ヨハン&ギゼム
初陣前夜マリア/ヨハン > (尊華帝国アガン。今日の宿はどこにしようかとヨハンは街中をとぼとぼと歩いていた。引きずるような足取りは声をかけてくれと言わんばかりに緩慢で、顔は無防備に上をむいていた。)「……仕事……探さなくっちゃなァ……けどま、仕方ねぇか……今日は。さすがに冬の野宿は無理があるぜ。」(すると、きちんと前を見ていなかったからか、前から歩いてきた人物とぶつかってしまう。)「……うわわっ…!?と……悪ィ、……大丈夫か?おっさん。」 (1/4 21:33:43)
シロー/ギゼム > (年季の入ったのローブに身を包んだギゼムは、辺りをちらちらと見ながら獲物を探していた。だが今日は運がいい。第六感で向かう前に、視覚で分かるカモを見つけられたのだから。髭の下で口元を緩めると、ゆっくりと足取りを変え、忙しなく周囲を見渡しながら歩くヨハンへと向かっていき、ドン、とぶつかった。)「⋯⋯おっとっと⋯⋯いいや、大丈夫ですよお⋯⋯⋯ん?⋯⋯ンンッ?」(態とらしくよろめくと、背中を曲げて、手を上げて返す。優しげに応対したギゼムだが、貴方の顔を見ると態とらしく目をぱちくり、と瞬かせ。顎に手を当てると、その顔を覗き込んだ。)「お前さん⋯⋯⋯自分で分かりますかい?⋯⋯ムムっ⋯⋯これは、これはこれは⋯⋯」(背筋を伸ばして貴方の背後を見たり、背後に手を伸ばして、また引っ込めてみたり、懐から小さな水晶⋯⋯に見える硝子玉を取り出して、掌に乗せて、覗いて見たり。緩急をつけて、ゆっくりとした動作で水晶から目を離すと、優しげな表情で肩を叩いた。)「お前さん、良い所の出ではあるが⋯⋯さぞや苦労している、違いますかの?」 (1/4 21:47:18)
マリア/ヨハン > (わざとらしくよろめいた男を、きょとんとした顔で見つめ返す。)「…え、おっ?……おおっ?」(彼に合わせて体を動かし、自分の背中を見ようとしてみたり、男のもじゃもじゃの髭に目を向けたり。男がぱちくり、と目を瞬かせると、ヨハンもぱちくり、と答えるのだった。)「……な、なに……なになに?」(引っ掛けるにしても、ずいぶん悠長な動きである。こんな事をしているうちにカモがどこかへ言ってしまうと思わなかったのだろうか。しかしこのヨハンもヨズアの民に飢えていたから、しっかり待ってあげたのだった。)「……な……ッ!?……へ……、わかるか……?……まァな……」(ひとさし指で鼻の下をこすり、まんざらでもなさそうに答える。)「……ま、オレは”旅団”、目指してるからさ……」(と付け足して。) (1/5 19:34:18)
シロー/ギゼム > 「勿論、おじさんは占い師やっておりましてね?だからお前さんに憑いとるのも、ハッキリと見えるんですわあ」(意外と乗り気である。こりゃあ運がいい、とニッコリと髭もじゃの顔を破顔させ。鼻の下を擦る貴方が口にした、いい気になって口にしたのか、一つの言葉に反応して、再び顔を覗き込んだ。)「⋯⋯ほぉ~~~?お前さん、旅団とな⋯⋯ほぉ~~?」(旅団という言葉が何を表して居るのか分からないが、一つ予想がつくものがあった。⋯⋯いい服着た若造が一人。こんな所を彷徨くなんて、と今更ながらな疑問が浮かぶ。取り敢えず、と貴方の背中に手を回し、「お前さん、こっちに着いてきなさい」と背中を軽く押して促し、人気のない場所へと向かいながら聞いてみる。)「良いとこのお前さんが〝旅団〟とは、おじさん応援⋯⋯いやあ〝歓迎〟しちゃうねえ。金では買えないものが欲しくなったのかい?」 (1/5 19:35:11)
マリア/ヨハン > (押されるままにヨハンは裏路地へと導かれる。家出してからのこの約半年は確かにこの男の言う通り辛いものであったが、しかし運が良かった為にそうひどい悪人と会う事もなかった。だから目の前のこの髭もじゃにもさして警戒の念は抱いていなかった。つくづく、甘ったれのお坊ちゃんである。)「……あのさ、さっきから何?早く要件言ってくんないかな?おっちゃん、ヒマなの?」(相手がヨハンでなければとっくに警戒されて逃げられているか殴られているかだろう。この男もどこか抜けてはいるようだった。ある意味、人に警戒心を与えない才能とも言えるだろうが。ともかく、ヨハンにはそれすらもまだ見抜けない。)「見たとこスラムの人?ああでも占い師って言ったっけ……。」(じゃあ、金は持ってるのか…と、あごに手を当てて上目遣いで彼を見つめる。) (1/5 19:35:44)
