フィディア&雷鏡
憩い清瀬/フィディア > 「はぁ……さっむ、凍える………」(冬も本番、その冷気が呼ぶものは嚔すら可愛い代物。空を眺めていたくても、今日は残念なことに曇って機嫌が悪いらしい。耳に提げたイヤリングは外さなければとてもやっていけないし、一瞬の不機嫌に反して気分はいつまでも下り坂。北風に晒された手先と足元が悲鳴をあげ、それでも尚足を止めることなど考えられなかった。指先に掛けるように吐いた息は淡雪のように白く、天へと昇り消えていく。同胞に聞いた情報を頼りに行くはライキョウ、なる青年とやらが切り盛りをする店。逸る思考まで凍てつかせ、その冷たい全てを溶かしてくれる憩いの場まで進んでいく。)「……うん、ここかな」(崩れてしまった前髪を掻き分け、ようやっと着いた目的地をそっと眺める。赤くなった鼻を鳴らし、金の装飾をシャララと鳴らしてドアを押した。特に問題なく開いたその戸の中へ入ると、後ろ手に閉めて内部を見渡す。)「御免くださーい、誰か居ませんかー」(これで誰も出てこないようじゃ無用心にも程がある、と悪態をつきつつ暫し休息。吐いた安堵の息は打って変わって澄んでいた。) (1/2 00:08:25)
グレー/雷鏡 ◆ > いらっしゃいませ!(と、冷える中よく来てくれたお客さんにまずは……)まずはサービスとして猪肉の骨の出汁と、味噌を合わせた猪味噌汁をどうぞ?(と、相手にそれを渡してから……)それで、今日は何の用だ?食事しに来たのならそこのお品書きにあるものを注文してくれ。(と、相手にそう言おうか。周りには薬箱が置いてあったり、置物のサンプルとして天秤座のあしらわれたものもある……また、スーパー干し肉と称した干し肉もあるではないか…) (1/2 00:16:36)
清瀬/フィディア > 「あーどうも。外は寒くてね、来るまでに凍るかと思ったよ。主に足が」(奥から出てきたのは奇妙な…いや、少し変えよう、奇抜で目に悪い髪色の店主らしき男だった。有り難くそのお品を受けとると、背負った槍を少々ずらして椅子に腰掛ける。出されたサービスは今時恐ろしいぐらいに珍しく、到底割に合わないだろう施しよう。きっと客の心を掴んで離さない何かがあるのだろう、でなければ、風の噂でこやつの店が挙がることすらないのだから。)「うーん、そうだな。じゃあ今から決めるから、それまで話相手にでもなってくれよ。此所に訪れる客も多いんだろ? それぐらいわけないと思ったんだが……まぁ、何でもいいけど」(冷たい脹ら脛を重ねて、店内を見渡す。特に心惹かれるものもなく、かといって食事をするような気分でもない。しかし人の居るところでの退屈は、生憎と嫌うところだ。器で手を暖めながら貴方をじっと見つめて、時折ふいと視線を他所へやる。) (1/2 00:32:14)
グレー/雷鏡 ◆ > なるほど。まぁ、話し相手ならなるよ。どの道、これからも何をして暇を潰すかを考えてだところだし、話でもしていれば適当に暇も潰れるだろうしな。(と、研究室から彼は薬箱とたくさんのポーションや薬を持ってくる……それを持ってきた薬箱に入れる……そして、一つ一つ手書きで説明書を書いていく……これが彼が薬を作る際に心がけていることの一つ。一つ一つをあえて手作業で行っていくということだ。そうすることで、確実性と、自分がしっかりと目を通したという保証に繋がるからだ。それを何セットか作っていくと、それを明日渡しに行くからか、1階の自分の机の上に置いておくと……)最近は寒いからか、風邪をひく人が続出してんのよねー……まぁ、俺としては薬が飛ぶように売れていくから、ある意味嬉しい悲鳴にも聞こえるのかもしれんが……(と、今度は丸太を取り出して見せようか……) (1/2 21:55:19)
