鬼若&明松&篠
波乱の幕開け大和守/鬼若 > (太陽は既に頂へ登り、軍の者も休憩をとっている者が多い。普段ならばそれに乗じて休む事などしないのだが、今日は気が変わったのだろうか。少し外の方にでも赴こうかと本部から一歩、足を踏み出し。視界に入ったーー何か怪しげな雰囲気を漂わせる小さな店を見つけ、一体何だと近づいて行く。)「……"ふぉーちゅんくっきー"?」(とまぁ、怪しいと決めてかかっていたせいでその単語に首を傾げ。だが、どうやら此に惹かれてやって来た者も居るようで。それを見ては特に怪しいと言うわけでもない普通の店かと仮定する。成る程、ふぉーちゅんくっきーとやらは過去に一度のみ食べた事がある。本当に昔、10年ほど前の話だが。身内ーーと呼んで良いのかは分からないが、ある女性と共に色々な場所を歩いていた時。ほんの気紛れでそれを貰い、楽しんだ事がある。懐かしいな、だなんて物思いに耽れば、どうせなら買ってみるかという思考に至る。代金を払い、一つの菓子を購入すれば店の脇に移動し、じっとその菓子を見つめていた。先述の通り、何せ最後に見たのは10年以上前だ。独特の形状をしているなと、どこか興味深そうにそれを観察していたのだった。) (1/10 23:25:06)
シロー/明松 > (昼下がりの榮郷本部基地。軍人食堂で腹いっぱい饂飩を啜った後。仲の良い同僚が揃って居ないものだから、手持ち無沙汰に空いた時間を潰そうと何気なしに出てきた明松を出迎えたのは、よく分からない露店であった。よく見ればヨズア人のようで、ヨズア人じゃないにしろ、こんな所で露店を開くとは勇気があるなあ。と感心して近付いて行ったが、気付かぬうちに『物珍しさに近づいてくるだろう』という露店の主の思惑に嵌っているとは気付けないのであった。)「すっげえ懐かしいな⋯⋯」(近付いて行けば甘い香り。どれと覗けば売られていたのは焼き菓子で。すぐに思い至った懐かしいソレに思わず漏らしてしまった。小銭と引き換えに一切れのクッキーを受け取ると、中身見たさにすぐ様一口齧りながら横に掃け⋯⋯そこで同僚の姿に気づいたのだった。) (1/11 00:00:04)
シロー/明松 > 「あ、篠さんやん、篠さん中身見とらんの?まだ⋯⋯あっ大佐!お疲れ様です、大佐もですか」(知り合いに話し掛けた所ですぐ目の前の大佐に気付く。何だか無駄な時間を過ごしている瞬間を見られているような気がして、咄嗟に謝罪が喉から出てきそうになったのを齧ったクッキーと一緒に飲み込んで、上官に軽い会釈と挨拶をしておいて。顔を覗かせた中身を二人の前で引っ張り出しながら、どれどれ、と見て、あからさまに嫌そうな顔をするのだった。)「うわ⋯」 (1/11 00:00:06)
マリア/篠 > (ばりばりむしゃむしゃと音を立てて、焼き菓子を食べる女兵士がそこに居た。同僚に声をかけられて顔を向けるが、口いっぱいに詰め込まれたもので満足に返事ができずに、喉の奥を「ん?」と鳴らして「おお!」とばかりに片手を上げ、うんうんと頷いた。次の瞬間、大佐という言葉に思わず目を見開いて、そちらへばっと顔を向ける。焼き菓子に夢中になっておりまさか上官の姿に気づかなかっただなんて、悟られたら大変だと急いで遅ればせながら敬礼をする。……しかしまぁ、その大佐もこんなところで焼き菓子を手にしているのだから、然程肩肘ははらなくても大丈夫だろうか。まだもぐもぐと頬を動かし、ごっくんと飲み込んだところでようやく言葉を発した。)「……これは、鬼若大佐!おやっとさ……じゃないや、お疲れ様です!」(尊敬する上官を前にして少し慌てたのか、篠は矢継ぎ早に話題を繋げようと明松の手元を見、ぶはっと息を漏らして笑った。)「……明松さん、まこちか!新年早々災難ですねー。私で良かったや手伝うちゃりますよ、はは。」 (1/11 00:27:23)
