ギゼム&フィディア

金では買えないもの

シロー/ギゼム > (夕暮れ。王都の路地、ローブの裾を足の下に巻き込んで地べたに座り込み、行く行く人を眺めながらギゼムは重たくなった巾着袋を触って、髭の下で口元をほくほくと緩めさせていた。稼げたなぁ。今日は酒でも飲むか~。⋯⋯これからの事を考え、路銀の足しにするなどという思考はそこにはなかった。目先の楽しみに思いを馳せながら、そろそろ行くかと立ち上がりかけた所で、此方へと向かってくる人物に気付いて、浮かせた腰を下ろした。何となく、言うなれば第六感か。こいつに吹っ掛けよう。と思った。思うが早いか、丁度貴方とすれ違うように歩き出すと、目の前で立ち止まって、その背後を覗き込むようにして道を塞ぐ。)「おっ?おお、お前さん⋯⋯苦労していますなぁ、良くないモノがついておりますよ~?」(両肩を掴んで、わざとらしく片目を細めるのだった。   (1/3 00:18:37)


清瀬/フィディア > (暮れ時、表面上きらびやかな王都は通行人の顔を浮き彫りにする。これが辺境であったならば、故人の言い分も納得できるのだが。街灯がゆくらゆくらとあかりを灯す中、耳元で鈴が鳴る。鳴らし手は、肩に留まった不如帰。それは意図を聞く間も与えず空へ羽ばたき、慌てて追い駆ける。思えばそれも、勘というものか。)「待て、おま……っ!何だよ、いきなりどこかへ行ったと思ったら……」(路地を数本入り程なくして、店の看板に停まった姿を見つけた。右腕に乗せると、キュキュウと甲高く囀ずり首を傾げる。しかし予定が崩れてしまった。行こうか、と僅かに笑むと辺りを見渡す。大通りを目指して幾らか歩いたところで、ローブに身を包んだ男がやってきた。真正面に向かってくる彼を避けようと端へ寄ると鏡真似をしてくる。疑問を持ったその時、チリン、という音の直後に声をかけられた。)「……はぁ。何の用かなおっさん、除霊って奴?」(どうやら逃がすつもりのないらしい両手、見上げてみれば、典型的な似非笑い。絡まれたのが運の尽きか、と大人しく付き合うことにした。)「わかったわかった、何処かへ座ろうか。……で?どんなのが見えるのかな、それとも…感じるわけ?」   (1/3 00:49:27)


シロー/ギゼム > 「そうそう、おじさん占い師やってるの。放っておけなくてさ、君のこと。はいはいこっちね~」(意外と抵抗される事無く、二つ返事でついてくるではないか。良いカモだなぁ、信心深いのはいい事だ~と内心思いながら、ひげもじゃの顔でニヤリと笑って、貴方を先導しながら路地の入口へと案内した。通りから外れた小道の端に座り込むと、座って座って、と地面を掌で勧めながら続ける。)「大抵は感じるんだけどね?君に憑いてるのは相当な悪霊でさぁ、よぉく見えるんだよね、今もすぐそこに居る。フーーーム⋯⋯⋯⋯」(座らせた貴方を、上体を前傾させながら、じーっと真面目な表情で見つめて。色々な角度から態とらしく見つめると、顎に手を当てて貴方の後ろを見ながら聞く。)「お前さん、相当恨まれてるみたいだよ?人でも殺した?⋯⋯こりゃあ、行く先々で不幸に見舞われますなぁ⋯⋯それもとんでもない不幸に。」(人でも殺した?と常套句であるカマかけに始まると、心底困ったように眉を下げる。)「俺なら、払えますけれどねぇ⋯⋯見殺しにはできないなぁ⋯⋯」   (1/3 01:12:02)


清瀬/フィディア > 「はぁ~い。おんってば優しいんだね、ぼく感動しちゃった」(なるべく屈託のない笑顔で話に応じれば、あれよあれよと連れてこられたのは人気のない小路。詐欺相手に媚は売れるだけ売ればいい、欠片ほどしかない道徳心だって一切傷つくことはない。勧められたように胡座をかけば、利き手に槍を握って相棒を横に据えた。)「凄いねぇ、ぼくなんにも見えないや……。なんだか怖いよ……」(本当だったら今すぐにでも、そのふざけた髭をむしりとって言ってやりたい。お前に見えてるのは目先のカモだろうがよ、おっさん。旅をするにはどうも服の装飾が派手過ぎただろうか、見えるとは新手のやり口に内心笑いが止まらなかった。さて表面はというと、柄にもなく瞳を瞬かせて眉をつり下げている。)「そ、そんなことしてないよ! おじさん、もしかして…ぼくのこと揶揄ってるの……?」(彼と同じ方へと視線を向けると、見えるのは相変わらず人気のない道だけ。頭のバンダナをぎゅうっと握ると、今しがた警戒しましたよと言わんばかりにきつく睨んだ。この道化を殴る準備は、さて、いつからするべきか。)   (1/3 01:35:56)