マリア/ヨハン > 「……あ!わかった、オレ相手に商売しようとしてるんだろ?まぁ、オレが苦労してるってこと解ったくらいだからおっちゃんもモグリじゃないんだろうけどね。あいにくと金はそんなにたくさん持ってないぜ、オレ。――そこで提案なんだけど、あそこの安宿に一緒に泊まらない?困ったモン同志、ね?」(と、角にあるボロ家を指差した。)「オレはヨハン、ここで会ったのもなにかの縁だ。なぁ、行こう行こう!日暮れちまうよ!」 (1/5 19:36:12)
シロー/ギゼム > (忙しないなぁ、ヒマだから君に話しかけたんだよ~。と心の中で呟いたが、何やら一人で考え込んでいる様子。旅団を目指すなんて言うもんだから、予想通りなら商売ついでに勧誘してやろうと思っていたのに、と見つめられて視線を合わせながら)「そうそう、占い師ですからなあ。商売柄、困った人は放っておけない質なのよ。⋯⋯⋯⋯だからお前さんのその提案にも乗ってあげるわ。あ、おじさん魔術師だから字で勘弁してくれえ。ギゼムだよ、よろしくなあ」(まぁ、そりゃあそうか。すぐにギゼムはその言葉の意図を自分の都合の良い様に解釈したらしい。遊び相手と寝床代が浮くならそれで十分。困ったもん同士、良い提案だあ、と感心すると同時に、一晩共にするのならば口調も普段通り気を抜いていこう。と対して気をつけていなかった敬語を綺麗さっぱりとっぱらった。大事な話の為に路地裏に行こうとした所でもあったし、好都合。) (1/5 19:36:27)
シロー/ギゼム > (「行こうかぁ行こうかぁ」と乗り気で連れ立ち、安宿の店主には、「あとで払うから先部屋に通してくれ~、もうへとへとなんですよ~」と上手いこと部屋へと案内されるのであった。)「さ~~~てヨハンちゃん。君はどっちかと言うとツいてるかもしれないよ。見たところ良いとこの子が家出か遊びにでも来る感じかな。そこまでするってことは、金でも買えないものが何かあったんじゃない?違う?」(壁は薄いのかもしれないが、兎に角二人きりになることができた。お世辞にも綺麗とは言えない木の床にどっかり胡座を搔くと、ボロくさいローブを脱ぎさって、ウール生地の白いシャツ一枚になると、その左袖に手を掛けた。)「商売ついでに、これも何かの縁だからさぁ⋯⋯どう?君が求めてたのはこれかい?」(ぐぐぐ、と袖をまくっていけば、そこにはシュクロズアリ旅団の証である刺青があった。 (1/5 19:36:39)
マリア/ヨハン > 「ギゼムね、宜しく!」(ヨハンはギゼムが快く引き受けてくれた事に少し驚いた。占い師をやってるあなたと違って自分には金がない、だから一緒に泊まろう!と言ったのは当然ギゼムに払わせるつもりでいたし、『困ってる人は放っておけない』と言うからにはちゃんと伝わっていないということもなさそうだ。意気揚々と二人肩を並べて安宿に入り、ふーと地面に大の字になる。ここアガンはヨズアの領土となって間もないが、純粋な尊華帝国領土よりもなんとなく気の持ちようが楽だった。旅団様々だ。ずっとこうして暮らせていければ──自分の家族が辛酸を舐めることもなかったろうに。)「え?」(部屋の中に入るなりかけられた言葉にむくりと起き上がる。金で買えないもの…セリヤーナと同じこと言うんだな、このおっちゃんも。ヨハンは胡座をかいて肘をつき、ふむ…と鼻息を漏らした。) (1/5 20:00:11)
マリア/ヨハン > 「……あんたの言う通り、オレの実家はマージ有数の豪商だ。けど、それはオレには関係ないこと。オレは誇りに生きると決めてるんだ。」(この通り、少しつつけば水を得た魚のように話が止まらない。若いヨハンはやっと自分が掴んだ答えをポリシーとばかり誇らしげに語る事を、少し気持ちいいとすら思っていた。が、ギゼムが目の前に座りローブを脱いで腕を捲るとその早口も一瞬だけ、閉口する。)「………あっ!?」(ギゼムが見せる刺青を指さし、ぱちくりと目をしばたたかせた。紛うことなきシュクロズアリ旅団の刺青……やはり神はいるのだ!)「……ギゼムのおっちゃん、旅団なのか!?……なあ、オレも旅団に入れてよ!!」(両手を床にどんっ、とついて前のめりになり、ヨハンは唾を飛ばした。) (1/5 20:00:23)