マリア/篠 > (同僚の肩に気さくに手を置き、ひょいっと紙を奪い取るとひらひらと翳してそれを上司に見せつける。)「見たもんせよ大佐さん、あはは!明松さん色男じゃっで、おなごん子ん格好も似合いそうじゃ、そう思いませんか。」(その紙には、今日一日を女装して過ごせと書いてあった。はて、そういう自分はどうだったかと、半分ほどになった菓子の中にぴょこりとはみ出ている紙を空いている手でするすると引っ張り出した。目を通したその瞬間)「……っどわぁあ!!」(声を上げて明松の肩から手を話し、ずざざーと後ずさりをした。そこには、異性に触れるなと書いてあったのだった。)「……あー、っと……で、でも着せ替ゆにも服を脱がんななりもせんで、男ん大佐の方が良かかもです!明松さんもげんな…ええと、恥ずかしいかも知れもせんで、ねえ?」(と、前言を撤回すると同時に上司に同僚の世話役を押し付けて、お前はどうだったと言われる前にすぐさま上司に切り返してみせた。)「ああ!大佐はどげんでしたか?」 (1/11 00:27:28)
大和守/鬼若 > 「ああ」(同じく菓子を買った様子の部下に短く返答を。二人の様子を眺めつつ、己の菓子を一口食み。)「ハッ、良いではないか。ほんの余興程度にはなるであろう」(何と、新年早々女装をする事になるとは不運だ。紙に書かれた文字と篠の言葉を聞き、鼻で笑えばからかうかのような笑みを浮かべて。)「は? 待て、何故余がやらねばならぬ。貴様らの面倒を見る気は更々無いのだが。そも、女の装束について余は知らぬ。貴様がやれば良い」(世話役を押し付けられれば眉を潜め嫌々と首を振り、篠に返そうと。紙を見た彼女の反応、何が書かれていたのかと気になったが、彼女の問いによって阻まれる。)「余は……言わぬ。何故言わねばならぬのだ」(紙を取りだし、中身を見て思わず舌打ちをしてしまう。面倒だ。一日異性に触れてはならぬ、それも他人に教えてはいけないと。誰が教えるものかと手をひらひらと振り否を示す。面倒なものを引き当ててしまったものだ。だが、これも楽しみだろう。実際、本当に少しだけではあるのだが。こうして部下達と言葉を交わらせる事に楽しさを覚えていたのだから。これも悪くはないと、そう思ってしまった。まぁ、世話役を引き受ける気は一切ないが。) (1/11 00:57:45)
シロー/明松 > 「ちょ、おい篠さん!⋯⋯何言っとんやって、俺だぞ?似合わんに決まっとるやんか。⋯でもまあやるなら⋯篠さんに頼むしかないわな⋯。」(相変わらず食べるのが好きらしい。美味しそうに食べるから好きだけど、これを見られたくはなかった。顔に出ていたのか、狙ったかのように御籤を掠め取られて思わず声を上げたが、時すでに遅し。女装姿が似合うと言われるのは少し不満であって、僅かに眉を顰めてから似合わないと一蹴した。だが、そうは言ったものの、放っておく事は出来なかった。ならせめて事情を知っている篠さんに頼むしかないだろう、と肩に手を乗せた篠の方に顔を寄せ、中身を覗こうとした時であった。大きな声を上げて離れるものだから驚いてしまって、自分もえっ?と声に出してしまった。訝しげな視線で首の裏を擦りながら、大佐と篠を交互に見た。) (1/11 01:13:44)
シロー/明松 > 「何を別に、そん位恥ずかしくはねえけど、ほら、大佐巻き込んじゃあ悪いやろ⋯⋯すいません大佐!⋯⋯頼む、篠さん、せめて恥ずかしくないようにしてくれん?」(こんな事に嫌がる大佐を巻き込んだら後が怖い。まだ篠さんに頼んだ方がいいに決まっていること位篠さんも思うはずだろうに。恥ずかしいかと言われるから、二つ返事で恥ずかしくない!と口にすると、大佐にすみません!と一言謝って、篠の方へと近寄った。 (1/11 01:13:46)
マリア/篠 > 「……はっ…!明松さんだめ!」(明松が近寄ってくるぶんだけ後ずさりをし、距離を取る。もし異性に触れられたら、恋愛において波乱の一年になる!?『私はお嫁さんにならないけんのに!』とささやかな将来の夢を思えば、身を固くして彼が歩み寄ろうとするのを拒んだ。)「た、大佐……そんなー。」(追い打ちを掛けるようにそっけなくあしらう上官の言葉と、巻き込んだらいけないという同輩の言葉を聞き、篠はぐぅと音を上げて押し黙る他無かった。はて、しかし。『言わない』はもしかすれば『言えない』ではないだろうか?篠は一つの仮説を立て、鬼若にカマをかけてみた。)「……解りました、すいません。ところで大佐、先程大将がですね、仕事が多うて困っちゆちょったような気がすっですけど、私達行った方がよかですかね?……じゃっど、私達んごた雑兵なんかが役に立つとは思えんしなぁ。どげんかしようかぁ……。」(ちらっちらっとあざとく目配せを送り、言葉に含みを持たせる。鬼若大佐の白梅様崇拝は帝国軍じゃ有名な話。知らぬは本人ばかりなり、である。これで大佐が行かないのならば、自分の仮説を信じてもいいような気がする。) (1/11 01:33:14)
