夕霧&竜灯

宵に燻ったモノタチ

λ/夕霧 > (戦は、激化の一途を辿る。)(新しい敵国騎士軍の団長とやらの戦運びは、恰も兵が背水の陣の如く、決死の覚悟で進軍を図る。)(いよいよお勘定を願う魂胆らしい。イモータルの一件も解決せぬままに、人々はまたもや互いに血を流す道に戻ってしまった。)(────────────────)(帝都榮郷中心部、尊華帝國軍榮郷本部基地及び魔術砦某所。)(非常に厳しい戦線の維持を強いられている本部は、お天道様が陰ろうが照ろうが雨粒降ろうが沈もうが、連日騒ぎのように次の一手、さては防衛の手筈を整えていた。)(────今は何もかもが足りていなかったのだ。金も、余裕も、資材も、流す血も、命も。1度王国が一手を打てば、その度に帝國は打撃を受けている。)(戦線は日々塗り替えられ、前線は宛ら天の沙汰すら見放された惨状だと言う。)(本部は、何時時も怒号のような作戦会議と煙草の匂いやな満ちていた。)   (1/6 00:27:23)
λ/夕霧 > 「はぁあ。」   (1/6 00:27:46)
λ/夕霧 > 「─────全く、 堪忍しておくんなまし。」「ほんと、奴さん好かねえ事しなんすえ……」(そこは、帝都の立派な街並みを一望できた窗。そこからは、まだ寒い外気のじっとりとした空気が入り込み、そこに寄りかかるようにして、1人孤独気に煙管の紫煙を吹かす女性がいた。外は夜だった。帝都の明るさのせいで星は望めない暗闇ばかりが、帝都に重くのしかかるようだったが、その女性の双眸は、その暗闇の更に暗かった。)「(今が好機と見て、漬け込んでいるのかしりんせんけども、わっちたちにゃ急所も急所────)怖いことおっせぇす…………」「───ほんと。」(ぷすうー。)(吐き出した紫煙は直ぐに消える。)(煙管をとんとんと、窓の外に吸殻を落とせば、ぼんやりと夜の帝都を俯瞰していただろうか。)   (1/6 00:28:43)


シロー/竜灯 > (臥平が陥落して数日後の夜。落陽、糸依との軍会を終えた竜灯は、来たる翌日に備え、兵を集めて、と奔走していた。準備を整えれば夜も遅くなっており、すっかり日の暮れてしまった街並みが窓から見えるのを眺めながら、本部の廊下を歩いていた。)「おぉ、少佐。遅れましたが臥平より帰投しましたちや。」(と、差し掛かった所で、窓から煙管をふかす女性に足を止めると、あぁこの人は、と思い立ったらしく。額に手を当てて軽く敬礼をこなしては、遠慮も知らずに隣の窓を開けると、両手を窓の棧に預けて街並みを同じように眺めてみた。夜風が冷たく前髪を揺らされ、冷たさに瞳を細める。)「無礼を承知で聞きますけんど、上は中々腰が重いと聞きましたが、少佐もそっち側の方ですか?何やら憂い気に見えましたき⋯⋯どうですかの?このまま慎重穏便に行った方が良いと思っちょるんですか?少佐は。」(と名乗る男の首からは、臥平戦で負った傷を隠すように包帯が覗いており。臥平で騎士団長との一騎打ちで手傷を負わせ、その後配送した兵だと貴女は知らないかもしれないが。ちらりと視線を向けて聞いてみた。   (1/6 00:49:51)


λ/夕霧 > 「ん」「ああ、あー。」(その時、その男の顔を見た。特徴的な顔だ。精悍な男、少々品性下劣な節々も見て取れるが、何よりその顔と合致する名前が思い出せなかった。)「───ご苦労さまでありんす。手傷は平気なんざんす?」「その命、良く持って帰ったでありんすえ。」(おあつらえ向きな様式美でその場を乗り切ることにした。人覚えの大層な悪さを持っている夕霧にとって、このようにお茶を濁して、敬礼すれば大抵何とかなった経験がある。)(続け様に男は、上官の前だとしても、まるで普段通りのように振る舞い始めた。断りもせずに窓は開けるわ、隣に来るわ。)(これくらいの不束者ならばと思い想起すれば、段々と忘却が蘇る。竜灯、という字だったかな。)(とは言えかすれがかった覚束無い記憶だけども、記憶に拠れば確かにこのような男だった。灯りのような男だった。)「藪から棒な話をおっせえす。」   (1/6 01:33:23)
λ/夕霧 > 「………………。」   (1/6 01:33:49)
λ/夕霧 > (その質問を受けて、少しだけ考えるように、手に持つ煙管を眺めるように視線を落とすと。)「作戦畑の文鎮腰の事をいうておりゃれるんでありんすか?」「思い切ったことをいいなすんな。わっちでなきゃ、その首と胴、おさればえしなんすえ?」(どろり、その端麗な顔のパーツが溶けるかのように、妖しい笑みを湛えた。煙管を指すように貴方の首へと向け、それをゆっくりと横になぞるジェスチャーをした。)「けど、それは図星の証拠。主さんが言いなすった通り。」「近日の戦線は目立つ敗戦がありんす上に、王国の攻め手は馬地の太陽のごとし。」「主さんも手酷くやられているでありんす。」「もし攻めようにも、その剣をどこに向けるかで決めあぐねている真っ最中。」「兵の主さんから見れば、そう見られても格好つきんせん。」(とは言えども、攻めあぐねてばかりも居られない。そして、それは夕霧の性にも無性に合わなかった。)   (1/6 01:34:17)
λ/夕霧 > 「兵、竜灯さん─────」   (1/6 01:34:48)
λ/夕霧 > 「わっちはなぁ……………それじゃあ、いけませんと思うのでありんすえ。」「それじゃあ、どうも、わっちはつまらん。煮え切らん、と。」(──────)(煙管を吹く)「─────逆に聞きんすが、」「主はどう考えてるでありんすか?」   (1/6 01:35:12)