シロー/ギゼム > (「あっ!?」と声高に、分かりやすく目を瞬かせるのを見て大当たりだなぁ、と笑いそうになる。髭の下で口をにい、と、胡散臭い瞳を細めながら、我慢出来ずに表情を緩ませる。入れ食い状態で、床に手を着いて四つん這いになり詰め寄るヨハン。ゆっくりと袖を戻しながら心底気持ちよさそうに「待て待てヨハンちゃん」と制止すると、髭を親指と人差し指で擦りながら見つめた。)「旅団に入れてよぉと頼んで入るもんじゃあ無いのよ旅団は。ヨハンちゃん、戦争だよ?豪商出のお前さんが、軽い気持ちで入るもんじゃないのよ、まぁ怒らずに怒らずに」(豪商の坊ちゃんがそこまでして旅団に入りたい理由、覚悟の程、知っている訳では無いが⋯⋯まぁ、一度この墨を入れたなら後戻りは出来ないんだ。後から泣きつかれても知ったことでは無いが、けれど嫌いじゃあない。馬鹿にされたかと激昂する前に一度窘めておいて、ギゼムはベルトに下げられたナイフを抜いて、ヨハンに見せつけた。) (1/5 20:28:45)
シロー/ギゼム > 「俺は自分でこの墨を彫ったよ。これから戦争に行く覚悟があるなら、自分でタトゥーを彫る事くらいは出来るんじゃない?でも、ヨハンちゃん不器用そうだしなあ⋯⋯それか、そうだなぁ⋯⋯これならどう?」(ナイフをくるり、と回して鞘に戻すと、ローブ共に放り出した巾着から地図を取り出して床に広げた。自分達のいるアガンを指差す。)「アガン、ホーリア以外の土地、この一つを落として見せたら、俺がヨハンちゃんに墨を彫ったげるよ。勿論、タダとは言わないけど、リントの砦になら金目のものがたーんとあるだろうしさぁ。旅団に入るってのはそういうことよー、ヨハンちゃん」(地図から顔を上げ、ヨハンに視線を向けると、どうよ?と言いたげに笑った。 (1/5 20:28:47)
マリア/ヨハン > 「戦争……」(ギゼムから受けとった言葉を自分の中で反芻し、目を閉じる。そうだ、戦争なんだ。……だけど、“ヨズアの民の戦い“は自分が生まれるずっと前から始まっている。自分の意思で、それに白旗を揚げた覚えはない。旅に出ることでようやく遅まきながらそれを知らされたのだから、ヨハンに突きつけられた選択肢は『参戦するか、しないか』ではない。『逃げるか、逃げないか』だ。)「……わかってる。」(ギゼムが広げた地図の上、アガンを指す指が開かれると、彼の手の甲の上に自分の手のひらを、決起の如く重ねた。)「オレの先祖は奴隷から成り上がったんだ。オレだってやってやらぁ!……手に入れるためには勝つ、勝者が正義だ。……リントに行くよ、ザルツベルグの名にかけて。」 (1/5 20:42:35)
マリア/ヨハン > (ぎらぎらと輝く赤い瞳は、敗北を知らない若者のそれであった。それにリントに行けば、もしかすればセリヤーナに会えるかもしれない。ここまで焚き付けられて、もはやヨハンには乗らない理由がなかった。)「今夜の出会いを神に感謝するよ。オレはアンタと出会うために旅をしてきたんだな。……あんたはどうする、ギゼム。」 (1/5 20:42:47)
シロー/ギゼム > (手が重ねられた。旅団員にしてはまだまだ綺麗な手だが、合わせた顔は負けを知らない戦士の顔をしていた。旅団なんてものはこうでなくては務まらない。長年生きていても中々聞けない決意と覚悟の声に口笛でも吹きたい気分であったが、それを頬を緩ませることで表した。)「ヨハンちゃんの祖霊さんも見てるだろうなぁ、良いじゃない!良いよ。」(ギゼムは迷っていた。最近アガンが一度帝國の攻勢を受けたことは、スラムのヨズア人から耳にしているし、快く戦士を送り出すのが筋ではあると思ったのだが。リントの宝を持ち逃げされるとは思っていないが、早ければ自分も楽になるし、自分が出向かないのは何か癪でもあった。もしヨハンと一緒にリントを落としたのなら、さぞや気分が高揚するだろう。自分の字を呼ぶ声に、空いた手で耳の後ろを掻いた。) (1/5 21:33:05)
シロー/ギゼム > 「アガンね、つい最近帝國から攻勢受けてんのよ、スラムの人から聞いてさあ。まぁ、暫く居ようかと思ってたんだけど⋯⋯気が変わった。ヨハンちゃんの初陣、ギゼムのおっちゃんが見届けてあげるよ。」(こういう子は嫌いじゃない、心打つものはあった。その場の気分というものに身を任せ、重ねられた手を取って握ると、ぽんぽんと肩を叩いた。)「そう持ち上げられると、ヨハンちゃんにも神様にも、情けない所は見せられないね。明日の計画を立てようか、期待してるよヨハン旅団員。」(覚悟を決めたら早い方がいい。計画を立て、眠った二人だが。朝、二人とも金が無い事に気づき。窓から飛び出したのだった。)【初陣前夜】 (1/5 21:33:06)