トール

雷在る場に影は在る

ゑゐりあん/トール > …っつぅ(右半身を包帯でグルグル巻きし、そこを庇いっつ苦悶の表情を浮かべるトール。少し前に帝國との戦いに勝利し、帰って治療を受けてきたばかりである)っはぁ…。…あの若造が…やるな…ッ(少しばかり息を荒げ、己と戦った竜灯の顔を思い浮かべるトール。流石は騎士団長を下しただけはある。試しにと彼の攻撃をわざと受けてはみたが、やはり強い。彼に手傷を負わせていなければもっとダメージを負っていたかもしれないだろう)「ははっ。自ら受けておいてやるな…とは。百騎長様も随分と面白い。格好を付けようとしたら思いのほか強くて驚いているのが現状でしょうに」(すると、何処からともなく男の声が聞こえた。しかし執務室にはトール以外の人影はいない。ではどこからか?トール以外の人影はなくとも、影ならいくらでもある。つまりはそこからである)…うるせぇ…。まだ居やがったのか…   (1/1 22:52:11)
ゑゐりあん/トール > (その声を聴いたトールは忌々しそうに吐き捨てる。が、影から聞こえる声はお構いなしに愉快そうに言葉を紡ぐ)「いやはや、とにもかくにもまずは勝利おめでとうございます。よかったですねぇ。あなたの大切なものを護ることができて」(文面だけを見れば、それは勝利を褒め称えるものだが、如何せんその声色のせいで小馬鹿にしているようにしか聞こえない。事実そうなのではあるが)うるせぇ…ッ。てめぇに纏わりつかれている以上、こっちは勝つ他ねぇんだよ(そう言ってギリッと歯を食いしばるトール。影の声の主。それはイモータル・リューグナーであった。彼は数日前トールに接触し、彼の命よりも大切な存在である孤児院「エクレ」に住まう子供たちの命を引き換えに、半ば強制的にリューグナーと手を組んだ。それは、騎士団内の情報を横流ししたり、百騎長という立場だからこそできることをさせたり。つまりは騎士団に対する…、引いては王国に対する裏切り行為である。   (1/1 22:52:30)
ゑゐりあん/トール > 無論、トールはそんなことはしたくない。この国は大好きであるし、そもそも騎士団には大切な部下たちもいる。そんな奴らを危険にさらすような真似はしたくない。…が、そんな部下の命を危険にさらしてまで孤児院の子供たちを護らねばならないのだ。リューグナーの異能にかかれば、どんな強固な護りで子供たちを護ろうとも無意味である。影と言うこの世から消え去ることのない物体の中を自在に移動することができるのだ。彼にかかれば子供たちの命を刈り取ることは、文字通り赤子の手を捻るようなものである)…とにかく。俺はお前の指示通り勝ったんだ。あいつらには手ぇ出すんじゃねぇぞ…ッ「えぇ。えぇ。承知しておりますとも。無論です。あなたは私のお願いをきちんと聞いてくださりましたからね。おかげで子供たちの寿命が延びたことをここに宣言しましょう。嘘偽りなくねぇ」   (1/1 22:52:43)
ゑゐりあん/トール > (リューグナーの言葉を聞いて、トールは左手で机を強くたたきつける)…ッ!!!「ふふっ。…実に愚かですねぇ。あのようなわかりやすい弱点を持っているなんて。あれじゃぁ"子供たちを人質に取って自由に利用してください"…と言っているようなものですよ」(トールが激昂した様子を見せても尚余裕を崩さぬリューグナー)「まぁ、これからもよろしくお願いしますよ。百騎長様」(リューグナーがそう言ってから数秒後、執務室の扉を叩く音が聞こえた)「百騎長。いらっしゃいますか?」あぁ…。エルボか。入れ(聞こえてきたのはトールの部下である女性の声だった。トールの指示を聞き部屋に入ってきた女性は、かなりの量の紙の束を抱えていた)   (1/1 22:52:53)
ゑゐりあん/トール > 「この前指示されたように、フェニクス騎士団所属の騎士たちの情報が記された書物を持ってまいりました」ありがとう。…そこに置いておいてくれ「はい。それにしても百騎長は素晴らしいですね。王国を護るために戦っただけではなく、戦力増強を図るために大勢の騎士たちの情報を閲覧し暗記しようとするとは。この働き、きっと神もみていらっしゃることでしょう」(にっこりと笑いながら書類を机の上に乗せるエルボ。あぁ違うんだ。違うんだよ。戦ったのは王国の為じゃなくて自分の護るべきものの為だし、この書類も情報を横流しするためだけのものなんだ。俺は国もお前らも裏切っているんだ。…その言葉が発せられることはなかった。いつ監視されているかわからないのだ。そんなことを少しでも言ってしまえば子供たちの命はない。そう言う密約なのだ。だからトールは必死に自分を押し殺し)   (1/1 22:53:04)
ゑゐりあん/トール > …ありがとうな(ただ笑顔でそう言う事しかできなかったのだ。帝國にだって護るべきものがあるのだろう。戦うべき理由があるのだろう。だが、俺にだって戦うべき理由はあるんだ。…許せとは言わん。だが、恨まないでくれ。今日戦った彼のことを思い出しながら、トールは誰とは言わずに懺悔を繰り返したのであった)【雷在る場に影は在る】   (1/1 22:53:10)