シロー/ギゼム > (おちょくられているのか?と内心思った。急に猫撫で声になるものだから、表情豊かだった表情が一瞬、ぽかんと訝しげな視線に切り替わる。続く言葉のあまりのわざとらしさに、前述の通りだった事を察すると、にこやかに笑ってゆっくり共感するかのように頷いた。)「怖いかい?よしよしお若いの。おじさんが何とかしてあげますからねぇ~」(よしよし、と座った相手の頭を、子供扱いするかのように撫でてやると、大丈夫だよ、と言わんばかりにとんとん、と優しくしてやった。)「そんなことはないですぞ~、しかしお若いの、よく聞きなさいな。お前さんは、近いうちにこのままじゃあ酷い目に会うことになってしまうよ~⋯⋯だから、俺が、お安く救ってあげましょう」(ぴたり、と額で手を止めると、優しげに口角を上げた。)「さぁ、目を閉じるのです。」   (1/3 02:06:28)


清瀬/フィディア > 「……あは、頼もしいやぁ」(一瞬見せた間抜けな表情も、その後に張り付けた己と同じような笑顔も、何もかも期待通りで本当に笑えてしまう。素性も思惑も知らぬ野郎との化かしあい、フィディア本人は少なからずこの状況を楽しんでいた。父親のそれよりも随分と繊細に撫でられた頭も、かけられた優しい言葉も、呼応の結果だと仮定したらそれはもうおかしくて堪らない。一瞬の虚から一転、軽く笑いかける様は一体どう見えているのだろうか。俺もう26なんだけどなぁ、と見て呉の幼さを改めて実感した。幼そうだと舐められて悪いことはない、常人のプライドたるものは生憎どこかに捨ててきた。遠くで阿呆を嘆いたのは烏、光の差さぬ此処は異様に暗く、人から隠されている。)「……わかった。目を瞑ったら、ぼくは何をすればいいかな」(空はこの男を何と言っている?風は何を運んでくる? ──たっぷりとした逡巡の後に、紫の瞳をすうっと細めた。額を突く指はまじない、何から、どうやって救ってくれるというのだろうか。肩に若干の緊張と疑念を残し、視界を暗転させた。)   (1/4 15:36:18)


シロー/ギゼム > (「でしょ~」と軽口を叩いたならば、額に当てた手を軽く動かして、フィディアに優しく笑いかける。)「目を瞑ったら?そしたら、俺の言葉に耳を傾けて。」(そう語り掛けると、目を閉じたのを確認して身動ぎした。すっかりと胡座をかいて、重心を落とすと、髭の下で表情を愉快そうに弛めた。)「おじさんね、魔術師なんだよ。だから、君が想像もつかない奇跡も起こせるのよ。じゃあ、今から、秘密の呪文を唱えますからねー、よく聞いててよ。全神経、耳に集中させて。いきますよー」(ここまではいつもの流れ。そしてここからは、気になる相手にだけ贈るリップサービス。秘密の呪文にどんな反応を示してくれるかな、何も知らなければ、お金を貰えばそれでいい。頭と額に掛けて乗せた手に少しだけ力を込めると、髭もジャの顔を近づけて、耳元で唱えた。)「ダー・ニト・ロロイ・ギゼム。」   (1/4 19:41:29)


シロー/竜灯 > 「どーよ、驚いたでしょ。俺の目も節穴じゃあないねぇ」(手を離すと、お互い見つめあってからニヤリ、と頬を緩めると、立ち上がって巾着袋を背負い直した。)「俺はギゼム。このお代はつけにしておいてあげるよ。これからアガン、機が合ったらリント当たりを攻めるかもなぁ。」(元々今日は稼げたのだ。まぁ同志だと分かった以上無理に集ることはしないでもいいだろう。金は誰からでも幾らでも手に入るが、仲間となるとそうは難しい。大事な同志は繋ぎ止めておく方に価値がある。これからの所在を伝えると共に、これからも関係が続くように、願掛けのつもりでツケだと口にすると。瞳を細めて、不器用にウィンクをして去っていくのだった。)「アガンはヨズア領だからさぁ、居心地良いとおもうよぉ。それまでお互い達者で、気が向いたら会いに来てよ、フィディアちゃん。じゃあな」【金では買えないもの】   (1/9 15:51:27)