シロー/竜灯 > ゆっくりと、言葉の節々が煙のように溶けるお人。尊華人らしい⋯⋯と言うよりは、ちょろっと金がある時に遊郭に向かうた時を思い出す。郭言葉が染み付いたお人だ、でもそれを口に出したのならば⋯⋯)「⋯⋯こりゃあすみません、けんども俺は、王国の騎士団長を一騎討ちで屠った一兵卒でありますちや」(この様に、この仕草の様に首が飛ぶか、僻地に飛ぶかの二つに一つなんだろう。喉元まで出かけた言葉を飲み込むと、顔を上に向けて、喉仏を見せながら己の武功を自信満々に語った。臥平は落とされてしまったし、首を伸ばしきっているせいで声がくぐもってはいるが、少なくともその表情は自信に溢れているようだった。耳心地の良い滑り込むような言葉を一言一句聴きながら、煙管が戻されるとゆっくりと顔を戻し。窓から空を一瞥して呟いた。)「そがな事、決まってるおるじゃあありませんか、少佐。俺らは兵ぜ、尊華の男です。皆々武功と、浮き足立っちょる位が丁度ええのです、少佐の思っちょる通り。」(にい、と笑うと。巻かれた首元の包帯に人差し指を引っ掛け、浮かせてその裏の肌を覗かせた。そこには先の戦で受けた、雷の走った樹状の痕が残っていた。)   (1/6 02:15:14)
シロー/竜灯 > 「明日には、落陽大尉と共に臥平を攻め落とし、返す刃で阿岸をも奪還せしめちゃります。大尉は少佐の言う文鎮腰を憂いておりました。⋯⋯誇りと名誉と生き様に生きちょるのが軍人です、少佐も、成り上がるには名誉が必要だった、違いますかの?」(幾ら貴族でも、佐官となればきっと名誉が必要な筈だ。じぃ、と見つめる竜灯の目は、「攻めましょう」と語っていた。)「このまま上が変わってくれんと、下がこの、勇めて勇めて溢れんばかりの行き場所がないですちゃ。」   (1/6 02:15:29)


λ/夕霧 > 「ほお………? 」(それは、なんとも。)「それは、それは。大儀な手柄でありんす。」(その正しく武勇伝を耳にし、興味が湧いたよう。自慢げに語る男に、珍しく夕霧は、その黒真珠のような艶髪を揺らして、底なしの沼のような眼球をそちらに向けた。男の言葉には、確かに自信が満ち溢れているし、上官である自分にわざわざ危険な橋を渡ってまで武勇伝をでっち上げないだろう。恐らく真実らしい、その大した戦果を上げていた男に、ふつ、ふつふつと心臓が興味に沸き立つのを感じていた。)(しかし、とは言えこの性格故に、彼は評価を正しく下されないのだろう。もう少し出るとこ引っ込めば、もしや今の立場は逆だったかもしれない。健康尊華男児の手本のような男だった。)(男は、歯を見せて笑った。当たり前の事を言うように、そう言い、夕霧の言葉に満足したように。)   (1/6 02:56:57)
λ/夕霧 > 「────さて、わっちの滝登りは如何様な旅路でありんしたことやら。」「それは、わっちからは何とも………………主の豊富な想像力に任せんす。」(そう言って笑う唇は、嫌に艶やかさが乗せていた。名誉、確かにあったかもしれない。けど、一番はきっと────)(艶めかしい記憶ばかりが蘇って、ああ度し難い度し難い─────)(攻める。攻めるしかない。男の燃え盛る目がそう雄弁として訴えていた。その熱気に充てられ、興が乗ったように、持たれていた壁から離れる。)(その髪と、赤い着物を翻し、夜風に舞い、花が咲く花弁を思わせるようにくるりと回って)「あーいけないいけない。」「滾って漲っておりゃれるざんす。はあ、これは、ほんと」(そしてまた、どろり。湿って、粘性を持つ言葉に、それに似た魔力が宿って一層─────)「わっちの体ぁ、火照ってきんした………。」(ドロドロして、おどろどろしい。)   (1/6 02:57:28)
λ/夕霧 > 「ようざんす。安心しておくんなし。」「舞台は整えてありんすえ。」「とは言ってみたものの、上手く事が運べばのお話でありんすが……………近日中。お楽しみができる、それらしゅう物が控えてる、かもしれないでありんす。」「期待は大。」「楽しいでありんしょう─────?」(そうしてくるりと回れば、そのままその場から去るだろうか。あなたに、飛びっきりの蜜を最後に垂らして。)「それまで、その傷は満足にしておいてくんなんし。」「────おさればえ。」(そうして、彼の名前は覚えておこうと。)(もう忘れることもないだろう。あの一兵卒の顔も名前も在り方も。そしてその熱も。)〆【宵に燻ったモノタチ】   (1/6 02:59:21)