大和守/鬼若 > (巻き込んではいけないと篠をたしなめる明松の言葉にそうだそうだと頷く。篠の哀れな声にもつんとそっぽを向いてしまえば自分は知らぬ存ぜぬを貫こうと。だが、次の彼女の言葉でそれを貫き続ける事は不可能となってしまう。)「…………白梅様がか? 」(篠の口から語られた、大将ーー白梅の話。鬼若が崇拝し心酔している人物であり、そんな人物が困っているとなれば行く以外の選択肢は本来ない。無い、筈なのだが。忌々しい事に、異性に触れてはいけないとのお達しが来ている。彼女は異性だ、手伝いとなれば少なからず接触の機会がある。)「……ッ……いや、ぐ、……う、うぅ、……」(額に手を当て、唸り声を溢しながら鬼若は葛藤する。今すぐにでも彼女を手伝いたい。だが、破れば恋愛において波乱な人生を……全く困り果て、果て。果てに彼は「………………後に余が向かう。貴様らは気にせずとも良い」と、まるで絞り出したかのような苦し気な声でそう結論を出した。行かないとの結論を出し、それで彼らが行くのも……嫌だ。故の結論。これまでで一番とも言える葛藤だったものだから、鬼若はまるで激戦を繰り広げてきたかのような疲労に満ちた表情を浮かべていたのだった。) (1/11 01:50:49)
シロー/明松 > 「えっ⋯。頼むよ篠さん、俺が頼める人は篠さんくらいなんだ。」(近付いたら後退りして、普段ならこんな事ない筈なのに。本気で嫌がるものだから、僅かに困惑の声を上げてしまった。自分がこの一瞬のうちに何かやったとは思えないし⋯⋯段々と繋がってきた。さては御籤に何かあるな?と思い至った。)「珍しいですね、大佐はいつも大将が困ってたらすぐに向かってますよね、何かあったんですか?」(俺も御籤をひったくられたままなんだ。こうなったら篠さんの御籤も見てやろう。歯切れ悪いし、必ず何かある。話題逸らしか大佐に話し掛けた篠の会話に乗っかって、さりげなく篠の横に回り込むように移動すると、大佐と自分で篠を挟むように位置取りして。御籤を覗いてやろうと方に向かって手を伸ばした。)「見せてみ篠さん!絶対なんかあるだろ」(反応した篠が大佐の方に移動して、結局全員が触れ合うこととなった。そのまま篠の肩を掴んで覗いて、御籤を覗き見た。)「えーっと、なになに⋯⋯?⋯⋯あ」 (1/11 02:12:59)
マリア/篠 > (額に手を当ててうめき声を上げる鬼若を見て、篠はほぼ確信した。)(『大佐のおみくじは、私と同じなんじゃ……!!』)(らしくない姿を見て、ちょっとかわいらしいなんて口元を緩ませるのに耐え忍びつつ、大将をダシにした事がばれたらちょっとまずいかな、と両の掌を見せて鬼若を静止しようとする。)「……あッ、すいません、大佐。もしかしたら私ん勘違いで、大将じゃあらせんかも。」(その後に続く言葉を考えているうちに、少し歯切れの悪い沈黙が流れる。この後はどうすればいいのか、考えてなかった。沈黙を破ったのは明松であった。)「……へ?」(『見せてみ』と言われると、大佐に気をとられていたせいかあっけなく彼の手が肩に触れた。そしてなし崩しに大佐のほうへよろめき、自分も大佐に触れた。)「あ」(篠の御籤に書かれていた文言を、おそらくは全員が目にしたであろうか。彼女は数秒凍りついたように活動を停止した後、明松のほうをきっと向いてぷるぷると震えた。 (1/11 02:47:56)
マリア/篠 > )「………何いしちょっと、明松さんの、ばか!んもおお、せがらしか!どげん責任とってくれっと!?私がお嫁に行けんかったや明松さんのせいど!!」(勢いのまま、上司の肘のあたりをつんとつまんで、啖呵を切った。)「私と大佐まとめてお嫁に貰うてくるんやろうね!」(こうなれば自棄である。上官を巻き込んで怒らせる事が目的というよりは、彼の怒りの矛先も目の前の同輩に向いてくれという少しばかりの打算もありながら、篠はそう口にしたのだった。) (1/11 02:47:57)
