さんに見せてから、また歩き始めます。ざり、ざり、ざり、焼き物のお皿を擦り合わせる音。ざり、ざり、ざり、器の底をスプーンで撫でる音。ざり、ざり、ざり、それは、彼女が裸足で歩く音。)   (1/13 01:45:39)