明松&篠
松竹梅に鬼が笑うシロー/明松 > (尊華帝國・榮郷。斜陽が赤く眩しい夕方。魔術城砦の内側の門前で明松は待っていた。昼から夕方に掛けて哨戒している軍人は早めに来ていた明松に任せ、本部へと向かってしまった。これから城壁の内側と外側両方の哨戒をする必要性があり、戦時であると理由から、二人一組というお達しが来て早一ヶ月。左手の袖を捲って、王国式の腕時計を確認すると、時刻は5時。そろそろであった。今日、共に哨戒任務を遂行する人は⋯⋯)「⋯⋯あ、篠さん。時間ぴったりやね」(やってきた帝國軍人に向けて軽く手を挙げて挨拶すると、妙に気にして前髪を指で払った。ついでに袖の埃も払う。行こうか、なんて言葉は無く、連れ立って城壁の外へと向かった。まずは二人で王国軍の篝火など無いか、の監視の為の立ち任務。歩きながらに明松は隣の篠を見て、苦笑いしながら話し掛けた。)「っとさ、この前はごめんな。悪かったよ。御籤の内容があんなんだとは思わんくってさあ⋯⋯今度一緒にご飯でも行こうよ、奢るから。」 (1/13 01:05:51)
マリア/篠 > (帝国軍の羽織をはためかせながら、息を切らして小走りに駆けた。仕事に遅れちゃならない。今日は同輩の明松と哨戒の日で、彼より少し遅れて篠は持ち場に到着した。)「はぁ、はぁ……明松さん、おやっとさ!私遅刻しちょらんどね?……へへ。」(先日の事があったからか、少し気恥ずかしそうに笑って、あなたと肩を並べて歩き出す。)「……えっ!や、そげな…。明松さんってば義理がてんやなあ。」(食事に誘われると、「まこち?」と笑って、拳で口元を抑えた。詫びのつもりなのだろうか、それとも何か親睦を図ろうとしてくれているのか……これが女性ならば深くは考えなかったろうに、つい数日前辻占煎餅を食べた時に言われた事がひっかかっていたのもあって、続く言葉に迷った。――明松さん、責任取って嫁にしてくれるんやろうねと言ったら、篠さんは良いけどってゆっちょったなぁ……。――けれど、あまり真に受けすぎても引かれてしまうだろうという思いから、とりあえずは当たり障りの無い返答を選んだのだった。) (1/13 01:38:26)
マリア/篠 > 「……そうですねえ、まぁ、戦時中じゃし……本部ん食堂ででも、ご一緒しもんそ。」(彼とは入軍以来の決して短からぬ付き合いではあるが、未だにお互いさん付けを取り払えないあたり、同輩以上友達未満といったところだろう。初めて顔をあわせた時にも言ったような言葉を改めて言ってみようという気になったのは、年が明けて心機一転したからと……まぁ、新年のせいにでもしておこう。)「……あの、明松さん、私達も長か付き合いですよね。今更さん付けなんてやめて、篠と飛んでくれてんよかですよ。」(城砦に登ると、榮郷の街が眼下に広がる。夕日は地平線に沈みかけていた。) (1/13 01:38:32)
シロー/明松 > 「あ、いや義理固い⋯って訳じゃあ⋯⋯」(確かにそれもあるにはあるけれど。⋯⋯口に拳を当てて笑う篠と、続いた言葉に明松は「良かった、楽しみだな」と笑い返すしかなかった。先日のことを思い出して、相手がどう思っているのか読み取ろうと頑張った。「篠さんはええけど」咄嗟に言ってしまった言葉を後から思い返してから妙に意識してしまって。今まで篠に対して「俺はないだろう」と無意識のうちに思うようになっていた事に気づいた。客観的に自分を見て、明松自信がそう気づけた訳では無いが、感覚で気づいていた。一度意識してしまうと中々、決定的な一言でも貰えない限り抜けなくて、階段を登る間もずっと考えていた。距離を図りかねて、だけど確かに詰めようとしていた。)「そう⋯だなあ、確かにもう4、5年か、今更やなほんと。俺も明松でええよ、⋯⋯篠」 (1/13 02:09:46)
シロー/明松 > (城壁からちらり、と沈み掛けの太陽を見て、だけど字を呼ぶ時、意識するなというのは無理な話で。微妙な間を置いて篠を見た。⋯⋯掴みかねていた距離感が少し縮まって、今しかないと頭で考える前に感覚のまま、さっき言いそびれた事を口にした。)「さっき篠を誘ったのさ、別に義理っていうか、お詫びとかじゃないって。食堂とかじゃなくて、俺⋯⋯篠と一緒に夜、飯とお酒でも二人で行こうよって意味やったんよ。」(頭で言葉を組み立てる前に言い切ってしまって、魔術師らしからぬ乱れた言葉を紡いでから、何だか自然な姿勢が欲しくて片手を城壁に預けて、いつの間にか真面目な顔つきになっていたのを緩めて、笑いながらに付け足した)「義理なんかじゃ誘わんって、俺が篠と飲みたかったの!それも俺達長い付き合いなのに、無かったから今更かもしれんけど⋯篠と居ると俺楽しいし、今も」(少しだけ今度は言葉を選んでしまって、髪を掻きながら太陽を見送って、また篠へ、と視線を戻した。 (1/13 02:09:48)
マリア/篠 > 「う、うん。……んーっと、明松……さん。……いけん!呼び捨ては難しかぁ。ううん、か、明松くんでよか?」(気恥ずかしさで耳まで赤くしながらも、しおらしくするのは柄じゃない。篠は後頭部を掻きながらからからと笑って、そう答えた。城砦から見下ろす眼下の町並みは、徐々にぽつぽつと明かりを灯して宵の支度を始めてゆく。冬だから日が暮れるのもあっという間で、暗い影の帳が赤くなった顔を覆い隠してくれる事に、半分ほっとして、半分残念だった。)「……えっ、えっ?あ、うん」(不意にかけられた言葉に、戸惑いを隠せずに間抜けが声が漏れた。どうもいまいち、”父(とと)”のようには格好良くいかないものだ――なんて、郷愁に浸りながら。) (1/13 02:51:17)
マリア/篠 > 「……うん、私も明松くんともっとお話してみよごったね。お酒好き?私は芋しか飲めんのじゃけど。今度なんてゆわんでこん後でもよかじゃ。……行っと?」(酒の席で大佐と大将くっつけ大作戦でも話すのもいいな。そんな風に思いながら、篠はまた竹を割ったようにさっぱりした笑顔を浮かべるのだった。―――実を言うと彼女がとんでもない酒豪である事は、まだ彼も知らない事であった。はてさて、どうなるのやら―――。)〆【松竹梅に鬼が笑う】 (1/13 02:51:19)