大和守/鬼若. > (明松の問いに「あー」だの「えっと」だの、要領を得ない言葉達を口にしていたものの、「……貴様は気にせんで良い」と適当な返事を返し、それ以降は何も返事をせぬよう鬼若は視線を逸らしてしまう。続いて篠のその言葉に「そうか。なら良い」と先程までの葛藤は何処へ捨てたのやら、すんと何時もの表情へ戻り、何処か気不味い雰囲気に鬼若は首を傾げ。)「ちょ、貴様ッ…………、は?」(篠の御籤を覗き込もうとした明松の動きのせいで篠、彼女に触れる。触れてしまう。さぁ、此処でもう一度先程の内容をしよう。【内容を話してはいけない】。……そして。【今日一日、指一本異性に触れてはならない】──それを、破った。破ってしまったのだ。嗚呼、嗚呼。己が、あの方に即座に会いに行くか。それと天秤に掛けてまで葛藤したものを、此奴は。)「……貴様…………お、前……ッ……!!!」(──全て、ぶち壊しやがったのだ。)「……おッま、……あーー!!! てめぇふざけるなよ!! ああもういいよ言ってやるよクソッ!! 俺もこいつと同じ奴だったんだよ此処まで言えば分かるよな!? 白梅様の為に考えた時間は何なんだったんだよ俺の時間を返せ!! そして詫びろ!!」 (1/11 03:11:31)
大和守/鬼若. > (嗚呼不思議なものだ。あの御方に憧れ、口調を変えて、一人称を変えて。それが染み込んでいたと思っていたのだが、やはりこんな時にまでそれを保ち続けるのは難しかった様だ。仮面というには深く染み込んでいたものが剥がれ、素──と呼ぶべきものが現れている。この彼を知る人物はこの軍には居ない。これが初めてのお披露目となるだろうか。)「──こいつの言う通りだ!!! どうしてくれるってんだよ責任取れよ!! こちとら白梅様がいりゃそれでいーんだよ!! 波乱? んだよそれそんなもんいらねーんだ!! あぁあ~~~~クソがッ!! 迂闊な行動すんじゃねぇよ本当に!!」(彼女の打算通り、鬼若の怒りは同じ場所へと向かっている。彼の性質をご存知だろうか。超がつく程の一途である。そんな彼が恋愛について波乱な一年を約束されれば……果たしてどうなるか。それがこの現状である。明松を指差し、怒りの丈をぶちまける。がしがしと頭を掻き、一層目付きの悪くなった瞳で明松を視界に入れる。用心せよ、今の彼は文字通りの鬼である。) (1/11 03:11:48)
シロー/明松 > 「⋯ごめん!すまん。篠さんが変に俺の事避けるからさ、やけどこんなんやと思わんくって。責任は⋯」(その事を話してもいけない⋯。そういう事か、と思った時にはもう全てが終わっていたのだった。俺も御籤に必死だったんだ、篠さんも相当本気だったに違いない。悪いことしたが流石に、と思って肩に置いた手をそっと離した。)「篠さんはいいけど、大佐は⋯⋯⋯⋯」(心と口が直結しがちな明松は、お嫁という単語を聞いて深く考えずにまず、大佐は男だからという理由でゆっくりと篠から大佐へと視線を逸らし⋯⋯目を見開いて絶句した。今更ながらに『お嫁に貰う、か』と考え始めた事も全て吹き飛んだのであった。) (1/11 03:35:50)
シロー/明松 > 「⋯⋯」(癖で奥歯を噛み締めながら大佐を見つめた。『あぁ⋯⋯これ最っっっ悪だな⋯⋯』これは不味い流れだ、と頭の中で理解しながら、表情を歪ませた。直後吹き荒ぶ怒声を受けて、明松は悩みに悩んだ。『大佐は篠さんと同じ御籤』『俺が篠さんを押して巻き込んだから』『こんなに怒らんでも⋯⋯』『どうなるんだ⋯』『とりあえず謝るしかないよな』『クソっ!』色々悩んでいた筈なのだが、結局最善を見付けるなんてことは出来ず、直感で動いてしまうのもまた明松という男であった)「──っ、すいません!!分かんなかったんです!俺も御籤は諦めるので勘弁してください!白梅大将との事は俺協力しますから!!」(片目を閉じるように歪めて息を吸い込むと、感情のままに言葉を連ねて頭を下げる。ちらり、と篠さんに視線をやると、『篠さんもすまんけど頼む』と呟いて、何とかこの場を乗り切ろうとする明松であった。波乱の幕開けだわ、凶兆とやらには見つかるわ、御籤通りの結果だがや⋯⋯。【波乱の幕開け】 (1/11 03:35:53)