清瀬/フィディア > 「ふーん」(自分で聞いておいた癖に出たのはそっけない返事。確かにあまり見かけないタイプの人間だから新鮮ではあるだろうな、と期待はそこそこに彼の動きを目で追う。彼のモットーはどうやら、丁寧且つ真心を込めて、といったところか。作業を終えて右往左往すると、彼が出した話題にふぅん、と息を溢す。)「風邪ねぇ…。お前そんなに薬が売れてるなら薬剤研究者にでもなれよ。ご自慢のそれでこの店も成り立ってんだろ?知名度もない中これならきっとどっかがお高く雇ってくれるんじゃないの」 (1/2 22:17:55)
グレー/雷鏡 ◆ > まぁ、そういう訳じゃあないのよ。あくまでも薬売りはせっかく貰った技術を忘れないように何度も使って自分の体に染み込ませることと、こう依頼が来ない時も安定した収入を得るためのものさ。(と、彼はそういった後、2本の丸太に向くと……次の瞬間、彼は丸太の横を通り過ぎて、その後に丸太の一部分が落ちる音がするだろう。そう。彼はこの間に丸太を切り、形を作っていたからだ。その切り口は何度も行ったからか、美しいと形容するほかなかった……そこから彼は絵の具を取り出して着色作業に入る……サンプル品を持ち出して、それを見ながら丁寧に……丁寧に着色していく。この置物は、作ったその時その時によって色合いが微妙に変化するため、完璧にサンプル通りの物が仕上がることはほとんどない。むしろ、若干の色味の変化は付き物だ。しかし、その変化を楽しむ客もいるというのだから驚きだ。) (1/2 22:24:31)
清瀬/フィディア > 「……ふぅん」(バカな奴だなぁ、と彼には関係ない人間ながらに、客観的に思った。己の利益というものを意に介さない人間が一定数居るのはわかっているが、まさかこんなところでお目にかかれるとは思っていなかった、最早有り難さ故に軽い鳥肌が立つ。口に含んだ味噌汁を風味まで無理矢理飲み込んで、コトンと落ちる硬い音に身を乗り出す。見れば手元には様々な着色料、成る程、神は二物は与えていないな。多才というものを一物と置くとは理不尽な。)「あのさ、それ他にもあるの?もっと小さいの」(綺麗に切られたそれをすっと指差し、瞳に先程よりも光を灯して問いかける。) (1/2 22:41:06)
グレー/雷鏡 ◆ > ん?こいつかい?(と、彼はそう問い返した後に……)それなら、今から作れるが、どうする?(と、相手に聞き返して見せようか。そう言いながらも、その片方の作品は完成し、もう片方の着色作業にうつる。実の所、こうやって急に依頼が飛んできても大丈夫なように丸太のストック……それも大きめのものや小さめのものも含めて貯めてあるのだ。)まぁ、作るくらいなら造作もないさ。実際のところ、この作品1つを作るのに30分もかかってないしな。作ろうと思えば俺の集中力が続く限り何個でも作れるぜ?(と、相手に提案する。そう。実際、切り出し、加工の作業を1回の抜刀術でまとめてやってしまっているため、そんなに時間がかからないのだ。) (1/2 22:47:24)
清瀬/フィディア > 「……いや、やっぱいいかな。作ってもらいたい訳じゃないし」(説明を聞きつつ、彩られていく作品をほう、と眺める。確かに形作られていくそれらは素人からしてもとても魅力的で、恍惚の表情を浮かべる輩が居ても可笑しくはないのだろう。ただ自分の為に作られたもの、となると途端に冷めてしまう。最初から巡りあう運命にあるものは美しくない、星屑の数の出逢いに刺激を求めるのだ。匙に乗せた具を食み、スープを飲み干して手袋で口を拭う。)「じゃあそこの、なんか綺麗な瓶の……そう、それ。いくら?あんまり高かったら交換して貰いたいもんがあるんだけど──」(左手にある薬の陳列棚、光を屈折するガラス瓶を手に取ると壁掛けの照明に翳す。中に収まった色の付いた液体がちらちらと眩しく、使うのがなんだか惜しいぐらいだ。幾つか両手で抱えるとテーブルに置き、重ねた上着を肩から直して、こつりと爪音立てる。時と金とを費やしたこの時間は、到底買えるようなものではないだろう。全ての出逢いは必然でありながら稀有、導かれた緣。ダー・ニト・ロロイ──とにもかくにも、この男にも神の加護のあらんことを。)〆【憩い】 (1/2 23:52:22)